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第三章:王の婚約者として
第36話 夜桜見物
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「カレヴィ、お花見のお願い聞いてくれてありがとう」
わたしは念願の夜桜見物が実現して、にこにこしながらカレヴィにお礼を言った。
「いや、おまえの願いならこのくらいささやかなものだ」
本当は千花やその家族も呼んで楽しくやりたかったけど、いきなり決まったことだし、千花にも予定があるだろうからしょうがない。
一番の理由はカレヴィに反対されたことだけどさ。
それでわたしは今、カレヴィとシルヴィ、アーネスとイアスというメンバーで桜の大木の下で雅やかに花見をしていた。
みんなすごい美形揃いだけど、なんだか女っ気がないとつまらない。
男ばかりじゃ、なんとなく潤いがないんだよねえ。
それでイヴェンヌ達も一緒に参加するように頼んでみたけど、謹んで遠慮された。ちえっ。
でも多少の不満は残るものの、花見は出来たことだし、一応言ってみるものだねえ。
桜の傍には魔法でいくつも明かりが灯され、なんとも幻想的な雰囲気が醸し出されていた。
そんな中で中央にテーブルセットが準備されて、明かりに照らされて幻想的に浮かび上がる桜を見ながら、四人で一緒に晩餐を取っている。
すると、隣の席のカレヴィがステーキを小さめに切って、それを刺したフォークをわたしに差し出してきた。
「ハルカ、口を開けろ」
「え……、は、恥ずかしいよ」
シルヴィ達も見ているのに、これはかなり恥ずかしい。
でもカレヴィは諦めていないらしく、そのまま待っている。
それで、わたしは覚悟を決めて口を開いた。
「それでは入らない。もっと口を開けろ」
言われて仕方なく、わたしはあーんと口を開ける。
その中にカレヴィがフォークに刺したお肉を投入し、わたしはそれに食いついた。
その傍で見ていた侍女達が、「今のは意味深ですわーっ!」と身悶えていた。……いったい、なにを想像しているのやら。
ふと気づくと、アーネスやイアスもこの事態を呆れて見ている。……シルヴィはなぜか真っ赤になっていたけど。
おいしいお肉をもぐもぐしながら、わたしも周囲の浮かれ具合にちょっと呆れていた。
未だに信じられないことに、カレヴィが明らかにわたしに夢中なので、このお花見の間にも、これはきっと結婚早々に御子を授かりますわとか、どんな美しい姫君とも浮き名を流さなかった陛下がハルカ様をこんなに愛しておいでで素晴らしいです! とか侍女達にお祝いの言葉をいろいろもらった。
夜桜の下というのも手伝って祝賀ムードいっぱいで、わたしはなんだかいたたまれなかった。……カレヴィは嬉しそうだったけど。
わたしがカレヴィのこと好きになってれば、一緒にありがとうって言って素直に喜べるんだろうけどなあ。
それができないわたしは、曖昧に笑ってごまかすしかできない。うーん、日本人の哀しい習性だ。
……けど、わたしもあーん返し(?)を一応した方がいいんだろうか。
こうやってカレヴィがわたしの希望を酌んで夜桜見物をさせてくれているんだから、ちょっとはわたしもサービスした方がいいのかもしれない。
わたしは一大決心をして、ステーキをカレヴィが食べやすい大きさに切ると、フォークに刺した。
「カ、カレヴィ」
「ん? なんだハルカ」
震えるわたしに疑問を覚えたのか、不思議そうにカレヴィが見てくる。
わたしはそんな彼の前に肉を刺したフォークを差し出すと言った。
「……はい、あーん、して?」
その直後、わたしは恥ずかしさで火を噴きそうになるほど真っ赤になった。
カレヴィは瞳を見開いて固まってるし、アーネス達は口に手を当てて身悶えている。よっぽどわたしのこの行動がおかしかったんだ。
「カ、カレヴィ」
似合わないのは分かったから、とりあえずこの差し出したお肉をなんとかしてほしい。そうしてもらわなきゃ、いまさら引っ込みがつかない。
「あ、ああ……」
あまりに自分に似合わないことをやってしまって涙目になっているところで、カレヴィが我に返ってようやくフォークに刺したお肉が回収された。
ああううう、今の自分を思い返してみて鳥肌立っちゃたよ。わたし、寒すぎる。
「……まさかおまえがそこまでしてくれるとは思わなかったぞ」
「う、うん……」
いたたまれなくてナイフとフォークを置いて俯いてると、いきなりカレヴィにぎゅむっと抱き寄せられた。
え、ええ!?
