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サイカイ
#2
しおりを挟む奈津元朔、二十三歳。彼は過去最大の失態に震えていた。
「おっふ……」
静まり返った深夜。キャバクラが密集する通り、のホテルの一室。彼はベッドですやすやと眠る全裸の青年を見て立ち尽くしていた。
頭はまだ鈍痛が残っている。自分もかなり彼も酔っ払って、千鳥足でこのホテルに入ったのだろう。だからこういう展開はありがちだ。つい先日もそんな漫画を読んだし、仕方ないことだと思う。
部屋の端から端まで往復し、考えをまとめる。最中ゴミ箱に入った小箱がちらっと見え、朔は確信した。
ヤッちゃったな。
なかったことにできないかな~……!!
極限状態にあるときほど非現実的な妄想をするというけど、確かにその通りだ。俺はとにかく、ここで起きたであろう事件を揉み消すことに必死になってる。
服をしっかり着て、ゴミ箱の中にあるものをビニール袋に入れて隠した。ベッドで寝ている彼にもシャツだけは着させて、近くに空の酒瓶を置いておいた。これでただの酔っ払い、もとい露出狂のできあがりだ。……って、コレなんてちゃちな演出だろう……。
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