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第七章:試行錯誤
第74話 いがみ合いは良くない
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──よし、うまく淹れられたぞ。
わたしとしては会心の出来のドリップコーヒーに思わず顔を綻ばせながら、あらかじめ温めてあったカップにそれを注ぐ。
「お待たせ」
それをシルヴィ達に振る舞いながらも、わたしは昨日買ってきた美味しいと評判のシフォンケーキを彼らに勧める。
もうちょっとしたら、自分でクッキーくらいは焼いてみたいなあ。それで、カレヴィに食べてもらえたら凄く嬉しいかもしれない。
喪女時代は考えられなかった自分の変化にわたしは心の中で喜んだ。うん、いい傾向だぞ。
わたしもあまり女捨てたような言動はこれから徐々に控えて、カレヴィの妃にふさわしくなるように頑張ろう。
わたしがそんなことを考えている間に、コーヒーを口にした二人が口々に褒めてくれる。
「香り高くて、コクとキレが絶妙でおいしいです」
「本当にハルカは飲み物を淹れるのがうまいですね」
「ありがとう」
わたしは二人の褒め言葉に素直に礼を言って微笑んだ。
そして、自分のカップに口を付けて、思い通りにうまくコーヒーが淹れられたことにほっとした。
「……そういえば、シルヴィは昨日カレヴィに謹慎処分を受けたって聞いたけど、わたしとしては兄弟同士仲良くして欲しいな」
それでシフォンケーキをつついていたシルヴィがちょっとむっとしたように言い返してきた。
「恋敵同士で仲良くなんて無理ですよ。……現に兄王は俺に罰を与えたでしょう?」
う、確かにそれはそうなんだけど。
「で、でも、シルヴィ、あんなにカレヴィのこと慕ってたじゃない。わたしとしてはいがみ合う二人を見るのは苦しいよ」
わたしがうろたえながらシルヴィを見ると、彼は少し笑った。
「……謹慎処分が短くなったのは、あなたが兄王に意見したからだそうですね。それはとてもありがたいと思っていますよ。けれど、一度あなたを欲しいと口にしてしまった以上、兄王は心の中では怒りで煮えたぎっていると思いますよ」
……それっていわゆる、可愛さ余って憎さ百倍というやつか。
わたしのせいで二人の間に亀裂が入るのは避けたいんだけどなあ。
わたしがそんなことを思いながら溜息をついていると、それまでわたしとシルヴィとのやりとりを黙って聞いていたイアスが口を出してきた。
「ハルカさん、男の嫉妬は怖いですよ。それに、意中の女性を射止めるためなら、恋敵を蹴落とすくらいは簡単にやりますよ」
男性の嫉妬が怖いことは、カレヴィに乱暴なことをされたことで嫌というほど思い知ったけどさ。
でも、それが実直そうなイアスの口から出るとなんだか恐ろしい。
「ああ、それから兄のことですが、昨日ハルカさんに不埒なことをした罰を受けて貰いましたから」
「え……?」
イアスは淡々と語っているけれど、いったいどんな罰をアーネスに下したって言うんだろう。
「ば、罰って……?」
恐る恐るイアスに確認すると、彼は大したことでもないというように少し肩を竦めた。
「ハルカさんが心配するようなことではないですよ。ただ単に兄上を屋敷から三日間ほど出られなくしただけです」
……そ、それって、カレヴィがシルヴィに最初に出した三日間の謹慎処分と大差ないと思うんだけど。
わたしは冷や汗が出る思いで彼を見つめていると、イアスはとどめの一言を発した。
「これはティカ様……ティカさんの指示でもあります。実際に彼女から兄上を屋敷に縛り付ける協力もしていただきました」
ち、千花……。
昨日、焼肉食べてからわたしが家に帰ってのんびりしているうちに、イアスとそんな結託してたんだ。
相変わらず、わたしに変なちょっかいを出す人間にはやることがとても厳しい。
「そ、そう……。でも、わたしもアーネスとはしばらく会いたくないと思っていたから、結果的には良かったかもしれないね」
「ええ。今まで執務も家令に任せることが多くて困っていたのですが、これを機に公爵としての役目を果たしていただくのも悪くはありませんね」
そう言うイアスはとても楽しそうだ。
