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序章 突然異世界トリップ迷惑編
3.助かったけど、嫌な予感続いてます。
しおりを挟む閉じていた目を開けると、俺の目に飛び込んだのは、まず赤とオレンジの鮮やかな光。
そして、次に感じたのは熱と空気や何かが焼ける匂い。
「火…だ」
突然の出来事に、マヌケにも俺の口から出た言葉は、目の前に当たり前に広がる事実を表す言葉。
「何で、火が急に…」
「大丈夫かぁ~?」
俺の言葉に被さるように、不意にかけられる誰かの声。
声のした方へ視線をやると、知らない青年が一人、片手を上げて俺の方へゆっくり歩いてきていた。
慌てるでもなく、ゆったりとした足取りで俺の元にきた青年は、けっこう背が高かった。おそらく、百七十五、六はあるだろう。百六十八ちょいしかない俺は、状況も一瞬忘れてムッとする。
「大丈夫か?ケガは?」
「え…あ、あぁ、ないよ」
周りはまだパチパチと、何か爆ぜる音がしてるが炎自体はすでに消えているし、あらためて全身見回すが、俺自身ケガらしいケガは負ってない。
「そか、よかった」
ニカッと笑う青年に、俺は再度視線を向けた。
濃い茶色い短い髪をツンツンに立たせて、それより薄い色の瞳。背は高く、顔立ちはまぁまぁイケメンの部類に入るだろう。
格好はベストに、サルエルっぽいパンツ。ウエストと胸の下あたりまでにさらしのようなものを巻いている
「お前、何でこんなとこに一人でいんだ?しかも、ゲルグに襲われてたし」
トカゲはゲルグというらしい。
返答できず、口ごもる俺に、青年はかまわず喋る。
「あいつら、普段はおとなしいんだけどな。まぁ、危害加えない限りだけど」
「あ、の…「キサーー!大丈夫?何かあったのー?」
口を開こうとした俺の言葉を遮るように、女の子が一人かけてきた。
淡い桜色の髪に、それより濃いピンク色瞳。文句無しの美少女。状況が状況ぢゃなきゃ、ナンパの一つもかましてたかもしれない。
が、今の俺には不安を煽る原因にしかならない。
どうやったらこんな色になるんだっていうくらいのピンクだな。
二人ともあきらか日本人ぢゃねぇし…
「キサ、誰?この子」
「あ~、ゲルグに襲われてんの見てさ、助けたんだけど。そういや、なんも聞いてねぇや」
「ダメじゃない。あなた、誰?あ、あたしはファラン。こっちはキサよ。あなたの名前は?」
「あ…俺は、姫城 綾」
「ひめし、ろ?…ねぇ、それ全部名前?」
美少女、ファランが困惑したように聞いてくる。
クスっと、小さく苦笑して俺は質問に答えてやった。
「綾だよ。名前は、綾だけ」
「アヤね。綺麗な響き。だけど、聞いたことない響きでもあるわ。ね?キサ」
「だな。アーケィディア大陸ではないな。モノリスの方なら、まだ未開地はあるし、分からんが。少なくとも、クレイドル統治領では聞かない響きだ」
「黒髪黒目もこの辺りじゃ見ないわ。オゼット族に似てるけど、彼らは青灰色の髪に青い瞳だから違うわね」
お願いですから、二人だけで話サクサク進めないで。そして、俺に分かる言葉を話してくれ。
二人の話す内容に、分からない聞いたこともない単語が羅列して、正直言って、一旦落ち着いたパニックが再発しそうだ。
「あのさ、ちょっと聞きたいんだけどいいか?」
いよいよ不安がつのり、俺は我慢できず、思わず口を開いていた。
「ここ、どこなんだ?」
「どこって、ここは……」
「アーケィディア大陸、帝都クレイドル統治領。ココリーナ村の近くの街道沿いだ」
だから、それがそこがどこですかーー⁈
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