「真っ赤になって、本当に可愛いなおまえは」
そう言うと、カレヴィは食事の席にも関わらず、わたしを膝の上に乗せ、更にキスまでしてくる。
「カ、カレヴィ、食事中、食事中!」
何度もされるキスの合間にわたしがそう叫ぶと、カレヴィは少し残念そうにわたしを元の席に戻した。
なんというか、カレヴィの萌えの沸点が低すぎる。
わたしのあの寒い「あーん」でそこまで感激できるなんて、ある意味貴重だ。
「おまえのために用意した席だが、俺は早くおまえを可愛がりたくて仕方ないぞ」
は、発言が危険なんですけど、カレヴィさん!
案の定、周りにいた侍女達がきゃーっと歓声をあげた。
ううう、恥ずかしすぎる。
似合わないことをやってしまったわたしもだけど、カレヴィも招待客がいる以上、ある程度は自重してほしい。
そういえばわたし、カレヴィに行動を少し制限して欲しいって伝えてなかったな。
……でもこの調子だと、カレヴィがそれを承知するのかどうか甚だ疑問な気がする。
わたしは凄く恥ずかしい気持ちでいるところを、出されたお酒を飲むことで逃げた。……あ、これルルア酒だ。
まずいな、つい、一気飲みしちゃったよ。
すると、しばらくしてかーっと酔いが回ってきた。
「いや、ハルカ嬢はとても可愛らしいね。思わずカレヴィと変わりたいと思ったよ」
アーネスが相変わらず眩しい笑顔でそう言ってくる。
「そう? じゃあみんなにもした方がいいのかな?」
とろんとまぶたが落ちてくるのを必死に堪えてわたしがそう言ったら、カレヴィ以外の三人がなぜか目を輝かせた。
うん、一応嫌がられてはいないみたいだ。
恥ずかしいけど、せっかくの招待客なんだし、少しは接待しないとねー。
「だ、駄目だ、ハルカ。それは俺だけの特権だ」
「でも、せっかく招待して来て貰ってるんだからこれくらいいいじゃない」
酔っているわたしは、まずシルヴィの為にステーキを食べやすい大きさに切ると、フォークに刺して彼に差し出した。
「はい、シルヴィ、あーん」
シルヴィは耳まで真っ赤にしていたけれど、わたしもまだちょっと恥ずかしいんだよ。
「仕方ないですね。今回はあなたに従いますよ。本当に今回だけですからね!」
そう言って、お肉をぱくりと食べた。
ふふ、ツンデレ弟候補は今日も可愛いなあ。
そう思ってわたしがにやにやしていたら、今度はアーネスに催促された。
「ハルカ嬢は、わたしにはしてくれないのかな?」
それでわたしはアーネスにもあーん、とお肉を食べさせた。
不公平だから、もちろんイアスにも。イアスもなぜか赤くなってたなあ。慣れないことで恥ずかしかったんだろうか。
そう考えると、彼に悪いことしちゃったかなあ。
……でも思ったけど、これって間接キスにならない?
だけど、わたしは彼らのためを思って言わないでおいた。
せっかく喜んでいるみたいなのに、そんなこと言っちゃ台無しだものね。
それにしても、こんなことで喜んでくれるなんて、嬉しいなあ~。彼らを今日招待して本当に良かった。
「ハルカーッ」
みんなにあーんとやっている間に叫んでいたカレヴィが恨めしそうにわたしを見る。
ふーん、そんな顔したって怖くないもんね。
お酒で気が大きくなったわたしは昼間彼に怯えていたことも忘れて、カレヴィのグラスにルルア酒をデカンターから注いだ。
……おっと、ちょっと手元が危ういかな。
そう思いながら、わたしもルルア酒をくいくいと飲む。
フルーティで飲みやすいお酒だけど、そろそろ酔いが回ってきたから、もうやめといた方がいいみたいだ。
そう思った直後。
椅子から転がり落ちそうになったわたしは、カレヴィに無事抱きとめられた。
あれえ、そこまで飲んだつもりはないんだけどなあ。
「俺とハルカはこれで居室に戻る。後は見物でも食事でも好きにしろ」
心配そうに見てくるシルヴィ達に、カレヴィがそう通達すると、わたしは彼にお姫様抱っこされて王宮まで戻った。
招待した側が招待客ほったらかしなんて、みんなには悪いことしちゃったなあ。後で謝っておこう……。
──でも、わたしが覚えてるのはそこまで。
翌朝、わたしはカレヴィと一緒にわたしの寝室で目覚めた。
けれど彼に「昨夜は楽しかったな」と言われても、それは夜桜見物のことなのか、それともアレのことなのか分からなくて、わたしはしばらく挙動不審になるのだった。
