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第六章:魅惑の姫君と幻惑の魔術師
第77話 せつない想い
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それからの記憶はあまり定かではない。
キースの言葉にショックを受けたわたしは半ば放心状態で自分の部屋に帰ってきたのだけは覚えている。
けれど、その間にキースとどんなやりとりをしていたのか、どうしても思い出せない。
正直なところ、寝室に籠もって泣き崩れたかったけれど、あまりシェリーに心配をかけてもいけないし、もしそれがカディスの耳に入ってもいらぬ詮索をされそうで都合が悪い。
わたしは魂が半分抜けたような状態で、なるべく普段通りに振る舞うように努めていた。
カディスに晩餐を一緒にと誘われたけれど、とてもそんな気分にはなれずに断って、食欲はなかったけれど、一人で食事を無理矢理して今日は早めに寝てしまうことにした。
そんなわたしをシェリーはアデルの件で疲れているのだと納得しているようだった。
いつも通りに侍女達にお風呂に入れてもらい、寝室でやっと一人になってから、わたしはベッドに横になって涙を流した。
必死の思いで伝えた言葉をくだらないとキースに否定され、わたしはもうどうしていいか分からなかった。
もしかしたら、アークがキースかも知れないという夢も、それならわたしが汚れたことにはならないという都合のよい思いこみだったのかもしれない。
けれど、キースのことをどうしても意識してしまっていたのは紛れもない事実だった。
今から思うと、あれはアークのことを好きになってはいけないと葛藤していた頃の心理状態に極めて近かったと思う。
……いえ、もしかしたらわたしはキースのことが本当に好きなのかもしれない。
そうでなければ、あんなことをされてキースを憎めずに、彼の冷淡な言葉にここまで酷く傷つく理由が思いつかない。
──でも、この気持ちはきっとキースには伝えられないわ。
そう考えるだけで堪えきれない嗚咽が口からついて出る。
だって、キースはわたしのことを憎んでいるのだもの。そんなことを彼に言えるわけがなかった。
そんなことを思いながらわたしが涙を流していると、寝室の空気が動いたような気がした。
「イルーシャ」
わたしの中で、まさかという思いとやっぱりという気持ちが交錯する。
寝室に現れたのはまごうことなきキースだった。またわたしを汚しに来たのだろう。
「……泣いていたのかい?」
涙を拭って起きあがったわたしの顔を見て、キースの秀麗な顔が少し歪んだ。
……でも、彼はわたしを嫌っているんだし心配してくれているわけではないわよね。
それだったら、傷つけるような言葉は言わないだろうし、なによりわたしを汚しに来たりはしないだろうから。
「──いいえ」
嘘をついているのは彼にはしっかりとばれているだろうけれど、わたしは彼から目を逸らして否定した。出来るだけ彼には自分が傷ついていることを伝えたくなかったから。
「そう」
それに対して一瞬彼は目を細めると、わたしに近づいてきた。
──ああ、わたしはまた彼に愛の感情もなく抱かれるのだろう。
そう考えるとまた涙が溢れそうになったけれど、わたしはなんとかそれを堪える。
キースはわたしの寝間着に手をかけると、それをはだけさせ、胸元にキスを落としてきた。
……いつもならまず、唇にキスしてくるのに。
それで昼間の私の言葉が思いの外彼を怒らせたと知り、わたしは堪えていた涙を零してしまった。
けれど、キースはそんなわたしを昨夜以上の荒々しさで抱いた。
わたしは泣きながら、ただそれを受け止めていた。
苦しくてせつなくて仕方なかった行為の後、わたしは昨日のようにキースに貰った避妊薬を飲んでいた。それをキースはじっと見つめていた。
「……これからは僕がこれを飲んでくるから。君がこれを飲む必要はもうないよ」
その言葉で、まだわたしを弄ぶつもりなのかと、思わずキースの顔を息を詰めて見つめた。
それに対してキースはちょっと笑って言った。
「君の体はとても魅力的だからね。まだまだ楽しませて貰うよ」
──酷い。
愛情のかけらもないキースの言葉に思わずわたしは涙を浮かべてしまった。
