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失くしもの
#13
しおりを挟むアラームが鳴るより先に目を覚ました。
宗一は目元を擦って寝返りを打つ。そのとき腕がなにかに当たり、「痛っ」という声が聞こえた。
「ん……あ! ごめん白希、当たっちゃった?」
ハッとして前を確認する。隣には、自身の額を撫でている白希が寝ていた。
「大丈夫です。……おはようございます」
「おはよう。本当ごめんね」
故意ではないが、彼の額をさすった。赤くもなってないし、ホッとする。
宗一はすぐに上体を起こしたが、白希は何故か起き上がろうとしなかった。
不思議に思って見ると、少し頬のあたりが赤い。
「白希、どうしたの? 具合でも悪い?」
「ん……」
心配になって、彼の頬に手を当てる。すると彼は困ったように身じろぎした。少々辛そうに、布団の中でもじもじと脚を動かしている。
それの仕草だけでどうしたのか分かってしまった。宗一は微笑み、布団の下から彼のズボンに手を伸ばす。
「ひあっ!」
「勃ってるね。しばらく抜いてなかったもんね」
服の上からでも分かるぐらい、白希の性器は膨れ上がっている。
動揺して真っ赤になっている彼を宥めるように、頬にキスをした。
「大丈夫。普通のことだから」
「普通……?」
「そ。男の子だからね」
白希が恥ずかしがると思い、布団は取らずにズボンの中に手を入れた。下着をまさぐり、硬くなった性器を優しく握り込む。
「……っ!」
白希はびくんと肩を震わせ、ぎゅっと目を瞑った。自慰が初めて……というわけではないだろうが、他人に触られるのは、彼の中で初めてなのかもしれない。肩を抱き寄せ、もう片方の手で熱を扱く。
「時々出さないと体に良くないからね」
「あっ……ん、ふ……う……っ」
白希は目に涙をため、呼吸を乱す。自慰を手伝う必要があるのか分からないが、こんな状態の彼を放置することはできない。
彼の身体は知り尽くしている。気持ちいいところも、弱いところも。
だがなるべく恐怖を与えたくなくて、早めにイかせることにした。
上下に扱く手を速くする。ほんの少し力を入れて先端を擦ると、彼は甲高い声と共に飛沫を放った。
「は……っあ」
「よしよし。お疲れ様」
とけてしまったそこを撫で、ズボンを引き上げる。見ると、白希は可哀想なぐらい顔を赤くしていた。
「白希? ご、ごめんね」
中身が幼いことをついつい忘れてしまう。夫婦とはいえ、やり過ぎると犯罪的だ。
慌てて謝ると、彼は嗚咽し、目元を袖でぬぐった。
「ズボン……汚しちゃいました」
どうやら射精したことより、服を汚したことに震えているようだった。思わず眉間を押さえる。
はぁ。……可愛い。
というのはおくびにも出さず、彼の頭を撫でる。
「いいのいいの。後で洗うから、お風呂に入ろう」
昨日は風呂に入らず寝てしまった。まだ時間も早いし、出勤まで余裕がある。
白希を抱き起こし、お湯をためた。温かいシャワーを出し、彼の身体にかける。
「ちょっとスッキリできた?」
後ろから問いかけると、彼は無反応でスポンジを手に取った。どうやらノーコメントらしい。
ぬれて少し長く見える髪。いつもより大人びて、色気のある横顔が印象的だ。
まだ完全に覚醒していないのか、妙に大人しいことも拍車をかけている。
他意はないのだが、足の付け根に手が触れたとき、また彼はビクッと震えた。
「あぁ、ごめん。……相変わらず、白希は敏感だね」
懐かしくなって笑うと、彼は耳まで真っ赤にした。ちょっと気の毒なぐらいで、思わず口を手で塞ぐ。
「貴方が変な触り方するからでしょ!」
「ちょっと手が触れちゃっただけだよ。下心はないから許してくれ」
両手を上げて謝るも、彼はまだ頬を膨らましていた。真剣な彼には申し訳ないが、その様子すら可愛い。彼の腰を引き寄せ、自分の膝に座らせる。
チェアが一脚しかない為、彼からスポンジを受け取り、身体を洗ってやった。最初こそ嫌そうに身を捩っていたが、次第に全体重を宗一にかけてきた。
脚の間を宗一の片膝に擦りつけるようにし、腰を動かしている。
あれほどぷんすか怒っていたのに、誘っているんだろうか。
これが無意識だとしたら、もはや悪魔に近い。そう思ってしまうほど、今の白希は蠱惑的だった。
また前は少し反応して、反り上がっている。それが宗一の膝で押し潰され、辛そうにぬれていた。
「……白希」
彼の顎に手を添え、目蓋を舐め取る。熱い。唇も、顔も、触れ合っている場所、全て。
熱で頭がやられてしまったみたいだ。彼も自分も、頭がもう働いてない。
ただこの熱を下げる術をさがしている。
「白希。ここ触られるの嫌?」
「ん……や、じゃない……」
「じゃあここは?」
「うあっ!?」
尖った、可愛らしい胸の突起を指でつまむ。弱い力で押したり転がしたりすると、いじらしい反応をしてくれた。
「や……何か、じんじんする……っ」
嫌ではないらしい。ここも時間をかけて可愛がったから、当然と言えば当然だ。
「良かった。……気持ちいい時はいいって言ってね。そしたら、そこをたくさん可愛がってあげる」
向かい合って、白希の乳首を口に含んだ。少し強めに吸い上げると、彼は声にならない声を上げて仰け反った。
「おっと。危ない」
後ろに倒れないよう、素早く背中に手を回す。
快感を追い求め、白希はもう片方の乳首を自分の手で弄り出した。身体は素直だ。どんどん、甘美な時間を思い出している。
前は完全に勃ち上がり、白希の下腹部にぴたぴたと当たっていた。
「こ、こ……っ」
「うん。乳首がどうかした?」
「……好き。触られるの……っ」
とろけた瞳で見据えられる。もう止まれなかった。求められたら尚さら。
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