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生徒会長の決心(苦心)
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しおりを挟む時計の針は本当に動いてるんだろうか。ベッドの上で寝転がってると、秒針は止まってるように見える。音も聞こえないし、この四方で囲われた空間だけ止まってしまったようだ。
汗が滴り落ちる。苦しさのあまりまともに息ができないでいると、智紀が不安そうに見つめてきた。
「夕夏、無理すんな」
「ん……平気……っ」
そうは言うものの、冷や汗がシーツを汚す。外気が直に当たる下半身。両脚をわずかに開いて、智紀の指を受け入れていた。
やっとのことで二本。でも、これが限界だ。
「今日はこの辺にしとこうぜ。俺も初っ端から無理して、お前を傷つけたくないし」
「でも……っ」
怖いのも痛いのも嫌だけど、ここでやめたら次に挑む勇気が出ない気がする。それはもっと嫌だ。
「まだ、もうちょっとだけ……お前を感じてたい」
「ん!? どういうこと……!?」
「何でもない。やめるな」
やっぱり智紀に難しい言い回しをしちゃいけない。それを再認識したところで、彼の腕を掴んで引き寄せた。
「ン……」
指は入ったまま、彼の唇を塞ぐ。柔らかいけどザラザラした舌を絡ませて味わう。これが智紀の味。もう、このままでいたいな。
「夕夏、大丈夫? 怖くない?」
本当にまめだ。一分おきぐらいに問い掛けられた。
「怖くないって。だから……入れて?」
俺もイヤな奴だ。智紀が心配してくれることが嬉しくてしょうがない。むしろもっと、もっと困らせたいと思ってる。
「あぁ、でも裂けないかなぁ……それが心配」
「いいよ、裂けても」
「駄目に決まってんだろ! そんなの俺が許さん!」
ひとりで怒ってる智紀に苦笑しながら、正常位でベッドに倒れた。そして……もうクソ恥ずかしかったけど、両脚を開いて力を抜く。可能な限り、彼が入れやすいようにそこを解した。
「その、ゆっくり……」
「おう。……やばいと思ったらすぐ右手上げて」
歯医者かよ……なんてツッコミもできないほど、心臓がバクバク脈を打ってる。
智紀がズボンのチャックを下ろし、中から硬くなった性器を取り出す。それを見て改めて息を飲んだ。
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