結局、彼からの唇への口づけはないままだったし、わたしは本当に彼の愛情を失ってしまったのだろう。
そう思うと、哀しくてとてもつらかった。
それで本当にわたしはキースのことが好きなのだと気がつき、痛む胸を押さえた。
アークからわたしを引き離した張本人。けれど、キースは彼の生まれ変わりかもしれない人で──
でも今はもう、彼がアークの生まれ変わりなのかどうかなんてどうでもよかった。
「──そう」
わたしは自分の気持ちが知られないようにキースから視線を逸らした。
今のわたしは彼にとって、憎しみの対象でしかない。この感情はキースに知られてはいけなかった。
そんなわたしにキースは再び眠りの魔法をかけてきた。
それでそれまで堪えていた涙が頬を流れるのを感じたけれど、わたしはどうすることも出来ず、意識は再び闇に飲み込まれた。
翌朝起きた時には、いつものようになにもなかったようにわたしは寝間着を着ていた。相変わらずやることに卒がないキースにわたしは思わず乾いた笑いを漏らす。
キースはあくまでもごく秘密裏にわたしを汚し続けたいようだ。
キースの行為を止めるためにはいつかキースが言っていたように、カディスにこのことを伝えることだけれど、わたしはこれを彼に伝えるつもりはなかった。
カディスはなんだかんだ言っても、血の近い友人で稀代の魔術師のキースのことを一番に信頼している。そんな彼にこんなことを言えるわけはない。
キースもそのことが分かっていて言っている節もあって、本当にたちが悪いと思う。
でもわたしはそんなキースのことがどうしても嫌いにはなれなかった。それどころか、ますます彼のことが気になって仕方なくなってきていて、正直自分でもこの気持ちをどうしたらいいのか分からなかった。
アークを喪ってから短期間でキースに気持ちが移ったというのに、なぜかわたしはアークに対する申し訳なさはもう薄れてきた。
それは、彼に抱かれているうちにキースが彼の生まれ変わりかもしれないという疑惑が確信に変わったからだと思う。
──間違いない。キースはアークだわ。
そうは思っても、キースがアーク自身を憎んでおり、わたしも彼に嫌われている状態なのは正直堪えていた。
出来るならキースとの関係を修復したいけれど、それには彼への告白は不可欠な気がした。
でもわたしは夫であるアークを喪ったばかりの身。そんなことをしたら、本当に彼に不貞な女だと思われかねない。……いいえ、もう思われているかもしれないわね。
それからわたしはカディスに希望された通り、艶やかな支度をしてもらった。これは、憂鬱な気分を吹き飛ばすためのわたしなりの武装でもある。
「まあ……、やはりイルーシャ様は最近とても艶やかにおなりですわ」
「ありがとう」
見惚れるようにユーニスや他の侍女に言われて、わたしは微笑みを返す。
出来るだけキースのことは考えないようにしなければ。後で、この姿をカディスに見せに行くのもいいかもしれない。
それからわたしは自室でしばらく魔法書を読みながらも、ついついキースのことを考えてしまい、控えているユーニスに気づかれないように小さく溜息を漏らした。
……魔法書を選択したのは失敗だったかもしれないわ。でも、出来れば自分の身を守れるようにようになりたいし。
そんな時にユーニスからブラッドの来訪を知らされて、わたしは現実に引き戻された。
そういえば、彼は昨日トリア村にアデルの棺を運ぶ役目を命じられていたはずだった。それにリューシャのお墓の移動の件がどうなったのかも気にかかる。
わたしがブラッドを部屋に通すと、早速ユーニスがお茶を出してきた。わたしは彼女に席を外してもらうよう伝えると、ユーニスは素直に部屋を出ていった。
ブラッドの顔を見つめると、その端正な表情の中に、やや苦悩を滲ませているような気がした。
彼もアデルのことではきっと辛い思いをしたことだろう。
「ブラッド、昨日はご苦労様。出来ればわたしもトリア村に行きたかったけれど、辛い思いをさせてごめんなさいね」
なにせ彼に想いを寄せていたリューシャの死の後に、彼女の弟がウィルローに利用されたとはいえ、わたしの命を狙って失敗して自害し、一時的に大罪人までされたのだ。彼が傷ついていない訳はない。
わたしは彼の気持ちを全て分かる訳ではないけれど、あの姉弟の件ではわたしとブラッドは同じ罪を負っている。
「いえ、そんなことはありませんよ、イルーシャ様」
「……そう?」
あくまでも自分の気持ちを押し隠そうとするブラッドに、わたしはカップを持ち上げながらも彼に気づかれないよう小さく息をついた。
キースの言葉にショックを受けたわたしは半ば放心状態で自分の部屋に帰ってきたのだけは覚えている。
けれど、その間にキースとどんなやりとりをしていたのか、どうしても思い出せない。
正直なところ、寝室に籠もって泣き崩れたかったけれど、あまりシェリーに心配をかけてもいけないし、もしそれがカディスの耳に入ってもいらぬ詮索をされそうで都合が悪い。
わたしは魂が半分抜けたような状態で、なるべく普段通りに振る舞うように努めていた。
カディスに晩餐を一緒にと誘われたけれど、とてもそんな気分にはなれずに断って、食欲はなかったけれど、一人で食事を無理矢理して今日は早めに寝てしまうことにした。
そんなわたしをシェリーはアデルの件で疲れているのだと納得しているようだった。
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もしかしたら、アークがキースかも知れないという夢も、それならわたしが汚れたことにはならないという都合のよい思いこみだったのかもしれない。
けれど、キースのことをどうしても意識してしまっていたのは紛れもない事実だった。
今から思うと、あれはアークのことを好きになってはいけないと葛藤していた頃の心理状態に極めて近かったと思う。
……いえ、もしかしたらわたしはキースのことが本当に好きなのかもしれない。
そうでなければ、あんなことをされてキースを憎めずに、彼の冷淡な言葉にここまで酷く傷つく理由が思いつかない。
──でも、この気持ちはきっとキースには伝えられないわ。
そう考えるだけで堪えきれない嗚咽が口からついて出る。
だって、キースはわたしのことを憎んでいるのだもの。そんなことを彼に言えるわけがなかった。
そんなことを思いながらわたしが涙を流していると、寝室の空気が動いたような気がした。
「イルーシャ」
わたしの中で、まさかという思いとやっぱりという気持ちが交錯する。
寝室に現れたのはまごうことなきキースだった。またわたしを汚しに来たのだろう。
「……泣いていたのかい?」
涙を拭って起きあがったわたしの顔を見て、キースの秀麗な顔が少し歪んだ。
……でも、彼はわたしを嫌っているんだし心配してくれているわけではないわよね。
それだったら、傷つけるような言葉は言わないだろうし、なによりわたしを汚しに来たりはしないだろうから。
「──いいえ」
嘘をついているのは彼にはしっかりとばれているだろうけれど、わたしは彼から目を逸らして否定した。出来るだけ彼には自分が傷ついていることを伝えたくなかったから。
「そう」
それに対して一瞬彼は目を細めると、わたしに近づいてきた。
──ああ、わたしはまた彼に愛の感情もなく抱かれるのだろう。
そう考えるとまた涙が溢れそうになったけれど、わたしはなんとかそれを堪える。
キースはわたしの寝間着に手をかけると、それをはだけさせ、胸元にキスを落としてきた。
……いつもならまず、唇にキスしてくるのに。
それで昼間の私の言葉が思いの外彼を怒らせたと知り、わたしは堪えていた涙を零してしまった。
けれど、キースはそんなわたしを昨夜以上の荒々しさで抱いた。
わたしは泣きながら、ただそれを受け止めていた。
苦しくてせつなくて仕方なかった行為の後、わたしは昨日のようにキースに貰った避妊薬を飲んでいた。それをキースはじっと見つめていた。
「……これからは僕がこれを飲んでくるから。君がこれを飲む必要はもうないよ」
その言葉で、まだわたしを弄ぶつもりなのかと、思わずキースの顔を息を詰めて見つめた。
それに対してキースはちょっと笑って言った。
「君の体はとても魅力的だからね。まだまだ楽しませて貰うよ」
──酷い。
愛情のかけらもないキースの言葉に思わずわたしは涙を浮かべてしまった。
結局、彼からの唇への口づけはないままだったし、わたしは本当に彼の愛情を失ってしまったのだろう。
そう思うと、哀しくてとてもつらかった。
それで本当にわたしはキースのことが好きなのだと気がつき、痛む胸を押さえた。
