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第一章:喪女ですが異世界で結婚する予定です
第8話 召喚の真相
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それでわたしは今、わたしにあてがわれた寝室に千花といた。
で、二人とも寝間着に着替えて、一緒に天蓋付きのベッドの上に座り込んでいる。
絹の寝間着は千花の綺麗な体の線を露わにしていて、友達のわたしでも惚れ惚れする。
出るとこは出てて、手足は細くて長いっていいなあ。格好いい。
「……まず、はるかに謝らなきゃいけないことがあるんだ」
千花が改まってわたしに向き合ってきたので、わたしはちょっとうろたえる。
「な、なに?」
「召喚の座標指定を失敗したっていうのは実は嘘なの。わたしは、わざとあそこにはるかが現れるようにし向けたの」
「え……」
にわかには信じがたい話に、わたしの頭が理解を拒否する。
「うそ……」
じゃあ、千花がわざとわたしとカレヴィが結婚するようにし向けたってこと?
「本当にごめんなさい!」
千花はベッドの上で土下座する。対するわたしは信じられない事実に呆然としているだけだった。
「な、なんで……?」
とりあえずそれだけ絞り出すと、千花は顔を上げた。
「今回カレヴィ王と結婚する予定だったディアルスタンのリリーマリー王女は既に想い人がいたの。それは王女の守護騎士なんだけど」
──なになに、王女と騎士の恋!?
それに対するわたしの反応は素早かった。
なにを隠そう、今わたしが描いている漫画は騎士と姫君の恋物語だ。なので、わたしはその話にものすごく興味を引かれてしまった。
「──詳しく聞かせて」
わたしは千花に詰め寄って肩をがしっと掴むと、目を輝かせて彼女を覗きこんだ。
千花はそれに若干引き気味になりながらもちゃんと説明してくれた。
「王女の守護騎士の方も、彼女を憎からず想っていてね。そのうちディアルスタン国王に思い切って結婚したいと申し出るつもりだったらしいの」
「あらー……」
わたしは思わず気の抜けた声を出してしまった。
だって、それじゃカレヴィ、思い切り邪魔者じゃない。
物語的にはおいしいけど、ディアルスタンの王女と騎士はさぞ焦っただろう。
下手したらそれって、二人の愛の逃避行フラグだよ。
「でも、王の方はそんなことは全く気づいてなかったから、王女とカレヴィ王との婚約話を進めちゃったのよね。カレヴィ王も今まで執務に明け暮れてたけど、重臣達にせっつかれて、そろそろ結婚しないとまずいと思ったらしくて、その政略結婚を決めたらしいのね」
「政略結婚かあ。よく知らないわたしに結婚しろって言ってくるくらいだもんね。それくらい平気でするよね」
まあ、あの時のカレヴィは、ほとんど決まりかけていた婚礼を目の前で駄目にされて頭にきてたんだろうけど。
それにしても、カレヴィは王女がどんな人物でも一向に構わなかったってことか。わたしはその王女じゃないけど、なんか失礼だな。
わたしも人のことは言えないけど、本当に恋とか愛は必要ないんだな。結婚するはずだった王女が可哀想だ。
……けど、王なんだから、結婚するに当たって相手のこと少しくらい調べない?
そうすれば、王女とその騎士が恋仲なくらい分かりそうなものだけど。
そしたら、さすがにカレヴィもリリーマリー王女と婚約しようとはしないはずだ。
「それで今回、リリーマリー王女からわたしにどうにかしてほしいって依頼があって。けど、あまり時間がなくてどうしようかと思ってたんだけど、婚約誓約書にカレヴィ王がサインしなければこの結婚は成立しないことになるのよね。それで、そこに目を付けたの」
「……それはわかったけど、なんでそこにわたしが召喚されるの?」
「突然召喚されてきたことにすれば、誓約書が滅茶苦茶になっても不自然じゃないかなと思って。それにはるかなら、カレヴィ王とうまくいくかもしれないなって思ったし」
「ええっ? 千花、なに言ってるの?」
いきなり千花が妙なことを言い出したので、私はびっくりする。
わたしとカレヴィならうまくいくかもってなんだ。仮にもカレヴィは王様で、わたしはただの一般庶民(それも喪女)だぞ。
悪いけど、それは千花の思い違いじゃない?
