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「お、お待ちください! なぜ加害者のマグノリアとホルスト家が退場を命じられないのですか!?」
王命だというのにもかかわらず、サバス様は陛下に反論した。
既に陛下の決定がくだされたっていうのに、それに文句をつけるとか馬鹿すぎる。現に、陛下は不快をあらわにするかのように、その眉間にしわを刻んでいらっしゃる。
「パーティで騒ぎ立て、王家を侮辱した者を排除するだけだ。それにマグノリア嬢は当たらん」
「そんな……っ! 僕たちが王家を侮辱するなんてありえません! それに、マグノリアはビッチをいじめたのですよ!」
……本気で言ってるなら、救いようのない馬鹿だ。自分がなにをしたか覚えてないんだろうか。
「国一番の財力を持つ伯爵家の令嬢であるマグノリア嬢が、無礼な男爵令嬢をいじめたところで、いったいなんの咎があるというのだ? むしろ悪役令嬢などと申して、衆人環視の場でマグノリア嬢を貶めたそこの男爵令嬢こそ、いじめた側だと思うが」
「陛下は、そこの女狐にだまされているのです! マグノリアはビッチに嫉妬して……!」
「……嫉妬? そこの男爵令嬢より、家柄も美貌も能力もはるかに優れているマグノリア嬢がなぜ嫉妬しなければならないのだ?」
「ひっ、ひどい! マグノリアの家が権力あるからって、王様なのにひいきするんですか!」
ビッチちゃんが浅ましくも泣きまねをしながら訴える。
……王様なのにって、それも不敬だからね? さっきの王太子様への発言もそうだし、ビッチちゃんの不敬カウンター、もう振り切れちゃってるんじゃないの?
「黙れ、この無礼者が」
陛下がそうおっしゃった途端、近くにいた中年の男性が倒れた。
あれ、このショッキングピンクの髪、もしかしてビッチちゃんの父親のスタイン男爵かな? 空気すぎてわからなかった。
「陛下! ビッチに対してひどすぎます! マグノリアは僕に愛されぬ嫉妬から、ビッチをいじめたんですよ!」
うわあー……、まだ言うか。
陛下が今や恐ろしい気を発してるのが分からないのだろうか。
「愛されぬ嫉妬から? 先程マグノリア嬢は、そなたの性格の現れた顔が好みではないと申していたが? 顔どころか性格も受けつけないと言われたようなものなのに、どこまでもめでたい考えのようだな」
「なっ、な……っ!」
陛下にこきおろされたサバス様が屈辱からか顔を真っ赤にして絶句する。
……うんまあ、わたしもそのつもりで言ったんだけど、顔が普通、好みじゃないってとこまでしか聞いてなかったみたいだね。それも覚えてたかどうだか、あの嫉妬発言からすると疑問だけど。
「──話は戻るが、王家を侮辱していないと申したな? 王家主催のパーティで勝手に騒ぎ立てるのが王家への侮辱でなくてなんなのだ? 国賓の前でのそなたらの所業、国の恥でしかない」
「な……っ、しかし、これはっ!」
「それに、王太子が場所を選べと注意したにもかかわらず、それを無視して騒ぎ立てる始末」
「でっ、ですが……っ!」
「なにが、ですがなのだ? おまけに王妃の実家と義姪を逆恨みで侮辱したな。これはハウアー侯爵家のみならず、その家から妃を迎えた王家に対する侮辱でもある」
わー、すっかり陛下が断罪モードになられてるわ。まあ、あれだけコケにされたら言いたくもなるよね。
「い、いや、しかしっ、ディアナ嬢は僕を愛していて、嫉妬からビッチをいじめたのです!」
……こいつ、ほんまもんのアホだ。
間違ってもディアナがこいつを好きになるわけはない。
「相手にもされていないのに、なにが嫉妬だ。ディアナ嬢には相思相愛の婚約者がおる。マグノリア嬢のことといい、そのようなくだらぬ妄想はやめることだな」
「……なっなっなっ!」
憤死せんばかりに真っ赤になってるサバス様に、会場中からくすくすと笑いが起こる。
ディアナはお兄様と結構早い段階で婚約してたし、なんでパーカー侯爵家の馬鹿親子は婚約の申し込みなんかしたんだ?
そんなことを考えていた時、お父様が陛下の前にすっと進み出た。
「──陛下、少しよろしいでしょうか」
「よい、許す」
「はっ。この調子では、真実を告げてもこの方達に理解していただけないようですし、いっそのこと大審議で白黒はっきりさせてはどうかと思うのですが」
「……そうだな。それがよいか。それでは、この件については精査の上、後日大審議を行うこととする」
おおーっ、大審議まで行きましたか! まあ、これだけやらかしてたら当然かな。
あ、大審議って、国による裁判みたいなものだよ。
なにを思ってるのか、サバス様とビッチちゃんはにやにやしてる。王家への侮辱と陛下の口から出てるのに、お花畑にもほどがあるだろ。
「──それでは、この場にそぐわぬ者には退場してもらおうか。近衛よ、この者達を引っ立てよ!」
「えっ、なんでっ、は、離してよ!」
「無礼者! 侯爵家の子息である僕に、このようなまねをしていいと思ってるのか!!」
……いやいや、無礼者はあんただから。
近衛騎士は陛下のご命令を遂行しただけだし、それに無礼って言うのは、陛下に無礼って言うのと同じことだからね?
そんなこんなで、わめくお花畑達と倒れた侯爵と男爵は近衛によって連行され、ようやくパーティは再開されたのだった。
王命だというのにもかかわらず、サバス様は陛下に反論した。
既に陛下の決定がくだされたっていうのに、それに文句をつけるとか馬鹿すぎる。現に、陛下は不快をあらわにするかのように、その眉間にしわを刻んでいらっしゃる。
「パーティで騒ぎ立て、王家を侮辱した者を排除するだけだ。それにマグノリア嬢は当たらん」
「そんな……っ! 僕たちが王家を侮辱するなんてありえません! それに、マグノリアはビッチをいじめたのですよ!」
……本気で言ってるなら、救いようのない馬鹿だ。自分がなにをしたか覚えてないんだろうか。
「国一番の財力を持つ伯爵家の令嬢であるマグノリア嬢が、無礼な男爵令嬢をいじめたところで、いったいなんの咎があるというのだ? むしろ悪役令嬢などと申して、衆人環視の場でマグノリア嬢を貶めたそこの男爵令嬢こそ、いじめた側だと思うが」
「陛下は、そこの女狐にだまされているのです! マグノリアはビッチに嫉妬して……!」
「……嫉妬? そこの男爵令嬢より、家柄も美貌も能力もはるかに優れているマグノリア嬢がなぜ嫉妬しなければならないのだ?」
「ひっ、ひどい! マグノリアの家が権力あるからって、王様なのにひいきするんですか!」
ビッチちゃんが浅ましくも泣きまねをしながら訴える。
……王様なのにって、それも不敬だからね? さっきの王太子様への発言もそうだし、ビッチちゃんの不敬カウンター、もう振り切れちゃってるんじゃないの?
「黙れ、この無礼者が」
陛下がそうおっしゃった途端、近くにいた中年の男性が倒れた。
あれ、このショッキングピンクの髪、もしかしてビッチちゃんの父親のスタイン男爵かな? 空気すぎてわからなかった。
「陛下! ビッチに対してひどすぎます! マグノリアは僕に愛されぬ嫉妬から、ビッチをいじめたんですよ!」
うわあー……、まだ言うか。
陛下が今や恐ろしい気を発してるのが分からないのだろうか。
「愛されぬ嫉妬から? 先程マグノリア嬢は、そなたの性格の現れた顔が好みではないと申していたが? 顔どころか性格も受けつけないと言われたようなものなのに、どこまでもめでたい考えのようだな」
「なっ、な……っ!」
陛下にこきおろされたサバス様が屈辱からか顔を真っ赤にして絶句する。
……うんまあ、わたしもそのつもりで言ったんだけど、顔が普通、好みじゃないってとこまでしか聞いてなかったみたいだね。それも覚えてたかどうだか、あの嫉妬発言からすると疑問だけど。
「──話は戻るが、王家を侮辱していないと申したな? 王家主催のパーティで勝手に騒ぎ立てるのが王家への侮辱でなくてなんなのだ? 国賓の前でのそなたらの所業、国の恥でしかない」
「な……っ、しかし、これはっ!」
「それに、王太子が場所を選べと注意したにもかかわらず、それを無視して騒ぎ立てる始末」
「でっ、ですが……っ!」
「なにが、ですがなのだ? おまけに王妃の実家と義姪を逆恨みで侮辱したな。これはハウアー侯爵家のみならず、その家から妃を迎えた王家に対する侮辱でもある」
わー、すっかり陛下が断罪モードになられてるわ。まあ、あれだけコケにされたら言いたくもなるよね。
「い、いや、しかしっ、ディアナ嬢は僕を愛していて、嫉妬からビッチをいじめたのです!」
……こいつ、ほんまもんのアホだ。
間違ってもディアナがこいつを好きになるわけはない。
「相手にもされていないのに、なにが嫉妬だ。ディアナ嬢には相思相愛の婚約者がおる。マグノリア嬢のことといい、そのようなくだらぬ妄想はやめることだな」
「……なっなっなっ!」
憤死せんばかりに真っ赤になってるサバス様に、会場中からくすくすと笑いが起こる。
ディアナはお兄様と結構早い段階で婚約してたし、なんでパーカー侯爵家の馬鹿親子は婚約の申し込みなんかしたんだ?
そんなことを考えていた時、お父様が陛下の前にすっと進み出た。
「──陛下、少しよろしいでしょうか」
「よい、許す」
「はっ。この調子では、真実を告げてもこの方達に理解していただけないようですし、いっそのこと大審議で白黒はっきりさせてはどうかと思うのですが」
「……そうだな。それがよいか。それでは、この件については精査の上、後日大審議を行うこととする」
おおーっ、大審議まで行きましたか! まあ、これだけやらかしてたら当然かな。
あ、大審議って、国による裁判みたいなものだよ。
なにを思ってるのか、サバス様とビッチちゃんはにやにやしてる。王家への侮辱と陛下の口から出てるのに、お花畑にもほどがあるだろ。
「──それでは、この場にそぐわぬ者には退場してもらおうか。近衛よ、この者達を引っ立てよ!」
「えっ、なんでっ、は、離してよ!」
「無礼者! 侯爵家の子息である僕に、このようなまねをしていいと思ってるのか!!」
……いやいや、無礼者はあんただから。
近衛騎士は陛下のご命令を遂行しただけだし、それに無礼って言うのは、陛下に無礼って言うのと同じことだからね?
そんなこんなで、わめくお花畑達と倒れた侯爵と男爵は近衛によって連行され、ようやくパーティは再開されたのだった。
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