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火照った秘密
#4
しおりを挟む「い、いいえ!!」
閃光のような視線が突き刺さる。
こちらも、触れてはいけない部分を容赦なく突き刺した気がした。最高に姿勢を良くし、彼に向き合う。
さすがに卑下し過ぎたか。いやでも、見知らぬ相手から寄せられる好意の受け取り方は人それぞれ。宗一さんだから笑って済ませてくれただけで、多くの人は困惑するだろう。
というか、宗一さんだって困惑したはずだよ……。
「私も不思議だ。あの手紙を否定されるときついものがある。手紙を書いてくれた、君が相手でも」
「……な、何故そこまで……」
「あの手紙が、孤独だった私を救ってくれたから。かな」
宗一はガウンに袖を通し、脚をベッドの下に下ろした。白希もシーツを引き寄せ、改まって正座する。
「今もそうだけど、比べ物にならないぐらい誰も近寄らせない時期があったんだ」
完璧な彼がそんな疑心暗鬼になってたことがあるなんて、何回聞いても信じられない。
でも、彼だって人間で、理不尽からは守られなきゃいけない。
異常な力を持って生まれて、俺が知らない苦労をしてきたはずだ。
「周りは皆敵と思って生きていた。利用される側と利用する側、どちらになるかを毎日必死に考えていたんだよ」
「それは……苦しくないですか?」
思ったことを正直に尋ねた。彼は穏やかな笑顔を浮かべ、後ろに手をつく。
「苦しい。でもその時の私は、自分が苦しんでることも気付けなかった。君から手紙をもらうまでは……」
覚えのない手紙なんて、当時は開ける前に棄てるような人間だったのに。
その時は手紙から熱を感じて、急かされるように内容を確認した。余川家の子が私と同じ力を発現したこと、村は少し居づらいこと、でも外にも行きづらいこと。
この力を捨てて、いつかこの村から出たい。まだあどけない字で、そう綴られていた。
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