「二人とも自分の恋愛には頓着しないタイプじゃない。愛のない結婚が耐えられない人もいるけど、その点、はるかなら大丈夫だと思ったし。だから、わたしはその可能性にかけたの」
まあ、確かに結婚に夢も希望も持ってないけどね。千花、鋭すぎる。
「でも、本当にカレヴィ王に手を出させるつもりはなかったんだよ? それだけは信じて」
まあ、それだとカレヴィが可哀想すぎる気もしたけど、最強である千花なら可能なんだろうな。
「うん、分かってる。……千花、もしかしてわたしの行く末も心配してくれてた?」
わたしがそう言うと、千花はちょっとうろたえた。……図星かあ。
確かにわたしも一生一人でも別にいいと思ってはいたけどね。
そうか、我が道を行くわたしは、そんなに千花に心配をかけてたのか。ちょっと反省。
「……恋愛面はともかく、カレヴィ王は悪い人じゃないから、はるかが不幸になることはないと思ったんだ。本当にごめんね、はるか」
そう言うと、もう一度千花は深々と頭を下げた。
「別にいいよ、千花がわたしのこと心配してくれてるの分かったし。千花はこのこともう気にしないで。……それに生活面もものすごく保証されてるしね」
いたずらっぽくわたしが笑って言うと、千花は安心したように息をついて、「うん」と頷いた。
千花によると、わたしとカレヴィがある程度打ち解け、お互いに信頼関係が築けたところで本当の意味での結婚生活を送ってもらう計画だったそうだ。
でも、どうしても反りが合わなそうだったら、婚約話を白紙に戻すつもりだったとも言っていた。
……でもそれだと、わたしに話が有利すぎない? なんだかカレヴィがいいように利用されてるみたいでちょっと可哀想な気がする。
カレヴィも、わたしを娶ることで千花の力を借りようっていうんだからお互い様かもしれないけどさ。
でも千花のわたしに対する気遣いは、わたしの「子供産んでもいいよ」発言で無になってしまったわけだけど。
千花の気持ちは嬉しいけれど、やっぱりこういうのはフェアに行かないとね。
翌朝。千花とわたしとカレヴィは一緒に朝食をとりながら、これからのことを話していた。
「とりあえず、一回家に帰って事情を話しておきたいんだけど。会社にも辞めるって言わなきゃいけないし」
「あ、そうだね。それがいいよ。わたしもはるかの家にお邪魔するから」
千花がわたしの言葉に同調してくれたことで、わたしはちょっと癖のある両親の説得に千花という味方を得られて、かなり心強かった。
うちの両親は千花の言うことならたぶん信用するだろうし、それにいざというときには千花に魔法を披露してもらえばいいだろう。
「うん、そうしてくれると助かる」
いきなり異世界の王様のところに嫁にいくって言ったら正気を疑われかねないから、千花が同行してくれるのは本当に助かった。
「……俺も行かなくていいのか?」
カレヴィは執務とかでいろいろ忙しいらしいんだけど、でもわざわざそう言ってくるのは、かなり気を遣ってくれてるんだろうな。
「どうしても必要だったら出てきてもらうかもしれないけど、今のところ大丈夫だよ。うちの両親はここに直接来てもらって理解させるつもりでいるし」
彼氏もいなかった娘が異世界の王様と結婚するなんて、普通だったら到底信じてはもらえないだろうけど、そこは千花がいるし、大丈夫だよね。
「……問題は会社かなあ」
わたしは焼きたてのパンにバターを塗りながら溜息をつく。
「そうだね。いきなりやめます、はい分かりましたって訳にはいかないものね」
千花もスクランブルエッグをフォークですくいながら同意した。
「うーん、急ですけど外国に嫁ぐことになりましたって言ったら、認めてくれるかなあ。一応他の子になにかあった時のために仕事内容は教えてはあるんだけど」
ていうか、結婚すること自体信じてもらえなさそうな気がするのは、わたしの気のせいだろうか。
なにしろ、わたしがもてなくて彼氏もいなかったことは職場に浸透しているしさ。
「ではそこで俺を呼べ。必ず認めさせてやるから」
おお、力強いお言葉。カレヴィがそう言うと、なんとなく可能な気がしてくるから不思議だ。
「そう? じゃあ、そうしようかな。カレヴィ、その時はお願いね」
「ああ、まかせておけ」
そう言って爽やかに笑う顔はマジでイケメンで、なんで結婚相手が喪女のわたしなんだと思わざるを得ない。……まあ、手近にいたのがわたしで、たまたま最強の魔術師の千花の友人だったからというのは理解はしているけど。
でも感情面ではいかんともしがたく、なんとなくもやもやしつつも、わたしはとりあえず帰宅することにした。
で、二人とも寝間着に着替えて、一緒に天蓋付きのベッドの上に座り込んでいる。
絹の寝間着は千花の綺麗な体の線を露わにしていて、友達のわたしでも惚れ惚れする。
出るとこは出てて、手足は細くて長いっていいなあ。格好いい。
「……まず、はるかに謝らなきゃいけないことがあるんだ」
千花が改まってわたしに向き合ってきたので、わたしはちょっとうろたえる。
「な、なに?」
「召喚の座標指定を失敗したっていうのは実は嘘なの。わたしは、わざとあそこにはるかが現れるようにし向けたの」
「え……」
にわかには信じがたい話に、わたしの頭が理解を拒否する。
「うそ……」
じゃあ、千花がわざとわたしとカレヴィが結婚するようにし向けたってこと?
「本当にごめんなさい!」
千花はベッドの上で土下座する。対するわたしは信じられない事実に呆然としているだけだった。
「な、なんで……?」
とりあえずそれだけ絞り出すと、千花は顔を上げた。
「今回カレヴィ王と結婚する予定だったディアルスタンのリリーマリー王女は既に想い人がいたの。それは王女の守護騎士なんだけど」
──なになに、王女と騎士の恋!?
それに対するわたしの反応は素早かった。
なにを隠そう、今わたしが描いている漫画は騎士と姫君の恋物語だ。なので、わたしはその話にものすごく興味を引かれてしまった。
「──詳しく聞かせて」
わたしは千花に詰め寄って肩をがしっと掴むと、目を輝かせて彼女を覗きこんだ。
千花はそれに若干引き気味になりながらもちゃんと説明してくれた。
「王女の守護騎士の方も、彼女を憎からず想っていてね。そのうちディアルスタン国王に思い切って結婚したいと申し出るつもりだったらしいの」
「あらー……」
わたしは思わず気の抜けた声を出してしまった。
だって、それじゃカレヴィ、思い切り邪魔者じゃない。
物語的にはおいしいけど、ディアルスタンの王女と騎士はさぞ焦っただろう。
下手したらそれって、二人の愛の逃避行フラグだよ。
「でも、王の方はそんなことは全く気づいてなかったから、王女とカレヴィ王との婚約話を進めちゃったのよね。カレヴィ王も今まで執務に明け暮れてたけど、重臣達にせっつかれて、そろそろ結婚しないとまずいと思ったらしくて、その政略結婚を決めたらしいのね」
「政略結婚かあ。よく知らないわたしに結婚しろって言ってくるくらいだもんね。それくらい平気でするよね」
まあ、あの時のカレヴィは、ほとんど決まりかけていた婚礼を目の前で駄目にされて頭にきてたんだろうけど。
それにしても、カレヴィは王女がどんな人物でも一向に構わなかったってことか。わたしはその王女じゃないけど、なんか失礼だな。
わたしも人のことは言えないけど、本当に恋とか愛は必要ないんだな。結婚するはずだった王女が可哀想だ。
……けど、王なんだから、結婚するに当たって相手のこと少しくらい調べない?
そうすれば、王女とその騎士が恋仲なくらい分かりそうなものだけど。
そしたら、さすがにカレヴィもリリーマリー王女と婚約しようとはしないはずだ。
「それで今回、リリーマリー王女からわたしにどうにかしてほしいって依頼があって。けど、あまり時間がなくてどうしようかと思ってたんだけど、婚約誓約書にカレヴィ王がサインしなければこの結婚は成立しないことになるのよね。それで、そこに目を付けたの」
「……それはわかったけど、なんでそこにわたしが召喚されるの?」
「突然召喚されてきたことにすれば、誓約書が滅茶苦茶になっても不自然じゃないかなと思って。それにはるかなら、カレヴィ王とうまくいくかもしれないなって思ったし」
「ええっ? 千花、なに言ってるの?」
いきなり千花が妙なことを言い出したので、私はびっくりする。
わたしとカレヴィならうまくいくかもってなんだ。仮にもカレヴィは王様で、わたしはただの一般庶民(それも喪女)だぞ。
悪いけど、それは千花の思い違いじゃない?
