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第4章 忍びよる闇の策略と失われし久遠の刻編

22.深淵の闇開口。モノリス崩壊までのカウントダウン①

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二階はかなり他の階より悲惨な有様だった。ボロボロの衣服の残骸や、折れた剣や槍などの武器、回廊に飾られてた絵や花瓶、花に混じり、ドス黒く変色した液体がそこかしこに飛び散っている。

「…………ひどい」

目を背けたくなるような光景。決定的なものはないが、何があったかは一目瞭然だ。

「ここ、来るまでに誰一人モノリスの人見てないと思ったけど…これって、やっぱり……」
「自国の人間もお構い無しか。ディオンを早く捜したほうが良さそうだ」
「まっすぐ行った部屋のようです、殿下。魔導はそこから」
「よし、急ごう!」

ゆっくり手を合わせる時間もない。申し訳なく思いながらも、その場を離れる。
まっすぐ走って突き当り、両開きのちょっと豪奢な扉があり、キサ、セレスト、アッディーンの三人が一斉に蹴破る。
こいつら…だんだん、遠慮がなくなって……
部屋はどうやら謁見の間らしいが、ここもかなり荒れてる。
前方に人がいた。

「ディオン!」
「姫。おいでになりましたか」

ディオンの前には、結界に封じ込められた者が二人。
駆け寄る俺たちに、ディオンは疲れたように息を一つ吐いた。

「ディオン。この人たちは?」
「モノリス国王と皇太子。僕の、父と兄です」
「どうして結界に……」
「この惨状の首謀者だからですよ。散々抵抗して逃げ回って、捕まえるのに苦労しました」
「ディオン……それじゃ…」

続ける言葉をなくす俺に、ディオンが困ったように微笑む。却って、その笑みが痛々しい。

「殿下方、賓客を招いておいてこの有様…誠に、面目次第もございません。姫…クレイドルの光の宝石である貴方まで危険な目に合わせてしまい、申し訳ない」
「結果として、貴様は白か…」
「カーティス!!」
「いいのです。姫……モノリス国王と皇太子が引き起こしたとはいえ、僕も王家の人間。白どころか…僕もまた黒ですよ」

どうしよ。いろいろ痛いやつだけど、めっちゃ落ち込んじゃってる……

「闇は、我が国に力とあらゆる望みを与えると言ったのだ。力を望んで何が悪いのだ!」
「父上…過ぎたる力は身を滅ぼすだけにございます。民や臣下、城仕えの者達を犠牲にしてよいものではない」
「多少の犠牲がなんだというのだ。永遠の繁栄と安寧の為、少しくらいの犠牲など瑣末事じゃ!」

ディオンの言葉に、結界に封じられたモノリス国王が言い放つ。
何て言い草だ!一国の王の言葉とは思えない。

「話にならんな。聞いててむしろ不快だ!」
「同感だな。上に立つ器ではない。ところで、皇太子は先程からだんまりだが、王と同じ考えか?」

ディオンの兄皇子の皇太子は、先程から俯いたまま何も話さない。
肩が小刻みに震えてる。
笑って、る?

「闇だ……闇に沈む。世界は混沌へ……静寂の永遠を手に入れる為に、光をかの方へ捧ぐ」
「兄上…何を仰っているのですか?」
「ディオン、離れろ!様子がおかしい!」

バルドが叫び、ディオン、そして俺たちが離れると同時に、モノリス王と皇太子が、奇声を発し異形へと姿を変えていった。






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