4 / 4
第1章 変わりゆく生活 〜高校生〜
始まりの日〜朝(お父さん編)〜
しおりを挟む 僕達は帝都に戻って直ぐに皇后の部屋に案内された。すんなり案内されたのは勇者であるアルバートのお陰だろう。勇者の特権を受けられるのは有り難い。僕は宰相に喧嘩を売った反逆者みたいなものだからね。
ベットで寝ている女性が皇后か? 国政が忙しいので皇帝も宰相も不在……まぁ、僕にとっては都合が良いのだけど。だけど、付き添っているのがアリシア姫だけなのは少し悲しいな。アリシア姫が僕に向かって真剣な眼差しを向けてくる。言わなくても分かっているさ、キャプテン・ヴァージャスの名に於いて約束したからな。
「リアン!」
僕は契約した光の精霊リアンを呼び出す。10cm程度の身長の光の翼を生やした女性が僕の胸前に現れる。リアンは出会った時とは異なり、小柄な精霊には不釣り合いなプレートメイルを着ている。僕が好みの服を全く言わないので、一緒にいるクロエの騎士姿が僕の好みだって勝手に思いこんだせいなのだけどね。
「伝説の戦乙女みたいですねっ!」
アリシア姫が興奮して叫ぶ。姫は素直で良いな……クロエには鎧フェチってからかわれたからね。
僕が好きなのは鎧じゃないのに……って余計な事を考えている場合ではない。
皇后にかけられた呪いを解くにはどうすればよい? 光の精霊の力を使うといっても僕は魔法使いではない。リアンが持つ光の力を使いこなすイメージを想像する。
思い出したのは、ガルファダ王国で目にした圧倒的な命の光ーー邪悪な目的に使われた生命活性魔法『アクティベーション・グリッター』
それは仲間であったヨーゼフの死の原因となった悲しい思い出の魔法である。だが、生命を活性させる偉大な癒しの力である事には違いはなかった。僕は思い浮かべる。
ヴェロニカさんが放った生命の輝きを……
ヨーゼフが自らの命を光と変えた姿を……
それと頼むよヴァージャス!
僕が胸前で拳を合わせモスト・マスキュラーのポーズをとると同時に筋肉が爆発的にバルクアップする。
そして、リアンが僕めがけて飛び込み大胸筋に溶け込む。リアンの光の力が全身に行き渡り筋肉がテカリ始める。
あの日見た生命の光の様に……輝けっ! 僕の命よ!
『マッスル・グリッター!!』
僕の筋肉が放つ緑の光が皇后の部屋を満たす。
呪いなど一片の欠片も残さない様に全てを塗りつぶせっ! 筋肉の輝きよ!
これで皇后の呪いは解けただろうか?僕は解呪の成果を確認する為に、呪いについて詳しそうなアルバートに視線を送る。
「何をしているんだいケン?」
予想外の返答をするアルバート。えっ、何って何だろう? いやっ確かに解呪って感じに見えないポーズなのは分かるけど……呪いが解けたかどうかは分かるよね普通は?
「何って、皇后の呪いを解こうとしただけですけど……」
アルバートの不思議そうな顔を見ていると、段々自信がなくなってくる。依頼内容は皇后の呪いを解くであってるよな?
「ケン、光の精霊を捕まえるのが依頼だよ。わざわざ光らなくても良いのに」
えっ、まさかアルバートは依頼内容を理解していない? 念のために確認してみるか。
「依頼内容は光の精霊の力で皇后にかけられた呪いを解く事ですよね?」
「なんだ、そんな依頼だったのか。光の精霊を捕まえて欲しいしか聞いてなかったよ。呪いを解くだけなら僕の聖剣ウィッシュ・グランターでも出来る事だよ。ストレートに呪いを解いてって言ってくれれば良かったのに」
なんだよソレ。あんまりじゃないか! ショウはため息をついているし、クロエは腹を抱えて笑っているじゃないか。
「全く意味がなかったじゃないか! アルバートは天然すぎるよ!」
「ははっ、意味はあるよ。ケンがパワーアップしたじゃないか。それに可愛い奥さんも出来たしね」
いやいやっ、確かに色々な意味でパワーアップしたけどね。それに奥さんは余計だよ……伴侶とか言ってたのはリアンの精霊ジョークだよ……きっと。はぁっ、張り切って筋肉テカらせた僕の身にもなってくれ。
「お母様っ!」
声の方向を見るとアリシア姫が皇后に飛びついていた。アルバートと残念な会話をしている間に皇后が目を覚ましたようだ。どうやら僕の筋肉のテカリで呪いが解けたみたいだな。格好悪いけど目的が果たせたなら問題ない。
「呪いが解けても直ぐに体力が回復する訳ではないわ。休ませてあげましょうね」
クロエの提案を聞いてアリシア姫が皇后から離れる。そして……
「凄いですケン様!!」
アリシア姫が僕に飛びつく。まったく……誰構わず飛びつくとはね。皇后にも飛びついてたし、アリシア姫の性格なんだろうけど、男の僕に飛びついたら勘違いされるよ。
「あらっ、ケンが浮気してる!」
「何よこの女っ! 気安く近づかないでっ!」
ほらっ、クロエとリアンが面倒な事を言い始めているじゃないか。まぁ仕方がないかな。母親が呪われて、ずっと不安な思いをしていたのだ。不安を払拭するのもスーパーヒーローの役目さ。だからアリシア姫を片手で抱き抱えて高らかに宣言する。
「もう大丈夫だ! キャプテン・ヴァージャスがここにいる!」
僕は空いた手で自身の大胸筋を指す。
胸にはヴァージャススーツの黄色いVとJの文字が誇らしげに輝いていた。
ベットで寝ている女性が皇后か? 国政が忙しいので皇帝も宰相も不在……まぁ、僕にとっては都合が良いのだけど。だけど、付き添っているのがアリシア姫だけなのは少し悲しいな。アリシア姫が僕に向かって真剣な眼差しを向けてくる。言わなくても分かっているさ、キャプテン・ヴァージャスの名に於いて約束したからな。
「リアン!」
僕は契約した光の精霊リアンを呼び出す。10cm程度の身長の光の翼を生やした女性が僕の胸前に現れる。リアンは出会った時とは異なり、小柄な精霊には不釣り合いなプレートメイルを着ている。僕が好みの服を全く言わないので、一緒にいるクロエの騎士姿が僕の好みだって勝手に思いこんだせいなのだけどね。
「伝説の戦乙女みたいですねっ!」
アリシア姫が興奮して叫ぶ。姫は素直で良いな……クロエには鎧フェチってからかわれたからね。
僕が好きなのは鎧じゃないのに……って余計な事を考えている場合ではない。
皇后にかけられた呪いを解くにはどうすればよい? 光の精霊の力を使うといっても僕は魔法使いではない。リアンが持つ光の力を使いこなすイメージを想像する。
思い出したのは、ガルファダ王国で目にした圧倒的な命の光ーー邪悪な目的に使われた生命活性魔法『アクティベーション・グリッター』
それは仲間であったヨーゼフの死の原因となった悲しい思い出の魔法である。だが、生命を活性させる偉大な癒しの力である事には違いはなかった。僕は思い浮かべる。
ヴェロニカさんが放った生命の輝きを……
ヨーゼフが自らの命を光と変えた姿を……
それと頼むよヴァージャス!
僕が胸前で拳を合わせモスト・マスキュラーのポーズをとると同時に筋肉が爆発的にバルクアップする。
そして、リアンが僕めがけて飛び込み大胸筋に溶け込む。リアンの光の力が全身に行き渡り筋肉がテカリ始める。
あの日見た生命の光の様に……輝けっ! 僕の命よ!
