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第二章:城での生活の始まり
第19話 非常識な王様
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「ほんっとに信じられないっ!」
いろいろと考えている内にさっきの羞恥を再び思い出してしまったわたしは、カレヴィとシルヴィしかいなくなった謁見の間で、年甲斐もなく真っ赤な顔で地団駄を踏んでいた。
「ハ、ハルカ落ち着け」
わたしの荒れようにカレヴィが慌てたように立ち上がる。シルヴィもわたしに近づいてきた。
「気持ちは分かりますが、ハルカ落ち着いてください。淑女らしくないですよ」
十歳以上年下なシルヴィに諫められて、わたしは自分が随分と大人げなかったことを恥じた。
……でも、やっぱりカレヴィのことは許し難い。
「今日は夜の習いしない!」
わたしのその叫びにカレヴィはかなり驚いたようだった。
「なにを言っている。そんな勝手が許せるか。それに、あれは褒めたんじゃないか。なのに、なぜ怒る」
……あれを褒めたって言えるカレヴィおかしすぎるよ。
「あの言い方じゃ、まるでわたしがカレヴィを惑わしてるみたいじゃない。カレヴィ、酷すぎるよ」
そう言ってるうちに、羞恥からじわりと涙が浮かんできた。
「ハルカ」
シルヴィが心配そうにわたしに腕を伸ばしてきたけど、はっとしたようにその手を引っ込めた。
……なんだろう。ひょっとして慰めようとしてくれたのかな?
「兄王申し訳ありません。出過ぎたまねをしました」
「……まあ、いい。だが、ハルカは俺の婚約者だということを忘れるな」
「はい」
今度はカレヴィがわたしに腕を伸ばしてきて涙を拭おうとした。……あ、あれってこういうことだったのか。
だけどわたしは、カレヴィの腕をはねのけ、彼から数歩下がって自分で涙を拭った。
「……ハルカ、その態度は可愛くないぞ」
カレヴィがむっとして言ってくるけど、わたしはまだ彼に怒っていた。
「カレヴィが悪いんでしょ。あんな恥ずかしいこと言うから。あの人達、わたしのことまるで悪女かなにかみたいに言ってたじゃない」
あの人達が言うように、わたしは確かに美しくない。でも、この体は信じられないことにカレヴィにとってはとても貴重なものらしいのだ。
でも、それを自分の姫を売り込みたい貴族の人達に誇示するように言うなんて酷すぎるよ。
あれじゃ、無駄に敵を増やすだけじゃないか。
わたしはもっとひっそりと王妃業しながら趣味に浸りたいのに。
わたしがまだ真っ赤な顔でカレヴィを睨んでいると、彼は仕方なさそうに溜息をついた。
「……悪かった。俺の考えがなさすぎた。ハルカ、頼むから機嫌を直してくれ」
謝ってきても、そんなに簡単には許さないからね。
わたしの平穏な日常を壊すような真似をしたカレヴィは、もっと根本的なところから考え直したほうがいいと思う。
あれが、人前で言っていい言葉かどうかぐらい、普通分かるでしょうが。……あ、王様だから分からないのか? でも、王族のシルヴィは普通にあれが非常識な会話だと理解しているみたいだし。
うん、やっぱりカレヴィがおかしいんだ。
結局そういう結論に落ち着いて、わたしはカレヴィの懇願にも黙っていた。
「ハルカ、俺からも頼みます。どうか機嫌を直してください」
う、シルヴィにそう言われちゃうと、決意が鈍るな。
あんまり意固地になって、彼に悪印象持たれたら嫌だし。
……仕方ない。ここは彼に免じて、カレヴィを許しちゃうか。
「……分かったよ。でも、カレヴィはもう人前であんなこと言わないで。わたしはすごく恥ずかしかったんだからね」
「ああ、すまない」
軽く返してくるカレヴィにちょっと、いやかなり不満を感じる。
──本当に分かってるのか、この男は。
わたしは頭が痛くなりながらも、シルヴィの再三のフォローを受けて、仕方なくカレヴィを許した。
心配してくるシルヴィの顔を立てるために、今回は許したんだからね! そこのところは勘違いしないでよね。
それでとりあえず、時間も遅くなったことだし、晩餐ということになった。
わたしがシルヴィも一緒にと言ったので彼も同席している。
義弟として仲良くなる機会をどんどん作って行かなくちゃね。ふふ。
その席で、カレヴィに礼儀作法の授業のことについて聞かれたので、わたしはその内容をざっと説明した。
「千花に礼儀作法の先生は厳しいから覚悟しておいた方がいいって聞かされてたからどうなるかと思ってたけど、実際は優しい先生でよかったよ」
ステーキを切り分けながら笑顔で言うと、カレヴィがとんでもないことを言いだした。
「そうか。……おまえにはもっと厳しい教師を付けた方がよかったか?」
「え、えっ? いや、今のままで結構です!」
「……冗談だ」
見ると、カレヴィはおかしそうに口元を押さえている。
うう、おもしろがられてるよ、わたし。ひょっとして、これはさっきの仕返しか?
