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第三部2章 消える魔導 双生の煌めき編

*孫馬鹿、じじばば、ここに極まれり!!

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「ささっ!抱っこさせてちょうだい?」

嬉々として、両手を広げ差し出してくるサティ様。
俺はやや戸惑いながら、を渡す。

「ふ~ん?これがそうなのねぇ?」
「あ、の?サティ様……」
「なぁに?アヤちゃん」

きょとんと聞いてくるサティ様は、お年を召してながらも可愛らしい。
無邪気な少女めいたそれに、思わずニッコリ…じゃなくて!

「卵にしか見えないですけど、それ、ラァムの実っていいまして……その、木に生るんですけど…」
「まぁ!木の実なの?面白いわねぇ~」

頬に手をあて、片手にラァムの実を抱いたまま驚くサティ様。
ホント、可愛らしいよなぁ~…この方♡

「え、っと…ですね。その実なんですが」
「グレインバルドとの子でしょ?知っていてよ」
「へ??」

魔大陸から戻り、ナ・コルテス領にて。心配していたという、サティナキア様にご挨拶すると、安心したと喜ばれた。
その際に俺が持っていたラァムの実に物凄い関心を寄せ、触りたい抱っこしたいとせがまれたんだが……
ラァムの実の事、知ってる?

「猊下が先にグレインバルドから聞いていたの。私も教えて頂いたわ。あぁ、楽しみだわぁ♡ひ孫よぉ~♡早く生まれて、ばぁばって呼んで欲しいわぁ♡♡」

うん。世にも美しいおばぁちゃんだな。

「って!!そうじゃなくて!!サティ様!?」
「あら?なにかしら?アヤちゃん」

うぅっ…可愛らしいけど、調子狂うよ。この、おっとりぽややん太后様。

「あ、のですね?少し、疑問っていうか、もっと気になる事ありません?」
「気になる事??…………う~ん、、、アッ!!」

はっと一瞬、閃いたようにサティ様が声を上げた。
そうだよ。やっぱり、気になるよな?

「ひ孫は皇子かしら?皇女かしら?私はどっちも捨てがたいけど……アヤちゃん?」

撃沈。

「それ以外、気になる事があったかしら?」
「いえ…根本的な事がありますけど…も、いいです」

卵だよ?っていうか、木の実なんだけど……
それから人の子が生まれるって現象は気にならないわけね?

「ふふふ……アヤちゃんとグレインバルドに似た可愛い子なら、私はどちらでもよくてよ。それ以外の問題など、所詮、瑣末事さまつごと。でしょ?」
「サティ様……そう、ですね」

いまいち、よく分からないところがあるけど…サティ様って、結構、奥深いのかも…
知ってなさそうで、全てお見通し…みたいな?
ニッコリ、ニコニコ。無邪気に微笑むサティ様に、俺も、何や彼やこだわるのが馬鹿らしくなり苦笑した。
そういえば……確認しないといけない事が一つ。
ただ……

「あの…サティ様」
「なぁに?」
「双子って、どう思います?」
「双子?まぁ!それって……」

わ!しまった!直球すぎ?
確か、国や時代によっては、双子って不吉とか言われたりする場所もあるって…
こんな聞き方したら……

「まぁーーーーーーーー♡♡!アヤちゃん!双子なの?双子ね??双子なのね~???なぁ~んて事でしょ!一人でも可愛いのに、ひ孫が一気に二人もなの~!あら、やだどうしましょう!二人分の衣装やらなんやら急いで用意しなきゃだわ!!」

要らぬ心配だった……

「サティ様……」
「皇子用と皇女用、どっちを用意するべきかしら?」
「え、っと……」

鼻息も荒く、大興奮するサティ様に、タジタジになる俺の背後で、部屋の扉がバァンっと勢いよく開く。
意気揚々とする猊下と、頭が痛いとばかりに片手で額を抑えるバルドが後ろに……

「話は聞いたぞ!妃よッッ!!」
「猊下!」
「心配要らぬぞ?なぁに、簡単な事ではないか!」
「まぁ、本当ですか?」

仁王立ちになり、得意満面の猊下に、サティ様が目をキラキラさせる。
そそっと、バルドの側に駆け寄る。

「どうするよ?
「止めても無駄だ。やらせとけ……」

半ば諦め口調のバルドに、かといって孫嫁(?)の俺が何をできるでもなく……

「妃よ!どちらか分からぬであれば、両方用意すれば良い!皇子用二人分!皇女用二人分!四人分用意いたせば問題なしだ!!」
「猊下!お見事、さすがですわ!それならば、間違いありませんわね!!」
「「………………………」」

どうだ!っとばかりな提案に、喜ぶ片割れ……
口があんぐり、台形になってしまう。

「バルド………?」
「何も言わんでいい…」

俺の呼びかけに、バルドが返し……二人して、大きく溜め息をついた。








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