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第二章:城での生活の始まり
第23話 小悪魔
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庭園の散策から帰ってきたわたしとカレヴィは、ちょっと一休みということで共同の間で一緒にコーヒーを飲んでいた。
そこでわたしは、向こうで買ってきたポテトチップスの袋を大皿に開け、カレヴィに食べてもらうことにした。
……そういや、わたしさっきバナナ食べたんだっけ。気をつけないとすぐ脂肪に化けるから、ちょっと自重しなきゃ。
「これがハルカの世界の菓子か。……塩辛いが旨い。癖になりそうな感じだな」
カレヴィは塩味のポテチをパリパリとつまみながら、時々興味深そうにそれを眺めている。
「これはここでも作れるのか?」
「ポテトチップスくらいなら作れるよ。薄く輪切りにしたジャガイモを水にさらした後、水分をよくふき取ってから油で揚げればいいんだよ。後は好みで塩とか調味料で味付けすればいいだけ」
控えていたゼシリアがわたしの言ったことをメモにとっていく。
厨房で作る気なのかな?
フライドポテトは既にあったし、今までなかったのが不思議なくらいだけど。
「そうか。では今後こちらで作らせよう。……ハルカはあちらでいろいろな菓子を買ってきたようだな」
カレヴィはそう言いながら、わたしが持ち帰ってきた菓子の入った袋の中身を確認している。
「うん、こっちには甘いお菓子しかないって聞いてたから。カレヴィもいろいろ試してみて」
シンプルな塩味のポテチは気に入ったみたいだけど、味覚的に駄目なものもあるかもしれないし、出来れば念のために買ってきたもの全種類試してみた方がいいかなと思ったんだ。
……一応、これ全部わたしが好きなお菓子だし、カレヴィが駄目ならわたしだけで食べることになるけど。
でもそうすると、ダイエットにはよろしくなさそうではあるなあ。……まあ、少量ずつ食べれば問題はないか。イヴェンヌ達もいるしね。
「ああ、分かった。俺には珍しいものだから楽しみだぞ」
カレヴィはカップを口に運びながら、爽やかに笑って言ってくれた。
こういう時はカレヴィ、マジでイケメンなんだけどね。
これで時々変なことをしでかさなければ、伴侶としては最高なんじゃないだろうか。
お金持ちの国の王様で、美形で仕事も出来て、性格もまあちょっと偉そうなところはあるけれど、基本的には優しいし、浮気の心配もないと来た。
でも、そんなカレヴィのなにがおかしいって言うと、特に夜とか夜とか夜とか。
そしてそれを異分子のわたしに反発している貴族連中に言ってしまうというのも、おかしすぎる。
カレヴィに羞恥心というものはないのか。
わたしがそんなことを思って悶々としていると、近衛と取り次ぎをしていたゼシリアがカレヴィの近くに寄ってきた。
「陛下、ハルカ様にお目通りを希望なさっておられる方々がいらっしゃいます」
ゼシリアのその報告にカレヴィの顔がうんざりといった感じになった。
方々、というからには複数だよね。
またわたし達の婚礼を反対している貴族が来たんだろうか? だとしたら、ちょっとやだなあ。
「……またか。ハルカはまだこちらにきて間もないのだ。あまり今から疲れさせるのは良くない。帰ってもらえ」
それ、一番わたしを疲れさせているカレヴィが言うこと? なんとなく納得できないんだけど。
でもカレヴィは眉をちょっと顰めていて、わたしのことを本気で心配してくれているみたいだ。
「……それが、リットンモア公爵家のアーネス様とイアス様なのですが」
そこでカレヴィは飲んでいたコーヒーを気管に詰まらせたらしく、思い切りむせていた。
わたしは慌てて立ち上がると、カレヴィの背中をさすった。
「だ、大丈夫?」
カレヴィがこんなに動揺するとは、その二人、どういう人物なんだろう。
公爵家というからにはかなり高い地位の人達なのだけは分かるんだけど。
カレヴィはひとしきり咳こんでいたけれど、それもどうにか治まったようだ。
「ああ、大丈夫だ。ハルカすまない」
カレヴィが頷いたところでわたしは安心して席に戻る。
すると、カレヴィはこう言ってきた。
「アーネスがハルカに会うなら俺も立ち会う」
……? アーネスって人が問題なのかな。イアスって人のことは特になにも言ってないし。
でも随分と偉い人みたいだし、粗相のないようにカレヴィに付いてて貰った方が助かるかもしれない。
「うん、お願い」
わたしが頷くと、カレヴィはリットンモア公爵を受け入れる準備をさせた。
「ねえ、その公爵家の方々はおいくつなの?」
「アーネスは公爵で俺と同い年だ。イアスは十七だったか」
え、ということはその公爵様は二十四歳か。
それなら、昨日の貴族達みたいに姫を妃に、っていうことはないのかな? ……いや、妃にしたい妹がいるって線も考えられるか。
「……いいか、ハルカ。絶対にアーネスに見とれるな。口車に乗るな。惚れるな」
がしっと肩を掴まれて真剣に訴えられたけど、その内容はなんだ。
考えていた内容とはまったく違ったことをいきなり忠告されて、わたしは戸惑った。
……でも分かったことは一つ。
「……ふうん、格好いいんだ」
カレヴィの言葉から総合して答えを導き出したわたしに、すかさず彼から「絶対に惚れるな!」とビシッと指を指されて言われた。
「……いや、そんなの会ってみないと分からないし」
なんとなく必死なカレヴィがおかしくて、つい言ってみる。
「会うな!」
「……冗談だよ。カレヴィ、なんでそんなに必死なの?」
政略結婚相手のわたしに、ここまで言ってくるのはなんか不自然だ。
「……っ、そ、それは……っ」
普段は王様然としているから、こんなに動じるカレヴィは本当に珍しい。
わたしがじっと彼を見つめていると、それに耐えられなくなったらしいカレヴィが叫ぶように言った。
「く……っ、分かった、認める! 奴に会わせればいいんだろう!」
えー、ちょっとふざけたことは認めるけど、そこまで必死になって言うこと?
そんなことを思ってると、モニーカが悪気もなく言ってきた。
「まあ、陛下を翻弄するハルカ様はまるで『小悪魔』のようで、素敵ですわね」
ええ? 小悪魔って、それはわたしにもっとも遠い表現じゃないの?
けれど、そんなわたしの考えに反して、ソフィアもちょっと興奮したように言ってきた。
「小悪魔! 確かに陛下のお心をこれほどまでに乱されるハルカ様にぴったりの表現ですわ」
え? そんなにわたしはカレヴィの心を乱したっけ?
そういや、さっき騎士と会いたいって言った時は、えらい反対されたけどさ。
「まあぁ、本当ですわね!」
イヴェンヌも頬を染めながらそれに同意した。
なんだか異様に侍女三人が盛り上がっている。もしかして、これは変な方向に誤解されているのか?
いや、それはない。それだけは期待されてもないから。
それにしてもカレヴィ、いったいどうしちゃったんだ。今までは王様らしくもっと堂々としていたっていうのに。
「そうか、小悪魔か。……ぴったりだな」
カレヴィまで頷いてそう言ってきたので、わたしはびっくりする。
確かに今わたしがカレヴィを振り回していたのは本当なんだけどさ。
「えええ、わたしが小悪魔なんてありえない!」
なんといっても、この間までわたしは喪女だったんだよ? 小悪魔ってそれとは正反対じゃない。
「……自覚がないというのも、恐ろしいものだな」
カレヴィが感心したように、叫んだわたしを見つめてくる。
その様子を侍女三人もなにかを期待する目で見つめてくる。
……いや、本当にそれだけはありえないから。
カレヴィとわたしはお互いの利害が一致しただけの政略結婚なんだよ。
わたしは地味で美人じゃないし、カレヴィはただ、わたしを通して千花の協力が欲しいだけのはずだ。
……そういう訳なので、お願いだから、みんなでわたしを変な目で見つめないで欲しい。
そこでわたしは、向こうで買ってきたポテトチップスの袋を大皿に開け、カレヴィに食べてもらうことにした。
……そういや、わたしさっきバナナ食べたんだっけ。気をつけないとすぐ脂肪に化けるから、ちょっと自重しなきゃ。
「これがハルカの世界の菓子か。……塩辛いが旨い。癖になりそうな感じだな」
カレヴィは塩味のポテチをパリパリとつまみながら、時々興味深そうにそれを眺めている。
「これはここでも作れるのか?」
「ポテトチップスくらいなら作れるよ。薄く輪切りにしたジャガイモを水にさらした後、水分をよくふき取ってから油で揚げればいいんだよ。後は好みで塩とか調味料で味付けすればいいだけ」
控えていたゼシリアがわたしの言ったことをメモにとっていく。
厨房で作る気なのかな?
フライドポテトは既にあったし、今までなかったのが不思議なくらいだけど。
「そうか。では今後こちらで作らせよう。……ハルカはあちらでいろいろな菓子を買ってきたようだな」
カレヴィはそう言いながら、わたしが持ち帰ってきた菓子の入った袋の中身を確認している。
「うん、こっちには甘いお菓子しかないって聞いてたから。カレヴィもいろいろ試してみて」
シンプルな塩味のポテチは気に入ったみたいだけど、味覚的に駄目なものもあるかもしれないし、出来れば念のために買ってきたもの全種類試してみた方がいいかなと思ったんだ。
……一応、これ全部わたしが好きなお菓子だし、カレヴィが駄目ならわたしだけで食べることになるけど。
でもそうすると、ダイエットにはよろしくなさそうではあるなあ。……まあ、少量ずつ食べれば問題はないか。イヴェンヌ達もいるしね。
「ああ、分かった。俺には珍しいものだから楽しみだぞ」
カレヴィはカップを口に運びながら、爽やかに笑って言ってくれた。
こういう時はカレヴィ、マジでイケメンなんだけどね。
これで時々変なことをしでかさなければ、伴侶としては最高なんじゃないだろうか。
お金持ちの国の王様で、美形で仕事も出来て、性格もまあちょっと偉そうなところはあるけれど、基本的には優しいし、浮気の心配もないと来た。
でも、そんなカレヴィのなにがおかしいって言うと、特に夜とか夜とか夜とか。
そしてそれを異分子のわたしに反発している貴族連中に言ってしまうというのも、おかしすぎる。
カレヴィに羞恥心というものはないのか。
わたしがそんなことを思って悶々としていると、近衛と取り次ぎをしていたゼシリアがカレヴィの近くに寄ってきた。
「陛下、ハルカ様にお目通りを希望なさっておられる方々がいらっしゃいます」
ゼシリアのその報告にカレヴィの顔がうんざりといった感じになった。
方々、というからには複数だよね。
またわたし達の婚礼を反対している貴族が来たんだろうか? だとしたら、ちょっとやだなあ。
「……またか。ハルカはまだこちらにきて間もないのだ。あまり今から疲れさせるのは良くない。帰ってもらえ」
それ、一番わたしを疲れさせているカレヴィが言うこと? なんとなく納得できないんだけど。
でもカレヴィは眉をちょっと顰めていて、わたしのことを本気で心配してくれているみたいだ。
「……それが、リットンモア公爵家のアーネス様とイアス様なのですが」