「けれど、ハルカと教師の相性が良さそうでよかったですね。よい信頼関係を作っていくのも作法を教わるには大事です」
「うん、そうだね」
それは本当にそう思う。
チェックは厳しいけれど、優しくて信頼できる先生だし、わたしは本当に運がいい。
シルヴィににこにこしながら、わたしは頷く。
「なんだ、ハルカはシルヴィには随分と愛想がいいんだな」
意外そうに眉を上げてカレヴィが言ったので、わたしは素直に話した。
「わたし、弟が欲しかったから、シルヴィとは仲良くなりたいんだよね」
「そ、そうですか……」
シルヴィがわたしの言葉を受けてちょっと困ったように頷く。
あれ、迷惑だったのかなあ……。
「まあ、程々にしておけよ。それこそ、先程のやつらに妙な噂を立てられかねん」
ええ? 弟として仲良くするだけなのに、そんな心配をしなきゃいけないなんてかなり残念すぎる。
「これだけ歳が離れていたらそんな気になるはずないのにねえ。わたしにはシルヴィは可愛い弟みたいに思えるけど」
まあ、公式には二十歳ということになっているから、あの貴族のおじさん達にそう言えないところは苦しいかな。
すると、シルヴィがいかにも気分を害したとでもいうように、むっとした顔をしてきた。
あ、あれ……?
「失礼ですが、俺はもう成人しているんです。あなたの相手として噂される可能性はいくらでもあるんですよ。それなのに、そんなことを言われるのは心外です」
あ、そうだった。ここでは十五で成人なんだった。
だから、その可能性は確かにあるんだよね。わたしからしたら、それが犯罪的行為だとしても。
「ご、ごめんね。シルヴィのプライドを傷つけるつもりはなかったんだ。許してね」
わたしが頭を下げて謝ったら、シルヴィはちょっと息をついて、首を横に振った。
「……俺も言い過ぎました。ただ、本当にやつらに妙な言いがかりをつけられるようなことには気をつけてください」
「う、うん、分かった。気をつける」
なんだかわたしもカレヴィを怒るような感じじゃなくなってきたな。
シルヴィとは仲良くしたいけど、本当に気をつけないと。……けどその程々具合が難しいんだよねえ。
わたしはちょっと息をついた後、気を取り直すようにカレヴィに礼儀作法の復習のことについて言ってみた。
「ところで、礼儀作法の先生に今日習ったことの復習してくださいって言われたんだよね。だから、カレヴィ後でわたしがきちんと出来ているか見てほしいんだけど」
「ああ、いいぞ。しっかり見てやる」
それまでシルヴィとのやりとりを黙って見ていたカレヴィが、わたしのそのお願いに笑顔で快諾してくれた。
うーん、カレヴィ、いい人だ。……時々かなり非常識だけど。
「その代わり、おまえには夜の方も頑張ってもらうぞ」
……結局そのオチか!
恥ずかしげもなく言うカレヴィに、ウブなシルヴィが真っ赤になる。
カレヴィ、さっきのこと全然反省してないじゃない。
いい人と思ったのは撤回。カレヴィは王様の皮を被った野獣だ。
「……なら、侍女達に見てもらうからいいよ」
昨日みたいなこと、また繰り返すのは耐えられない。
わたしの体力だって限界ってものがあるんだぞ。
「礼儀作法なら俺が見た方が確実だぞ。遠慮するな」
そんなこんなでカレヴィに押し切られたわたしは、礼儀作法の復習を彼に見てもらうことになった。
シルヴィはあの話題に引いたのか、食事もそこそこに、そそくさと帰ってしまった。
……彼には本当に悪いことしちゃったなあ。これもあけすけすぎるカレヴィが悪いんだ。
でも、カレヴィの礼儀作法は完璧で、確かにその人選は間違ってなかったんだけど。
「……約束は守ってもらうぞ」
とかなんとか言われて、寝室で彼にのしかかられてしまった。
……よくよく考えたら、復習を見てもらうのはシルヴィでも良かったんじゃない? 彼も王族で礼儀作法は完璧なはずだし。
そうカレヴィに言ったら、なぜか急に不機嫌になってアレを何回も付き合わされることになってしまったのだった。
……本当に、なんでなんだ。
いろいろと考えている内にさっきの羞恥を再び思い出してしまったわたしは、カレヴィとシルヴィしかいなくなった謁見の間で、年甲斐もなく真っ赤な顔で地団駄を踏んでいた。
「ハ、ハルカ落ち着け」
わたしの荒れようにカレヴィが慌てたように立ち上がる。シルヴィもわたしに近づいてきた。
「気持ちは分かりますが、ハルカ落ち着いてください。淑女らしくないですよ」
十歳以上年下なシルヴィに諫められて、わたしは自分が随分と大人げなかったことを恥じた。
……でも、やっぱりカレヴィのことは許し難い。
「今日は夜の習いしない!」
わたしのその叫びにカレヴィはかなり驚いたようだった。
「なにを言っている。そんな勝手が許せるか。それに、あれは褒めたんじゃないか。なのに、なぜ怒る」
……あれを褒めたって言えるカレヴィおかしすぎるよ。
「あの言い方じゃ、まるでわたしがカレヴィを惑わしてるみたいじゃない。カレヴィ、酷すぎるよ」
そう言ってるうちに、羞恥からじわりと涙が浮かんできた。
「ハルカ」
シルヴィが心配そうにわたしに腕を伸ばしてきたけど、はっとしたようにその手を引っ込めた。
……なんだろう。ひょっとして慰めようとしてくれたのかな?
「兄王申し訳ありません。出過ぎたまねをしました」
「……まあ、いい。だが、ハルカは俺の婚約者だということを忘れるな」
「はい」
今度はカレヴィがわたしに腕を伸ばしてきて涙を拭おうとした。……あ、あれってこういうことだったのか。
だけどわたしは、カレヴィの腕をはねのけ、彼から数歩下がって自分で涙を拭った。
「……ハルカ、その態度は可愛くないぞ」
カレヴィがむっとして言ってくるけど、わたしはまだ彼に怒っていた。
「カレヴィが悪いんでしょ。あんな恥ずかしいこと言うから。あの人達、わたしのことまるで悪女かなにかみたいに言ってたじゃない」
あの人達が言うように、わたしは確かに美しくない。でも、この体は信じられないことにカレヴィにとってはとても貴重なものらしいのだ。
でも、それを自分の姫を売り込みたい貴族の人達に誇示するように言うなんて酷すぎるよ。
あれじゃ、無駄に敵を増やすだけじゃないか。
わたしはもっとひっそりと王妃業しながら趣味に浸りたいのに。
わたしがまだ真っ赤な顔でカレヴィを睨んでいると、彼は仕方なさそうに溜息をついた。
「……悪かった。俺の考えがなさすぎた。ハルカ、頼むから機嫌を直してくれ」
謝ってきても、そんなに簡単には許さないからね。
わたしの平穏な日常を壊すような真似をしたカレヴィは、もっと根本的なところから考え直したほうがいいと思う。
あれが、人前で言っていい言葉かどうかぐらい、普通分かるでしょうが。……あ、王様だから分からないのか? でも、王族のシルヴィは普通にあれが非常識な会話だと理解しているみたいだし。
うん、やっぱりカレヴィがおかしいんだ。
結局そういう結論に落ち着いて、わたしはカレヴィの懇願にも黙っていた。
「ハルカ、俺からも頼みます。どうか機嫌を直してください」
う、シルヴィにそう言われちゃうと、決意が鈍るな。
あんまり意固地になって、彼に悪印象持たれたら嫌だし。
……仕方ない。ここは彼に免じて、カレヴィを許しちゃうか。
「……分かったよ。でも、カレヴィはもう人前であんなこと言わないで。わたしはすごく恥ずかしかったんだからね」
「ああ、すまない」
軽く返してくるカレヴィにちょっと、いやかなり不満を感じる。
──本当に分かってるのか、この男は。
わたしは頭が痛くなりながらも、シルヴィの再三のフォローを受けて、仕方なくカレヴィを許した。
心配してくるシルヴィの顔を立てるために、今回は許したんだからね! そこのところは勘違いしないでよね。
それでとりあえず、時間も遅くなったことだし、晩餐ということになった。
わたしがシルヴィも一緒にと言ったので彼も同席している。
義弟として仲良くなる機会をどんどん作って行かなくちゃね。ふふ。
その席で、カレヴィに礼儀作法の授業のことについて聞かれたので、わたしはその内容をざっと説明した。
「千花に礼儀作法の先生は厳しいから覚悟しておいた方がいいって聞かされてたからどうなるかと思ってたけど、実際は優しい先生でよかったよ」
ステーキを切り分けながら笑顔で言うと、カレヴィがとんでもないことを言いだした。
「そうか。……おまえにはもっと厳しい教師を付けた方がよかったか?」
「え、えっ? いや、今のままで結構です!」
「……冗談だ」
見ると、カレヴィはおかしそうに口元を押さえている。
うう、おもしろがられてるよ、わたし。ひょっとして、これはさっきの仕返しか?
