26 / 148
第三章:王の婚約者として
第26話 野獣への対策
しおりを挟む
婚礼衣装の採寸も無事に終わったわたしは、早速千花にはっきりと「精力減退の薬ない?」と手紙を書いて送ると、彼女はしばらくしてやってきた。
「一瞬なにかと思ったよ。……カレヴィ王のことだね」
いくら親しい仲でも、いきなり一言だけアレな手紙を送りつけたのはまずかったかなあ。千花、ごめん。
「うん、そう。カレヴィ、程々ってのが出来ないみたいだからどうにかしたくて。わたしも体力的にそろそろきついし」
なんだかんだ言って、夜の習いの終わった後は、治癒魔法とか湿布とか痛み止め使い放題だし、いくらなんでもカレヴィはやりすぎだ。
おまけに、わたしへの愛(!)に目覚めてしまったカレヴィはやたら行為を引き延ばしたがるし、わたしとしては死活問題だ。
「ふうん、カレヴィ王はかなり落ちるのが早かったんだね」
訳知り顔で千花が一人頷く。……意味が分からない。
「? なんのこと、千花」
「ううん、こっちのこと」
……? 笑ってごまかされたような気もするけど、まあいいか。
それよりも重要なこと確認したいし。
「それで、例の薬はあるかなあ?」
期待でどきどきしながら聞いたら、千花にあっさりと突き落とされた。
「うーん、そういう方面の需要はないから、はっきり言っちゃうとない」
そうか、やっぱりないか。
そうだよね。あっちの世界でも精力が欲しいっていう人の方が多いみたいだし。
わたしがしょんぼりしていると、千花が慰めるように肩を叩いてきた。
「まあ、作ることはできるから、はるかはそう気を落とさないで」
「えっ、本当? 千花、作ってくれる?」
それで現金にもわたしは色めきたってしまった。
カレヴィのアレが抑えられるなんて素敵すぎる。
「それはいいけど。……でも、カレヴィ王がそんな薬飲むかなあ?」
千花が首を傾げながら疑問を投げかけたけど、わたしの体力がかかってるんだもの、絶対にカレヴィには認めさせてみせる!
……とは思ったものの。
執務室に行って、カレヴィにそのことを伝えると、思い切り拒否された。
「俺は、そんなものは飲まんぞ」
「えええ、だってカレヴィ、程度ってものを知らないんだもの。わたし、このままじゃ体が続かないよ」
結果的に体力を落とすから、治癒魔法をかけ続ける訳にもいかないしさ。
わたしがそう言うと、カレヴィがちょっと動揺した。
「……それは、悪いとは思っている。だが、実際におまえを前にすると抑えがきかないんだ」
「だから、薬で抑えようって話じゃない。カレヴィ、お願いだから了承してよ」
カレヴィは気持ちが揺れてたみたいだけど、結局うんとは言わなかった。
「それだけは、男として嫌だ。ハルカ、すまない」
ええーっ、じゃあ、これからも夜はこのまま野獣の餌食なわけ?
わたしはそれからもさんざんごねたけど、「駄目なものは駄目だ」とついには執務室を追い出されてしまった。
……カレヴィってわたしを好きなんじゃないの? やっぱりあの言葉は嘘だったんだねっ!
そうわたしが憤ってると、なぜか千花までがカレヴィのフォローを入れてきた。
「……まあ、カレヴィ王にも男のプライドってものがあるんだろうし、了承させるのはそう簡単にはいかないと思うよ」
「でも、千花。男のプライドって言ったって限度があるよ。このままじゃわたし死んじゃうよ」
趣味三昧で快適生活と思ってたら、こんなところにとんでもない魔が潜んでいたなんて思ってもいなかった。
やっぱり、そうそううまい話はないよね。
このまま過労死コースかと、わたしが落ち込んでいると、千花が顎に指を当てて考え込む。
「……それなら、魔法で時間制限するっていうのはどう? 魔法自体ははるかにかけるから、カレヴィ王に薬を盛るわけでもないし」
──時間制限!!
「えっ、そんなこと出来るの、千花!」
わたしは藁にも縋りつく思いで、千花を見てしまった。
「うん、出来るよ。たとえば真夜中になったらカレヴィ王ははるかに手を出せないってことにしたりとか」
「そっ、それっ、ぜひお願い! 千花、わたしの体調管理のためにも協力して!」
「うん、分かった」
わたしは千花と話し合って、カレヴィがわたしに手を出せる時間は夜の習いの始まりから真夜中までとした。もちろん、朝はなし。
……まあ、これだけあれば普通大丈夫だろう。
千花によると、これは防御壁魔法の改変版らしい。
ということはその時間以外は、わたしはカレヴィを拒絶するってことになるのかな。
……ひょっとしたら、カレヴィ傷つくかも。
でも、カレヴィだってわたしの体のこと考えてくれないんだから、おあいこだよね。
わたしはちょっと後ろめたかったけれど、千花にその魔法をかけて貰った。
うん、これで過労死は免れたぞ。
「千花、ありがとね」
「うん……。心配だから、明後日くらいにまた様子見にくるね」
上機嫌のわたしとは対照的に、千花はなぜか心配そうだ。
千花は心配性だなあ。
千花の魔法のおかげで、カレヴィの無茶が減るんだから、心配することなんてなにもないって!
──結果から言うと、千花の魔法は効果抜群だった。
夜の習いの最中、本当にあらかじめ決めた時間になったら、カレヴィはわたしに手を出せなくなった。
千花、マジで凄すぎる。
焦っている彼にわたしがにんまりしていると、カレヴィがものすごく不機嫌そうに聞いてきた。
「どういうことだ、ハルカ。まさか、なにかしたのか?」
「うん、千花に時間制限の魔法をかけて貰ったの。だからカレヴィ、わたしに手を出せないでしょ。カレヴィがわたしの体のこと考えてくれないからいけないんだよ」
いくらわたしが丈夫だからっていっても、ものには限度ってものがあるんだからね。
わたしの再三の願いを聞かなかった罰をカレヴィは受ければいいんだよ。
「考えていないことはない! ハルカ、ティカ殿に言ってすぐに解いてもらえ」
「えー、やだよ。カレヴィ、たまには我慢することも覚えなきゃ。……じゃあね、お休みカレヴィ」
わたしは寝間着を着込むとさっさとシーツを引き被って眠りに入った。
「ハルカーッ!」
煩いなあ、もう。
近衛とか侍女がなにかと思って見に来るじゃないよ。
……でも、千花が事前に事情を話してあったらしく、彼らは現れなかった。
よし、これで安眠できるぞ。
「俺にこの状態でいろというのか。酷すぎるぞ、ハルカ」
そう言うカレヴィはいわゆる寸止め状態。
だから可哀想は可哀想だけど、ここはあえて心を鬼にしなきゃね。
カレヴィが男のプライドをちょっとくらい捨ててくれれば、わたしだってこんなことしなくて済んだんだよ?
「わたしが好きなら、このくらい耐えられるよね、カレヴィ?」
シーツから顔だけだしてわたしはにっこり笑う。
するとカレヴィが心底悔しそうに唸った。
そして、してやったりと満足したわたしは、カレヴィを置いてきぼりにして、久しぶりに朝まで安眠したのだった。
「一瞬なにかと思ったよ。……カレヴィ王のことだね」
いくら親しい仲でも、いきなり一言だけアレな手紙を送りつけたのはまずかったかなあ。千花、ごめん。
「うん、そう。カレヴィ、程々ってのが出来ないみたいだからどうにかしたくて。わたしも体力的にそろそろきついし」
なんだかんだ言って、夜の習いの終わった後は、治癒魔法とか湿布とか痛み止め使い放題だし、いくらなんでもカレヴィはやりすぎだ。
おまけに、わたしへの愛(!)に目覚めてしまったカレヴィはやたら行為を引き延ばしたがるし、わたしとしては死活問題だ。
「ふうん、カレヴィ王はかなり落ちるのが早かったんだね」
訳知り顔で千花が一人頷く。……意味が分からない。
「? なんのこと、千花」
「ううん、こっちのこと」
……? 笑ってごまかされたような気もするけど、まあいいか。
それよりも重要なこと確認したいし。
「それで、例の薬はあるかなあ?」
期待でどきどきしながら聞いたら、千花にあっさりと突き落とされた。
「うーん、そういう方面の需要はないから、はっきり言っちゃうとない」
そうか、やっぱりないか。
そうだよね。あっちの世界でも精力が欲しいっていう人の方が多いみたいだし。
わたしがしょんぼりしていると、千花が慰めるように肩を叩いてきた。
「まあ、作ることはできるから、はるかはそう気を落とさないで」
「えっ、本当? 千花、作ってくれる?」
それで現金にもわたしは色めきたってしまった。
カレヴィのアレが抑えられるなんて素敵すぎる。
「それはいいけど。……でも、カレヴィ王がそんな薬飲むかなあ?」
千花が首を傾げながら疑問を投げかけたけど、わたしの体力がかかってるんだもの、絶対にカレヴィには認めさせてみせる!
……とは思ったものの。
執務室に行って、カレヴィにそのことを伝えると、思い切り拒否された。
「俺は、そんなものは飲まんぞ」
「えええ、だってカレヴィ、程度ってものを知らないんだもの。わたし、このままじゃ体が続かないよ」
結果的に体力を落とすから、治癒魔法をかけ続ける訳にもいかないしさ。
わたしがそう言うと、カレヴィがちょっと動揺した。
「……それは、悪いとは思っている。だが、実際におまえを前にすると抑えがきかないんだ」
「だから、薬で抑えようって話じゃない。カレヴィ、お願いだから了承してよ」
カレヴィは気持ちが揺れてたみたいだけど、結局うんとは言わなかった。
「それだけは、男として嫌だ。ハルカ、すまない」
ええーっ、じゃあ、これからも夜はこのまま野獣の餌食なわけ?
