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紫苑の章
2-2 ★芍薬は夜の香り2
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「ふふっ、可愛いサヴィトリ様」
カイラシュは、サヴィトリの頬にはりついた髪を指先で払う。
サヴィトリは動悸が治まらず、息もなかなか整わない。肌がじっとりと汗ばんでいる。
「っ、はぁ……はぁ、はぁ……今の、何……?」
サヴィトリはぼんやりとした頭で尋ねた。
自分の身の内で起こったことを他人に尋ねるなどおかしなことだが、自力では理解できそうにない。
「それをわざわざわたくしに言わせるのですか? 自ら辱められたいと仰っているようなものですよ」
「さっぱり要領をえないのだけれど……」
「達する、絶頂する――まぁ俗っぽく言えば、イってしまった、ということです」
「いっ……!?」
カイラシュの回答に、サヴィトリは言葉を詰まらせる。理解しなくていい事柄だった。
「おや、本当に何もご存じないのですね。そのほうが教え甲斐がありますけれど」
カイラシュは剣呑きわまりない笑みをたたえる。
サヴィトリはカイラシュの加虐的な本性を見た気がした。
「まぁ、なんだかんだ言って、実はわたくしのほうも余裕がなかったりしますが」
サヴィトリの太腿のあたりに、何か硬いものがあてがわれる。サヴィトリは視線をむけて、即座に逸らした。
カイラシュが男だということは理解している。だが、それを見るまで信じきれていない自分もいた。
「欲しくて仕方がないんです、サヴィトリ様……」
カイラシュはすがるような目で哀願した。どんな願いもわがままも受け入れさせるような魔力がある。
「欲しいって、私からあげられるものなど何も――」
最後までサヴィトリの言葉を聞かずに、カイラシュは耳元で願いを告げた。
数秒のタイムラグのあと、かっとサヴィトリの顔全体が赤くなる。半分は照れ、もう半分は自分の察しの悪さに、だ。
「戦闘では猛将もかくやというほどの振る舞いをみせるのに、閨ではまるで幼子ですね」
「ずっと森で暮らしていたんだから、しょうがないだろう……」
「そんなに拗ねないでください。この点についてだけは、わたくしは義父殿に感謝しなければ」
カイラシュは自身の先端をサヴィトリの秘所に押し当てた。それ以上入れることはせず、なぞるように上下に動かす。際限なくあふれる蜜が潤滑剤になり、動きに合わせて淫靡な音と短い嬌声が重なる。
指とも舌とも違う感触に、またサヴィトリの身体の奥が熱くなる。
(……変だ。おかしいのかな、私は。こんなことをされて……気持ちが、いい、なんて……)
決して口にはできないことがサヴィトリの脳裏によぎる。
奇妙な感覚の正体を認めてしまうと、急に快感が強くなった。声が抑えられない。
サヴィトリは微かに残る理性で、自分の手首を噛んで喘ぎを無理やり押さえこんだ。
「……っ、ふ……いけませんね、サヴィトリ様。美しい肌に、傷をつけては」
カイラシュは腕をつかみ、サヴィトリが噛んだ部分に唇を這わせた。わずかにだが、カイラシュの息も乱れてきている。
「もっと、声を聞かせてください……」
吐息混じりのかすれた声が合図だった。
サヴィトリの身体に圧がかかり、熱いものが中へと押し入ってくる。
「あぅ……いっ! 痛っ……や、カイ……!」
サヴィトリは痛みに顔をしかめ、カイラシュの身体にしがみついた。意識せず、爪を立ててしまう。
痛みの大きさとしては、今までしてきた怪我と比べると小さい。それでも、より耐えがたく感じてしまうのは、痛さの種類が違うからだろうか。
「くっ……申し訳ございません。途中で止めるほうが……おつらいかと、存じます」
