333 / 465
番外編② 恋の調べ
*プレゼントは何、贈る?③
しおりを挟む「アヤ様、お帰りなさいませ!あら?エリオ様もご一緒でございましたの?」
部屋に戻ると、アリッサとローレンが、整頓・掃除をしていた。
「ちょうど良かった。侍女二人、手伝ってよ」
「エリオ?」
ニッと笑い、二人を手招きする。
アリッサたちに手伝ってもらうって……一体、何を?
「エリオ、いい案があるって言ってなかった?時間がないんだけど」
「大丈夫だよ。贈り物はこれから準備するんだから」
「だからだろ?!時間が…」
「準備するだけだって」
「?………………エリオ?あの、さ、意味が」
エリオの言ってる事が分かんない。
「みんなさぁ、なぁ~んで気づかないわけ?殿下が一番お喜びになるモノ、目の前にあるじゃない」
は??
目の前?目の前って、どこに??
訝しむ俺に、エリオが呆れたように、人差し指を俺に突きつけてくる。
「ん!」
「へっ??」
「へっ?じゃないよ。だ・か・ら!目の前」
エリオの人差し指が指し示すのは………………
「へっ?え、っと…お、れ?」
「それ以外、何があるわけ?」
「へっ?は、はぁ~~~~~~~~~?????」
俺が贈り物って、何だそりゃ?!
「首にリボンか何か巻いたら、それで十分でしょ。あとは、可愛らしく「はい、どうぞ♡」で、完璧じゃない」
いや!待て待て待て待て待て!!
完璧って!?首にリボンで、「はい、どうぞ♡」?
何だその、どっかで聞いた事のある、シチュエーション!
そんな、「プレゼントは、お・れ!ウフ♡」みたいな、寒い事、俺にやれってか?!
「む、む、無理ッッ!そんなの、やんねぇって!できない!つうか、やりたくねぇッッ!!」
「ハァッ?!何、言ってんだよ!時間、ないって言ったのアヤでしょ?!できないじゃなくて、やるの!」
「無理~~~~~~~!!」
「無理じゃな……」
「駄目ですわーーーーーーーーーーーーーーッッ!」
俺とエリオの言い争いを遮るように、アリッサが声を張る。
力一杯叫び、アリッサがむんっ!と気合いを入れて両手でファイティングポーズ。
「そうですわ!そんなの駄目ですわ!!」
ローレンもまた、両手で祈るように手を組む。
「アリッサ、ローレン……」
侍女ズが俺を気遣って……
「駄目ですわ…そんなの」
「そうですわ…そんなの」
二人とも顔を伏せ、ブツブツ呟き、バッと顔を上げ、
「「お首にリボンだけだなんて!そんなの勿体無いですわ!可愛くありませんわ~~~~~~~~~!」」
侍女ズの力一杯の力説に、俺はズッコケる。
ひどい……アリッサたちもひどいが、古典的なコケを入れた俺自身もひどすぎる!
「髪も横を結って、おリボン結んで♡」
「いざこういう時用にと、お作りしておいたリボンたっぷりのお洋服もきていただいてぇ♡」
「ちょっ、二人とも?!」
うっとり語り出す侍女ズに声をかけるが、聞いちゃいねぇ。
「殿下自らが、贈り物のリボンを解くかのように…」
「そう、ゆったりと……」
「ちょっ、…だからッッ!」
「「萌えますわぁ~~~~~~~~~~~~♡♡」」
「………………………」
頼むから、話、聞いてください……
「いいね、それ!じゃ、飾り付けは任せるよ?僕は、貯蔵番から葡萄酒貰ってくるから」
飾り付け………
俺はデコレーションケーキか?!
うぅっ…何か、侍女ズ二人、目もハートに嬉々として準備しだしたし。
こうなると、抵抗しても無駄。
葡萄酒を貰ってくるべく部屋を出て行くエリオ。
リボンやら、洋服やらを出してきて、キャッキャしだした侍女ズ。
それらを遠い目をしたまま見つめ、俺は盛大に溜め息をついていた。
2
お気に入りに追加
2,223
あなたにおすすめの小説
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
からっぽを満たせ
ゆきうさぎ
BL
両親を失ってから、叔父に引き取られていた柳要は、邪魔者として虐げられていた。
そんな要は大学に入るタイミングを機に叔父の家から出て一人暮らしを始めることで虐げられる日々から逃れることに成功する。
しかし、長く叔父一族から非人間的扱いを受けていたことで感情や感覚が鈍り、ただただ、生きるだけの日々を送る要……。
そんな時、バイト先のオーナーの友人、風間幸久に出会いーー
出戻り聖女はもう泣かない
たかせまこと
BL
西の森のとば口に住むジュタは、元聖女。
男だけど元聖女。
一人で静かに暮らしているジュタに、王宮からの使いが告げた。
「王が正室を迎えるので、言祝ぎをお願いしたい」
出戻りアンソロジー参加作品に加筆修正したものです。
ムーンライト・エブリスタにも掲載しています。
表紙絵:CK2さま
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)
かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。
はい?
自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが?
しかも、男なんですが?
BL初挑戦!
ヌルイです。
王子目線追加しました。
沢山の方に読んでいただき、感謝します!!
6月3日、BL部門日間1位になりました。
ありがとうございます!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる