24 / 32
24.愚かな令嬢のヒストリエ1~ユリア~
しおりを挟む
わたしはユリア・シルフィーニ。
前世でプレイした十八禁乙女ゲーム『ドキドキ☆愛されプリンセス』のヒロインなの。
ピンクの髪と瞳の超可愛い癒し系で、攻略対象に愛されまくるご令嬢。
男爵令嬢だからたいして贅沢はできないけど、嫌な勉強はしなくていいし、遊んで暮らせるし最高だよね!
でも、わたしの美貌でお金持ちのイケメン捕まえられれば、おいしいお菓子や料理食べ放題、素敵なドレスにアクセサリーも贅沢し放題!
うん、逆ハーして、攻略者対象者達に貢がせるのも悪くないかも。
そ・れ・に、エッチイベントは絶対外せないわ。
イケメン達にさんざんエロいことされて、とろけちゃいそうに気持ちよくなっちゃうの。きゃあ、ユリア恥ずかしいっ♡
スチルにはなかったけど、複数プレイも良さそうだな~。うん、絶対逆ハーしよう。
そのためには、攻略頑張らないとね!
……そう思ったけど、肝心の攻略対象に全然会えない! なんでよ!
お父様が言うには、「うちのような貧乏男爵家ではそうそう爵位の高い方にはお会いできないよ」ってことらしいけど、わたしはこの世界のヒロインよ! 攻略対象者の方から会いに来るべきじゃないの!
痺れを切らしたわたしは、家から出て王城に向かったわ。
そしたら、城に着いたわたしを見下ろした門番が、「なんだ、侍女希望か」なんて失礼なこと言うじゃない!
わたしはヒロインよ! ここは、「ようこそいらっしゃました」って、丁重にお通しするところでしょ! 第三王子のジェシー様攻略できたら、こんなモブ辞めさせてやるんだから!
とはいえ、俺様のジェシー様って、あんまり好みじゃないんだよね……立場も微妙だし。この国には既に王太子様がいるし、王様にはなれなそう。
でもま、ジェシー様も王子様だから贅沢はできるだろうし、その繋がりで王太子様も狙えるかも。そして兄弟でわたしの奪い合い……きゃっ、愛されすぎて困っちゃう♡
でも、やっぱり『愛プリ』人気ナンバーワンのオーティス様を一番に攻略したいかなあ~。
オーティス様は侯爵家子息だけど、悪役令嬢であるクローディアのわがままで無理矢理護衛騎士をさせられていた『愛プリ』一の美形。
騎士だけあって女性には傍目優しいけど、悪役令嬢クローディアからの酷い仕打ちで心を凍らせているという設定なのよ。
でもユリアと出会ったオーティス様は、その美しい心に触れて、凍った心を徐々に溶かし、ついには悪役令嬢を一緒に断罪するの。
待ってて、オーティス様! 今ヒロインのユリアちゃんがあなたの心を溶かしてあげるからね!
「……い。……は……かなのか?」
はっ! いけないいけない。イケメンな攻略対象のこと考えてて、目の前のモブのこと忘れてた。
「え? ごめん、聞いてなかった」
貴族令嬢の猫を被れなくて思わず素で言っちゃったけど、わたしはヒロインだから大丈夫だよね。
なのに、モブの門番がむっとするのはなんなのよ。わたしはこんなに可愛いんだから、少しはデレデレしろ。
「きちんと身分を証明してもらわなければ通すことはできない。男爵家の令嬢というのは確かなのか、と言ったんだ」
「そんなのシルフィーニ家の馬車で来たんだから分かるでしょ! 目ぇ付いてんの?」
「……それでは身分の証明にならない。馬車は盗んだものとも考えられるからな」
この門番使えなさすぎでしょ! 頭悪すぎ! たかがモブのくせして、ヒロインのわたしの邪魔をするなんて生意気よ!
「じゃあ、お父様に確認してよ! それまでここを動かないから!」
「……少し待っていろ」
能面みたいな顔をして、愛想なく答えた門番にわたしはむかついた。
なんなのこの門番、わたしは貴族令嬢なのに態度悪すぎ! 絶対にジェシー様に言いつけてやるわ!
なんだかんだとかなり待たされて、ようやく城に入ることができたわ。まったくお役所仕事って嫌よね!
わたしは門番とは別の騎士に案内されて、なぜか侍女長とかいうのに会うことになってしまったんだけど、まあ攻略対象に会うためなら我慢してやるわ。
……ああ、めんどくさい。ゲームでは悪役令嬢の家の舞踏会で会うはずなのに!
そう思って高そうな赤い絨毯の敷かれた廊下を歩いてたんだけど、急にわたしを案内していた騎士が立ち止まった。
……ちょっと、ぶつかりそうになったじゃない。気をつけてよ! 可愛いユリアちゃんの鼻でもぶつけたら大変よ。ヒロインは鼻血ブーしちゃ駄目なのよ!
騎士に一言文句を言ってやろうかと思って口を開きかけたら、その視線の先にとんでもない美形がいることに気がついたの。
キラキラのハニーブロンドに海みたいな深いブルーアイ。
美しすぎる顔はまさに王子様のよう。
そして体は乙女の憧れ、細マッチョ。
その場を圧倒する存在感でこちらに歩いてくるその姿は、きびきびしていて超かっこいい!
わたしはここで迷うことなく確信した。
『愛プリ』人気ナンバーワン攻略対象者、オーティス様来た──!!
前世でプレイした十八禁乙女ゲーム『ドキドキ☆愛されプリンセス』のヒロインなの。
ピンクの髪と瞳の超可愛い癒し系で、攻略対象に愛されまくるご令嬢。
男爵令嬢だからたいして贅沢はできないけど、嫌な勉強はしなくていいし、遊んで暮らせるし最高だよね!
でも、わたしの美貌でお金持ちのイケメン捕まえられれば、おいしいお菓子や料理食べ放題、素敵なドレスにアクセサリーも贅沢し放題!
うん、逆ハーして、攻略者対象者達に貢がせるのも悪くないかも。
そ・れ・に、エッチイベントは絶対外せないわ。
イケメン達にさんざんエロいことされて、とろけちゃいそうに気持ちよくなっちゃうの。きゃあ、ユリア恥ずかしいっ♡
スチルにはなかったけど、複数プレイも良さそうだな~。うん、絶対逆ハーしよう。
そのためには、攻略頑張らないとね!
……そう思ったけど、肝心の攻略対象に全然会えない! なんでよ!
お父様が言うには、「うちのような貧乏男爵家ではそうそう爵位の高い方にはお会いできないよ」ってことらしいけど、わたしはこの世界のヒロインよ! 攻略対象者の方から会いに来るべきじゃないの!
痺れを切らしたわたしは、家から出て王城に向かったわ。
そしたら、城に着いたわたしを見下ろした門番が、「なんだ、侍女希望か」なんて失礼なこと言うじゃない!
わたしはヒロインよ! ここは、「ようこそいらっしゃました」って、丁重にお通しするところでしょ! 第三王子のジェシー様攻略できたら、こんなモブ辞めさせてやるんだから!
とはいえ、俺様のジェシー様って、あんまり好みじゃないんだよね……立場も微妙だし。この国には既に王太子様がいるし、王様にはなれなそう。
でもま、ジェシー様も王子様だから贅沢はできるだろうし、その繋がりで王太子様も狙えるかも。そして兄弟でわたしの奪い合い……きゃっ、愛されすぎて困っちゃう♡
でも、やっぱり『愛プリ』人気ナンバーワンのオーティス様を一番に攻略したいかなあ~。
オーティス様は侯爵家子息だけど、悪役令嬢であるクローディアのわがままで無理矢理護衛騎士をさせられていた『愛プリ』一の美形。
騎士だけあって女性には傍目優しいけど、悪役令嬢クローディアからの酷い仕打ちで心を凍らせているという設定なのよ。
でもユリアと出会ったオーティス様は、その美しい心に触れて、凍った心を徐々に溶かし、ついには悪役令嬢を一緒に断罪するの。
待ってて、オーティス様! 今ヒロインのユリアちゃんがあなたの心を溶かしてあげるからね!
「……い。……は……かなのか?」
はっ! いけないいけない。イケメンな攻略対象のこと考えてて、目の前のモブのこと忘れてた。
「え? ごめん、聞いてなかった」
貴族令嬢の猫を被れなくて思わず素で言っちゃったけど、わたしはヒロインだから大丈夫だよね。
なのに、モブの門番がむっとするのはなんなのよ。わたしはこんなに可愛いんだから、少しはデレデレしろ。
「きちんと身分を証明してもらわなければ通すことはできない。男爵家の令嬢というのは確かなのか、と言ったんだ」
「そんなのシルフィーニ家の馬車で来たんだから分かるでしょ! 目ぇ付いてんの?」
「……それでは身分の証明にならない。馬車は盗んだものとも考えられるからな」
この門番使えなさすぎでしょ! 頭悪すぎ! たかがモブのくせして、ヒロインのわたしの邪魔をするなんて生意気よ!
「じゃあ、お父様に確認してよ! それまでここを動かないから!」
「……少し待っていろ」
能面みたいな顔をして、愛想なく答えた門番にわたしはむかついた。
なんなのこの門番、わたしは貴族令嬢なのに態度悪すぎ! 絶対にジェシー様に言いつけてやるわ!
なんだかんだとかなり待たされて、ようやく城に入ることができたわ。まったくお役所仕事って嫌よね!
わたしは門番とは別の騎士に案内されて、なぜか侍女長とかいうのに会うことになってしまったんだけど、まあ攻略対象に会うためなら我慢してやるわ。
……ああ、めんどくさい。ゲームでは悪役令嬢の家の舞踏会で会うはずなのに!
そう思って高そうな赤い絨毯の敷かれた廊下を歩いてたんだけど、急にわたしを案内していた騎士が立ち止まった。
……ちょっと、ぶつかりそうになったじゃない。気をつけてよ! 可愛いユリアちゃんの鼻でもぶつけたら大変よ。ヒロインは鼻血ブーしちゃ駄目なのよ!
騎士に一言文句を言ってやろうかと思って口を開きかけたら、その視線の先にとんでもない美形がいることに気がついたの。
キラキラのハニーブロンドに海みたいな深いブルーアイ。
美しすぎる顔はまさに王子様のよう。
そして体は乙女の憧れ、細マッチョ。
その場を圧倒する存在感でこちらに歩いてくるその姿は、きびきびしていて超かっこいい!
わたしはここで迷うことなく確信した。
『愛プリ』人気ナンバーワン攻略対象者、オーティス様来た──!!
5
お気に入りに追加
6,362
あなたにおすすめの小説
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
執着王子の唯一最愛~私を蹴落とそうとするヒロインは王子の異常性を知らない~
犬の下僕
恋愛
公爵令嬢であり第1王子の婚約者でもあるヒロインのジャンヌは学園主催の夜会で突如、婚約者の弟である第二王子に糾弾される。「兄上との婚約を破棄してもらおう」と言われたジャンヌはどうするのか…
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
サロン勤めで拘束時間は長く、休みもなかなか取れずに働きに働いた結果。
貯金残高はビックリするほど貯まってたけど、使う時間もないまま転生してた。
そして通勤の電車の中で暇つぶしに、ちょろーっとだけ遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したっぽい?
あんまり内容覚えてないけど…
悪役令嬢がムチムチしてたのだけは許せなかった!
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドを堪能してくださいませ?
********************
初投稿です。
転生侍女シリーズ第一弾。
短編全4話で、投稿予約済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる