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序章 突然異世界トリップ迷惑編
14.キサの試練①
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*キサ主体になります。ヘタれるので、嫌な人は飛ばしてくだされ(ー ー;)飛ばしても大丈夫にはしますので。
腕の中の存在を、俺はどうやら無意識に見つめていたらしい。
羽のように軽いとは言えないが、全体的に細っそりした体だ。馬車までの距離を少しの間運ぶくらい苦にもならない。
今は眠るように意識を失い閉じられた瞳。まつ毛が長い。
腕の中の存在を意識しつつ、俺はゆっくり回想していた。
結局、ラーシャの機嫌が直らず、今日はここに野営となり、俺は男どもに指示出しつつ、野営用テントなどの設営をしていた。
あらかた設営を終えた頃、ファランが泣きそうになりながら飛び込んできたのだ。
「キサちょっと来て!お願いだから来て!」
「おい、何だ?落ち着け。お前一人か?アヤは…「そのアヤが大変なの!だから、来て!!」
俺の問いかけを遮るように、ファランはほとんど怒鳴るように言い切った。
ファランの様子に、只事じゃない事を感じ取り、俺はその場にいた奴らに簡単な指示だけ出して、ファランと共に走り出した。
「何があった?手短に話せ」
ファランを置いてけぼりにせぬよう、走るスピードを調節しつつ問うた俺に、ファランは首を振る。
「アヤ、倒れちゃったの」
「倒れた?原因は?」
倒れたとは穏やかじゃないな。急いだ方がよさそうだ。
「分かんないの。いろいろ聞かれたし、アヤって本当に物知らずで、あたしもいろいろ教えてあげてて…女神アウフィリアの話になったところで、急に意識なくして倒れちゃったの」
グスッと鼻をすするファランに、俺は並走しながら片手で後ろ頭を軽くポンポンしてやる。
「分かった、泣くな。で、アヤは?」
「えっ、と…あ!あそこ!」
ファランが指差した先に、なるほど人一人倒れ込んでいた。
急いで駆け寄り、花に突っ伏すように俯せで倒れていたアヤを、オレは仰向けになるよう急いで、だが、乱暴にしないよう抱き起こした。
固く閉じられたまぶたは青白く、息が少し早いが、特別苦しそうだったりはない。
「アヤ?アヤ……」
「大丈夫だから、静かにしてろファラン」
白い、色を失ったような頬に手を添え、顔を俺の体の方に少し傾け、手のひらを返して裏側でやんわり撫でさすり意識の覚醒を促してやる。
しばらく、そうしているとまぶたがフルフル小さく震えてきた。
薄っすらまぶたがゆっくり持ち上がり、現れた瞳が俺を映した。
一瞬絡んだ視線に、俺はスッと息を飲む。
「アヤ!アヤ!」
目を開けたのがわかったのだろう。ファランが必死に呼びかけた。ゆっくり瞬きしたアヤの瞳は綺麗な黒曜石の煌めきだ。
「どうしたんだ?ファラン」
「それはこっちが言いたいわ!話してたら、突然倒れて全然動かないし、慌ててキサを呼んできたの。具合悪かったの?ごめんね、気づかなくて」
アヤとファランが会話を続けてくが、俺はあえて会話には入らず、アヤを支える。
そうとう顔色が悪いし、表情は冴えない。
「大丈夫だから、心配すんなッて。ファランのせいじゃないし」
ファランを少しでも安心させるためだろう、懸命に笑顔を作ろうとしてるが……
限界だな。
「ファラン、俺がアヤを馬車まで運ぶ。お前は、そろそろ女たちのとこに戻れ」
静かに告げた俺に、ファランは一瞬だけ、俺をじっと見た後素直に頷いた。
「キサ…分かった、お願いね」
それからアヤを抱き上げて運んで今に至る。運ぶ際も、運び方やら何やら、ブツブツ文句を言ってたが、結局、意地を張る気力もなくなり、馬車に着く前にほとんど気絶するように寝落ちてしまった。
馬車に着くと、俺は馬車内で寝るための綿入りの厚手の敷き布を広げて、アヤをソッと降ろした。
フウっと一つ息を吐く。自分で思うより、案外緊張していたらしい。団の女たちが具合悪くし運んだこともあるが、今日ほど緊張はしなかった。
眠るアヤの傍らに座り、片足を立てて肘をつき、俺は頬杖ついて見おろした。
先程、一瞬だけ見た光景が脳裏から離れない。
あの時、一瞬……アヤの瞳は、左目はアメジストの紫に、右目は冬の湖面のような冷えたアイスブルーだった。
瞬きした次には、いつものアヤの瞳に戻っていたが。
「キサ、入るよ?」
声がかけられ、馬車の後ろの幕布が開き、マダムが荷台に上がってくる。
「よっこらしょと。ハァ、キツイね。で?ファランから聞いたが、様子はどうだい?」
「今は寝てる。具合は、悪そうだが」
「何だか、訳ありっぽいね。妙なカッコもそうだが。何か秘めてそうだ。まぁ、あたしはお前の人を見る目は確かだと思ってるから、疑いはしやしないけどね。それに、害をなす空気は感じられない」
マダムが感じたようなことを、俺も感じていた。
だが、出会いからしておかしかった。街道沿いとはいえ、ゲルグの群れる草原にいたし、マダムが言うように、見慣れない服に身を包んでいるし……
