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第二部1章 黒き鎖の呪痕 奪われつつある光の章

*やっぱり普通じゃ………①

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……困った。何か、微妙な雰囲気で固まってしまった。
抱きしめる腕から外れようと、さり気なく体をずらそうとするが、腕が緩まない。

「バルド……そろそろ、離し………!ん…ッ!」

腕が緩まないまま、少し強引に口付けられた。最初から舌を絡める深いキスに、僅か抵抗しすぐにやめる。
抵抗は無意味だし、認めるのは癪だが、バルドがキス上手いのも事実。
舐められ吸われ齧られと、例によって例の如く、好きにされてから唇が離れた。

「っ……ぁ、」

これって、やっぱりそういう流れかな?

「え、っと…バルド?そ、の……す、する、の?」
「何を?」
「何を…って……」

聞いたら聞き返された……
これは、あれか?俺に言えと?

「……だから、つまり……うぅ、っとさ………」

あぁぁぁ!恥ずい!めちゃ恥ずい!!

やることやってるクセに何を今更とは思うが、こんなもん慣れないし、恥ずかしいものは恥ずかしい!
第一、俺は元々そっち系はない!あくまで女の子のが好きだし、だから…バルドとの行為に関しては、別にイヤとか嫌いとかはないが、やっぱり口に出してそういう事言うのは、複雑。身も心も受け入れたといっても、百パーそんな気持ちが切り替わるかといえば、そうなるにはまだ時間が短すぎるだろう。

赤くなったり青くなったり忙しい俺を急かすでもなく、バルドは黙ったまま俺をやんわり抱き、おでこやら目尻やら頬やらに小さな口づけを落としていた。

くすぐったい……
甘やかされてる感がして、変な緊張が抜ける。

背中に回されてた手が腰の方に降ろされていき、軽く身構えるが、それ以上は動かず戸惑う。

「???」
「どうした?」

いや…どうしたって、俺が聞きたいんだけど。何か、今日のバルドは……変。

「あの……何かあった?」
「何が?」
「何がって、俺が聞いてんじゃん……」

ほんと何なんだ?調子狂うな……

「あっ……っ、……ん、」

腑に落ちないものを感じてたら、服の裾から入った片手に、胸の尖りをいじられ、もう片方は尻に手を這わされと、いつもの感じで触られて、覚えのある感触に意識が引き戻された。
唇は首筋を撫でてから、耳に口付けられ、緩く噛まれて微かな痛みに首をすくめた。

「バル、ド……ちょっ、と……」
「うん?どした?」
「ど…ッ、した、じゃ…なくて、……あ、ぅっ、」

あっちもこっちもヤワヤワ撫で回され、言いたくても意識が持ってかれて……

「や!待てって…ば!やっぱ、おかしい!今日のバルド、変!!」
「変って、何だよ?どこがおかしい?」
「だって……」
「だって?」

とにかく手を止めさせて、俺はバルドを見据えたまま言い放つ。

「だって、普通っぽいんだもん!触り方もなんも優しすぎるし、甘やかされてるみたいで、何か…落ち着かない~~~~~~~~~!!」

そうだよ!普通なんだよ。あぁ、スッキリした。

「………………………………………」
「バルド?あれ?おーい!バ・ル・ドーーーー?」

無言のまま、バルドが俺の方に顔を伏せた。

「バル……いだぁーーーーッ!いた、痛い痛い痛い!
痛いってば!」

耳に噛みつかれ、痛みに悲鳴をあげる。

「バルド、ひどい!耳、痛いッ!!何で噛むんだよ!?」
「ひどいのはお前だろ?自分で言ったクセに、いざそうしてやったら、普通が変?お前ってやつは……」
「え、っと……意味、分からんのだが」
「散々人に、やれ「変態だ」「ねちっこい」だと文句垂れて、普通がいいと言ったのはどこのどいつだ?」

普通がいい……えぇっ、と~……確かに、そんな事言ったような言ってないような…

「そうか、覚えてないと?せっかく、手順を踏んでやったが、お前にはいらん世話だったみてぇだな。残念だ。望み通りに普通に愛し合うのもいいかと思ったが、当の本人が忘れ去ってるならしようがねぇ」
「へ?え?ちょ、バルド?待っ、バル……うわっ!?」

肩に担ぎ上げられ焦る。
えぇっ、と、これってマズくないか?

「ま、ま、待てって!忘れてたわけじゃ…いや、わけではあるけど、思い出したし!普通に、普通がいいから!頼むから普通にして!」
「今更、遅ぇよ。俺は傷ついた……って事で、覚悟しろ」
「覚悟ってなにーーーーーー?!傷ついたって、んな事くらいで傷つく玉かよ!やだ!やだやだやだ!」
「う・る・さ・い!俺の気遣い無駄にした、自分を恨めよ?」

意地悪全開な悪い笑みを浮かべるバルドの顔を横目に確認。

「い、い、い……………………~~~~~~~~~」

いやだぁ~~~~~~~~~~~~!!





*寝落ちで更新遅れました(ーー;)お待たせして申し訳ありませんm(_ _)m
次はガッツリ☆です!!
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