『マッスル・グリッター!!』
僕の筋肉が放つ緑の光が皇后の部屋を満たす。
呪いなど一片の欠片も残さない様に全てを塗りつぶせっ! 筋肉の輝きよ!
これで皇后の呪いは解けただろうか?僕は解呪の成果を確認する為に、呪いについて詳しそうなアルバートに視線を送る。
「何をしているんだいケン?」
予想外の返答をするアルバート。えっ、何って何だろう? いやっ確かに解呪って感じに見えないポーズなのは分かるけど……呪いが解けたかどうかは分かるよね普通は?
「何って、皇后の呪いを解こうとしただけですけど……」
アルバートの不思議そうな顔を見ていると、段々自信がなくなってくる。依頼内容は皇后の呪いを解くであってるよな?
「ケン、光の精霊を捕まえるのが依頼だよ。わざわざ光らなくても良いのに」
えっ、まさかアルバートは依頼内容を理解していない? 念のために確認してみるか。
「依頼内容は光の精霊の力で皇后にかけられた呪いを解く事ですよね?」
「なんだ、そんな依頼だったのか。光の精霊を捕まえて欲しいしか聞いてなかったよ。呪いを解くだけなら僕の聖剣ウィッシュ・グランターでも出来る事だよ。ストレートに呪いを解いてって言ってくれれば良かったのに」
なんだよソレ。あんまりじゃないか! ショウはため息をついているし、クロエは腹を抱えて笑っているじゃないか。
「全く意味がなかったじゃないか! アルバートは天然すぎるよ!」
「ははっ、意味はあるよ。ケンがパワーアップしたじゃないか。それに可愛い奥さんも出来たしね」
いやいやっ、確かに色々な意味でパワーアップしたけどね。それに奥さんは余計だよ……伴侶とか言ってたのはリアンの精霊ジョークだよ……きっと。はぁっ、張り切って筋肉テカらせた僕の身にもなってくれ。
「お母様っ!」
声の方向を見るとアリシア姫が皇后に飛びついていた。アルバートと残念な会話をしている間に皇后が目を覚ましたようだ。どうやら僕の筋肉のテカリで呪いが解けたみたいだな。格好悪いけど目的が果たせたなら問題ない。
「呪いが解けても直ぐに体力が回復する訳ではないわ。休ませてあげましょうね」
クロエの提案を聞いてアリシア姫が皇后から離れる。そして……
「凄いですケン様!!」
アリシア姫が僕に飛びつく。まったく……誰構わず飛びつくとはね。皇后にも飛びついてたし、アリシア姫の性格なんだろうけど、男の僕に飛びついたら勘違いされるよ。
「あらっ、ケンが浮気してる!」
「何よこの女っ! 気安く近づかないでっ!」
ほらっ、クロエとリアンが面倒な事を言い始めているじゃないか。まぁ仕方がないかな。母親が呪われて、ずっと不安な思いをしていたのだ。不安を払拭するのもスーパーヒーローの役目さ。だからアリシア姫を片手で抱き抱えて高らかに宣言する。
「もう大丈夫だ! キャプテン・ヴァージャスがここにいる!」
僕は空いた手で自身の大胸筋を指す。
胸にはヴァージャススーツの黄色いVとJの文字が誇らしげに輝いていた。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
第一機動部隊
桑名 裕輝
歴史・時代
突如アメリカ軍陸上攻撃機によって帝都が壊滅的損害を受けた後に宣戦布告を受けた大日本帝国。
祖国のため、そして愛する者のため大日本帝国の精鋭である第一機動部隊が米国太平洋艦隊重要拠点グアムを叩く。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
こんばんは。読ませていただきましたが、とても興味深い内容ですね!これからのストーリーに期待してます。頑張って下さい!
こんばんは。読んでいただきありがとうございます!実はこの話はもう全て出来ているのであとは公開するだけの状態です。なので中の人が投稿ペースを上げるかも知れないのでこれからもよろしくお願いします!