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第4章 白花の聖女
5.黒と白⑤
しおりを挟む婚約者ーーーーーーーーーーーーーーー⁈
「元、です!誤解を招く言い方をしないで下さい。殿下」
リステアの言葉に、カイザーが間髪入れず返す。
「まぁ、そうだね」
意味深な笑みを浮かべるリステアを、カイザーが苦り切った顔で睨める。
またまた、2人だけ分かる会話だ。
顔がムッと膨れっ面になるのを感じる。
はっきり言ってカイザーはいい男だ。
すらっとした高身長に、ムキムキではないが、実戦向きに完璧に鍛えあげられた体。青銀色の髪に、涼やかな光を弾く紺碧の瞳。そのくせ、身分は近衛騎士隊長で今は皇族の地位まである。少し、真面目&堅物なところはあるが、誰がなんの文句もつけないであろう、完璧なまでのイケメンっぷりだ。
これで女の影が皆無なわけはない。
ないが…………………………………………
少し(いや、かなりか?)、女の影多すぎじゃね?
城を歩けば、侍女(可愛い系の侍従まで!)は必ず振り返り二度三度と見つめるし、最初はシャイア。今度は、白の聖女ときたもんだ。
自分の彼氏(クッ……ま、まだ慣れない!)がモテるというのは嬉しくないわけじゃない。
モテる彼氏を自分が得ていて、羨まれるのは気分がいいモンだ。
まぁ、まだ自分が同じ男を好きになり、尚且つ、お付き合いし、そういう関係になってしまった事実は慣れきってない為、複雑な面は多々あれど、、だが…………
「このいい男は俺のものです!羨ましいだろ?」と、大手振って、踏ん反り返って自慢する程にはまだ吹っ切れてもいない。
自分が今感じている、この、モヤモヤした面白くなさは明らかに嫉妬だ。
それは分かる。分かるが………
まさか、自分が彼氏(だから、慣れないって!!)の事で、女の子と争う(まだ、特にコレと言って争ってもないが、……)なんて事があろうとは、、、
これが晴天の霹靂ってヤツなのか……
「………ロ?マヒロ~??聞いている?」
「へ?」
呼ばれた事に気づき、我に返った。
笑みを浮かべつつ、困ったような顔のリステアに、顔を手で覆い首を振るカイザー。
1人自分の世界に入ってて、まったく聞いてなかった。
「その顔は聞いてなかったね?私からも話した方が良いかと思って呼び戻したんだけど、2人でまっっったく!話していないようだから?無関係な者が口を出さない方が良さそうだ。だから帰って2人で話しなさい。いいね?」
「はい……………………」
ちらっとカイザーに目をやるが、こちらをまったく見ようとしない。
こんな態度をとられたら、何かあった、あると言われてるようで不安しかない。
二人して並んだ距離が近いはずなのに、遠く感じた。
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