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第二部1章 黒き鎖の呪痕 奪われつつある光の章
12.宰相の孫………娘?③
しおりを挟む部屋へ戻ると、侍女’ズは普通に仕事してました。
うん…まぁ、いいんだけどね( ̄ー ̄)
「改めまして。私、宰相レズモント=カーライルの孫、セルジオ=カーライルと申しますわ。ただ、私この名前大ッ嫌いですの。だから、セシリアって呼んでね?」
ニッコリ微笑む姿は、声が低い事を除けば完璧な美少女。本人、名乗った事からしても、セシリア姫は姫じゃないんだね………
う~ん…どうしてこうも、変わり者ばかり集まるんだか(ーー;)
「…可愛いですわ~。それに、綺麗ですわね………」
「へ?」
可愛い?綺麗?何が?
思い切り、?マークの俺に、セシリア姫がクスクス笑う。
「綺麗はお前の内の光の事だ、アヤ」
「俺の、光?」
「ごめんなさい。いきなりこんな事申しても分かりませんわよね?私、人の内の光が見えるんですの」
光が見える。かなり特殊な力を持ってるんだな。
オーラ識別みたいな感じかな?
「それにしても、殿下ったら、意地悪さんですわね!こんな、可愛い子を隠してしまわれるなんて!」
「アヤの事は絶対お前が気に入ると思ったんだ。だから、会わせたくなかった。レズモントのクソ狸の要求に従った意味がねぇ」
「バルド!?宰相はセシリア姫の……クソ狸って「キャ~~~~~~~~~~~~~~~~んン!!」
「グエッッっっ!!!!」
宰相をクソ狸呼ばわりした事を諌めたら、セシリア姫に思い切り抱きしめられ、俺の口から潰れたカエルみたいな声が漏れる。
この姫(実際姫じゃないが…)見た目よりかなり鍛えられてる。力は強いし、やっぱりそうなだけあって、硬い(T ^ T)
「聞きまして?殿下!セシリア姫!セシリア姫ですわよ?!事実を聞いて、私を普通にそう呼んでくださったのは子猫ちゃんだけですわ~~~!!」
うぅっ…分かったから離してください。骨が、骨がミシミシいってる(汗)
ぐるじい~~~~((((;゚Д゚)))))))!!
目を白黒させてたら、バルドにバリッと引き剥がされ後ろに隠された。
た、助かった~(ーー;)
「俺の伴侶を殺す気か?セルジオ」
「い~~~~~や~~~~~!!また、呼びましたわね~~~~~!?殿下の意地悪ッッ!!そんな意地悪仰るなら、あの申し出お断りしてもよろしいのよ?」
プン!と頬を膨らませて怒るセシリア姫に、バルドが顔をしかめた。
「それは困る。反故にされれば、何の為にこんな事引き受けたか分からなくなるだろうが」
「だったら!お分かりでしょう?私の事は、セシリアですわよ?それと、子猫と遊ばせてくださいませ」
「名前の事は分かった。だが、アヤの事は駄目だ!」
「何故ですのーーーー!?」
あのさ…本人抜きに、二人でギャイギャイすんのやめろよ。
俺にも分かるように説明しろ!!
「お祖母様に取り次いで欲しいのでしょう?でしたら、少しくらい譲歩してくださいませ!」
お祖母様に取り次ぐ?セシリア姫のお祖母様って事?
やっぱり、これだけじゃ分かんない。
「あのさ…そろそろ説明してくんない?さっぱり、意味分からん」
「転移魔導を覚えてるだろ?」
「転移魔導って、魔大陸に行く時に使った?」
「あぁ。あれの使用許可に、レズモント宰相の許諾を取ったと言ったと思うが……」
確かあの時……
「そういえば、嫌味言われただけじゃないみたいな事言ってたけど、もしかして……」
「あぁ。今回、セシリアを庭園に案内するというのが条件だ」
「案内するだけ?それだけで……」
「普通はな。セシリアは宰相の孫。セシリアを知ってる者もそうでない者にも、案内しているのが俺というのを見せる事が肝心なんだ。皇子で皇太子の俺が案内役をする事で、セシリアの背後には、俺、即ち、王族が後ろ盾にいる。俺に近しい者だという箔付けの為だ」
凄い……何て打算的なんだ((((;゚Д゚)))))))
虎の威を借る狐とは、まさにこの事だな。
「勿論、殿下に得となるものがあっての事ですわ。そうでなければ、殿下はたとえお祖父様の要求だろうと平気で反故に致します」
そうでしょう?と笑うセシリア姫に、バルドは不敵に笑い返す。
「バルドの得が…セシリア姫のお祖母様への取り次ぎ?」
「そういう事だ」
「それって………?」
どういう事なんだろう?
「それより!殿下!子猫と遊ばせていただけますの?いただけませんの?」
「だから、それは駄目だ!代わりに、ルースの休日日の情報をやるが、どうだ?」
バルド……それは幾らなんでも、セシリア姫の得には……(ーー;)
「ほんとですわね?!きっちり、しっかり確かな情報でなくては嫌よ?」
「確実だ」
「いいですわ!交渉成立ですわね!お祖母様の件もお任せ下さいませ!」
えぇーーーーーーーーーーーーーー!?((((;゚Д゚)))))))
交渉成立しちゃったし!
ご機嫌のセシリア姫、どゆこと?∑(゚Д゚)
「えぇ、と…セシリア姫?姫とバルドって……」
「あら?もしかして、子猫は何か勘違いを?私と殿下は子猫が疑うようなものは何もなくてよ?確かに殿下は素敵な方だけど、私の好みからは完全に外れてますわ!利害が一致したから今回はこのようになったけれど、そうでなければお互い見向きもしないわね。ね?殿下」
「そうだな。俺も、セシリアとは御免だな」
「あら、お言葉ですこと!ルース様のことがなければ、そのお言葉後悔させますのに、残念ですわ~!」
うわぁ……険悪ではないけど、この二人の空気じゃ、エリオが心配してた事態ではなさそう(ーー;)
それに………
「セシリア姫って、もしかしてルースの事……?」
「ウフ!えぇ、理想の殿方ですわ~~~~(^^)」
撃沈((((;゚Д゚)))))))
マジかぁーーーーーーーーーーーーーーーーーー?!
ゴツいおネェの魔導師に、女装オ◯マの姫もどき……
何の冗談だ………?( ̄▽ ̄)
「え、っと……バルド?」
「あまり深く考えるな」
苦々しげに応えるバルドに、俺はなんと言っていいやら……
一人幸せそうにピンクのハートを飛ばすセシリア姫を横目に、俺は今回の事態の顛末に、一人嘆息するのだった………………
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