わたしは念願の夜桜見物が実現して、にこにこしながらカレヴィにお礼を言った。
「いや、おまえの願いならこのくらいささやかなものだ」
本当は千花やその家族も呼んで楽しくやりたかったけど、いきなり決まったことだし、千花にも予定があるだろうからしょうがない。
一番の理由はカレヴィに反対されたことだけどさ。
それでわたしは今、カレヴィとシルヴィ、アーネスとイアスというメンバーで桜の大木の下で雅やかに花見をしていた。
みんなすごい美形揃いだけど、なんだか女っ気がないとつまらない。
男ばかりじゃ、なんとなく潤いがないんだよねえ。
それでイヴェンヌ達も一緒に参加するように頼んでみたけど、謹んで遠慮された。ちえっ。
でも多少の不満は残るものの、花見は出来たことだし、一応言ってみるものだねえ。
桜の傍には魔法でいくつも明かりが灯され、なんとも幻想的な雰囲気が醸し出されていた。
そんな中で中央にテーブルセットが準備されて、明かりに照らされて幻想的に浮かび上がる桜を見ながら、四人で一緒に晩餐を取っている。
すると、隣の席のカレヴィがステーキを小さめに切って、それを刺したフォークをわたしに差し出してきた。
「ハルカ、口を開けろ」
「え……、は、恥ずかしいよ」
シルヴィ達も見ているのに、これはかなり恥ずかしい。
でもカレヴィは諦めていないらしく、そのまま待っている。
それで、わたしは覚悟を決めて口を開いた。
「それでは入らない。もっと口を開けろ」
言われて仕方なく、わたしはあーんと口を開ける。
その中にカレヴィがフォークに刺したお肉を投入し、わたしはそれに食いついた。
その傍で見ていた侍女達が、「今のは意味深ですわーっ!」と身悶えていた。……いったい、なにを想像しているのやら。
ふと気づくと、アーネスやイアスもこの事態を呆れて見ている。……シルヴィはなぜか真っ赤になっていたけど。
おいしいお肉をもぐもぐしながら、わたしも周囲の浮かれ具合にちょっと呆れていた。
未だに信じられないことに、カレヴィが明らかにわたしに夢中なので、このお花見の間にも、これはきっと結婚早々に御子を授かりますわとか、どんな美しい姫君とも浮き名を流さなかった陛下がハルカ様をこんなに愛しておいでで素晴らしいです! とか侍女達にお祝いの言葉をいろいろもらった。
夜桜の下というのも手伝って祝賀ムードいっぱいで、わたしはなんだかいたたまれなかった。……カレヴィは嬉しそうだったけど。
わたしがカレヴィのこと好きになってれば、一緒にありがとうって言って素直に喜べるんだろうけどなあ。
それができないわたしは、曖昧に笑ってごまかすしかできない。うーん、日本人の哀しい習性だ。
……けど、わたしもあーん返し(?)を一応した方がいいんだろうか。
こうやってカレヴィがわたしの希望を酌んで夜桜見物をさせてくれているんだから、ちょっとはわたしもサービスした方がいいのかもしれない。
わたしは一大決心をして、ステーキをカレヴィが食べやすい大きさに切ると、フォークに刺した。
「カ、カレヴィ」
「ん? なんだハルカ」
震えるわたしに疑問を覚えたのか、不思議そうにカレヴィが見てくる。
わたしはそんな彼の前に肉を刺したフォークを差し出すと言った。
「……はい、あーん、して?」
その直後、わたしは恥ずかしさで火を噴きそうになるほど真っ赤になった。
カレヴィは瞳を見開いて固まってるし、アーネス達は口に手を当てて身悶えている。よっぽどわたしのこの行動がおかしかったんだ。
「カ、カレヴィ」
似合わないのは分かったから、とりあえずこの差し出したお肉をなんとかしてほしい。そうしてもらわなきゃ、いまさら引っ込みがつかない。
「あ、ああ……」
あまりに自分に似合わないことをやってしまって涙目になっているところで、カレヴィが我に返ってようやくフォークに刺したお肉が回収された。
ああううう、今の自分を思い返してみて鳥肌立っちゃたよ。わたし、寒すぎる。
「……まさかおまえがそこまでしてくれるとは思わなかったぞ」
「う、うん……」
いたたまれなくてナイフとフォークを置いて俯いてると、いきなりカレヴィにぎゅむっと抱き寄せられた。
え、ええ!?
