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第4章 忍びよる闇の策略と失われし久遠の刻編
17.皇子の優しさと、子猫の鈍感
しおりを挟む「断る。さっさと、自分の部屋に帰れよ。グレイ」
バルドの言葉は、セレストにあっさり打ち捨てられた。
「セレスト!」
「うっさい!お前らの部屋と違って、こちらの部屋はきっかり二人部屋だ。狭くはないが、広くもない。大の男三人なんざ御免だ!暑苦しい!第一、誰も信用するなと、ディオン皇子は言ってたんだぞ?そんな場所で、光を一人にする馬鹿がどこにいる!」
「セレスト!分かってるだろうが!今の俺が……」
「知らん!知ってはいるが、今はアヤがいるだろうが?!どうしても嫌だとぬかすなら、キサ、お前がアヤと部屋を使え!」
「……俺は別に構わんが?」
「ッッ!っざっけんなっっ!!それこそ、許すかっ!」
ガッと手首を乱暴に掴まれ、ギリギリ音が鳴りそうなくらい歯を食いしばり、バルドが俺を俺たちに当てがわれた部屋へと引っ張っていく。
慌てて、キサとセレストを見るが、キサは目を合わせてくれないし、セレストは何を考えてるのか窺い知れない涼しい顔だ。
険しい表情のまま一言も発さず、バルドは部屋に入ると、ソファに俺を放る。
クッションあるし、乱暴に突き飛ばされたわけじゃないから、それほど痛くはないが……
当の本人、反対側のソファに座り、両手組んで組んだ腕の間に顔伏せたまま黙り込んでるし。
バルド、俺と居たくない?
さっき、あんな止め方しちゃったし。もしかして、皆に見られたの、バルドもヤだったとか?
それで、俺に腹立ててるのかな?
「バルド?あの、さ……嫌なら、俺、部屋出るよ?ディオンに頼んで、も一つ部屋……「違う!…お前のせいじゃねぇ」
俺の言葉を遮るように、バルドが言い放つ。
声…苛立ってるし。
違うんなら。俺に腹立ててるんじゃないなら、こっち見ろよ!
「もう、いい。やっぱ、部屋……「違うってんだろうが!!」
「違うんならなん、ッ、ちょ!?え、あっ!?」
話にならないと、ソファから立ち上がった俺を、バルドが担ぎ上げ、続きの部屋である隣の寝室へ行き、放り投げるようにベッドに乱暴に落とされる。
「い、た…何、バルド」
上からのしかかられ、両手足磔にされたみたいに押さえ込まれた。
「ラシルフで言った言葉、覚えてねぇのか?」
「え、と……?」
何か言ったっけ?
完全、クエスチョンマークの俺に、バルドが重苦しく嘆息する。
「俺がさっき、不本意ながら発動した魔導は何だ?」
「魔導って……氷?」
「氷。まだ、思い出せねぇか?」
「え~と、う~と………うにゅ~~…………」
「分かった…もう、いいから。気の抜ける奇声を出すな」
だって…思い出せねぇもん。
「氷を使った後、気が高ぶるって言ったよな?俺は今、物凄く機嫌が悪い。あのクソ女のせいでな。それに加えて衝動が抑えられん状態だ。そんな、俺の前にお前がいる。恋人・伴侶、つまりはそういう相手が居たらどうなる?」
「ど、うなる……?………………えっ、と……あ」
そか。そゆ事……
バルド…今、そっちの衝動になってるんだ。で、我慢してる。
「さっきのヤで、俺に怒ってたんじゃないんだ?俺と居たくないのかと……」
「居たくない訳じゃねぇが、居たくないな。俺は、お前に無理強いはしたくねぇ。だから、そうならんように、部屋をお前一人に使わせようとしたんだろが」
俺に怒ってるとかじゃないのは良かったけど、どうしよ?これ、俺から何か言うべき?でも……何て?
「言っとくが、一旦やりだしたら、お前が泣こうが喚こうが簡単には止まれんぞ?」
ですよねーー?普段でもいっぱいいっぱいで、バルドについてく事さえできない有様なのに、キレたバルドとしちゃったら、おそらく、いくらと保たずに俺、多分、壊れる…
「え~…と、加減は?」
「できんな、多分。やりだしたら、数分でおそらく理性が吹っ飛ぶ」
無理!!
バルドに身を任せたが最後、抱き潰されちゃう。
絶対イヤとかではない………でも…だから、かな?
「大丈夫だ。しばらく、離れてれば落ち着く。ベッドはお前が使え。俺はソファ……っ、アヤ?」
離れかけたバルドの手を握り返す。
「あ、のさ……あの、……」
恥ずかしい。言葉がなかなか出ない。口をハクハクさせる俺に、バルドがフッと困ったように微苦笑。
「俺に合わせんでいい。無理すんな」
「……じゃない」
「ん?」
「無理、じゃないよ。…そ、の……ヤじゃ、ない、から……えと、……する?」
「ッッッ!!っの、馬鹿が!」
噛みつくような口付けが与えられ、俺はバルドが与える熱に己を明け渡していった。
*次は☆が入るかな?もしかするともしかするかもだけど((((;゚Д゚)))))))
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