カイラシュは眉根を寄せ、更に腰を押し進めた。
ぐっと圧迫感が増す。肺から息が押し出される。
「サヴィトリ様、どうかわたくしを見てください。目を開けていたほうが、余計な力が入らずにすみます。もう一つ、できれば呼吸は止めないで」
諭すような口調で言い、カイラシュはサヴィトリの髪を撫でた。
サヴィトリは、いつの間にかきつく閉じてしまっていた目蓋を開ける。
心配そうな顔をしたカイラシュが見えた。
次にゆっくりと息を吐く。
それだけで気持ちの面でも楽になり、力が抜けていくのがわかる。
「あと少しだけ、痛いかもしれません……!」
カイラシュの言葉どおり、サヴィトリは行為が始まってから一番の痛みに襲われる。
肉の裂けるような痛みに悲鳴をあげたくなったが、しっかりとカイラシュとつながっているのを感じ、苦痛は胸の熱さに取って代わった。
「はっ……はぁ……痛い、けど……肋骨折られるよりは……」
「……実にサヴィトリ様らしいたとえですが、もっと他に適切な表現はなかったのでしょうか」
「残念ながら、ない」
サヴィトリは笑ってみせ、カイラシュの首に腕を絡めた。
「ちなみに、正直、私は痛いだけだが、カイのほうは違うのか?」
純粋な好奇心から、サヴィトリは尋ねてみた。
まだなんとなく痛みはあるし何より違和感があるが、普通に会話ができる程度には治まった。
「ふ、相手に言わせるプレイがお好みですか」
「ごめん、今の質問なかったことに」
「挿れただけでイきそうです、サヴィトリ様」
台詞に似合わない爽やかな微笑を浮かべ、カイラシュはサヴィトリの腹部を撫でた。
普段なら殴る蹴るの暴行を働いているところだが、サヴィトリは恥ずかしくなり顔を逸らした。
カイラシュが感じてくれたことが嬉しい。世辞であっても。
「サヴィトリ様にも良くなっていただきたいところですが……少々、失礼いたします」
サヴィトリの頬に唇を落とし、カイラシュは探るように腰を動かし始めた。
すれる感じが痛くもあるが、次第に別の感覚に上書きされていく。
「ぃ……カイ、なかが……んっ……やぁ、あっ……」
「あぁ……はぁ……もっと余裕があれば、よかったの、ですが……」
カイラシュの動きが早くなり、赤い瞳の焦点が溶ける。
どちらともなくくちづけ、何かに取りつかれたように激しく互いをねぶった。
「だめ、わたし……あぁぁぁ、あぅ……っ! はぁ……な、に……また、やんっ……あぁん、カイぃぃっ」
だらしなく開いた口が閉じられない。
カイラシュを咥えこんで離さないように動く己の身体の浅ましさに眩暈がする。
だがそんな自己嫌悪も数秒のことだった。明確なきっかけが何だったかはわからない。
先ほどの比ではない快感が全身を駆け巡り、サヴィトリの視界が白く霞んだ。悲鳴で喉が震える。身体がびくびくと痙攣しているのがわかる。
カイラシュのものが引き抜かれた時、びくりと腰が跳ねた。入れられていた違和感が、喪失感へと変わる。
「はぁ……はぁ……ふふ、そのように寂しそうな目をなさっては、無理をさせたくなってしまいますよ」
カイラシュは悪戯っぽく言い、サヴィトリの耳のふちに舌を這わせた。
過敏になったサヴィトリを身悶えさせるには充分すぎる刺激だった。
「きゃっ! ~~~カイっ!」
「サヴィトリ様のどこをどのように責めれば乱れてくださるのか完璧に把握いたしましたので、どうか次回をご期待くださいませ。学習能力には定評がありますので」
カイラシュは胸に手を当て、片目をつむってみせる。
「そ、そう簡単に次があると思うな!」
余韻で思考がとっ散らかっているサヴィトリは、悪役の負け惜しみじみたことを言ってしまう。
「はい。次回以降のため棘の魔女をさっさと倒し、色々なあれやらそれやらがある王城へ帰りましょう!」
話を噛み合わせる気のないカイラシュは、今更リュミドラ討伐にやる気を見せる。
(なんだろう、ものすごく城に戻りたくない……)
あれやらそれやらに嫌な予感しかしないサヴィトリは、どっと疲れを感じる。
心労的に明日の決戦に支障が出そうだ。
「サヴィトリ様」
壊れやすい物でも扱うように、カイラシュはサヴィトリの身体に腕をまわした。
さっきまでは肌が合わさると発熱しているんじゃないかというくらい熱かったが、今は適度に心地いい。
「夢では、ないのですよね……?」
カイラシュの声は不規則に揺れている。
前々から気になっていたことだが、カイラシュには押しの弱さ、気の弱さが見え隠れする。外見的にも能力的にも他者が羨むほどのものを備えているのに自信がない。脆い、卑屈だと感じる時すらある。
「……馬鹿」
サヴィトリはため息をつき、カイラシュの額を爪で弾いた。
「っ!?」
「夢と現実の区別がつかないなら、私を信じろ。夢でも現実でも、カイの道標になるから」
カイラシュは一瞬はっと目を見開き、何かを得心したように口の端を持ちあげた。
「さすがは我が王です。わたくしの手でいいように喘がされていたとは到底思えません」
「それとこれとは話が別だろう!」
「ではもう一度試してみます?」
「城に帰ったらって言ったろう!」
「はい。サヴィトリ様の言質も取れたことですし、城への帰還をより一層楽しみにしております」
カイラシュが何を言ったのかわからなかったサヴィトリは、直近の自分の言葉を振り返る。
『城に帰ったらって言ったろう!』――カイラシュの言葉を指摘したつもりだったが、聞きようによっては「城に帰ったら試しましょう」と言っているのとほぼ同じだ。
「……もうなんでもいい」
サヴィトリは投げやり気味に言い、自分もカイラシュの身体に手をまわし、目蓋を閉じた。
「拗ねたところも可愛いですよ」
カイラシュの手がサヴィトリの髪を優しくなでる。
その心地よさに、サヴィトリの意識はゆっくりと溶けていった。
カイラシュは、サヴィトリの頬にはりついた髪を指先で払う。
サヴィトリは動悸が治まらず、息もなかなか整わない。肌がじっとりと汗ばんでいる。
「っ、はぁ……はぁ、はぁ……今の、何……?」
サヴィトリはぼんやりとした頭で尋ねた。
自分の身の内で起こったことを他人に尋ねるなどおかしなことだが、自力では理解できそうにない。
「それをわざわざわたくしに言わせるのですか? 自ら辱められたいと仰っているようなものですよ」
「さっぱり要領をえないのだけれど……」
「達する、絶頂する――まぁ俗っぽく言えば、イってしまった、ということです」
「いっ……!?」
カイラシュの回答に、サヴィトリは言葉を詰まらせる。理解しなくていい事柄だった。
「おや、本当に何もご存じないのですね。そのほうが教え甲斐がありますけれど」
カイラシュは剣呑きわまりない笑みをたたえる。
サヴィトリはカイラシュの加虐的な本性を見た気がした。
「まぁ、なんだかんだ言って、実はわたくしのほうも余裕がなかったりしますが」
サヴィトリの太腿のあたりに、何か硬いものがあてがわれる。サヴィトリは視線をむけて、即座に逸らした。
カイラシュが男だということは理解している。だが、それを見るまで信じきれていない自分もいた。
「欲しくて仕方がないんです、サヴィトリ様……」
カイラシュはすがるような目で哀願した。どんな願いもわがままも受け入れさせるような魔力がある。
「欲しいって、私からあげられるものなど何も――」
最後までサヴィトリの言葉を聞かずに、カイラシュは耳元で願いを告げた。
数秒のタイムラグのあと、かっとサヴィトリの顔全体が赤くなる。半分は照れ、もう半分は自分の察しの悪さに、だ。
「戦闘では猛将もかくやというほどの振る舞いをみせるのに、閨ではまるで幼子ですね」