「真っ赤になって、本当に可愛いなおまえは」
そう言うと、カレヴィは食事の席にも関わらず、わたしを膝の上に乗せ、更にキスまでしてくる。
「カ、カレヴィ、食事中、食事中!」
何度もされるキスの合間にわたしがそう叫ぶと、カレヴィは少し残念そうにわたしを元の席に戻した。
なんというか、カレヴィの萌えの沸点が低すぎる。
わたしのあの寒い「あーん」でそこまで感激できるなんて、ある意味貴重だ。
「おまえのために用意した席だが、俺は早くおまえを可愛がりたくて仕方ないぞ」
は、発言が危険なんですけど、カレヴィさん!
案の定、周りにいた侍女達がきゃーっと歓声をあげた。
ううう、恥ずかしすぎる。
似合わないことをやってしまったわたしもだけど、カレヴィも招待客がいる以上、ある程度は自重してほしい。
そういえばわたし、カレヴィに行動を少し制限して欲しいって伝えてなかったな。
……でもこの調子だと、カレヴィがそれを承知するのかどうか甚だ疑問な気がする。
わたしは凄く恥ずかしい気持ちでいるところを、出されたお酒を飲むことで逃げた。……あ、これルルア酒だ。
まずいな、つい、一気飲みしちゃったよ。
すると、しばらくしてかーっと酔いが回ってきた。
「いや、ハルカ嬢はとても可愛らしいね。思わずカレヴィと変わりたいと思ったよ」
アーネスが相変わらず眩しい笑顔でそう言ってくる。
「そう? じゃあみんなにもした方がいいのかな?」
とろんとまぶたが落ちてくるのを必死に堪えてわたしがそう言ったら、カレヴィ以外の三人がなぜか目を輝かせた。
うん、一応嫌がられてはいないみたいだ。
恥ずかしいけど、せっかくの招待客なんだし、少しは接待しないとねー。
「だ、駄目だ、ハルカ。それは俺だけの特権だ」
「でも、せっかく招待して来て貰ってるんだからこれくらいいいじゃない」
酔っているわたしは、まずシルヴィの為にステーキを食べやすい大きさに切ると、フォークに刺して彼に差し出した。
「はい、シルヴィ、あーん」
シルヴィは耳まで真っ赤にしていたけれど、わたしもまだちょっと恥ずかしいんだよ。
「仕方ないですね。今回はあなたに従いますよ。本当に今回だけですからね!」
そう言って、お肉をぱくりと食べた。
ふふ、ツンデレ弟候補は今日も可愛いなあ。
そう思ってわたしがにやにやしていたら、今度はアーネスに催促された。
「ハルカ嬢は、わたしにはしてくれないのかな?」
それでわたしはアーネスにもあーん、とお肉を食べさせた。
不公平だから、もちろんイアスにも。イアスもなぜか赤くなってたなあ。慣れないことで恥ずかしかったんだろうか。
そう考えると、彼に悪いことしちゃったかなあ。
……でも思ったけど、これって間接キスにならない?
だけど、わたしは彼らのためを思って言わないでおいた。
せっかく喜んでいるみたいなのに、そんなこと言っちゃ台無しだものね。
それにしても、こんなことで喜んでくれるなんて、嬉しいなあ~。彼らを今日招待して本当に良かった。
「ハルカーッ」
みんなにあーんとやっている間に叫んでいたカレヴィが恨めしそうにわたしを見る。
ふーん、そんな顔したって怖くないもんね。
お酒で気が大きくなったわたしは昼間彼に怯えていたことも忘れて、カレヴィのグラスにルルア酒をデカンターから注いだ。
……おっと、ちょっと手元が危ういかな。
そう思いながら、わたしもルルア酒をくいくいと飲む。
フルーティで飲みやすいお酒だけど、そろそろ酔いが回ってきたから、もうやめといた方がいいみたいだ。
そう思った直後。
椅子から転がり落ちそうになったわたしは、カレヴィに無事抱きとめられた。
あれえ、そこまで飲んだつもりはないんだけどなあ。
「俺とハルカはこれで居室に戻る。後は見物でも食事でも好きにしろ」
心配そうに見てくるシルヴィ達に、カレヴィがそう通達すると、わたしは彼にお姫様抱っこされて王宮まで戻った。
招待した側が招待客ほったらかしなんて、みんなには悪いことしちゃったなあ。後で謝っておこう……。
──でも、わたしが覚えてるのはそこまで。
翌朝、わたしはカレヴィと一緒にわたしの寝室で目覚めた。
けれど彼に「昨夜は楽しかったな」と言われても、それは夜桜見物のことなのか、それともアレのことなのか分からなくて、わたしはしばらく挙動不審になるのだった。
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