人の恋路を邪魔しちゃいけません。

七賀ごふん

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転校生の初日

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「謝れ? ハッ、笑わせんなよ。何一つ謝る要素ないし」
「ある。お前、さっきあいつに存在が迷惑って言ったろ? あんなこと言われたらどんな気持ちになんだよ」
「あのさぁ……。さっきから何? 俺に説教したいの?」
あからさまにイラついた態度で、彼はテーブルの上に座った。
「転校生だから優しくしてやろうと思ってたけど……あんまり調子のんなよ」
ホントに、どこまでも上から目線……!!
あまりの変貌ぶりに怯んでしまう。でもそんな素振りを見せたら、こいつはもっと調子に乗る気がした。とにかく言い返さなきゃ。
「その言葉そっくりそのまま返すっつーの! 何なんだよお前……! 俺も別にゲイじゃないけど、あそこまで言えないし……何か理由でもあんのかよ?」
「……」
すると、彼は少し黙ってたけど。
「理由……なんかねえよ。気に入らないだけ」
先程までと打って変わって、弱々しい声。
理由ありますって言ってる様なもんだ。嘘下手か。
それに急に大人しくされると調子が狂う。

「七瀬はさ……恋愛とかしたことないわけ」
「はぁ?」
「性別がどうとか関係無しに。好き同士な奴らの仲を引き裂くのって、人を本気で好きになったことない奴がやんじゃないかな……って思って」

色んな意味で、かなり際どい事を言った。でも返答が無い。怒ったのかと思って目を細めながらチラ見する。その瞬間、息を飲んだ。
怒ってるどころか、七瀬はさっきより悲しそうな顔をしていた。
いややっぱり、悲しそうというか、 ……苦しそうな感じで。
思わず謝りそうになったけど、ここで謝るのは今までの自分を否定しかねない気がして、俺はとりあえず空気と同化することを選んだ。気まずい。
何だろうな……。

七瀬はおかしい。でも何かが胸に引っ掛かる。
何だかしばらく、彼のことを眺めていた。



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