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21.友人からの便り2
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『それはそうと、今回の件で通っていた学園が閉鎖することになったようですの。
わたくしは既に退学しておりますが、あの時一緒にいたお友達も退学されたようです。なんでも、あの方にわたくしと同じような侮辱をされることを危惧したようですわ。
そして、それを見ていた他の方たちもさらに……、と退学者が後を絶たなくなったため、閉校となった模様です。』
……ああ、確かにあのフェルナンド様のことですから、他のご令嬢に次のターゲットを移しそうですよね。マデリーン様にあからさまに振られたのにもかかわらず、あの馬鹿王太子が同じような愚行を繰り返すさまが目に浮かんでしまいます。
それにしても、マデリーン様が通っていた貴族学校が閉校ですか……。
これは、今やギルモア王国一、二位の勢力を誇る家の令嬢であるマデリーン様にしたフェルナンド様の所業が広まって、このまま王都にとどまるのは危険と皆が判断したからでしょうね。あるいは、単純にフェルナンド様の金蔓になるのを嫌ったかのどちらかでしょう。
『それでも、よいことはありますわ。こんな事態になったのを心配されたのか、わたくしの婚約者様がたびたび訪れてくるようになりましたの。たまには婚約者様のご友人もご一緒にねぎらっていただけてますわ。
怪我の功名かもしれませんけど、わたくしにとってはうれしい限りです。
そのようなわけで、こちらもいろいろとありましたが、なんとかやっておりますのでご心配なく。
それでは、またお手紙書きますね。
あなたの友人 リーン』
あー……、アシュトン様のご友人って、もしかして他の三将軍の方たちですかね。あの方たちがそろってアサートン家に集結しているとしたら、本当に今の王家の立場はまずいかもしれません。
もちろん、三将軍の方たちは元軍人ですから、内乱になってそれぞれが敵対することになったら割り切って戦うのでしょうけど、フェルナンド様の愚行で、今は王家対貴族の図式ですからね。三将軍の方たちが国を傾けるようなことをした王家に、敬意を持って付き従うことはないように思います。
……そうなると、アサートン家が次の王家になるのですかね。
もともと、エヴァンジェリスタ公爵家が王権を譲ろうとしたのはアサートン家ですし。エヴァンジェリスタ家の時の当主を国王にしたかったアサートン家がそれを断ったので、今の王家のプラカシュ家に王位のお鉢が回っただけなのですよね、実は。
アサートン家にしてみれば、断ればエヴァンジェリスタが王家になるというもくろみがあったのでしょうが、それに反して我が家が格下のプラカシュ家に王権を譲ってしまったので、アサートン侯爵家は今も反王家なんですよね。当時のアサートン家当主の恨み節は、今もエヴァンジェリスタ家の語りぐさです。
……まあ、それはともかく、マデリーン様からはまたお手紙をいただけるようですし、今後のギルモア王国の情勢も知ることができるでしょう。
そんなことを考えて、わたしが小さく息をついていますと、私室のドアがノックされた後、侍女が慌てた様子で飛び込んできました。
「まあ、どうしたの? そんなに慌てて」
「あっ、申し訳ありません、ロクサーナ様。ですが大変なのです。ロクサーナ様にご用があられるとかで、皇太子様が今からこちらに来られると、先程先触れがあって……!」
「えっ」
レンブラント様がわざわざうちに? どうして?
皇宮になにか忘れものでもしてしまったのかと一瞬思いましたが、そんなものは後日、従者にでも届けさせればいいだけで、彼が出てくる必要もないですよね。フェルナンド様の書状がまた届いたとしても、これまでと同じように、わたしが皇宮におもむけばいい話ですし。
わたしはレンブラント様のこの訪問の理由がまったく分からずに、首をかしげるしかないのでした。
わたくしは既に退学しておりますが、あの時一緒にいたお友達も退学されたようです。なんでも、あの方にわたくしと同じような侮辱をされることを危惧したようですわ。
そして、それを見ていた他の方たちもさらに……、と退学者が後を絶たなくなったため、閉校となった模様です。』
……ああ、確かにあのフェルナンド様のことですから、他のご令嬢に次のターゲットを移しそうですよね。マデリーン様にあからさまに振られたのにもかかわらず、あの馬鹿王太子が同じような愚行を繰り返すさまが目に浮かんでしまいます。
それにしても、マデリーン様が通っていた貴族学校が閉校ですか……。
これは、今やギルモア王国一、二位の勢力を誇る家の令嬢であるマデリーン様にしたフェルナンド様の所業が広まって、このまま王都にとどまるのは危険と皆が判断したからでしょうね。あるいは、単純にフェルナンド様の金蔓になるのを嫌ったかのどちらかでしょう。
『それでも、よいことはありますわ。こんな事態になったのを心配されたのか、わたくしの婚約者様がたびたび訪れてくるようになりましたの。たまには婚約者様のご友人もご一緒にねぎらっていただけてますわ。
怪我の功名かもしれませんけど、わたくしにとってはうれしい限りです。
そのようなわけで、こちらもいろいろとありましたが、なんとかやっておりますのでご心配なく。
それでは、またお手紙書きますね。
あなたの友人 リーン』
あー……、アシュトン様のご友人って、もしかして他の三将軍の方たちですかね。あの方たちがそろってアサートン家に集結しているとしたら、本当に今の王家の立場はまずいかもしれません。
もちろん、三将軍の方たちは元軍人ですから、内乱になってそれぞれが敵対することになったら割り切って戦うのでしょうけど、フェルナンド様の愚行で、今は王家対貴族の図式ですからね。三将軍の方たちが国を傾けるようなことをした王家に、敬意を持って付き従うことはないように思います。
……そうなると、アサートン家が次の王家になるのですかね。
もともと、エヴァンジェリスタ公爵家が王権を譲ろうとしたのはアサートン家ですし。エヴァンジェリスタ家の時の当主を国王にしたかったアサートン家がそれを断ったので、今の王家のプラカシュ家に王位のお鉢が回っただけなのですよね、実は。
アサートン家にしてみれば、断ればエヴァンジェリスタが王家になるというもくろみがあったのでしょうが、それに反して我が家が格下のプラカシュ家に王権を譲ってしまったので、アサートン侯爵家は今も反王家なんですよね。当時のアサートン家当主の恨み節は、今もエヴァンジェリスタ家の語りぐさです。
……まあ、それはともかく、マデリーン様からはまたお手紙をいただけるようですし、今後のギルモア王国の情勢も知ることができるでしょう。
そんなことを考えて、わたしが小さく息をついていますと、私室のドアがノックされた後、侍女が慌てた様子で飛び込んできました。
「まあ、どうしたの? そんなに慌てて」
「あっ、申し訳ありません、ロクサーナ様。ですが大変なのです。ロクサーナ様にご用があられるとかで、皇太子様が今からこちらに来られると、先程先触れがあって……!」
「えっ」
レンブラント様がわざわざうちに? どうして?
皇宮になにか忘れものでもしてしまったのかと一瞬思いましたが、そんなものは後日、従者にでも届けさせればいいだけで、彼が出てくる必要もないですよね。フェルナンド様の書状がまた届いたとしても、これまでと同じように、わたしが皇宮におもむけばいい話ですし。
わたしはレンブラント様のこの訪問の理由がまったく分からずに、首をかしげるしかないのでした。
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