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第1章 水と光、交錯の相愛編

5.導師ファンガス

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とりあえず、俺は一人でフロを済ませ(手伝われかけましたね。服も脱がされそうになりました。丁重にお断りしました)用意された服を、着…かけて、また、固まった。(体には大きな布かぶってます。)

「アリッサ、さん?」
「呼び捨て結構ですわ、アヤ様。どうかなさいまして?」
「じゃ、アリッサ。あの、これ、下もしかしてショーパン………」

上は襟なしのカットソーみたいな半袖の服。前の部分に切れ込みがあり、綺麗な刺繍が入ってる。男が着るにはちょっと可愛い気もしないでもないが、まぁ、許容範囲。問題は、下だ!
太ももの半ばまでしか丈がない。明らかに、半ズボン!カッコよく言って、ショーパンだ!

「しょーぱん?」

うお?!ここにきて、《ルーン》に引っかかった。

「えっと…下の履物の長さがさ、短いんだけどね?」
「あぁ、アヤ様のところでは、しょーぱんと仰るのですね?」
「うん。でさ、これ……」

困ったように言い淀む俺に、アリッサは両頬に手をやり、まぁと声を上げる。

「申し訳ありません、アヤ様!」
「あぁ、良かった。やっぱ、間違い?」

ホッとした俺は、次のアリッサの言葉に撃沈する。

「それ以上短いのはありませんの!近々、ご用意いたしますので、今はそれでご辛抱くださいませ?」
「いやいやいやいや、違うだろ?!短すぎるって!俺、男だし、この歳でショーパンはないでしょ?!似合うわけないし、恥ずかしいし」
「何を仰いますの!大丈夫ですわ。絶対、似合いますわ。間違いありませんわ!」
「そうです。アヤ様なら、絶対です。おみ足も処理が必要ないくらいお美しいですし。それに、少し恥ずかしそうになさりながらも、殿下の為に装う。それがいいのです!」
「…………………」

力説されてしまった。

この二人の中で、俺とあの俺様殿下の関係性はどうなっているのか…聞いてみたいが…いや、よそう。

結局、俺は用意されていたそれを身につけた。ニコニコと嬉しそうに笑う、二人の侍女さんに逆らえませんでした…
上からロングベストみたいのを羽織り、足が丸見えなのが軽減されたのも、抵抗なくなった要因の一つだった。
髪を軽く整えられ、用意された食事をとり、食後のお茶を貰っていると、部屋の扉がノックされた。
ローレンが対応に出て、一人の老人を伴ってきた。

「アヤ様。導師様がいらっしゃいましたわ」
「初めまして。よろしくお願いします」
「ご丁寧にありがとうございます」

ヒゲと眉毛で顔が隠れたお爺ちゃん導師は、フゴフゴ言いながら、ローレンに引かれた椅子に腰掛けた。
チョコンという表現がしっくりくる。
可愛い。

「ファンガスと申します」
「あ、アヤです」
「よい、波動をお持ちじゃ」
「え?」

ヒゲと眉毛で顔は見えないが、導師ファンガスは笑顔を浮かべているのが分かる、とても優しい声音で、俺に話しかけてきた。

「さて。お知りになりたい事は何になるのか。これから、話をしていきましょうかの?」




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