そこでカレヴィは飲んでいたコーヒーを気管に詰まらせたらしく、思い切りむせていた。
わたしは慌てて立ち上がると、カレヴィの背中をさすった。
「だ、大丈夫?」
カレヴィがこんなに動揺するとは、その二人、どういう人物なんだろう。
公爵家というからにはかなり高い地位の人達なのだけは分かるんだけど。
カレヴィはひとしきり咳こんでいたけれど、それもどうにか治まったようだ。
「ああ、大丈夫だ。ハルカすまない」
カレヴィが頷いたところでわたしは安心して席に戻る。
すると、カレヴィはこう言ってきた。
「アーネスがハルカに会うなら俺も立ち会う」
……? アーネスって人が問題なのかな。イアスって人のことは特になにも言ってないし。
でも随分と偉い人みたいだし、粗相のないようにカレヴィに付いてて貰った方が助かるかもしれない。
「うん、お願い」
わたしが頷くと、カレヴィはリットンモア公爵を受け入れる準備をさせた。
「ねえ、その公爵家の方々はおいくつなの?」
「アーネスは公爵で俺と同い年だ。イアスは十七だったか」
え、ということはその公爵様は二十四歳か。
それなら、昨日の貴族達みたいに姫を妃に、っていうことはないのかな? ……いや、妃にしたい妹がいるって線も考えられるか。
「……いいか、ハルカ。絶対にアーネスに見とれるな。口車に乗るな。惚れるな」
がしっと肩を掴まれて真剣に訴えられたけど、その内容はなんだ。
考えていた内容とはまったく違ったことをいきなり忠告されて、わたしは戸惑った。
……でも分かったことは一つ。
「……ふうん、格好いいんだ」
カレヴィの言葉から総合して答えを導き出したわたしに、すかさず彼から「絶対に惚れるな!」とビシッと指を指されて言われた。
「……いや、そんなの会ってみないと分からないし」
なんとなく必死なカレヴィがおかしくて、つい言ってみる。
「会うな!」
「……冗談だよ。カレヴィ、なんでそんなに必死なの?」
政略結婚相手のわたしに、ここまで言ってくるのはなんか不自然だ。
「……っ、そ、それは……っ」
普段は王様然としているから、こんなに動じるカレヴィは本当に珍しい。
わたしがじっと彼を見つめていると、それに耐えられなくなったらしいカレヴィが叫ぶように言った。
「く……っ、分かった、認める! 奴に会わせればいいんだろう!」
えー、ちょっとふざけたことは認めるけど、そこまで必死になって言うこと?
そんなことを思ってると、モニーカが悪気もなく言ってきた。
「まあ、陛下を翻弄するハルカ様はまるで『小悪魔』のようで、素敵ですわね」
ええ? 小悪魔って、それはわたしにもっとも遠い表現じゃないの?
けれど、そんなわたしの考えに反して、ソフィアもちょっと興奮したように言ってきた。
「小悪魔! 確かに陛下のお心をこれほどまでに乱されるハルカ様にぴったりの表現ですわ」
え? そんなにわたしはカレヴィの心を乱したっけ?
そういや、さっき騎士と会いたいって言った時は、えらい反対されたけどさ。
「まあぁ、本当ですわね!」
イヴェンヌも頬を染めながらそれに同意した。
なんだか異様に侍女三人が盛り上がっている。もしかして、これは変な方向に誤解されているのか?
いや、それはない。それだけは期待されてもないから。
それにしてもカレヴィ、いったいどうしちゃったんだ。今までは王様らしくもっと堂々としていたっていうのに。
「そうか、小悪魔か。……ぴったりだな」
カレヴィまで頷いてそう言ってきたので、わたしはびっくりする。
確かに今わたしがカレヴィを振り回していたのは本当なんだけどさ。
「えええ、わたしが小悪魔なんてありえない!」
なんといっても、この間までわたしは喪女だったんだよ? 小悪魔ってそれとは正反対じゃない。
「……自覚がないというのも、恐ろしいものだな」
カレヴィが感心したように、叫んだわたしを見つめてくる。
その様子を侍女三人もなにかを期待する目で見つめてくる。
……いや、本当にそれだけはありえないから。
カレヴィとわたしはお互いの利害が一致しただけの政略結婚なんだよ。
わたしは地味で美人じゃないし、カレヴィはただ、わたしを通して千花の協力が欲しいだけのはずだ。
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