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第六章:虎視眈々
第62話 会いたい気持ち
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それからしばらくは、千花以外の人がわたしを訪ねてくることはなかった。
イアスを連れてきた時に、かなり集中してカバーイラストを描いていたのを見て、たぶん千花が遠慮したんだと思う。
それでわたしもかなり集中できて、三日で表紙を描いて、一日は装丁に費やした。
予定の五日よりも一日程早いけど、集中してやっていたおかげか、自分で言うのもなんだけど、かなりいい出来になった。
千花もここまでよく頑張ったねって褒めてくれたしね。……うん、そのねぎらいの言葉が凄く身に染みて嬉しい。
それで今日、完成したカバーイラストの原稿を直接印刷屋に持って行った。
すでに中身の漫画は渡してあるから、後は印刷して製本してもらうだけだ。
出来上がるのは二週間後だって。楽しみだなあ。
わたしが浮かれながら、いち早く携帯で千花にそのことを報告したら、「良かったね」と凄く喜んでくれた。本当に嬉しいなあ。
とりあえず、後はネット通販できるサイトをピックアップしておこう。一ヶ月後には異世界に行く人間には、個人通販は時間的に無理だからね。
まだ出来上がってないのに、気が早いかもしれないけど、準備しておくのにこしたことはない。
わたしはファストフードで少し遅めの昼食をすませると、意気揚々と千花の事務所に帰ることにした。
わたしが会社に帰還すると、千花が事務所近くでなにかしていた。
「ただいま、千花。なにしてるの?」
「あ、おかえりー。ここに転移門を作ろうかと思って」
「……転移門って、そこをくぐると目的の場所に出るっていうあれ?」
ゲームとかでたまに聞く言葉だ。ゲートとも言うね。
「そう。毎回座標を開くのも面倒だし、ザクトアリア王宮の一室とここを繋げようと思うんだ」
ああ、それはいいアイデアだね。それだけ千花の労力も減るし。でも……。
「門を作るのは賛成だけど、そうするとカレヴィが毎日来そうで怖いんだけど」
いや、彼に会えるのは嬉しいよ?
嬉しいけど、彼がわたしに会いに来るっていうことは、それだけザクトアリアの政務が滞るってことだ。
「もちろん、カレヴィ王は来させないようにしておくよ」
「え、どうやって?」
カレヴィだけ来させないって、そんなことできるの?
「カレヴィ王の魔力を利用して、門に個人識別させるわけ。カレヴィ王はわたしの許可がないとこっちには来れないよ」
「そ、そうなんだ……、なにか凄いね」
魔力で個人識別とか出来ちゃうんだ。さすが千花、セキュリティも万全だ。……こういうと、カレヴィが危険人物っぽいけど。
「そういうわけで、これから人の出入りがちょっと激しくなるかもしれないけど、よろしく。でも、一応ハルカの許可がないと入れないようにしておくから、都合が悪かったら拒否していいんだからね。……あ、そういえば、ゼシリアからはるかにチョコ渡してくれって言われてたんだ」
「チョコ!」
わたしがザクトアリアからこっちに帰ってきて、ちょっと物足りないと感じたのはまさにそれ。
ザクトアリア王宮で出るチョコレートってほんとにおいしいんだもん。まさに夢に出てくるレベル。
「今日はゼシリアにお持ちくださいって言われて渡されたよ。はるかも久々でしょ?」
「うん。ザクトアリアのチョコ食べたかったんだー」
嬉しくて自然に顔がにやにやしちゃう。
千花がそんなわたしに気を遣ったのかわざわざ言ってくれた。
「はるか、ダイニングに置いてあるから食べてきなよ」
「いいの? 千花作業してるのに、わたしだけ悪いよ」
千花の気持ちは嬉しいけど、ちょっと躊躇してしまう。
「いいんだよ。わたしはしょっちゅう貰ってるもん。ザクトアリアの住人になるはるかは大威張りで食べていいんだからね」
「そう? なら、遠慮なく頂くね」
うん、と千花が頷いて、また作業に入っていくのを見届けてから、わたしはスキップしたいような気持ちでダイニングに行った。
そこのテーブルには、夢にまで見たザクトアリアのチョコレートが置いてあり、そしてなぜかそこにはいないはずの人が席についていた。
「え、あれシルヴィ、なんで?」
チョコレートのことしか考えてなかったわたしは、思ってもいなかった彼の出現にびっくりしてしまった。
すると、むっとしたようにシルヴィが顔をしかめた。
「俺がいたら、いけないんですか」
何気ない一言で彼の気分を害しちゃったみたいで、わたしは慌てた。
「そ、そんなことないよ。来てるって聞いてなかったから、ちょっとびっくりしただけ」
「……そうですか」
わたしの言葉を聞いて、シルヴィは機嫌を直してくれたようだ。良かった。
それにしても千花、シルヴィがいるならいるって、なんで教えてくれなかったんだろう。
千花なら、伝え忘れるなんてことは考えにくいんだけどなあ。
ま、いいか。可愛い弟候補とお茶でもしよう。確か、おいしい茶葉があったよね。
「今、お茶淹れるからね」
こうなると、千花も呼びに行った方がいいのか迷うけど、作業が終わったらこっちに来てくれるよね。
「……やはり、兄王が言う通り侍女が必要なのでは。ハルカに毎回そんなことをさせるのは心苦しいです」
「えー、そんなこと気にしなくていいのに」
それどころか、一応料理だってしてるし。
わたしはとりあえずカップを三つ用意して、その二つにとっておきの茶葉で淹れた紅茶を注ぐ。
あとの一つは千花が来たときに淹れることにしよう。
「お待たせ。……どうぞ」
わたしがシルヴィの傍にカップを置くと、シルヴィは既に置いてあったミルクを入れて、一口飲む。
「……侍女より、ハルカの淹れた方がおいしいですね」
「え、そう?」
茶葉がいいんだ、と言いたいところだけど、これよりおいしいのはザクトアリア王宮では当たり前のように出てたし。
そうするとシルヴィ、気を遣ってわざわざ褒めてくれたのかな。いい子だなあ。
「ありがとう」
それで、なんとなくほわんとした気分になってわたしはシルヴィに微笑んだ。
その途端、シルヴィはかっと赤くなった。……あれ、どうしたの?
「きょ、今日は兄王から書簡を預かってきましたっ」
シルヴィは慌てたように胸元から手紙を出した。
「え、あ、ありがとう」
カレヴィに怒りの返事を出してから、泣きつくような詫び文が届くんだけど、今回もそうなんだろうか。
一番の原因は、わたしがそれに返事を一切返してないってことが大きいけど。
わたしはシルヴィに断ってから、蝋で封をされているカレヴィの手紙を慎重にペーパーナイフを使って開いた。
『ハルカ。
いい加減、機嫌を直してくれ。頼む、この通りだ。
イアスから、ティカ殿がそちらに転移門を設置するという話を聞いた。
しかし、俺はティカ殿の許可がないと通れないと言うではないか。ハルカ、どうにかしてティカ殿を説得してくれ。
ハルカ、俺はおまえに会いたい。
今もおまえに会いたくて仕方がない。気が狂いそうだ。
おまえの気持ちも考えず、無神経なことを書いたのは謝る。本当に悪かった。
ただ、今はおまえに会いたい。それだけだ。
カレヴィ』
カレヴィの切実な気持ちが文面からでも伝わって、わたしは思わず溜息が出てしまった。
すると、わたしの様子を窺っていたらしいシルヴィが尋ねてきた。
「……どうしました?」
「うん、カレヴィがわたしに会いたいって。あと、転移門のことでもこぼしてた」
「……そうですか」
だいたい予想がついてたのか、シルヴィは納得したように頷いた。
「でもこの期間はそんな簡単に会ってたら意味ないものね。……シルヴィ、悪いけどわたしが我慢してって言ってたって伝えて」
「分かりました。伝えますよ」
シルヴィが心得たように力強く頷いてくれた。
「ありがとう。お願いね」
わたしはそう言うと、少し冷めてしまった紅茶を口にする。
──おまえに会いたくて仕方がない。気が狂いそうだ。
カレヴィの手紙の内容を思い出して、ふとわたしは胸が苦しくなる。
わたしだって会いたいよ。
でもそれじゃいけないんだ。どうにかして二人して我慢しなきゃ。
わたしはザクトアリアのチョコレートに手を伸ばすと、それを一つ口に入れた。すると、なんともいえないまろやかな甘みが口に広がる。……おいしい。
そんなに離れていたわけでもないのに懐かしいチョコの味に触れて、なぜかわたしは涙が出てきた。
「ハルカ……?」
いきなり泣きだしたわたしに、シルヴィが驚いたように見てくる。
──わたしもあなたに会いたいよ、カレヴィ。
それでも、これは乗り越えなきゃいけない壁だ。
そう分かっていても、苦しいものは苦しい。
ぽろぽろとわたしの涙は止まる気配なくこぼれ続ける。
わたしがこんなんじゃ、シルヴィに心配かけちゃう。
そう思っても涙は止まってくれない。……どうしよう──
イアスを連れてきた時に、かなり集中してカバーイラストを描いていたのを見て、たぶん千花が遠慮したんだと思う。
それでわたしもかなり集中できて、三日で表紙を描いて、一日は装丁に費やした。
予定の五日よりも一日程早いけど、集中してやっていたおかげか、自分で言うのもなんだけど、かなりいい出来になった。
千花もここまでよく頑張ったねって褒めてくれたしね。……うん、そのねぎらいの言葉が凄く身に染みて嬉しい。
それで今日、完成したカバーイラストの原稿を直接印刷屋に持って行った。
すでに中身の漫画は渡してあるから、後は印刷して製本してもらうだけだ。
出来上がるのは二週間後だって。楽しみだなあ。
わたしが浮かれながら、いち早く携帯で千花にそのことを報告したら、「良かったね」と凄く喜んでくれた。本当に嬉しいなあ。
とりあえず、後はネット通販できるサイトをピックアップしておこう。一ヶ月後には異世界に行く人間には、個人通販は時間的に無理だからね。
まだ出来上がってないのに、気が早いかもしれないけど、準備しておくのにこしたことはない。
わたしはファストフードで少し遅めの昼食をすませると、意気揚々と千花の事務所に帰ることにした。
わたしが会社に帰還すると、千花が事務所近くでなにかしていた。
「ただいま、千花。なにしてるの?」
「あ、おかえりー。ここに転移門を作ろうかと思って」
「……転移門って、そこをくぐると目的の場所に出るっていうあれ?」
ゲームとかでたまに聞く言葉だ。ゲートとも言うね。
「そう。毎回座標を開くのも面倒だし、ザクトアリア王宮の一室とここを繋げようと思うんだ」
ああ、それはいいアイデアだね。それだけ千花の労力も減るし。でも……。
「門を作るのは賛成だけど、そうするとカレヴィが毎日来そうで怖いんだけど」
いや、彼に会えるのは嬉しいよ?
嬉しいけど、彼がわたしに会いに来るっていうことは、それだけザクトアリアの政務が滞るってことだ。
「もちろん、カレヴィ王は来させないようにしておくよ」
「え、どうやって?」
カレヴィだけ来させないって、そんなことできるの?
「カレヴィ王の魔力を利用して、門に個人識別させるわけ。カレヴィ王はわたしの許可がないとこっちには来れないよ」
「そ、そうなんだ……、なにか凄いね」
魔力で個人識別とか出来ちゃうんだ。さすが千花、セキュリティも万全だ。……こういうと、カレヴィが危険人物っぽいけど。
「そういうわけで、これから人の出入りがちょっと激しくなるかもしれないけど、よろしく。でも、一応ハルカの許可がないと入れないようにしておくから、都合が悪かったら拒否していいんだからね。……あ、そういえば、ゼシリアからはるかにチョコ渡してくれって言われてたんだ」
「チョコ!」
わたしがザクトアリアからこっちに帰ってきて、ちょっと物足りないと感じたのはまさにそれ。
ザクトアリア王宮で出るチョコレートってほんとにおいしいんだもん。まさに夢に出てくるレベル。
「今日はゼシリアにお持ちくださいって言われて渡されたよ。はるかも久々でしょ?」
「うん。ザクトアリアのチョコ食べたかったんだー」
嬉しくて自然に顔がにやにやしちゃう。
千花がそんなわたしに気を遣ったのかわざわざ言ってくれた。
「はるか、ダイニングに置いてあるから食べてきなよ」
「いいの? 千花作業してるのに、わたしだけ悪いよ」
千花の気持ちは嬉しいけど、ちょっと躊躇してしまう。
「いいんだよ。わたしはしょっちゅう貰ってるもん。ザクトアリアの住人になるはるかは大威張りで食べていいんだからね」
「そう? なら、遠慮なく頂くね」
うん、と千花が頷いて、また作業に入っていくのを見届けてから、わたしはスキップしたいような気持ちでダイニングに行った。
そこのテーブルには、夢にまで見たザクトアリアのチョコレートが置いてあり、そしてなぜかそこにはいないはずの人が席についていた。
「え、あれシルヴィ、なんで?」
チョコレートのことしか考えてなかったわたしは、思ってもいなかった彼の出現にびっくりしてしまった。
すると、むっとしたようにシルヴィが顔をしかめた。
「俺がいたら、いけないんですか」
何気ない一言で彼の気分を害しちゃったみたいで、わたしは慌てた。
「そ、そんなことないよ。来てるって聞いてなかったから、ちょっとびっくりしただけ」
「……そうですか」
わたしの言葉を聞いて、シルヴィは機嫌を直してくれたようだ。良かった。
それにしても千花、シルヴィがいるならいるって、なんで教えてくれなかったんだろう。
千花なら、伝え忘れるなんてことは考えにくいんだけどなあ。
ま、いいか。可愛い弟候補とお茶でもしよう。確か、おいしい茶葉があったよね。
「今、お茶淹れるからね」
こうなると、千花も呼びに行った方がいいのか迷うけど、作業が終わったらこっちに来てくれるよね。
「……やはり、兄王が言う通り侍女が必要なのでは。ハルカに毎回そんなことをさせるのは心苦しいです」
「えー、そんなこと気にしなくていいのに」
それどころか、一応料理だってしてるし。
わたしはとりあえずカップを三つ用意して、その二つにとっておきの茶葉で淹れた紅茶を注ぐ。
あとの一つは千花が来たときに淹れることにしよう。
「お待たせ。……どうぞ」
わたしがシルヴィの傍にカップを置くと、シルヴィは既に置いてあったミルクを入れて、一口飲む。
「……侍女より、ハルカの淹れた方がおいしいですね」
「え、そう?」
茶葉がいいんだ、と言いたいところだけど、これよりおいしいのはザクトアリア王宮では当たり前のように出てたし。
そうするとシルヴィ、気を遣ってわざわざ褒めてくれたのかな。いい子だなあ。
「ありがとう」
それで、なんとなくほわんとした気分になってわたしはシルヴィに微笑んだ。
その途端、シルヴィはかっと赤くなった。……あれ、どうしたの?
「きょ、今日は兄王から書簡を預かってきましたっ」
シルヴィは慌てたように胸元から手紙を出した。
「え、あ、ありがとう」
カレヴィに怒りの返事を出してから、泣きつくような詫び文が届くんだけど、今回もそうなんだろうか。
一番の原因は、わたしがそれに返事を一切返してないってことが大きいけど。
わたしはシルヴィに断ってから、蝋で封をされているカレヴィの手紙を慎重にペーパーナイフを使って開いた。
『ハルカ。
いい加減、機嫌を直してくれ。頼む、この通りだ。
イアスから、ティカ殿がそちらに転移門を設置するという話を聞いた。
しかし、俺はティカ殿の許可がないと通れないと言うではないか。ハルカ、どうにかしてティカ殿を説得してくれ。
ハルカ、俺はおまえに会いたい。
今もおまえに会いたくて仕方がない。気が狂いそうだ。
おまえの気持ちも考えず、無神経なことを書いたのは謝る。本当に悪かった。
ただ、今はおまえに会いたい。それだけだ。
カレヴィ』
カレヴィの切実な気持ちが文面からでも伝わって、わたしは思わず溜息が出てしまった。
すると、わたしの様子を窺っていたらしいシルヴィが尋ねてきた。
「……どうしました?」
「うん、カレヴィがわたしに会いたいって。あと、転移門のことでもこぼしてた」
「……そうですか」
だいたい予想がついてたのか、シルヴィは納得したように頷いた。
「でもこの期間はそんな簡単に会ってたら意味ないものね。……シルヴィ、悪いけどわたしが我慢してって言ってたって伝えて」
「分かりました。伝えますよ」
シルヴィが心得たように力強く頷いてくれた。
「ありがとう。お願いね」
わたしはそう言うと、少し冷めてしまった紅茶を口にする。
──おまえに会いたくて仕方がない。気が狂いそうだ。
カレヴィの手紙の内容を思い出して、ふとわたしは胸が苦しくなる。
わたしだって会いたいよ。
でもそれじゃいけないんだ。どうにかして二人して我慢しなきゃ。
わたしはザクトアリアのチョコレートに手を伸ばすと、それを一つ口に入れた。すると、なんともいえないまろやかな甘みが口に広がる。……おいしい。
そんなに離れていたわけでもないのに懐かしいチョコの味に触れて、なぜかわたしは涙が出てきた。
「ハルカ……?」
いきなり泣きだしたわたしに、シルヴィが驚いたように見てくる。
──わたしもあなたに会いたいよ、カレヴィ。
それでも、これは乗り越えなきゃいけない壁だ。
そう分かっていても、苦しいものは苦しい。
ぽろぽろとわたしの涙は止まる気配なくこぼれ続ける。
わたしがこんなんじゃ、シルヴィに心配かけちゃう。
そう思っても涙は止まってくれない。……どうしよう──
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