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失くしもの
#14
しおりを挟む彼の二つの乳首を指で引っ張る。白希は脚を開き、無我夢中で宗一の膝に前を押しつけた。
魅力的だ。中身なんて忘れてしまうほど……。
思わず見惚れていると、白希は力を抜き、だらんと寄りかかってきた。
「気持ちよかった?」
こくこくと頷き、彼は懐かしそうに目を細めた。
「気持ちいい、です。大我さんに触られた時もそうで」
なっ!
一瞬だが、思考が完全に停止した。
引き攣った笑顔を浮かべ、宗一は白希の肩を押し、顔を確認する。
「白希? 触られたって……まさか、彼とそういうことをしたのか?」
「そういうこと?」
何のことか理解してないようで、白希はきょとんとしている。すらっとぼけてるわけじゃなさそうだが、由々しき事態だ。久しぶりに胸の中で熱い感情が揺らめく。
「大我……くんと、何をしたんだい」
「別に。貴方と同じで、一緒にお風呂に入っただけです」
「それでも普通胸は触らないだろう?」
大真面目に言うと、彼は怪訝な顔で頷いた。
「気持ちいいから弄ってたら、触ってくれました」
……。
全身の血の気が引いていくのが分かる。
宗一はなるべく冷静に、心を落ち着けようとした。大学生に対抗心を持つのはどうかと思うし、そもそも彼を守れなかった自分が悪い。
とは言え、非常に複雑だ。今の白希が妙なところで抜けているのも分かってはいたが。
「まさか、下は触らせてないよね?」
頼むから違ってほしい。神に祈る気持ちで問うと、白希は首を傾げ、両手を宗一の膝の上についた。
「触られてません。私から、こうやって擦り合わせたことならあります。……けど」
かろうじて耐えていた糸が切れてしまった。青ざめていた時間は短く、すぐに全身が熱くなる。
「んむっ!?」
唇は我慢しようと思っていたのに、獣のように食らいついてしまった。
逃げようとする彼の腰を強くホールドし、性器を擦り上げる。
華奢な身体を押さえ込まれ、白希はもがいた。無遠慮に犯される口腔も、透明なつゆでぬれる熱棒も、気持ち良すぎて辛い。
苦しい。だが逃げることは叶わず、彼の掌の中で自分を手放すことで解放された。
「あああっ!!」
さっきよりもずっと薄く、しかし大量に吹き出ている。白希は潮を吹いてしまっていた。今も前から透明なつゆをこぼし、宗一の腹と膝を汚している。
だがそんなことは気にもせず、宗一は白希の顎を掠め取った。
「あ、やあっ……」
「起きたことはしょうがない……代わりに今上書きするよ。悪いけど付き合ってね、白希」
私情を挟むべきではないと分かっているのに、体は反した行動をとる。
困った。白希と大我に、猛烈に嫉妬している。
「んあぁっ!」
白希の右の乳首を口に含みながら、また反り返った性器を激しく扱いた。性器も、下にある繋がった袋も、泣き腫らしたようにパンパンに膨らんでいる。
「やだ、もうやだ、……い、ああっ!」
ずっとイッた状態が続いているのだろう。白希は嫌々と首を横に振っていたが、構わずに指で強く擦り上げた。
びくん、とひと際大きく震えた時、最後の一滴がこぼれ落ちた。
「全部出したかな。……無理させてごめんね、白希」
彼の首筋に口付けする。そして腹に飛び散った愛液を指ですくい、軽く舐めとった。
「でもちょうどいいから覚えておいて。私はとっ…………ても嫉妬深いんだ」
「……っ!」
燃え盛る瞳で見つめられ、白希は身震いした。恐怖なのか、快感の余韻によるものかは分からない。ただ間違いなく、身体は宗一の支配下に落ちている。
「ま……前から思ってたけど、貴方って本当に重いです」
白希は身を引き、青い顔で呟いた。
狩られそう。ではなくて、もう既に捕らわれている。放し飼いにされていたから分からなかっただけだ。
こんなにも重い感情を引き摺る人だと分かっていたら、きっともっと早くに逃げ出していた。
「……ふ」
宗一は前髪をかき上げる。鼻先が触れそうな距離で、もう一度白希の唇を奪った。
「これからまた、嫌になるほど愛してあげるから。押し潰されないよう頑張ってね、白希」
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