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第六章:虎視眈々
第68話 真摯な告白
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ずい、と乗り出してくるアーネスを避けるためにわたしは思わず仰け反った。
けれど、それにも関わらず、アーネスはわたしの背に腕を回して抱き寄せてくる。
ちょ、うああぁぁっ。
「ちょっと、アーネス、離してっ」
「こんな素晴らしい機会にそのお願いはいくら君でも聞けないね」
くぅっ、このいけずっ!
わたしが睨んでも、アーネスは一向に堪えていない様子だった。
それどころか更にわたしを強く抱き寄せてくる。
「ハルカ嬢はとても抱き心地がいいね。君を独り占めしていたカレヴィがとても羨ましいよ」
……って、セクハラかよ!
それで思わずわたしの口調が冷たくなる。
「独り占めしていたって言うけど、わたしは今もカレヴィの婚約者だよ」
だけど、敵も百戦錬磨の女たらし、一筋縄ではいかなかった。
「けれど、今後の状況では事態はどう転ぶか分からないしね。シルヴィもカレヴィに宣戦布告したって言うし」
……なんだ、もうアーネスにはその情報が行ってるのか。まあ、彼ならそこら辺の侍女をちょっとたらし込めばすぐ情報は入ってきそうだけど。
「いいから、もういい加減離してよ。苦しい」
そう言えば、彼から解放されるかなと思ったけれど、アーネスはわたしを離さなかった。
「悪いけど断るよ。そうしたら、君は僕から逃げるだろう?」
それは当たり前だ。わたしはカレヴィの婚約者なんだから。
わたしがぎっと睨むと、アーネスは気を悪くした様子もなく、わたしに顔を傾けてきた。
けれど、千花の防御壁に守られているわたしはアーネスのキスを防いだ。
その衝撃で少し飛ばされたアーネスは驚いたように瞳を見開いた。
「……ティカ殿の防御壁か。どうも彼女は君に対して過保護過ぎるところがあるね」
千花がわたしに過保護なのは同意だけど、この場合はとても助かった。
「アーネスみたいな人がいるから、それでもこれは有効だと思うけど」
それに、それでシルヴィのキスも跳ね返したんだよね。
それを思い返して、わたしはちょっと赤面してしまった。
「……ふうん。どうやら、ハルカ嬢はシルヴィにもされそうになったみたいだね」
それを聞いて、わたしは馬鹿正直にぎっくりしちゃった。
「どうやら図星のようだね。……それでも、魔術師のイアスは解除方法を知ってるし、それで安心しないことだ」
ええ? イアスがなんでこの魔法を解除するの?
「イアスはそんなことしないよ」
なんたって真面目だし。無理矢理わたしの嫌がるようなことはしないはずだ。
すると、アーネスは呆れたように深い溜息を付いてきた。
……なんなんだ、これ見よがしに。
「ハルカ嬢は男というものを分かっていなさすぎる。本気で欲しいと感じたら、いくらイアスでも手段は選ばないと思うよ」
それで、わたしはアーネスをまじまじと見ちゃった。
「宮廷魔術師のイアスがそんなことするとは思えないんだけど」
「イアスは公爵家出身だ。そんなことをしなくても生活に困るということはない。それに、我が弟ながら魔術師としては大変優秀でね。その点でも、他からいくらでも引く手あまただ」
……そういえば、この間イアス、あの大陸で二人しか出来ないという異世界への空間を開ける魔法を千花から教わっていたっけ。
その点でも、千花のイアスへの期待が伺えるし、アーネスの言うことはあながち間違ってないのかもしれない。
それに、千花もなんだかイアス押しみたいだったしさ。
「そ、そうなんだ。凄いね」
わたしが笑いを顔に張り付けてそう言うと、再びアーネスが近づいてきた。
それで思わず、わたしはじりじりと後ろへと後退する。が、こんな時にわたしの背に壁が当たった。
冷や汗をかくわたしに対して、アーネスは余裕の表情でわたしの両脇に手をついた。
──絶対絶命。逃げられない!
「……とりあえず、ティカ殿の防御壁がどこまで効いているか確かめる必要があるね。抱きしめることは出来るから、どうやら我々に厳しいだけでもないようだし」
そう言うと、アーネスはわたしの瞼にキスをいきなり落としてきた。
わたしは身を捩って逃げようとしたけれど、アーネスの方が素早かった。
「ふうん、ここは大丈夫なのか。と、すると……」
アーネスは考えてるような素振りでわたしを抱きしめ、顎を摘むと、頬に遠慮なしにキスしてくる。……ちょっとぉ!
「なにすんのよ! 勝手にキスなんてしないでっ、……ひゃんっ!」
わたしはブラウスの襟を押し広げられて首筋にキスされてしまった。
これは全く予期していなかったから、わたしはつい変な声を上げてしまった。
そして、まずいことにそれが更にアーネスに火を付けてしまったみたいだった。
「本当にハルカ嬢……、いやハルカは可愛らしい声で啼くね」
目を眇めてそういうアーネスは完全に獲物を狙う肉食獣の目で、わたしは恐ろしさに身を竦めてしまった。
「そんな目で見られると、なんだか苛めたくなるな」
ひいぃぃっ!
飛び上がりたかったけど、アーネスにがっちりホールドされていて、わたしは身動きも出来ない。
そしてアーネスはわたしのブラウスのボタンを二つ外すと、更に胸元を押し広げ、再びわたしの首筋に唇を這わせてきた。
絶妙な感覚でそこを舌で刺激されて、わたしは思わず声を出しそうになる。
「声を出してもいいんだよ」
ちゅっとわざと音を立てながらアーネスはわたしの肌を吸い上げた。……きっと、そこには彼の唇の痕が残っているはずだ。
……いくらなんでも、こんなのお遊びとしては酷すぎるよ。
それに、一応わたしはカレヴィの婚約者なんだよ。
わたしが異世界出身の女で、彼にとっては珍しい存在だからって酷すぎる。
そう思ったら、なんだか涙が出てきた。
それに気づいたアーネスが驚いたようにわたしを見た。
「ハルカ……、なぜ泣くんだい」
わたしはアーネスのその言葉に思わずかっとして言い返してしまった。
「わたしのこと好きでもないのに、無理矢理こんなことするなんて酷すぎるでしょ。わたしはおもちゃじゃないよっ」
言いながらなんだか哀しくなって、わたしはぼろぼろと涙が止まらなくなってしまった。
少なくとも他の求婚者のシルヴィやイアスはわたしに対する気遣いがあった。
でもアーネスは、面白がってわたしにちょっかいをかけているとしか思えない。
わたしが泣きながら彼を睨みつけていると、やがて彼はわたしを抱きしめる腕を緩めた。……けど、それでもわたしは彼から逃げられない。
「……確かに君に対して、わたしはらしくもなく順序を間違えてしまったかもしれないな」
アーネスはそこで息を付くと、わたしの唇にキスしようとしてきた。
でも、そこには千花の防御魔法がかかっている。
それでようやくわたしはアーネスから解放されて、慌てて胸元を掻きあわせた。
抜け目のなさそうなアーネスがこのことを失念していたのは少し驚きだけど、わたしとしては助かった。
そんなわたしにアーネスは再び近づいてくる。
それに対して、わたしはびくりと大げさなくらい反応してしまった。
それに構わず、アーネスはわたしの背を攫い、抱きしめる。
「や、やだ……っ」
わたしは首を横に振って彼を拒絶しようとしたけれど、アーネスは再びわたしの頤に手をかけ、彼らしくもない視線でわたしを見つめた。
それは、カレヴィがわたしを見つめる時のような熱い視線。
「……どうやら君は誤解しているようだが、わたしは伊達や酔狂で君の求婚者に名乗りを挙げた訳ではない。──わたしは君を愛している」
にわかには信じがたい彼の告白に、わたしは彼を見返した。
──けれど、アーネスの顔は真摯そのものだった。
けれど、それにも関わらず、アーネスはわたしの背に腕を回して抱き寄せてくる。
ちょ、うああぁぁっ。
「ちょっと、アーネス、離してっ」
「こんな素晴らしい機会にそのお願いはいくら君でも聞けないね」
くぅっ、このいけずっ!
わたしが睨んでも、アーネスは一向に堪えていない様子だった。
それどころか更にわたしを強く抱き寄せてくる。
「ハルカ嬢はとても抱き心地がいいね。君を独り占めしていたカレヴィがとても羨ましいよ」
……って、セクハラかよ!
それで思わずわたしの口調が冷たくなる。
「独り占めしていたって言うけど、わたしは今もカレヴィの婚約者だよ」
だけど、敵も百戦錬磨の女たらし、一筋縄ではいかなかった。
「けれど、今後の状況では事態はどう転ぶか分からないしね。シルヴィもカレヴィに宣戦布告したって言うし」
……なんだ、もうアーネスにはその情報が行ってるのか。まあ、彼ならそこら辺の侍女をちょっとたらし込めばすぐ情報は入ってきそうだけど。
「いいから、もういい加減離してよ。苦しい」
そう言えば、彼から解放されるかなと思ったけれど、アーネスはわたしを離さなかった。
「悪いけど断るよ。そうしたら、君は僕から逃げるだろう?」
それは当たり前だ。わたしはカレヴィの婚約者なんだから。
わたしがぎっと睨むと、アーネスは気を悪くした様子もなく、わたしに顔を傾けてきた。
けれど、千花の防御壁に守られているわたしはアーネスのキスを防いだ。
その衝撃で少し飛ばされたアーネスは驚いたように瞳を見開いた。
「……ティカ殿の防御壁か。どうも彼女は君に対して過保護過ぎるところがあるね」
千花がわたしに過保護なのは同意だけど、この場合はとても助かった。
「アーネスみたいな人がいるから、それでもこれは有効だと思うけど」
それに、それでシルヴィのキスも跳ね返したんだよね。
それを思い返して、わたしはちょっと赤面してしまった。
「……ふうん。どうやら、ハルカ嬢はシルヴィにもされそうになったみたいだね」
それを聞いて、わたしは馬鹿正直にぎっくりしちゃった。
「どうやら図星のようだね。……それでも、魔術師のイアスは解除方法を知ってるし、それで安心しないことだ」
ええ? イアスがなんでこの魔法を解除するの?
「イアスはそんなことしないよ」
なんたって真面目だし。無理矢理わたしの嫌がるようなことはしないはずだ。
すると、アーネスは呆れたように深い溜息を付いてきた。
……なんなんだ、これ見よがしに。
「ハルカ嬢は男というものを分かっていなさすぎる。本気で欲しいと感じたら、いくらイアスでも手段は選ばないと思うよ」
それで、わたしはアーネスをまじまじと見ちゃった。
「宮廷魔術師のイアスがそんなことするとは思えないんだけど」
「イアスは公爵家出身だ。そんなことをしなくても生活に困るということはない。それに、我が弟ながら魔術師としては大変優秀でね。その点でも、他からいくらでも引く手あまただ」
……そういえば、この間イアス、あの大陸で二人しか出来ないという異世界への空間を開ける魔法を千花から教わっていたっけ。
その点でも、千花のイアスへの期待が伺えるし、アーネスの言うことはあながち間違ってないのかもしれない。
それに、千花もなんだかイアス押しみたいだったしさ。
「そ、そうなんだ。凄いね」
わたしが笑いを顔に張り付けてそう言うと、再びアーネスが近づいてきた。
それで思わず、わたしはじりじりと後ろへと後退する。が、こんな時にわたしの背に壁が当たった。
冷や汗をかくわたしに対して、アーネスは余裕の表情でわたしの両脇に手をついた。
──絶対絶命。逃げられない!
「……とりあえず、ティカ殿の防御壁がどこまで効いているか確かめる必要があるね。抱きしめることは出来るから、どうやら我々に厳しいだけでもないようだし」
そう言うと、アーネスはわたしの瞼にキスをいきなり落としてきた。
わたしは身を捩って逃げようとしたけれど、アーネスの方が素早かった。
「ふうん、ここは大丈夫なのか。と、すると……」
アーネスは考えてるような素振りでわたしを抱きしめ、顎を摘むと、頬に遠慮なしにキスしてくる。……ちょっとぉ!
「なにすんのよ! 勝手にキスなんてしないでっ、……ひゃんっ!」
わたしはブラウスの襟を押し広げられて首筋にキスされてしまった。
これは全く予期していなかったから、わたしはつい変な声を上げてしまった。
そして、まずいことにそれが更にアーネスに火を付けてしまったみたいだった。
「本当にハルカ嬢……、いやハルカは可愛らしい声で啼くね」
目を眇めてそういうアーネスは完全に獲物を狙う肉食獣の目で、わたしは恐ろしさに身を竦めてしまった。
「そんな目で見られると、なんだか苛めたくなるな」
ひいぃぃっ!
飛び上がりたかったけど、アーネスにがっちりホールドされていて、わたしは身動きも出来ない。
そしてアーネスはわたしのブラウスのボタンを二つ外すと、更に胸元を押し広げ、再びわたしの首筋に唇を這わせてきた。
絶妙な感覚でそこを舌で刺激されて、わたしは思わず声を出しそうになる。
「声を出してもいいんだよ」
ちゅっとわざと音を立てながらアーネスはわたしの肌を吸い上げた。……きっと、そこには彼の唇の痕が残っているはずだ。
……いくらなんでも、こんなのお遊びとしては酷すぎるよ。
それに、一応わたしはカレヴィの婚約者なんだよ。
わたしが異世界出身の女で、彼にとっては珍しい存在だからって酷すぎる。
そう思ったら、なんだか涙が出てきた。
それに気づいたアーネスが驚いたようにわたしを見た。
「ハルカ……、なぜ泣くんだい」
わたしはアーネスのその言葉に思わずかっとして言い返してしまった。
「わたしのこと好きでもないのに、無理矢理こんなことするなんて酷すぎるでしょ。わたしはおもちゃじゃないよっ」
言いながらなんだか哀しくなって、わたしはぼろぼろと涙が止まらなくなってしまった。
少なくとも他の求婚者のシルヴィやイアスはわたしに対する気遣いがあった。
でもアーネスは、面白がってわたしにちょっかいをかけているとしか思えない。
わたしが泣きながら彼を睨みつけていると、やがて彼はわたしを抱きしめる腕を緩めた。……けど、それでもわたしは彼から逃げられない。
「……確かに君に対して、わたしはらしくもなく順序を間違えてしまったかもしれないな」
アーネスはそこで息を付くと、わたしの唇にキスしようとしてきた。
でも、そこには千花の防御魔法がかかっている。
それでようやくわたしはアーネスから解放されて、慌てて胸元を掻きあわせた。
抜け目のなさそうなアーネスがこのことを失念していたのは少し驚きだけど、わたしとしては助かった。
そんなわたしにアーネスは再び近づいてくる。
それに対して、わたしはびくりと大げさなくらい反応してしまった。
それに構わず、アーネスはわたしの背を攫い、抱きしめる。
「や、やだ……っ」
わたしは首を横に振って彼を拒絶しようとしたけれど、アーネスは再びわたしの頤に手をかけ、彼らしくもない視線でわたしを見つめた。
それは、カレヴィがわたしを見つめる時のような熱い視線。
「……どうやら君は誤解しているようだが、わたしは伊達や酔狂で君の求婚者に名乗りを挙げた訳ではない。──わたしは君を愛している」
にわかには信じがたい彼の告白に、わたしは彼を見返した。
──けれど、アーネスの顔は真摯そのものだった。
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