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重たくも、暖かく
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しおりを挟む全身に火がついたようだった。あまりに恥ずかしくて、目だけ逸らして首を傾げる。
「い、え……今日は汗もかいたから」
口元は笑ってみせたが、今度は嫌な汗が流れた。しかし是が非でも認めようとしない白希に、宗一は我慢できずに吹き出す。
「洗濯機に、君の下着が一枚だけ入ってたね」
「見たんですか!?」
何とか誤魔化そうとしたのに、確信的なものを見られてしまっていた。
変だと気付いたならそう言ってくれればいいのに。
「そんなに俺の口から言わせたいんですか……っ」
「まぁ、そりゃあね?」
宗一は自身のシャツを脱ぎ捨て、白希の上に覆いかぶさった。ベルトを緩めながら、無防備な白希の頬にキスをする。
「下着だけ汚しちゃうようなことがあったの?」
耳元で低く囁かれ、熱い吐息が吹きかかる。それだけでぶるっと震えた。
「いや……その」
「白希」
頬を両手で挟まれ、否応なしに目が合う。吸い込まれそうな、でも凪いだ海のような瞳だ。
そこに情けない顔の自分が映っている。白希は泣きたい気持ちをぐっと堪え、観念した。
「お……怒らないで聞いていただきたいんですけど」
懺悔しながら一部始終を説明する。昨夜のことを思い出したら簡単に欲情してしまったこと。てっきり呆れられると思ったけど、宗一さんは何故か興味津々の様子だった。
でも、男の人が居合わせたことは言えなかった。これは羞恥心からではなく、彼を不安にさせると思ったからだ。
「ごめんなさい……だから色々情けなくて。今日もできればこのまま寝たいんだす」
膝を抱え、彼から恥ずかしい部分が見えないようにする。服を拾いたいけど、それをするには動かないといけない。
彼がこっちから視線を外したら動こう。そう密かに窺っていたのに、何故か彼はズボンのチャックまで下ろし始めた。
「え。あの、宗一さん?」
おかしい。むしろ臨戦態勢に入ってないか?
目を丸くして呼びかけると、彼は眩しいほどの笑顔を浮かべた。
「つまり、ちょっと思い出しただけで感じてしまうんたよね? なら話は簡単だ。自分で制御できるよう、毎晩練習しよう」
……まずい。言ってる意味が分かるようで分からない。
「以前の荒療治と一緒だよ。問題事を遠ざけるんじゃなく、当たって碎ける精神でいこう」
「碎……」
「まずは耐性をつける為に、外の刺激を与えるから勃たないように我慢してね」
そう言うやいなや、彼は俺の脚の間に手を伸ばしてきた。熱の中心を握り込まれ、声にならない声を上げる。
「うあっ!」
「ほーら。我慢我慢」
彼は涼しい顔でなだめようとするけど、こっちとしてはたまったものじゃない。
下から搾り取るように扱き上げて、先端の割れ目に爪を潜り込ませてくる。俺が一番弱い部分をわざと狙っているようだ。
案の定性器は硬さを持ち、ひとりでに反り返ってしまった。
「ありゃ。簡単に勃っちゃったね」
「そんな風に触られたら、当たり前です……っ!」
そもそも、彼の手技が巧みすぎる。我慢しようと思っても、暴力的なまでに快感を引きずり出してくる。
「……でも、私とのエッチを思い出して感じちゃったんだろう? つまり白希のここは、毎日刺激を求めてるってことだ」
「ち、違います!」
それは即座に否定した。そんな欲求不満だと思われたくない。
でも悲しいことに、身体は真逆の反応を示している。透明なつゆをこぼし、彼の次の動きを待っているようだ。
「今日は本当にたまたま……調子がおかしかっただけかもしれませんし」
「そうなの? それは残念だな。……私は本当は毎日君を抱きたいよ?」
彼がこちらを見上げ、寂しそうに首を傾ける。
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