なんだか、本心ではざまあとか思ってそうだなあ。今までイアスのことを誠実でいい人とばかり思っていたイメージがなんだかガラガラと崩れてきそうだ。
「……まあ、アーネスは今までが今までだったから自業自得とも言えるな」
シフォンケーキをすっかり平らげて、シルヴィはコーヒーを飲みながら楽しそうに笑った。
……そうか。それなら確かにアーネスはそう言われても仕方ないだろう。それに女性関係も派手だったらしいしね。
それでわたしと会うまでは仕事一筋だったカレヴィの親友だというのだから世の中分からない。
よくそれで、わたしに溺れすぎてるとカレヴィに苦言出来たな。
わたしはその時のことを思い出してちょっとむっとしてそれを口に出してしまった。
「まあ、兄もやれば仕事は早いんですよ。ただ、そのやる気にムラがあるというか。これで少しは反省してこのまま執務に集中してくれれば僕も助かります」
まあ、アーネスは確かにやることに卒がないからカレヴィもそんなに文句は言えなかったんだろうということは想像に難くない。
「……それは、アーネスの動きを一時的でも封じられるからだろう。おまえも案外悪どいな、イアス」
シルヴィのその言葉に、厳しい顔でイアスが返した。
「シルヴィ、それはそのまま君にお返しするよ。元老院にハルカさんが陛下の子を産めないと通達すると言ったのは他ならぬ君だよ」
そのまま睨みあった二人から火花が散った気がした。
うわあ、二人とも剣呑過ぎる!
こ、これを収めるにはどうしたら……あ、そうだ。
「ちょっと、二人とも喧嘩するならもう帰ってよっ」
すると、二人ともあちらの空間に吸い込まれるように消えかかっていく。
「ハルカ……!」
シルヴィが不満そうにわたしを見てくるけど、わたしは横を向いてそれをやり過ごした。……まあ、ちょっとは心が痛むけどさ。
「ハルカさん、覚えておいてください。僕はすぐにでも陛下へあなたに正式に求婚することを伝えますよ」
シルヴィがもう消えているのに、魔力の高いイアスはまだこっちに残っていて、素早くわたしの手を取るとそこに口づけた。
その彼も千花の魔法の威力には適わないらしく、その体勢のまま消えた。
──なんだかなあ。こんな年上の女に関わらなくても二人ともいくらでもいい相手がいるだろうに。
さっきまでの喧噪が消えて、わたしはすっかり冷めてしまったコーヒーを飲んだ。……うん、まずくはないけどやっぱり温かい方がいい。
わたしがこれから起こるいろいろな面倒なことを思って溜息を付いていると、ふいにインターホンがなった。
あれ、なんだろ?
印刷所から本が届くのはまだ早いよね?
わたしが首を傾げながらも応答したら、それは千花だった。
あれ、どうして千花が外から来るんだろう、と不思議に思いながらも、わたしは玄関のドアを開けた。
すると、千花は小脇にスピーカーみたいなのを抱えていた。
あ、もしかしなくてもわたしのために癒しの音楽用に買ってきてくれたのかな。
「悪いけど、はるかにクラシック音楽のアプリ買って貰うね。CDを買うことも考えたけど、それだと場所も取るから」
千花、わざわざそこまで考えてくれてたのか。
「ありがとう、千花」
それでわたしは千花の言う通りに、スマートフォンの彼女のお薦めアプリをストアから買って同期した。……けれど、かなりの容量らしく同期に時間がかかっている。
その間に千花は段ボールからわたしの携帯用の黒いドック付スピーカーを出してきて、事務所の棚においた。
そこには昨日買ってきたローズクォーツのさざれや、アロマディフューザーも置いてある。
スマートフォンの同期の間に、わたしは千花からその機器の使い方を教わった。
「あ、勝手に入っちゃって悪かったけど、お客がいたから、先にはるかの部屋に入ってこれと色違いなのをセッティングさせて貰ったから」
うん、もう汚部屋住人じゃないから、いつでも入ってくれてOKだよ。
それに、ちょっとややこしいことになってたしね。最後には二人に強制的に帰って貰っちゃったけどさ。
千花もその辺は心得ているらしくにこやかに言ってきた。
「まあ、男を調子に乗らせると、だんだんエスカレートしてくるから、はるかの判断は正しかったと思うよ」
「うーん、それならいいんだけど」
いまいち自信のないわたしは首を傾げながらも言う。
「もうっ、はるかはもうちょっと自分に自信持ちなさいよー!」