「ずっと森で暮らしていたんだから、しょうがないだろう……」
「そんなに拗ねないでください。この点についてだけは、わたくしは義父殿に感謝しなければ」
カイラシュは自身の先端をサヴィトリの秘所に押し当てた。それ以上入れることはせず、なぞるように上下に動かす。際限なくあふれる蜜が潤滑剤になり、動きに合わせて淫靡な音と短い嬌声が重なる。
指とも舌とも違う感触に、またサヴィトリの身体の奥が熱くなる。
(……変だ。おかしいのかな、私は。こんなことをされて……気持ちが、いい、なんて……)
決して口にはできないことがサヴィトリの脳裏によぎる。
奇妙な感覚の正体を認めてしまうと、急に快感が強くなった。声が抑えられない。
サヴィトリは微かに残る理性で、自分の手首を噛んで喘ぎを無理やり押さえこんだ。
「……っ、ふ……いけませんね、サヴィトリ様。美しい肌に、傷をつけては」
カイラシュは腕をつかみ、サヴィトリが噛んだ部分に唇を這わせた。わずかにだが、カイラシュの息も乱れてきている。
「もっと、声を聞かせてください……」
吐息混じりのかすれた声が合図だった。
サヴィトリの身体に圧がかかり、熱いものが中へと押し入ってくる。
「あぅ……いっ! 痛っ……や、カイ……!」
サヴィトリは痛みに顔をしかめ、カイラシュの身体にしがみついた。意識せず、爪を立ててしまう。
痛みの大きさとしては、今までしてきた怪我と比べると小さい。それでも、より耐えがたく感じてしまうのは、痛さの種類が違うからだろうか。
「くっ……申し訳ございません。途中で止めるほうが……おつらいかと、存じます」
カイラシュは眉根を寄せ、更に腰を押し進めた。
ぐっと圧迫感が増す。肺から息が押し出される。
「サヴィトリ様、どうかわたくしを見てください。目を開けていたほうが、余計な力が入らずにすみます。もう一つ、できれば呼吸は止めないで」
諭すような口調で言い、カイラシュはサヴィトリの髪を撫でた。
サヴィトリは、いつの間にかきつく閉じてしまっていた目蓋を開ける。
心配そうな顔をしたカイラシュが見えた。
次にゆっくりと息を吐く。
それだけで気持ちの面でも楽になり、力が抜けていくのがわかる。
「あと少しだけ、痛いかもしれません……!」
カイラシュの言葉どおり、サヴィトリは行為が始まってから一番の痛みに襲われる。
肉の裂けるような痛みに悲鳴をあげたくなったが、しっかりとカイラシュとつながっているのを感じ、苦痛は胸の熱さに取って代わった。
「はっ……はぁ……痛い、けど……肋骨折られるよりは……」
「……実にサヴィトリ様らしいたとえですが、もっと他に適切な表現はなかったのでしょうか」
「残念ながら、ない」
サヴィトリは笑ってみせ、カイラシュの首に腕を絡めた。
「ちなみに、正直、私は痛いだけだが、カイのほうは違うのか?」
純粋な好奇心から、サヴィトリは尋ねてみた。
まだなんとなく痛みはあるし何より違和感があるが、普通に会話ができる程度には治まった。
「ふ、相手に言わせるプレイがお好みですか」
「ごめん、今の質問なかったことに」
「挿れただけでイきそうです、サヴィトリ様」
台詞に似合わない爽やかな微笑を浮かべ、カイラシュはサヴィトリの腹部を撫でた。
普段なら殴る蹴るの暴行を働いているところだが、サヴィトリは恥ずかしくなり顔を逸らした。
カイラシュが感じてくれたことが嬉しい。世辞であっても。
「サヴィトリ様にも良くなっていただきたいところですが……少々、失礼いたします」
サヴィトリの頬に唇を落とし、カイラシュは探るように腰を動かし始めた。
すれる感じが痛くもあるが、次第に別の感覚に上書きされていく。
「ぃ……カイ、なかが……んっ……やぁ、あっ……」