「二人とも自分の恋愛には頓着しないタイプじゃない。愛のない結婚が耐えられない人もいるけど、その点、はるかなら大丈夫だと思ったし。だから、わたしはその可能性にかけたの」
まあ、確かに結婚に夢も希望も持ってないけどね。千花、鋭すぎる。
「でも、本当にカレヴィ王に手を出させるつもりはなかったんだよ? それだけは信じて」
まあ、それだとカレヴィが可哀想すぎる気もしたけど、最強である千花なら可能なんだろうな。
「うん、分かってる。……千花、もしかしてわたしの行く末も心配してくれてた?」
わたしがそう言うと、千花はちょっとうろたえた。……図星かあ。
確かにわたしも一生一人でも別にいいと思ってはいたけどね。
そうか、我が道を行くわたしは、そんなに千花に心配をかけてたのか。ちょっと反省。
「……恋愛面はともかく、カレヴィ王は悪い人じゃないから、はるかが不幸になることはないと思ったんだ。本当にごめんね、はるか」
そう言うと、もう一度千花は深々と頭を下げた。
「別にいいよ、千花がわたしのこと心配してくれてるの分かったし。千花はこのこともう気にしないで。……それに生活面もものすごく保証されてるしね」
いたずらっぽくわたしが笑って言うと、千花は安心したように息をついて、「うん」と頷いた。
千花によると、わたしとカレヴィがある程度打ち解け、お互いに信頼関係が築けたところで本当の意味での結婚生活を送ってもらう計画だったそうだ。
でも、どうしても反りが合わなそうだったら、婚約話を白紙に戻すつもりだったとも言っていた。
……でもそれだと、わたしに話が有利すぎない? なんだかカレヴィがいいように利用されてるみたいでちょっと可哀想な気がする。
カレヴィも、わたしを娶ることで千花の力を借りようっていうんだからお互い様かもしれないけどさ。
でも千花のわたしに対する気遣いは、わたしの「子供産んでもいいよ」発言で無になってしまったわけだけど。
千花の気持ちは嬉しいけれど、やっぱりこういうのはフェアに行かないとね。
翌朝。千花とわたしとカレヴィは一緒に朝食をとりながら、これからのことを話していた。
「とりあえず、一回家に帰って事情を話しておきたいんだけど。会社にも辞めるって言わなきゃいけないし」
「あ、そうだね。それがいいよ。わたしもはるかの家にお邪魔するから」
千花がわたしの言葉に同調してくれたことで、わたしはちょっと癖のある両親の説得に千花という味方を得られて、かなり心強かった。
うちの両親は千花の言うことならたぶん信用するだろうし、それにいざというときには千花に魔法を披露してもらえばいいだろう。
「うん、そうしてくれると助かる」
いきなり異世界の王様のところに嫁にいくって言ったら正気を疑われかねないから、千花が同行してくれるのは本当に助かった。
「……俺も行かなくていいのか?」
カレヴィは執務とかでいろいろ忙しいらしいんだけど、でもわざわざそう言ってくるのは、かなり気を遣ってくれてるんだろうな。
「どうしても必要だったら出てきてもらうかもしれないけど、今のところ大丈夫だよ。うちの両親はここに直接来てもらって理解させるつもりでいるし」
彼氏もいなかった娘が異世界の王様と結婚するなんて、普通だったら到底信じてはもらえないだろうけど、そこは千花がいるし、大丈夫だよね。
「……問題は会社かなあ」
わたしは焼きたてのパンにバターを塗りながら溜息をつく。
「そうだね。いきなりやめます、はい分かりましたって訳にはいかないものね」
千花もスクランブルエッグをフォークですくいながら同意した。
「うーん、急ですけど外国に嫁ぐことになりましたって言ったら、認めてくれるかなあ。一応他の子になにかあった時のために仕事内容は教えてはあるんだけど」
ていうか、結婚すること自体信じてもらえなさそうな気がするのは、わたしの気のせいだろうか。
なにしろ、わたしがもてなくて彼氏もいなかったことは職場に浸透しているしさ。
「ではそこで俺を呼べ。必ず認めさせてやるから」
おお、力強いお言葉。カレヴィがそう言うと、なんとなく可能な気がしてくるから不思議だ。
「そう? じゃあ、そうしようかな。カレヴィ、その時はお願いね」
「ああ、まかせておけ」
そう言って爽やかに笑う顔はマジでイケメンで、なんで結婚相手が喪女のわたしなんだと思わざるを得ない。……まあ、手近にいたのがわたしで、たまたま最強の魔術師の千花の友人だったからというのは理解はしているけど。
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