どーんと千花に背中をどつかれて、わたしは思わず前のめりになる。
そんなどつき漫才のようなやりとりの中で、ドックのスピーカーから流れている曲はなぜか重厚なレクイエムだった。
わたしとしては会心の出来のドリップコーヒーに思わず顔を綻ばせながら、あらかじめ温めてあったカップにそれを注ぐ。
「お待たせ」
それをシルヴィ達に振る舞いながらも、わたしは昨日買ってきた美味しいと評判のシフォンケーキを彼らに勧める。
もうちょっとしたら、自分でクッキーくらいは焼いてみたいなあ。それで、カレヴィに食べてもらえたら凄く嬉しいかもしれない。
喪女時代は考えられなかった自分の変化にわたしは心の中で喜んだ。うん、いい傾向だぞ。
わたしもあまり女捨てたような言動はこれから徐々に控えて、カレヴィの妃にふさわしくなるように頑張ろう。
わたしがそんなことを考えている間に、コーヒーを口にした二人が口々に褒めてくれる。
「香り高くて、コクとキレが絶妙でおいしいです」
「本当にハルカは飲み物を淹れるのがうまいですね」
「ありがとう」
わたしは二人の褒め言葉に素直に礼を言って微笑んだ。
そして、自分のカップに口を付けて、思い通りにうまくコーヒーが淹れられたことにほっとした。
「……そういえば、シルヴィは昨日カレヴィに謹慎処分を受けたって聞いたけど、わたしとしては兄弟同士仲良くして欲しいな」
それでシフォンケーキをつついていたシルヴィがちょっとむっとしたように言い返してきた。
「恋敵同士で仲良くなんて無理ですよ。……現に兄王は俺に罰を与えたでしょう?」
う、確かにそれはそうなんだけど。
「で、でも、シルヴィ、あんなにカレヴィのこと慕ってたじゃない。わたしとしてはいがみ合う二人を見るのは苦しいよ」
わたしがうろたえながらシルヴィを見ると、彼は少し笑った。
「……謹慎処分が短くなったのは、あなたが兄王に意見したからだそうですね。それはとてもありがたいと思っていますよ。けれど、一度あなたを欲しいと口にしてしまった以上、兄王は心の中では怒りで煮えたぎっていると思いますよ」
……それっていわゆる、可愛さ余って憎さ百倍というやつか。
わたしのせいで二人の間に亀裂が入るのは避けたいんだけどなあ。
わたしがそんなことを思いながら溜息をついていると、それまでわたしとシルヴィとのやりとりを黙って聞いていたイアスが口を出してきた。
「ハルカさん、男の嫉妬は怖いですよ。それに、意中の女性を射止めるためなら、恋敵を蹴落とすくらいは簡単にやりますよ」
男性の嫉妬が怖いことは、カレヴィに乱暴なことをされたことで嫌というほど思い知ったけどさ。
でも、それが実直そうなイアスの口から出るとなんだか恐ろしい。
「ああ、それから兄のことですが、昨日ハルカさんに不埒なことをした罰を受けて貰いましたから」
「え……?」
イアスは淡々と語っているけれど、いったいどんな罰をアーネスに下したって言うんだろう。
「ば、罰って……?」
恐る恐るイアスに確認すると、彼は大したことでもないというように少し肩を竦めた。
「ハルカさんが心配するようなことではないですよ。ただ単に兄上を屋敷から三日間ほど出られなくしただけです」
……そ、それって、カレヴィがシルヴィに最初に出した三日間の謹慎処分と大差ないと思うんだけど。
わたしは冷や汗が出る思いで彼を見つめていると、イアスはとどめの一言を発した。
「これはティカ様……ティカさんの指示でもあります。実際に彼女から兄上を屋敷に縛り付ける協力もしていただきました」
ち、千花……。
昨日、焼肉食べてからわたしが家に帰ってのんびりしているうちに、イアスとそんな結託してたんだ。
相変わらず、わたしに変なちょっかいを出す人間にはやることがとても厳しい。
「そ、そう……。でも、わたしもアーネスとはしばらく会いたくないと思っていたから、結果的には良かったかもしれないね」
「ええ。今まで執務も家令に任せることが多くて困っていたのですが、これを機に公爵としての役目を果たしていただくのも悪くはありませんね」
そう言うイアスはとても楽しそうだ。
なんだか、本心ではざまあとか思ってそうだなあ。今までイアスのことを誠実でいい人とばかり思っていたイメージがなんだかガラガラと崩れてきそうだ。
「……まあ、アーネスは今までが今までだったから自業自得とも言えるな」
シフォンケーキをすっかり平らげて、シルヴィはコーヒーを飲みながら楽しそうに笑った。
……そうか。それなら確かにアーネスはそう言われても仕方ないだろう。それに女性関係も派手だったらしいしね。
それでわたしと会うまでは仕事一筋だったカレヴィの親友だというのだから世の中分からない。
よくそれで、わたしに溺れすぎてるとカレヴィに苦言出来たな。
わたしはその時のことを思い出してちょっとむっとしてそれを口に出してしまった。
「まあ、兄もやれば仕事は早いんですよ。ただ、そのやる気にムラがあるというか。これで少しは反省してこのまま執務に集中してくれれば僕も助かります」
まあ、アーネスは確かにやることに卒がないからカレヴィもそんなに文句は言えなかったんだろうということは想像に難くない。
「……それは、アーネスの動きを一時的でも封じられるからだろう。おまえも案外悪どいな、イアス」
シルヴィのその言葉に、厳しい顔でイアスが返した。
「シルヴィ、それはそのまま君にお返しするよ。元老院にハルカさんが陛下の子を産めないと通達すると言ったのは他ならぬ君だよ」
そのまま睨みあった二人から火花が散った気がした。
うわあ、二人とも剣呑過ぎる!
こ、これを収めるにはどうしたら……あ、そうだ。
「ちょっと、二人とも喧嘩するならもう帰ってよっ」
すると、二人ともあちらの空間に吸い込まれるように消えかかっていく。
「ハルカ……!」
シルヴィが不満そうにわたしを見てくるけど、わたしは横を向いてそれをやり過ごした。……まあ、ちょっとは心が痛むけどさ。
「ハルカさん、覚えておいてください。僕はすぐにでも陛下へあなたに正式に求婚することを伝えますよ」
シルヴィがもう消えているのに、魔力の高いイアスはまだこっちに残っていて、素早くわたしの手を取るとそこに口づけた。
その彼も千花の魔法の威力には適わないらしく、その体勢のまま消えた。
──なんだかなあ。こんな年上の女に関わらなくても二人ともいくらでもいい相手がいるだろうに。
さっきまでの喧噪が消えて、わたしはすっかり冷めてしまったコーヒーを飲んだ。……うん、まずくはないけどやっぱり温かい方がいい。
わたしがこれから起こるいろいろな面倒なことを思って溜息を付いていると、ふいにインターホンがなった。
あれ、なんだろ?
印刷所から本が届くのはまだ早いよね?
わたしが首を傾げながらも応答したら、それは千花だった。
あれ、どうして千花が外から来るんだろう、と不思議に思いながらも、わたしは玄関のドアを開けた。
すると、千花は小脇にスピーカーみたいなのを抱えていた。
あ、もしかしなくてもわたしのために癒しの音楽用に買ってきてくれたのかな。
「悪いけど、はるかにクラシック音楽のアプリ買って貰うね。CDを買うことも考えたけど、それだと場所も取るから」
千花、わざわざそこまで考えてくれてたのか。
「ありがとう、千花」
それでわたしは千花の言う通りに、スマートフォンの彼女のお薦めアプリをストアから買って同期した。……けれど、かなりの容量らしく同期に時間がかかっている。
その間に千花は段ボールからわたしの携帯用の黒いドック付スピーカーを出してきて、事務所の棚においた。
そこには昨日買ってきたローズクォーツのさざれや、アロマディフューザーも置いてある。
スマートフォンの同期の間に、わたしは千花からその機器の使い方を教わった。
「あ、勝手に入っちゃって悪かったけど、お客がいたから、先にはるかの部屋に入ってこれと色違いなのをセッティングさせて貰ったから」
うん、もう汚部屋住人じゃないから、いつでも入ってくれてOKだよ。
それに、ちょっとややこしいことになってたしね。最後には二人に強制的に帰って貰っちゃったけどさ。
千花もその辺は心得ているらしくにこやかに言ってきた。
「まあ、男を調子に乗らせると、だんだんエスカレートしてくるから、はるかの判断は正しかったと思うよ」
「うーん、それならいいんだけど」
いまいち自信のないわたしは首を傾げながらも言う。
「もうっ、はるかはもうちょっと自分に自信持ちなさいよー!」
どーんと千花に背中をどつかれて、わたしは思わず前のめりになる。
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