「あぁ……はぁ……もっと余裕があれば、よかったの、ですが……」
カイラシュの動きが早くなり、赤い瞳の焦点が溶ける。
どちらともなくくちづけ、何かに取りつかれたように激しく互いをねぶった。
「だめ、わたし……あぁぁぁ、あぅ……っ! はぁ……な、に……また、やんっ……あぁん、カイぃぃっ」
だらしなく開いた口が閉じられない。
カイラシュを咥えこんで離さないように動く己の身体の浅ましさに眩暈がする。
だがそんな自己嫌悪も数秒のことだった。明確なきっかけが何だったかはわからない。
先ほどの比ではない快感が全身を駆け巡り、サヴィトリの視界が白く霞んだ。悲鳴で喉が震える。身体がびくびくと痙攣しているのがわかる。
カイラシュのものが引き抜かれた時、びくりと腰が跳ねた。入れられていた違和感が、喪失感へと変わる。
「はぁ……はぁ……ふふ、そのように寂しそうな目をなさっては、無理をさせたくなってしまいますよ」
カイラシュは悪戯っぽく言い、サヴィトリの耳のふちに舌を這わせた。
過敏になったサヴィトリを身悶えさせるには充分すぎる刺激だった。
「きゃっ! ~~~カイっ!」
「サヴィトリ様のどこをどのように責めれば乱れてくださるのか完璧に把握いたしましたので、どうか次回をご期待くださいませ。学習能力には定評がありますので」
カイラシュは胸に手を当て、片目をつむってみせる。
「そ、そう簡単に次があると思うな!」
余韻で思考がとっ散らかっているサヴィトリは、悪役の負け惜しみじみたことを言ってしまう。
「はい。次回以降のため棘の魔女をさっさと倒し、色々なあれやらそれやらがある王城へ帰りましょう!」
話を噛み合わせる気のないカイラシュは、今更リュミドラ討伐にやる気を見せる。
(なんだろう、ものすごく城に戻りたくない……)
あれやらそれやらに嫌な予感しかしないサヴィトリは、どっと疲れを感じる。
心労的に明日の決戦に支障が出そうだ。
「サヴィトリ様」
壊れやすい物でも扱うように、カイラシュはサヴィトリの身体に腕をまわした。
さっきまでは肌が合わさると発熱しているんじゃないかというくらい熱かったが、今は適度に心地いい。
「夢では、ないのですよね……?」
カイラシュの声は不規則に揺れている。
前々から気になっていたことだが、カイラシュには押しの弱さ、気の弱さが見え隠れする。外見的にも能力的にも他者が羨むほどのものを備えているのに自信がない。脆い、卑屈だと感じる時すらある。
「……馬鹿」
サヴィトリはため息をつき、カイラシュの額を爪で弾いた。
「っ!?」
「夢と現実の区別がつかないなら、私を信じろ。夢でも現実でも、カイの道標になるから」
カイラシュは一瞬はっと目を見開き、何かを得心したように口の端を持ちあげた。
「さすがは我が王です。わたくしの手でいいように喘がされていたとは到底思えません」
「それとこれとは話が別だろう!」
「ではもう一度試してみます?」
「城に帰ったらって言ったろう!」
「はい。サヴィトリ様の言質も取れたことですし、城への帰還をより一層楽しみにしております」
カイラシュが何を言ったのかわからなかったサヴィトリは、直近の自分の言葉を振り返る。
『城に帰ったらって言ったろう!』――カイラシュの言葉を指摘したつもりだったが、聞きようによっては「城に帰ったら試しましょう」と言っているのとほぼ同じだ。
「……もうなんでもいい」
サヴィトリは投げやり気味に言い、自分もカイラシュの身体に手をまわし、目蓋を閉じた。
「拗ねたところも可愛いですよ」
カイラシュの手がサヴィトリの髪を優しくなでる。
その心地よさに、サヴィトリの意識はゆっくりと溶けていった。
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