*うぅ~……長すぎて作者が限界。次に続けますので変なとこでぶった切りますがご勘弁を(ー ー;)
腕の中の存在を、俺はどうやら無意識に見つめていたらしい。
羽のように軽いとは言えないが、全体的に細っそりした体だ。馬車までの距離を少しの間運ぶくらい苦にもならない。
今は眠るように意識を失い閉じられた瞳。まつ毛が長い。
腕の中の存在を意識しつつ、俺はゆっくり回想していた。
結局、ラーシャの機嫌が直らず、今日はここに野営となり、俺は男どもに指示出しつつ、野営用テントなどの設営をしていた。
あらかた設営を終えた頃、ファランが泣きそうになりながら飛び込んできたのだ。
「キサちょっと来て!お願いだから来て!」
「おい、何だ?落ち着け。お前一人か?アヤは…「そのアヤが大変なの!だから、来て!!」
俺の問いかけを遮るように、ファランはほとんど怒鳴るように言い切った。
ファランの様子に、只事じゃない事を感じ取り、俺はその場にいた奴らに簡単な指示だけ出して、ファランと共に走り出した。
「何があった?手短に話せ」
ファランを置いてけぼりにせぬよう、走るスピードを調節しつつ問うた俺に、ファランは首を振る。
「アヤ、倒れちゃったの」
「倒れた?原因は?」
倒れたとは穏やかじゃないな。急いだ方がよさそうだ。
「分かんないの。いろいろ聞かれたし、アヤって本当に物知らずで、あたしもいろいろ教えてあげてて…女神アウフィリアの話になったところで、急に意識なくして倒れちゃったの」
グスッと鼻をすするファランに、俺は並走しながら片手で後ろ頭を軽くポンポンしてやる。
「分かった、泣くな。で、アヤは?」
「えっ、と…あ!あそこ!」
ファランが指差した先に、なるほど人一人倒れ込んでいた。
急いで駆け寄り、花に突っ伏すように俯せで倒れていたアヤを、オレは仰向けになるよう急いで、だが、乱暴にしないよう抱き起こした。
固く閉じられたまぶたは青白く、息が少し早いが、特別苦しそうだったりはない。
「アヤ?アヤ……」
「大丈夫だから、静かにしてろファラン」
白い、色を失ったような頬に手を添え、顔を俺の体の方に少し傾け、手のひらを返して裏側でやんわり撫でさすり意識の覚醒を促してやる。
しばらく、そうしているとまぶたがフルフル小さく震えてきた。
薄っすらまぶたがゆっくり持ち上がり、現れた瞳が俺を映した。
一瞬絡んだ視線に、俺はスッと息を飲む。
「アヤ!アヤ!」
目を開けたのがわかったのだろう。ファランが必死に呼びかけた。ゆっくり瞬きしたアヤの瞳は綺麗な黒曜石の煌めきだ。
「どうしたんだ?ファラン」
「それはこっちが言いたいわ!話してたら、突然倒れて全然動かないし、慌ててキサを呼んできたの。具合悪かったの?ごめんね、気づかなくて」
アヤとファランが会話を続けてくが、俺はあえて会話には入らず、アヤを支える。
そうとう顔色が悪いし、表情は冴えない。
「大丈夫だから、心配すんなッて。ファランのせいじゃないし」
ファランを少しでも安心させるためだろう、懸命に笑顔を作ろうとしてるが……
限界だな。
「ファラン、俺がアヤを馬車まで運ぶ。お前は、そろそろ女たちのとこに戻れ」
静かに告げた俺に、ファランは一瞬だけ、俺をじっと見た後素直に頷いた。
「キサ…分かった、お願いね」
それからアヤを抱き上げて運んで今に至る。運ぶ際も、運び方やら何やら、ブツブツ文句を言ってたが、結局、意地を張る気力もなくなり、馬車に着く前にほとんど気絶するように寝落ちてしまった。
馬車に着くと、俺は馬車内で寝るための綿入りの厚手の敷き布を広げて、アヤをソッと降ろした。
フウっと一つ息を吐く。自分で思うより、案外緊張していたらしい。団の女たちが具合悪くし運んだこともあるが、今日ほど緊張はしなかった。
眠るアヤの傍らに座り、片足を立てて肘をつき、俺は頬杖ついて見おろした。
先程、一瞬だけ見た光景が脳裏から離れない。
あの時、一瞬……アヤの瞳は、左目はアメジストの紫に、右目は冬の湖面のような冷えたアイスブルーだった。
瞬きした次には、いつものアヤの瞳に戻っていたが。
「キサ、入るよ?」
声がかけられ、馬車の後ろの幕布が開き、マダムが荷台に上がってくる。
「よっこらしょと。ハァ、キツイね。で?ファランから聞いたが、様子はどうだい?」
「今は寝てる。具合は、悪そうだが」
「何だか、訳ありっぽいね。妙なカッコもそうだが。何か秘めてそうだ。まぁ、あたしはお前の人を見る目は確かだと思ってるから、疑いはしやしないけどね。それに、害をなす空気は感じられない」
マダムが感じたようなことを、俺も感じていた。
だが、出会いからしておかしかった。街道沿いとはいえ、ゲルグの群れる草原にいたし、マダムが言うように、見慣れない服に身を包んでいるし……
*うぅ~……長すぎて作者が限界。次に続けますので変なとこでぶった切りますがご勘弁を(ー ー;)
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