「けれど、ハルカと教師の相性が良さそうでよかったですね。よい信頼関係を作っていくのも作法を教わるには大事です」
「うん、そうだね」
それは本当にそう思う。
チェックは厳しいけれど、優しくて信頼できる先生だし、わたしは本当に運がいい。
シルヴィににこにこしながら、わたしは頷く。
「なんだ、ハルカはシルヴィには随分と愛想がいいんだな」
意外そうに眉を上げてカレヴィが言ったので、わたしは素直に話した。
「わたし、弟が欲しかったから、シルヴィとは仲良くなりたいんだよね」
「そ、そうですか……」
シルヴィがわたしの言葉を受けてちょっと困ったように頷く。
あれ、迷惑だったのかなあ……。
「まあ、程々にしておけよ。それこそ、先程のやつらに妙な噂を立てられかねん」
ええ? 弟として仲良くするだけなのに、そんな心配をしなきゃいけないなんてかなり残念すぎる。
「これだけ歳が離れていたらそんな気になるはずないのにねえ。わたしにはシルヴィは可愛い弟みたいに思えるけど」
まあ、公式には二十歳ということになっているから、あの貴族のおじさん達にそう言えないところは苦しいかな。
すると、シルヴィがいかにも気分を害したとでもいうように、むっとした顔をしてきた。
あ、あれ……?
「失礼ですが、俺はもう成人しているんです。あなたの相手として噂される可能性はいくらでもあるんですよ。それなのに、そんなことを言われるのは心外です」
あ、そうだった。ここでは十五で成人なんだった。
だから、その可能性は確かにあるんだよね。わたしからしたら、それが犯罪的行為だとしても。
「ご、ごめんね。シルヴィのプライドを傷つけるつもりはなかったんだ。許してね」
わたしが頭を下げて謝ったら、シルヴィはちょっと息をついて、首を横に振った。
「……俺も言い過ぎました。ただ、本当にやつらに妙な言いがかりをつけられるようなことには気をつけてください」
「う、うん、分かった。気をつける」
なんだかわたしもカレヴィを怒るような感じじゃなくなってきたな。
シルヴィとは仲良くしたいけど、本当に気をつけないと。……けどその程々具合が難しいんだよねえ。
わたしはちょっと息をついた後、気を取り直すようにカレヴィに礼儀作法の復習のことについて言ってみた。
「ところで、礼儀作法の先生に今日習ったことの復習してくださいって言われたんだよね。だから、カレヴィ後でわたしがきちんと出来ているか見てほしいんだけど」
「ああ、いいぞ。しっかり見てやる」
それまでシルヴィとのやりとりを黙って見ていたカレヴィが、わたしのそのお願いに笑顔で快諾してくれた。
うーん、カレヴィ、いい人だ。……時々かなり非常識だけど。
「その代わり、おまえには夜の方も頑張ってもらうぞ」
……結局そのオチか!
恥ずかしげもなく言うカレヴィに、ウブなシルヴィが真っ赤になる。
カレヴィ、さっきのこと全然反省してないじゃない。
いい人と思ったのは撤回。カレヴィは王様の皮を被った野獣だ。
「……なら、侍女達に見てもらうからいいよ」
昨日みたいなこと、また繰り返すのは耐えられない。
わたしの体力だって限界ってものがあるんだぞ。
「礼儀作法なら俺が見た方が確実だぞ。遠慮するな」
そんなこんなでカレヴィに押し切られたわたしは、礼儀作法の復習を彼に見てもらうことになった。
シルヴィはあの話題に引いたのか、食事もそこそこに、そそくさと帰ってしまった。
……彼には本当に悪いことしちゃったなあ。これもあけすけすぎるカレヴィが悪いんだ。
でも、カレヴィの礼儀作法は完璧で、確かにその人選は間違ってなかったんだけど。
「……約束は守ってもらうぞ」
とかなんとか言われて、寝室で彼にのしかかられてしまった。
……よくよく考えたら、復習を見てもらうのはシルヴィでも良かったんじゃない? 彼も王族で礼儀作法は完璧なはずだし。
そうカレヴィに言ったら、なぜか急に不機嫌になってアレを何回も付き合わされることになってしまったのだった。
……本当に、なんでなんだ。
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