人の恋路を邪魔しちゃいけません。

七賀ごふん

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生徒会長の奉仕(監視)

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でも、どうせ怒りのせいで赤くなってるんだろう。七瀬はイラついた顔で舌打ちする。
「アンタが絡んでくるせいで、いつもの倍は声出さなきゃいけないから疲れるよ。ほら、さっさとひとりで帰れ」
「つれないこと言うなよ、一緒に帰ろうぜ。それとも、お前はまだ帰んないの? ……ゲイのカップルを捜すから」
「なんだ、分かってんじゃん。そうだよ、俺は色ボケた馬鹿共を始末しに行かなきゃいけないから忙しいんだ。だから帰れ」
彼の口の悪さは天下一品だ。これで悪意が無いと言われたら仰天してしまうレベル。

智紀は密かに決心した。
やはり人の恋路を邪魔する彼を野放しにはできない。

「お前が帰るなら俺も帰るよ。でもお前が帰らないなら、俺も帰らない。不安だもん」
「何が不安だっつーんだよ、カップルを潰したってアンタには何の関係もないだろ。むしろ良い環境になってくはずだ。気持ち悪い会話が飛び交って、気持ち悪い視線を向けられることがなくなるんだから……!」

彼の口調が強まる。やや切羽詰まったような響きだ。…なにか、前例でもあったんだろうか。
「誰かが抑止力にならないと、ここは無法地帯だ。童貞野郎には想像もつかない真似をする奴らもいる。だから何も知らないくせにしゃしゃり出んな! テメェは平凡なグループとつるんで卒業まで大人しくしてろ!」
口悪いにも程がある。
尋常じゃなくご立腹。……で帰ろうとした彼の襟を、また後ろから掴んで引き止めた。
「待てよ、七瀬!」
ここまで人を怒らせた事が久しぶりだし、ここまで怒ってる人にどう対応したらいいのか正直分からない。
でも絶対、彼をこのまま帰しちゃいけないと思った。彼を放っておいたら、この怒りを次見つけたカップルにぶつける気がする。俺のせいで誰かが苦しむのは絶対にいかん。阻止せねば。

「何か事情があるのは分かった。でも他にいくらでも解決策があるよ。何でも武力行使しないで、平和に解決しようぜ! 俺達ならできる!」
「ちょっ離せ、首が締まる!」

またもや顔面蒼白になりかけた彼に気付き、手を離す。彼はしばらく壁に寄りかかって呼吸を整えた。
「な? こうやって言葉で伝えれば分かり合える。世の中、何でもラブアンドピースじゃん」
「言葉で伝えてねーだろ、いちいち襟掴んでくるのやめろ! 窒息しそうなんだよ!」



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