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最終章 彩色師は異世界で

2.混ざり合う永久の誓い②☆

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「う、あッ!ん、……くっッ」

アヤが呻く。香油を使ったとはいえ、ろくに慣らしもしなかったその場所は、簡単に俺を受け入れない。
まさにギチギチで、音までしそうなくらいのキツさだ。
眉根を寄せ、固く閉じた目尻に涙を浮かべ歯を食い縛る様に、溜め息しか出ない。
痛みに竦む体は小さく震える。

「痛いんだろ?無理すんな。一旦、抜くぞ?」
「やっ!やめ、んな!抜かな……っで!」

引きかけた体を、アヤが後ろに力を込めて引き留める。
痛みと快感紙一重なそれに、グッと感覚をやり過ごす。
危うくもってかれそうになり、深く息を吐き、軽くアヤを睨め付けた。
忙しなく息を吐き、ヒクヒクと体を震わせる細い体に、ともすれば、湧き上がりそうな嗜虐しぎゃくを抑えるのが大変だ。

「ッッ!!…っの、聞かねぇな、お前は…ッ、」
「あ、うっ!や、やぁあっ、」

ゆっくりやっても痛いだけ。一瞬の苦痛は致仕方なしと、一気に引き抜く。
ビクッと大きく戦慄き、アヤが顔を横に背けた。
慣らすと言っても聞かず、仕方なく香油を多量に使ったが気休めにもならなかった。
敷布に顔を埋め肩を震わせるアヤの背中を撫でてやる。

「アヤ…」
「ご、め……」
「いつもは痛いの嫌がるだろうが?どうした?」
「な、んでも…」
「なくねぇだろ?」

背中から抱き竦めてやると、ヒクッとアヤの喉が鳴る。
これは今まで何度か覚えがある。
また何か一人で勝手に先走っている証拠だ。
分からないように小さく溜め息をつき、髪をかきあげ、耳と首、肩と背中に小さく口づけを降らせた。

「どれだけでもお前に触れてぇのはそうだけどな…痛い思いはさせたくねぇんだ」
「うん……」
「分かってんなら言え。どうした?」

肩に手を滑らせ、背中の窪みに唇を押し当てた。
七年も経ったのに、アヤの肌は会った頃と変わらず触り心地がいい。

「……ぅ、、」
「ア~ヤ?」
「カッコ悪いからやだ……バルド、呆れる」

うじうじして喋ろうとしない。

「う、ひっ⁉︎」

背骨に沿って、指をつーッと這わし、尻の間に軽く潜り込ませると、アヤが背中を仰け反らせて奇声を上げた。
蕾には触れず、際どい部分をクニクニ押し、広げた手で尻を撫でると、顔を真っ赤にして、首を捻り、睨みつけてきた。

「スケベっ!ヤラしい触り方すんなッッ!!」
「今言うか?寝台にお互い裸で、さっきまでナニをしていたと?」
「それは、…うひゃんッ⁈や、やっ!!」

軽く縁をなぞり、指先だけつぷりと潜り込ませると、アヤの体が小さく跳ねる。
傷にはなっていないようで、少し安心する。ごく浅い個所でカリカリ引っ掻くと、アヤが甘く啼いて、俺の腕に爪を立てる。

「ん、やだ!あ、ぁ、バル…っ、そこ!だ、だめ」
「だめ?”いい”で、”好き”だろ?もう少し、奥の……特に、

の部分を指の腹で撫で回し、刮げるように掻いてやると、アヤが体を捩り立てる。

「う、あッん!」
「で?どうした?」

後ろを弄りながら、耳を食んでやると、アヤが詰まった声を漏らす。耳裏のスジに舌を這わせたら、体から力が抜け、腕に縋り付くように伏せてしまった。

「んっ、バルドが…、いつ、で…あ、ぁ!」

体をひっくり返し、仰向けにし、胸周りの肌を揉み込みながら尖りを縊り出す。プツンと尖った赤いソレを、親指の腹で押し潰すと、アヤが背中を仰け反らせた。

「い、た……ぁ!」

敏感になりすぎて疼くだけだ。本気で痛いわけじゃない。
押し潰した指で、円を描くようにクニクニ捏ねる。

「痛いんなら、舐めるか?」
「やっ!」

顔を寄せ、ふうッと息を吹きかけてやると、体を竦めて甘く啼く。
逃げかけた体を上から押さえ込む。
視線を合わせてやると、涙に潤む目が見据えてくる。

「俺がどうした?」

半端に煽っては問いかけの繰り返しに、焦れたアヤの体が薄っすら染まっていく。
顎に口づけてやり、喉の隆起に齧り付く。ピクッと震えた体に小さく笑い、舌で舐めてやると、僅かに入っていた力も完全に抜ける。

「バルド、が……」
「俺が?」
「……………呆れない?」
「分かったから、早く言え…」

うぅ~、と唸り、ふいとそっぽを向いて口を開く。

「いつまで一緒に生きられるか分かんねぇって…言うから……その、不安になって……早、く…く、く、くく」
「笑ってんのか?」

言いたい事はなんとなく分かった。
茶化してやると、アヤがぷりぷり怒りながら睨んでくる。

「早く、くっ付いてバルドを感じたかったんだよッ!実感したかっただけだ、馬鹿ッッ!」

堪えきれず、ふはっと吹き出す。クックッと喉奥で笑う俺に、アヤが盛大に拗ねて顔を背けてしまう。
子供がいる三十代の男とは思えないくらい、出会った頃と変わらない幼さに、馬鹿にするのとは違う類の笑みが漏れてしまう。
色褪せない。
内にある光が変わらない事に、安堵と愛しさが募る。
俺が言った、たった一言で一喜一憂する。
こんな楽しくて嬉しい事はないだろう。
手のひらを指を絡め、目尻と頬に口づけてやると、擽ったそうに身動ぐ。

「不安にさせたなら謝る。が、一人で考えずに言えよ?どんな理由でも、俺はお前を傷つけたくねぇんだ」

愛情が行き過ぎての焦り。分かってみれば、可愛いことこの上ない事情。
優しくしたいのに、ぐちゃぐちゃに激しく抱いてしまいたい。
相反する感情に、アヤの肩に顔を埋め、努めて気持ちを落ち着かせる。

「バルド?……やっぱ、呆れ、た?」

不安そうに問いかけられ、我慢の糸が切れた。
唇を奪い、急な事に呆気にとられるアヤに構わず、唇を割り、歯列をこじ開け舌を絡めとる。溢れるものを啜り呑み下し、同じくアヤにも送り込み、喉が呑み下しに上下するのを目端に捉え、満足感に目を眇めた。
プチュと粘着質な音を立てて唇が離れた。吸い上げたアヤの舌が軽く引き出され、口の外に出たその先端を軽く舐めてから離す。
揺れる瞳を覗き込み、自分でも柔らかく、溶けるのではないかと分かるくらいに甘く笑いかけた。
アヤが一瞬目を瞠り、同じく笑って俺の首に腕を回す。

言葉は要らなかった。








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