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第1章 黒の双極 傾く運命は何処なりや

14.自覚。あれ?俺ってもしかして??②

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突如と思った考えに、大いに狼狽えた。
俺、、、、、今ーーーーーーーー。

「マヒロ?」
「や、、やだ!!」

カッと顔が一気に熱くなる。
今まで睨みつけてたカイザーの顔がまともに見れなくなる。
気付いた。気付いてしまった事実が恥ずかしすぎる。

「顔が赤い。具合が悪いのか⁈」
「ち、、がぅ……」

頼むから肩を離してほしい。
直前まで元気に言い合いしてたんだ。具合が悪いワケじゃない。変な気遣いするカイザーの鈍さに辟易する。
回廊の角から人の気配を感じ、ハッとなる。
まだ、廊下だ。部屋にも入らず喧嘩してる場合じゃない。

「あっ……!」

グッと強く引かれ、そのまま部屋の中へと二人して入った。
扉が閉まり、カツカツという足音が微かに聞こえて消えた。
ホッとするが、肩は抱かれたまま、体が密着しているのに慌てふためく。

「は、なれろってば!」
「なんなんだ?お前はさっきから」
「とにかく!離れろって!!」
「マヒロ!」

グッと更に力を込められ、益々逃げられなくなる。
駄目だ。
って思ってしまったら、平静じゃいられない。落ち着いて冷静になりたいのにならせてくれない。

「勘弁しろよ……何でこのタイミング?しかも、男相手って……冗談キツい」
「マヒロ?」

でもあり得なかった話だ。
起こりうるとも思わなかったし、絶対、ないとも思ってた。
しかも、何がどうしてそうなったのか…自分自身、さっぱり分からない。
最悪と言ってもいいあの出会いで……
ハァ~ッと溜め息をつく。
利用される事に腹が立ってたのも事実だが、それより、俺の心をささくれ立たせたのは違う感情モノ
カイザーの陰にチラついた婚約者の気配。
嫉妬。
その二文字を思い浮かべ、思わず鼻で笑ってしまう。

「ないわぁ~………つか、あり得ねぇって」

自覚はした。
おそらく。
自分でも不本意だが、間違いない。
が、だからと言って、そうそう簡単に受け入れられるかは別問題だ。

「何をブツブツやってるんだ?」
「……………………」

無言でその顔を見返してしまう。
青銀色の髪に紺碧の瞳。細過ぎず太過ぎず、高身長。腰の位置が高く、足が長い。十人中十人が認めるであろうイケメン。およそ非の打ち所がない姿に溜め息すら出ない。
ここまで来ると、張り合う気なんか起きないくらい備わり過ぎだ。
どう見たって男だ。
女の子ではあり得ない。
なのに………と、俺が、、、、、?

「わーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!」
「ッッ⁉︎」

そういう場面を思い浮かべてしまい、思わず奇声を発してしまう。
好意は持ってる。百歩譲ってそれは認める。
ただ………

「む……無理!!」
「マヒロ。お前、何言って…?」

はたして恋愛感情なのか。でできるのか?
頭は無理だと言ってるが、肝心要な心は嫌悪感を感じていないから始末が悪い。

「ち、血迷ってる…女の子との出会い少ないからって、男に走るのはない!絶ッッ対、、ないッッ!!」
「マヒロ!いい加減にしろ!さっきから一人で何を言ってるんだ⁉︎」

往生際悪く、一人で必死に抵抗否定する俺に、痺れを切らしたカイザーが肩を掴んで視線を合わせてきた。
整い過ぎなくらいに、無駄にイケメン顔と相対し、軽く息を呑む。
強い光を弾く瞳に、高い鼻梁びりょう。男らしく整った唇。
同じ男として、羨望せんぼうでしかないそれを間近に見ていた俺の唇が自然に開いた。

「キスして……カイザー」








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