熱しやすく冷めやすく、軽くて重い夫婦です。

七賀ごふん

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二十歳の青年

#17

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「あの村で自分を殺した分、君は私に愛されなきゃならない」

白希は唾を飲み込んだ。
初めて宗一の肢体を目の当たりにする。逞しく、しなやかな胸板だった。着痩せしていて分からなかったが、腹筋が割れていて普段から鍛えているように見える。

私と全然違う…………。

驚きすぎて心の中で一人称が戻ってしまった。本当に、同じ性別とは思えない。下半身も目に入ってしまい、尚さら現実逃避したくなる。

「白希、聞いてる?」
「すみません、全く……」

彼の話が全然頭に入ってこない。それより自分の貧相な身体が恥ずかしくて、前を手で隠した。
宗一はクスッと笑い、シャワーヘッドを手にする。温度を確かめると、勢いよく白希の腰に当てた。
「ひゃっ!?」
「ここも綺麗にしておこう。脚を開いて」
ヘッドが後ろに回る。尻の割れ目をなぞり、小さな入口に辿り着いた。

宗一と抱き合うような形で、後ろを弄られる。
何だこれ。何でそんなところを……。
まるで意味が分からなかったけど、あることに気付いて戦慄した。

宗一さんも、勃ってる……。

向かい合わせで密着してるせいで、互いのものが当たっている。宗一のそこは、いつの間にか硬く反り返っていた。

待て待て、何かまずいんじゃないか、これ。

上手く言えないけど、まずいことだけは分かる。こういう時常に助けてくれたのが宗一さんだったけど、今は彼から逃げた方がいい気がする。
と言っても、どこに逃げるんだ? ここ以外に行く場所なんてないのに。

一秒間でものすごく色んなことを考えた。最終的に、ちーんという仏具を鳴らす音が聞こえた。
たった二日だけど、すごく楽しかったな。もう死んでも悔いない……。

「うあっ!?」

情けない形で幕を下ろそうとしたが、尻の間に指が這い、甲高い声を上げてしまった。
宗一の指は間違いなく、普段使われない穴に伸びている。ぬれたそこを優しく撫で、周りを引っ張り……外から潜りませようとしていた。

「宗一さん……ひ、ちょっと……何を……」

胸を押すけど、むしろもっと強く抱き締められた。指の先が穴に入り、酷い悪寒に襲われる。指と一緒に外気も入ってきたのか、下腹部が変な感じだ。
「ずっとこのまま、くっついていられたらいいのに」
宗一は白希の首筋を甘噛みした。そっちの方が痛くて、後ろのことは忘れかけた。

「私を忘れないでくれていたことが嬉しいし、想い続けてくれていたことも嬉しい。……後は、身体でも覚えててほしい。全身で私を感じて、求めて。……同化して」

同化……なら、言われなくてもしている。前が熱すぎて、どろどろにとけていた。互いの先端から白い液体が溢れている。

「白希。キスしたい。……駄目かな?」
「……っ」

危うく笑いそうになった。
キスよりずっとヤバいことをたくさんしてきてるくせに、何を今さら。

キスなんて……そんな小さなこと。

今まで我慢して、とっといてくれてたのか。

全身が熱くなる。唾液を零しながら、彼の顔を見上げた。

宗一さんの瞳は、天空のような青さを秘めている。それが今、雨を降らすかのように潤んでいる。
辛いのかな。男は我慢するのが辛い……というのは、先程の件で身をもって知った。


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