わたしはそれからもさんざんごねたけど、「駄目なものは駄目だ」とついには執務室を追い出されてしまった。
……カレヴィってわたしを好きなんじゃないの? やっぱりあの言葉は嘘だったんだねっ!
そうわたしが憤ってると、なぜか千花までがカレヴィのフォローを入れてきた。
「……まあ、カレヴィ王にも男のプライドってものがあるんだろうし、了承させるのはそう簡単にはいかないと思うよ」
「でも、千花。男のプライドって言ったって限度があるよ。このままじゃわたし死んじゃうよ」
趣味三昧で快適生活と思ってたら、こんなところにとんでもない魔が潜んでいたなんて思ってもいなかった。
やっぱり、そうそううまい話はないよね。
このまま過労死コースかと、わたしが落ち込んでいると、千花が顎に指を当てて考え込む。
「……それなら、魔法で時間制限するっていうのはどう? 魔法自体ははるかにかけるから、カレヴィ王に薬を盛るわけでもないし」
──時間制限!!
「えっ、そんなこと出来るの、千花!」
わたしは藁にも縋りつく思いで、千花を見てしまった。
「うん、出来るよ。たとえば真夜中になったらカレヴィ王ははるかに手を出せないってことにしたりとか」
「そっ、それっ、ぜひお願い! 千花、わたしの体調管理のためにも協力して!」
「うん、分かった」
わたしは千花と話し合って、カレヴィがわたしに手を出せる時間は夜の習いの始まりから真夜中までとした。もちろん、朝はなし。
……まあ、これだけあれば普通大丈夫だろう。
千花によると、これは防御壁魔法の改変版らしい。
ということはその時間以外は、わたしはカレヴィを拒絶するってことになるのかな。
……ひょっとしたら、カレヴィ傷つくかも。
でも、カレヴィだってわたしの体のこと考えてくれないんだから、おあいこだよね。
わたしはちょっと後ろめたかったけれど、千花にその魔法をかけて貰った。
うん、これで過労死は免れたぞ。
「千花、ありがとね」
「うん……。心配だから、明後日くらいにまた様子見にくるね」
上機嫌のわたしとは対照的に、千花はなぜか心配そうだ。
千花は心配性だなあ。
千花の魔法のおかげで、カレヴィの無茶が減るんだから、心配することなんてなにもないって!
──結果から言うと、千花の魔法は効果抜群だった。
夜の習いの最中、本当にあらかじめ決めた時間になったら、カレヴィはわたしに手を出せなくなった。
千花、マジで凄すぎる。
焦っている彼にわたしがにんまりしていると、カレヴィがものすごく不機嫌そうに聞いてきた。
「どういうことだ、ハルカ。まさか、なにかしたのか?」
「うん、千花に時間制限の魔法をかけて貰ったの。だからカレヴィ、わたしに手を出せないでしょ。カレヴィがわたしの体のこと考えてくれないからいけないんだよ」
いくらわたしが丈夫だからっていっても、ものには限度ってものがあるんだからね。
わたしの再三の願いを聞かなかった罰をカレヴィは受ければいいんだよ。
「考えていないことはない! ハルカ、ティカ殿に言ってすぐに解いてもらえ」
「えー、やだよ。カレヴィ、たまには我慢することも覚えなきゃ。……じゃあね、お休みカレヴィ」
わたしは寝間着を着込むとさっさとシーツを引き被って眠りに入った。
「ハルカーッ!」
煩いなあ、もう。
近衛とか侍女がなにかと思って見に来るじゃないよ。
……でも、千花が事前に事情を話してあったらしく、彼らは現れなかった。
よし、これで安眠できるぞ。
「俺にこの状態でいろというのか。酷すぎるぞ、ハルカ」
そう言うカレヴィはいわゆる寸止め状態。
だから可哀想は可哀想だけど、ここはあえて心を鬼にしなきゃね。
カレヴィが男のプライドをちょっとくらい捨ててくれれば、わたしだってこんなことしなくて済んだんだよ?
「わたしが好きなら、このくらい耐えられるよね、カレヴィ?」
シーツから顔だけだしてわたしはにっこり笑う。
するとカレヴィが心底悔しそうに唸った。
そして、してやったりと満足したわたしは、カレヴィを置いてきぼりにして、久しぶりに朝まで安眠したのだった。
0
お気に入りに追加
937
あなたにおすすめの小説
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
人生の全てを捨てた王太子妃
八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。
傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。
だけど本当は・・・
受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。
※※※幸せな話とは言い難いです※※※
タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。
※本編六話+番外編六話の全十二話。
※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる