熱しやすく冷めやすく、軽くて重い夫婦です。

七賀ごふん

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植え替え

#1

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とけて、ドロドロになくなってもいい。むしろそれが本望だ。
抱き合って、彼に強く抱き締めてもらってる間に消えてなくなりたい。そんなふざけた願望が頭の中を蹂躙する。

もちろんそんなことにはならなくて、ただ自ら飛び降りただけだ。その手を掴み、引き上げた彼に全ての主導権がある。

「最高だ」

宗一さんの満ち足りた笑みが見えた。その後は、もう何も分からない。視界は激しく揺れ、言葉にならない快感に打ちのめされた。

肌がぶつかり合う音と、水が跳ねる音が同時に鳴り響く。白希は自分でも聞いたことのない高い声を途切れ途切れに上げた。

身体の中を熱い棒で抉られている。凄まじい痛みだが、それ以上の快感に抱かれている。
宗一がシャツを脱ぎ捨てたことで、裸の上半身が視界に入った。

こんな光景、女性しか見ることはできないと思っていた。
「あっ……ん、う、うんっ」
未だに信じられない。
俺、宗一さんとエッチしてるんだ。

腰を持ち上げられ、両脚が宙に浮く。体勢を変えたことで、宗一の張り詰めた性器がさらに深く潜り込んできた。
「あああっ!!」
「白希。……愛してる」
宗一は前に倒れ、無理やり白希の唇を奪った。体勢が苦しいのに、息まで奪われている。
自身の性器も反り返り、腹にぴたぴたと打たれていた。
宗一からは全て見えてしまっている。
自分が今どれだけいやらしい表情をしているかも。

「宗一さん……宗一さん……!」

それでももう、名前を呼ぶことが精一杯だ。彼の背中に手を回し、必死に抱きつく。何度も爪を立ててしまったけど、彼は気にせず中を攻めた。
大事に隠してた部分を掘り起こすみたいに。強引だけど、とても的確に。

中のある一点を強く擦られた時、目の前が真っ白になった。

「宗……あぁーっ!」

身体が宙に浮く。本当に、高い所から突き落とされたような感覚だ。絶頂は上りつめるのも落ちるのも一瞬だと、このとき初めて知った。

前が弾け、宗一の腹を汚す。

「く……っ」

彼もそれを受け、苦しそうに口端を引き結ぶ。そしてゆっくり自身のものを引き抜いた。
「……っ」
自分の手のひらの中にイッて、俺の中には出さなかった。

何でだろうという気持ちと、出していいのに、という気持ちが混在していた。けどそれを口に出す元気はなかった。





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