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第四章:対抗手段
第41話 モテ期到来
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「ハルカ様、お待ちください!」
後ろから近衛兵士の声が追いかけてくるけど、わたしは止まらなかった。
全速力で廊下を駆け、最初の角を曲がろうとしたところで誰かにぶつかってしまった。
「あっ!」
「うわっ」
結局わたしはその人物に抱きつく形で止まった。
「ご、ごめんなさいっ」
……あ、れ……?
慌ててその人から離れようとして、わたしはそれがシルヴィなことに気がついた。
「……なにをやってるんですか、あなたは。仮にも王の婚約者だというのに慎みのない」
シルヴィは色白な頬を染めながらわたしに怒ってくる。
うん、まったくその通りだ。
十以上も年下の子に言われちゃって、年上の威厳まるでなしだわ。
「あ、ごめんなさい。ちょっとうろたえちゃって……」
「なにがあったかは知りませんが、廊下を走るなど淑女としてはもってのほかですよ」
「本当にごめんなさい、シルヴィ」
わたしは頭を下げてシルヴィに謝った。
「ところで、なにがあったんです。一応大人のあなたがそこまでうろたえるなんて」
ちょっ、シルヴィ、一応は余計だよ。
ツンデレとは言え、結構口悪いなあ。
「うん、ちょっと、アーネスから逃げてきた」
「すみません、ハルカ様。兄があなたに失礼を働いたようで」
いつの間に現れたのか、イアスがわたしに謝ってきた。
「失礼っていうか……、面白半分に人を口説こうとするのはやめて欲しいってアーネスに言ってくれる? その対象になったわたしにはえらい迷惑なんだけど」
「申し訳ありません。兄には重々言ってきかせますから」
本当に申し訳なそうにイアスが謝ってくるから、わたしはなんだか彼が可哀想になってきちゃた。
悪いのは兄の方であって、その弟のイアスにはなんの落ち度もないんだよね。
「ごめんね、イアスは悪くないのに、ちょっと強く言い過ぎたよ」
「いえ、僕の兄のしたことですから。兄はハルカ様にかなり興味を持っていて、いろいろ手を回しているようなんですよ。こちらとしても、是非兄の行動を阻止したいところなんですが」
……興味ねえ。
そういえば、アーネスはフレイヤにも紹介状を書いていたっけ。
たぶん、フレイヤに、わたしにきちんと化粧をさせろって指示をしたんだろうということは、なんとなくだけど察せられた。
「……アーネスの場合、ただ毛色の変わった女が珍しいだけだと思うんだけど」
「それはあるでしょうね。異世界出身で最強の魔術師の友人、おまけに国王を誘惑する女性ですからね」
途中まではともかく、最後のシルヴィの非難するような言葉にわたしは思わずむっとしてしまう。
可愛い弟候補だけど、ちょっと生意気だぞ。
「シルヴィ、言い過ぎだ」
見かねたようにイアスがシルヴィを諫める。
「わたし、カレヴィを誘惑なんてしてない」
それに、どっちかって言うとそれは逆なんだけど。
盛んに好きだ、愛してるって言ってくるのはカレヴィだし。
でもシルヴィは今、わたしに敵愾心を露わにしてるし、言っても信じてもらえそうにない雰囲気だ。
「兄王に政務を疎かにさせたり、婚礼前から莫大な金額を使わせたりすれば充分ですよ」
「それは……」
それを言われると、わたしは黙るしかない。
確かに傍目にはわたしがカレヴィをたぶらかしてるように見えるだろう。
「シルヴィ、ハルカ嬢にはそんな意思は全くないよ。今回の件は完全にカレヴィの暴走だ」
いつの間にわたしを追いかけていたのか、アーネスが不意に現れた。
あ、わたし思わず彼を殴っちゃったんだっけ。
……まさか、わたしに仕返しをしに追いかけてきたとかないよね。
殴られても仕方ないようなセクハラしたのはあっちなんだし。
思わずひきつった顔でアーネスを見ると、彼はにっこりと笑って言った。
「女性に拳で殴られたのは衝撃だったよ。……まあ、このお礼は後でしようか、ハルカ嬢」
ひいぃっ、完全に根に持たれてるよ!
わたしはムンクの叫びよろしく両頬を挟んで声にならない声を上げる。
「……殴られた? ひょっとして、ハルカにもう手を出したのか、アーネス」
呆れたようにシルヴィがアーネスを見たけれど、肝心の彼は肩を竦めてなんでもないことのように言った。
「ちょっとハルカ嬢に手を撫でさせてもらっただけだよ。……それに、あんな無防備な発言をされたらつい手を出したくもなるよ」
「……あなたは王の婚約者だというのに、誰彼構わず誘っているんですか?」
ちょっ、シルヴィに軽蔑したように見られたよ! それ、もの凄い誤解だって!
「誘ってないっ」
わたしは声を大にして主張したけど、まだシルヴィは胡散臭そうにわたしを見てる。
「おまけに、その時のハルカ嬢の反応がまた可愛らしくて……」
いよいよシルヴィのわたしを見る目が蔑んでくる。
嫌だ、未来の弟にこんな目で見られたくないよーっ!
「ちょおっとおぉー!」
わたしは恥ずかしさも手伝って涙目になって叫んだ。
「そんな可愛い顔で見ないでほしいな。思わず抱きしめたくなってしまうよ」
そう言いながらアーネスの手が伸びてきて、わたしは思わず後ろに飛びすさってしまった。
すると、わたしは誰かにぶつかって抱き止められた。
「兄上、ハルカ様をからかわれるのはそれくらいにして差し上げてください。ハルカ様が引いてますよ」
あ、ぶつかったのイアスだったんだ。
重ね重ね申し訳ない。
「ご、ごめんね、イアス」
イアスの腕から出てわたしが謝ると、彼は首を横に振った。
「いいえ。今のは兄が悪いですし、ハルカ様が謝られる必要はありません」
「ハルカ嬢に飛び込まれて、おまえは役得だしな」
「な、なにを言っているんですか、兄上!」
真っ赤な顔で突然イアスがアーネスに反論したのでわたしはびっくりした。
シルヴィも大袈裟なくらいの反応を返したイアスを驚いたように見ている。
「イアス、その反応はなんだ。まさかハルカのことが好きなのか?」
「それは……」
イアスに赤い顔で見られて、わたしもついつられて赤くなる。
「え、えと、わたし年上だし、そんなことがあるわけないでしょう?」
うう、いったいなんだこれ。
喪女だったわたしには分不相応すぎる話題だ。
やっとのことでそう言ったのに、アーネスは笑って簡単にそれを否定してくれた。
「恋に年齢は関係ないし、そのことをハルカ嬢が知らないだけだよ。イアスは結構前からハルカ嬢のことを気にしていたけれどね」
「兄上っ!」
更に真っ赤になったイアスがアーネスに叫ぶ。
それをかわすように、実に楽しそうにアーネスは笑った。
わたしはといえば、シルヴィと同じようにただ呆然とするしかない。
なんなの、この展開。
わたしはイアスのこと、弟みたいで頼れる宮廷魔術師としか認識してない。
それにイアスはわたしのどこを好きになったんだ。彼は冴えないわたしも知ってるはずだぞ。
……もしかして、イアスってカレヴィ以上の物好き?
人生には何度かモテ期というものがあるそうだ。
けれど、いきなりのモテ期到来にわたしは呆然としながらイアスを見る。
すると、彼は焦ったように早口で言ってきた。
「こ、これは僕が勝手にあなたを想っているだけですので、ハルカ様はどうかお気になさらないでください!」
こ、これって、完全に告白っていうやつだよね……?
気にするなって言われても、やっぱり無理。イアスを意識しちゃって、自然と顔が熱くなっちゃうよ。
「う、うん、ごめんね。突然のことで驚いたけど、わたしを好きになってくれてありがとう……」
う、言いながら無茶苦茶恥ずかしくなってきた。
わたしはこの間まで喪女だったんだよ、こんな展開に慣れなくっても仕方ない。
そう思いながら、わたしは熱くなった両頬を押さえて俯いた。
後ろから近衛兵士の声が追いかけてくるけど、わたしは止まらなかった。
全速力で廊下を駆け、最初の角を曲がろうとしたところで誰かにぶつかってしまった。
「あっ!」
「うわっ」
結局わたしはその人物に抱きつく形で止まった。
「ご、ごめんなさいっ」
……あ、れ……?
慌ててその人から離れようとして、わたしはそれがシルヴィなことに気がついた。
「……なにをやってるんですか、あなたは。仮にも王の婚約者だというのに慎みのない」
シルヴィは色白な頬を染めながらわたしに怒ってくる。
うん、まったくその通りだ。
十以上も年下の子に言われちゃって、年上の威厳まるでなしだわ。
「あ、ごめんなさい。ちょっとうろたえちゃって……」
「なにがあったかは知りませんが、廊下を走るなど淑女としてはもってのほかですよ」
「本当にごめんなさい、シルヴィ」
わたしは頭を下げてシルヴィに謝った。
「ところで、なにがあったんです。一応大人のあなたがそこまでうろたえるなんて」
ちょっ、シルヴィ、一応は余計だよ。
ツンデレとは言え、結構口悪いなあ。
「うん、ちょっと、アーネスから逃げてきた」
「すみません、ハルカ様。兄があなたに失礼を働いたようで」
いつの間に現れたのか、イアスがわたしに謝ってきた。
「失礼っていうか……、面白半分に人を口説こうとするのはやめて欲しいってアーネスに言ってくれる? その対象になったわたしにはえらい迷惑なんだけど」
「申し訳ありません。兄には重々言ってきかせますから」
本当に申し訳なそうにイアスが謝ってくるから、わたしはなんだか彼が可哀想になってきちゃた。
悪いのは兄の方であって、その弟のイアスにはなんの落ち度もないんだよね。
「ごめんね、イアスは悪くないのに、ちょっと強く言い過ぎたよ」
「いえ、僕の兄のしたことですから。兄はハルカ様にかなり興味を持っていて、いろいろ手を回しているようなんですよ。こちらとしても、是非兄の行動を阻止したいところなんですが」
……興味ねえ。
そういえば、アーネスはフレイヤにも紹介状を書いていたっけ。
たぶん、フレイヤに、わたしにきちんと化粧をさせろって指示をしたんだろうということは、なんとなくだけど察せられた。
「……アーネスの場合、ただ毛色の変わった女が珍しいだけだと思うんだけど」
「それはあるでしょうね。異世界出身で最強の魔術師の友人、おまけに国王を誘惑する女性ですからね」
途中まではともかく、最後のシルヴィの非難するような言葉にわたしは思わずむっとしてしまう。
可愛い弟候補だけど、ちょっと生意気だぞ。
「シルヴィ、言い過ぎだ」
見かねたようにイアスがシルヴィを諫める。
「わたし、カレヴィを誘惑なんてしてない」
それに、どっちかって言うとそれは逆なんだけど。
盛んに好きだ、愛してるって言ってくるのはカレヴィだし。
でもシルヴィは今、わたしに敵愾心を露わにしてるし、言っても信じてもらえそうにない雰囲気だ。
「兄王に政務を疎かにさせたり、婚礼前から莫大な金額を使わせたりすれば充分ですよ」
「それは……」
それを言われると、わたしは黙るしかない。
確かに傍目にはわたしがカレヴィをたぶらかしてるように見えるだろう。
「シルヴィ、ハルカ嬢にはそんな意思は全くないよ。今回の件は完全にカレヴィの暴走だ」
いつの間にわたしを追いかけていたのか、アーネスが不意に現れた。
あ、わたし思わず彼を殴っちゃったんだっけ。
……まさか、わたしに仕返しをしに追いかけてきたとかないよね。
殴られても仕方ないようなセクハラしたのはあっちなんだし。
思わずひきつった顔でアーネスを見ると、彼はにっこりと笑って言った。
「女性に拳で殴られたのは衝撃だったよ。……まあ、このお礼は後でしようか、ハルカ嬢」
ひいぃっ、完全に根に持たれてるよ!
わたしはムンクの叫びよろしく両頬を挟んで声にならない声を上げる。
「……殴られた? ひょっとして、ハルカにもう手を出したのか、アーネス」
呆れたようにシルヴィがアーネスを見たけれど、肝心の彼は肩を竦めてなんでもないことのように言った。
「ちょっとハルカ嬢に手を撫でさせてもらっただけだよ。……それに、あんな無防備な発言をされたらつい手を出したくもなるよ」
「……あなたは王の婚約者だというのに、誰彼構わず誘っているんですか?」
ちょっ、シルヴィに軽蔑したように見られたよ! それ、もの凄い誤解だって!
「誘ってないっ」
わたしは声を大にして主張したけど、まだシルヴィは胡散臭そうにわたしを見てる。
「おまけに、その時のハルカ嬢の反応がまた可愛らしくて……」
いよいよシルヴィのわたしを見る目が蔑んでくる。
嫌だ、未来の弟にこんな目で見られたくないよーっ!
「ちょおっとおぉー!」
わたしは恥ずかしさも手伝って涙目になって叫んだ。
「そんな可愛い顔で見ないでほしいな。思わず抱きしめたくなってしまうよ」
そう言いながらアーネスの手が伸びてきて、わたしは思わず後ろに飛びすさってしまった。
すると、わたしは誰かにぶつかって抱き止められた。
「兄上、ハルカ様をからかわれるのはそれくらいにして差し上げてください。ハルカ様が引いてますよ」
あ、ぶつかったのイアスだったんだ。
重ね重ね申し訳ない。
「ご、ごめんね、イアス」
イアスの腕から出てわたしが謝ると、彼は首を横に振った。
「いいえ。今のは兄が悪いですし、ハルカ様が謝られる必要はありません」
「ハルカ嬢に飛び込まれて、おまえは役得だしな」
「な、なにを言っているんですか、兄上!」
真っ赤な顔で突然イアスがアーネスに反論したのでわたしはびっくりした。
シルヴィも大袈裟なくらいの反応を返したイアスを驚いたように見ている。
「イアス、その反応はなんだ。まさかハルカのことが好きなのか?」
「それは……」
イアスに赤い顔で見られて、わたしもついつられて赤くなる。
「え、えと、わたし年上だし、そんなことがあるわけないでしょう?」
うう、いったいなんだこれ。
喪女だったわたしには分不相応すぎる話題だ。
やっとのことでそう言ったのに、アーネスは笑って簡単にそれを否定してくれた。
「恋に年齢は関係ないし、そのことをハルカ嬢が知らないだけだよ。イアスは結構前からハルカ嬢のことを気にしていたけれどね」
「兄上っ!」
更に真っ赤になったイアスがアーネスに叫ぶ。
それをかわすように、実に楽しそうにアーネスは笑った。
わたしはといえば、シルヴィと同じようにただ呆然とするしかない。
なんなの、この展開。
わたしはイアスのこと、弟みたいで頼れる宮廷魔術師としか認識してない。
それにイアスはわたしのどこを好きになったんだ。彼は冴えないわたしも知ってるはずだぞ。
……もしかして、イアスってカレヴィ以上の物好き?
人生には何度かモテ期というものがあるそうだ。
けれど、いきなりのモテ期到来にわたしは呆然としながらイアスを見る。
すると、彼は焦ったように早口で言ってきた。
「こ、これは僕が勝手にあなたを想っているだけですので、ハルカ様はどうかお気になさらないでください!」
こ、これって、完全に告白っていうやつだよね……?
気にするなって言われても、やっぱり無理。イアスを意識しちゃって、自然と顔が熱くなっちゃうよ。
「う、うん、ごめんね。突然のことで驚いたけど、わたしを好きになってくれてありがとう……」
う、言いながら無茶苦茶恥ずかしくなってきた。
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