アークからわたしを引き離した張本人。けれど、キースは彼の生まれ変わりかもしれない人で──
でも今はもう、彼がアークの生まれ変わりなのかどうかなんてどうでもよかった。
「──そう」
わたしは自分の気持ちが知られないようにキースから視線を逸らした。
今のわたしは彼にとって、憎しみの対象でしかない。この感情はキースに知られてはいけなかった。
そんなわたしにキースは再び眠りの魔法をかけてきた。
それでそれまで堪えていた涙が頬を流れるのを感じたけれど、わたしはどうすることも出来ず、意識は再び闇に飲み込まれた。
翌朝起きた時には、いつものようになにもなかったようにわたしは寝間着を着ていた。相変わらずやることに卒がないキースにわたしは思わず乾いた笑いを漏らす。
キースはあくまでもごく秘密裏にわたしを汚し続けたいようだ。
キースの行為を止めるためにはいつかキースが言っていたように、カディスにこのことを伝えることだけれど、わたしはこれを彼に伝えるつもりはなかった。
カディスはなんだかんだ言っても、血の近い友人で稀代の魔術師のキースのことを一番に信頼している。そんな彼にこんなことを言えるわけはない。
キースもそのことが分かっていて言っている節もあって、本当にたちが悪いと思う。
でもわたしはそんなキースのことがどうしても嫌いにはなれなかった。それどころか、ますます彼のことが気になって仕方なくなってきていて、正直自分でもこの気持ちをどうしたらいいのか分からなかった。
アークを喪ってから短期間でキースに気持ちが移ったというのに、なぜかわたしはアークに対する申し訳なさはもう薄れてきた。
それは、彼に抱かれているうちにキースが彼の生まれ変わりかもしれないという疑惑が確信に変わったからだと思う。
──間違いない。キースはアークだわ。
そうは思っても、キースがアーク自身を憎んでおり、わたしも彼に嫌われている状態なのは正直堪えていた。
出来るならキースとの関係を修復したいけれど、それには彼への告白は不可欠な気がした。
でもわたしは夫であるアークを喪ったばかりの身。そんなことをしたら、本当に彼に不貞な女だと思われかねない。……いいえ、もう思われているかもしれないわね。
それからわたしはカディスに希望された通り、艶やかな支度をしてもらった。これは、憂鬱な気分を吹き飛ばすためのわたしなりの武装でもある。
「まあ……、やはりイルーシャ様は最近とても艶やかにおなりですわ」
「ありがとう」
見惚れるようにユーニスや他の侍女に言われて、わたしは微笑みを返す。
出来るだけキースのことは考えないようにしなければ。後で、この姿をカディスに見せに行くのもいいかもしれない。
それからわたしは自室でしばらく魔法書を読みながらも、ついついキースのことを考えてしまい、控えているユーニスに気づかれないように小さく溜息を漏らした。
……魔法書を選択したのは失敗だったかもしれないわ。でも、出来れば自分の身を守れるようにようになりたいし。
そんな時にユーニスからブラッドの来訪を知らされて、わたしは現実に引き戻された。
そういえば、彼は昨日トリア村にアデルの棺を運ぶ役目を命じられていたはずだった。それにリューシャのお墓の移動の件がどうなったのかも気にかかる。
わたしがブラッドを部屋に通すと、早速ユーニスがお茶を出してきた。わたしは彼女に席を外してもらうよう伝えると、ユーニスは素直に部屋を出ていった。
ブラッドの顔を見つめると、その端正な表情の中に、やや苦悩を滲ませているような気がした。
彼もアデルのことではきっと辛い思いをしたことだろう。
「ブラッド、昨日はご苦労様。出来ればわたしもトリア村に行きたかったけれど、辛い思いをさせてごめんなさいね」
なにせ彼に想いを寄せていたリューシャの死の後に、彼女の弟がウィルローに利用されたとはいえ、わたしの命を狙って失敗して自害し、一時的に大罪人までされたのだ。彼が傷ついていない訳はない。
わたしは彼の気持ちを全て分かる訳ではないけれど、あの姉弟の件ではわたしとブラッドは同じ罪を負っている。
「いえ、そんなことはありませんよ、イルーシャ様」
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