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27.愚かな令嬢のヒストリエ4~ユリア~
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「なんなのよ、これは!」
クローディアを断罪するはずだったのに、バッドエンドってなによ!? こんなのは認めない!
「ちょっと、出しなさいよ! わたしにこんなことして、ただですむと思ってんの!?」
わたしはこの世界のヒロインよ! こんなきったない地下牢に入れるなんて許されない! きっと、クローディアの洗脳から醒めたオーティス様あたりが、わたしを助けてくれるに違いないわ!
「──ユリア様」
悲劇のヒロインを颯爽と救ってくれるヒーローが現れると思ったのに、出てきたのはシルフィーニ家の執事のイードだった。……こんな老いぼれジジイ呼んでないわよ!
「なんであんたが来るのよ! オーティス様を呼んできてよ! 気が利かないわね!」
一瞬喜んじゃったのが馬鹿みたいで、わたしはいらいらして怒鳴った。
すると、イードは生意気にも不愉快そうに顔を歪めたわ。
「なぜ、その方をお呼びになりたいのです。殺されるためですか?」
「はあっ!? なんでオーティス様がわたしを殺さなきゃなんないのよ。ボケジジイ!」
「──わたしの方こそ不思議ですが。なぜかの方があなたを殺さないと思うのですか?」
「そんなの当たり前じゃない! わたしはオーティス様に愛されてるのよ!」
わたしが胸を張って答えると、イードが反抗的な視線を投げたわ。
このジジイ、主のわたしに向かっていい態度じゃない。お父様に言いつけて、辞めさせてやるわ! そしたら、きっと路頭に迷うわよね。いい気味!
「……愚か過ぎて言葉もないですね。かのご令嬢が護衛騎士様を止めていなければ、お嬢様は首と胴が五回は離れていたと聞き及びましたが」
「なっ、オーティス様がわたしにそんなことするわけないじゃない! それに、主のわたしに向かってそんな口利くなんて、生意気よ!」
「──わたしの主は旦那様です。くだらないあなたのような方ではありません」
イードが生意気にもわたしに吐き捨てるように言ったわ。なんて態度悪いの!
「くだらないってなによ! わたしは悪役令嬢のクローディアを断罪して、オーティス様達を救ってあげようとしたのよ! そんなこと言われる筋合いはないわ!」
「──誰が悪役ですか」
生意気にも蔑むような目でイードが見てくる。
「悪役はユリア様あなたです。いえ、悪役どころか、邪悪な犯罪者ですね。かのご令嬢が寛容な方だったからこそ、拷問もされずにすんでいるものをまだそのご令嬢を悪く言われるとは、呆れてものも言えません」
「わたしが拷問なんてされるわけないでしょ! そもそもこんなきったないところにわたしがいるのが間違ってるのよ! 本当ならクローディアが入るはずなのに!」
すると、イードは鋭い視線でわたしを見たわ。なんでヒロインのわたしをそんな殺しそうな目で見ているのよ! 神様の罰が当たるんだからね!
「……こんな方のために、シルフィーニ家の方達が……あまりにも酷い……」
「だから、酷いのはクローディアでしょ! あの女こそ死ねばいいのよ!」
すると、イードがわたしを憎しみのこもった目で睨んだわ。わたしをそんな目で睨んでいいと思ってんの! 生意気!
「……できるならば、あなたを八つ裂きにしてやりたいですよ、お嬢様。しかし、旦那様がすべて見届けよとご命令されたので、今は我慢いたします」
「……ッ! このわたしにそんな口が許されると思ってんの!? このくそじじい!」
「──それでは、失礼いたします」
イードが反抗的な目でわたしを睨みつけると、そのまま踵を返して去っていった。
わたしは悔しくて怒鳴ったわ。
「なによ、なによ! なんでわたしがこんなこと言われなきゃなんないのよ! これもみんなあの女のせいよ!」
あの女、
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
* * *
ヒロインちゃんが電波すぎて既にホラー(>_<)
普段は後書きとか書かないんですが、あまりにも後味が悪かったので……つか、呪われそう……。
次回は通常回に戻る予定です。
クローディアを断罪するはずだったのに、バッドエンドってなによ!? こんなのは認めない!
「ちょっと、出しなさいよ! わたしにこんなことして、ただですむと思ってんの!?」
わたしはこの世界のヒロインよ! こんなきったない地下牢に入れるなんて許されない! きっと、クローディアの洗脳から醒めたオーティス様あたりが、わたしを助けてくれるに違いないわ!
「──ユリア様」
悲劇のヒロインを颯爽と救ってくれるヒーローが現れると思ったのに、出てきたのはシルフィーニ家の執事のイードだった。……こんな老いぼれジジイ呼んでないわよ!
「なんであんたが来るのよ! オーティス様を呼んできてよ! 気が利かないわね!」
一瞬喜んじゃったのが馬鹿みたいで、わたしはいらいらして怒鳴った。
すると、イードは生意気にも不愉快そうに顔を歪めたわ。
「なぜ、その方をお呼びになりたいのです。殺されるためですか?」
「はあっ!? なんでオーティス様がわたしを殺さなきゃなんないのよ。ボケジジイ!」
「──わたしの方こそ不思議ですが。なぜかの方があなたを殺さないと思うのですか?」
「そんなの当たり前じゃない! わたしはオーティス様に愛されてるのよ!」
わたしが胸を張って答えると、イードが反抗的な視線を投げたわ。
このジジイ、主のわたしに向かっていい態度じゃない。お父様に言いつけて、辞めさせてやるわ! そしたら、きっと路頭に迷うわよね。いい気味!
「……愚か過ぎて言葉もないですね。かのご令嬢が護衛騎士様を止めていなければ、お嬢様は首と胴が五回は離れていたと聞き及びましたが」
「なっ、オーティス様がわたしにそんなことするわけないじゃない! それに、主のわたしに向かってそんな口利くなんて、生意気よ!」
「──わたしの主は旦那様です。くだらないあなたのような方ではありません」
イードが生意気にもわたしに吐き捨てるように言ったわ。なんて態度悪いの!
「くだらないってなによ! わたしは悪役令嬢のクローディアを断罪して、オーティス様達を救ってあげようとしたのよ! そんなこと言われる筋合いはないわ!」
「──誰が悪役ですか」
生意気にも蔑むような目でイードが見てくる。
「悪役はユリア様あなたです。いえ、悪役どころか、邪悪な犯罪者ですね。かのご令嬢が寛容な方だったからこそ、拷問もされずにすんでいるものをまだそのご令嬢を悪く言われるとは、呆れてものも言えません」
「わたしが拷問なんてされるわけないでしょ! そもそもこんなきったないところにわたしがいるのが間違ってるのよ! 本当ならクローディアが入るはずなのに!」
すると、イードは鋭い視線でわたしを見たわ。なんでヒロインのわたしをそんな殺しそうな目で見ているのよ! 神様の罰が当たるんだからね!
「……こんな方のために、シルフィーニ家の方達が……あまりにも酷い……」
「だから、酷いのはクローディアでしょ! あの女こそ死ねばいいのよ!」
すると、イードがわたしを憎しみのこもった目で睨んだわ。わたしをそんな目で睨んでいいと思ってんの! 生意気!
「……できるならば、あなたを八つ裂きにしてやりたいですよ、お嬢様。しかし、旦那様がすべて見届けよとご命令されたので、今は我慢いたします」
「……ッ! このわたしにそんな口が許されると思ってんの!? このくそじじい!」
「──それでは、失礼いたします」
イードが反抗的な目でわたしを睨みつけると、そのまま踵を返して去っていった。
わたしは悔しくて怒鳴ったわ。
「なによ、なによ! なんでわたしがこんなこと言われなきゃなんないのよ! これもみんなあの女のせいよ!」
あの女、
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
* * *
ヒロインちゃんが電波すぎて既にホラー(>_<)
普段は後書きとか書かないんですが、あまりにも後味が悪かったので……つか、呪われそう……。
次回は通常回に戻る予定です。
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