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番外編
イライラいがいがの理由と在り処①
しおりを挟む「普通…で、ございますか?」
とある日の午前すぎ。昼食を食べ終え、アリッサにお茶を注いでもらいながら、俺は質問していた。
「申し訳ありません、アヤ様。あっさりとし過ぎていて、何の事だか」
「いや、あのさ。世の中の男女間恋愛の普通の定義って、何だろうと思って」
ソファ前のテーブルに、焼き菓子の皿を並べるローレンも?顔だったが、合点がいったらしくニッコリ微笑む。
「つまり、アヤ様と殿下も、世の恋人みたいにイチャイチャしたいという事ですね?で、普通という名の恋人らしい雰囲気を実践してみたいと?」
「いや、違う!そもそも、俺とバルドは男女じゃねぇじゃん!?それに、俺とバルドの事じゃなくて、ただ、世のカップルがどういう関係なら普通なのかなぁって、ちょっと気になっただけで……」
イチャイチャって……
二人でテーブル向かい合わせに座って?俺が食べてるスイーツかなんかを、「はい。あ~ん♡」みたいな?
そんな、砂吐きそうな行為を俺とバルドが?
………………………………………………………………
ないわぁ~……
何か、考えがそんなベタな展開しか思い浮かばんが、それはない!百パーないな。むしろ、そんな寒い行為やりたくねぇ。そういうのは、可愛い女の子がするから可愛くって微笑ましいんであって、俺とバルドがなんて、ただひたすら寒いだけだろう。
って!ローレンがそんな事言うから、考えが俺とバルド前提になっちゃったじゃん!
「と、とにかく!あくまで、男女間!男同士の時点で普通じゃないじゃん!」
「あら!アヤ様、それは違いますわ。アヤ様のところはそうだったかもしれませんけど、少なくとも、アーケィディアでは、同性同士が普通にありますもの」
「……………………」
そうか。そうだった。結構、女の子見る機会が多いから失念してたけど、この世界の男女比、男の方が多いんだった。
ん?って事は……何が普通なのか分かんないじゃん。
え~っと……とりあえず、男同士はほっとこう。
「この大陸の男女間って、デ…じゃなくて、う~っと、何て言えばいいんだ?一緒に出かけるでいいのか?とにかく、一緒にすごす時、何するんだろ?」
「アヤ様のところは何をしますの?」
「俺のとこ?俺のとこは……う~ん、買い物したり、ゴハン食べたり、ゲーセンは分かんないな…映画…も分かんないか…うんと、遊ぶ場所があるからそこに行ったり、カフェ……飲み物や甘いものを出してくれる店でお喋りしたりとか。あとは、ブラブラしてとかかな?」
女の子とまともに付き合った事すらないから分かんないけど。多分、そんな感じ?
「ほぼ、変わりませんわね。ただ、民間人は街中か、出かけるなら、帝都などの防御結界の張られた森林や湖などでないと魔物が出るので、あちこち行くわけにはまいりませんけど」
「そ、そうなんだ?大変だね」
そっか、この世界、魔物が出るんだ。
まぁ、忘れがちだけど、リラやゲルグも一応、弱っちいけど魔物。下手すれば、とんでもない奴が出たりもするんだ。
「相手が冒険者や騎士、魔導士なら、相手の力量次第ですけど、行ける場所の幅は広がりますわ」
男の度量次第……これは、どの世界でも変わらないって事か。
「ちなみに、男女問わず人気なのは魔導騎士の方々ですわ」
「魔導騎士?」
「はい。騎士であり、魔導も使える方々の事です。帝都やら、王城に仕える近衛の方々が主にそうでございますわ」
「皇子だけど、バルドみたいな?な~んて」
「はい。殿下は、クレイドルの筆頭魔導騎士であらせられますわ」
「え……ホントなんだ?」
「えぇ。殿下は帝都中の若い者の憧れで、今も昔も……」
「……………………」
「ローレン!」
アリッサがローレンを嗜める声。ローレンがハッとして口を抑える。
いや、いいんだけどね……
何だろう……モヤモヤする。
「アヤ様。私達、仕事に戻りますわ。ローレン、行きますわよ」
「あの!アヤ様、あまりお気に……殿下は、一番にアヤ様を……」
「ローレン!!」
アリッサに強く諌められ、ローレンがションボリして連れられて部屋を辞する。
残された俺は、まるでささくれのようにイガイガする妙な苛立ちに、訳が分からず一人顔をしかめていた。
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