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第三章:傾国の姫君
第37話 穢れ(2)
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憂鬱な朝食の後。
うっかりわたしを垣間見る人が出ないようにとカーテンの引かれた部屋の中で、特になにもすることのないわたしはコリーンさんにカードを持ってきてもらって過去視の訓練をしていた。
「占いですか、イルーシャ」
あれからしばらく会議に詰めていたロアディールが部屋に入ってきた。
「……まあ、そんなところ」
思ったよりも早いロアディールの訪れにわたしは眉を顰める。ああ嫌だな、なにもされなきゃいいけど。
「わたしの顔を見て、そんなに嫌そうな顔をしないでください」
「……なんでわたしがあなたに気を遣わなきゃいけないのよ」
無理矢理された相手を歓迎しろとでも? 今もなにをされるか分からないのに。
「イルーシャ、ガルディアがこちらへの侵攻を準備しているそうですよ」
「まあ、それは当然じゃないの? わたしがここにいることはすぐにバレるだろうし」
ウィルローが音声再生装置をガルディアに送りつけたことは言わないでおいた。わたしが過去視を使えることは念のため秘密にしておこうと考えたからだ。なにより、あれは恥以外の何物でもないし。
「……いつまであなたとこうしていられるのでしょうね」
ロアディールが腕を引いて、わたしを抱きしめる。当然のことながら、呪いを受けているわたしは動けなかった。
「離してっ」
「駄目です」
ロアディールにこうして抱きしめられていると、彼にされたことが思い出されて身が竦みそうになる。呪いの効果による妙な感覚も嫌だし。
「ガルディアは必ずわたしを取り戻しに来るから。今のうちにわたしを解放して」
「それも駄目です。元よりそのつもりなら、そもそもあなたを召喚していない」
「なんでわたしを召喚しようって思ったの? ギリング王のことがあったから?」
「……そうですね。初めは先王が異常なほどの執着を見せる伝説の姫君がどういった人物であるか興味があったのですよ。そして、ウィルローにあなたの映像を見せられてわたしは一目で恋に落ちました」
「……一目惚れってこと?」
「はい。多少最初の印象と違いましたが、その時以上にわたしはあなたに惹かれました。ですからこれが愚かなことだと分かっていても後悔はありませんよ」
ロアディールになんの迷いもなくそう返されて、わたしは溜息をつく。
「愚かなことだと分かってるなら、そこで思いとどまってよ……。国民や兵を犠牲にするかもしれない事態にするだけで王失格でしょ」
「そうですね。……ガルディアの王は良い王ですか?」
いきなりなに? カディスのことなんか聞いてどうするんだろ。
「わたしは政治のことは分からないけど、良い王なんじゃないの。国のことをいろいろ考えてるみたいだし、遅くまで執務こなしてるし」
「……そうですか。あなたはカディス王と親しいのですね」
「親しいっていうか、友達だし。それにいろいろとお世話になってるから」
なんでわたしはこんなことまでロアディールに話してるんだろ。流されすぎだろ、わたし。
「しかし、カディス王はあなたのことを友人とは思っていないでしょう。彼があなたに求婚していると聞きましたよ」
「そ、それはそうなんだけど」
それを言われると弱いんだよね。でも、あくまでわたしにとってカディスは友達だ。
「彼はやろうと思えば、すぐにあなたを手に入れられる。それだけの権限もある。わたしが彼ならすぐにあなたを妃にしましたよ」
「カディスはそんなことしないよ」
カディスは俺様だけど、わたしの意思を無視したりはしない。やたら抱きしめたり、キスしたりはして来るけど。
「彼は今まで相当な我慢を強いられてきたと思いますよ。……それもあなたを想えばこそでしょうが」
そうなんだろうか。わたし、そこまでカディスに想われてる……?
「……なぜわたしがガルディアの王ではないのでしょうね。言っても詮無いことですが」
「うん、だから諦めて」
わたしはここぞとばかりに駄目押しした。
「本当にあなたはつれないですね」
ロアディールが苦笑して、わたしの頤に手をかける。わたしはその途端、びくりと体を震わせた。
「けれど、今後ガルディアの王がどう出ようと今だけはあなたはわたしのものです。その事実だけは動かしようがありません」
「や……」
わたしは逃れたかったけれど、簡単に彼にキスされてしまった。
「愛していますよ、イルーシャ」
「わたしはあなたがきら……っ、ん……っ」
最後まで言えずに、わたしはまた彼にキスされる。
「どんなにあなたがわたしを嫌おうとも、わたしは構いませんよ。今ならばいくらでもあなたを奪える」
「……最低!」
わたしはロアディールに向かって罵倒した。こんな王に好き勝手されるなんて、最悪すぎる。
「そうですね、わたしは最低です」
ロアディールは少し寂しそうな笑いをこぼすと、わたしを抱き上げた。
「やだ、やめてよ! ロアディール、わたし、嫌だよ!」
「いくらあなたの願いでも聞けませんね」
ロアディールは寝室に向かうと、ベッドにわたしを横たえる。
「戦いが始まるっていうのに、なに考えてるのよっ」
「こんな時だからこそですよ。いつ、ガルディア国王にあなたを奪われるか分からないからです」
ロアディールは唇にキスすると、わたしの首筋に唇を這わしてきた。
わたしが思わずびくりとすると、ロアディールが笑った。
「……ですから、あなたがわたしを忘れられないくらいたくさん刻みつけましょう。あなたがわたしを一生憎んでくださったら本望ですね」
「ロアディール、あなたおかしいよ!」
わたしを好きだと言いながら、憎んでほしいなんて矛盾してる。
「そうですね、あなたには理解できないでしょうね。……けれど、分かっていただけなくても結構ですよ」
「んんっ」
ロアディールに唇を貪られつつ甘噛みされると未だに慣れない感覚が襲ってきて、わたしは眦に涙を浮かべる。
嫌だよ、こんなの。早く、早く助けて。
自分でなんとかできたらいいけど、それもできなくて。
自分ではどうしようもない状況に絶望しながら、わたしはガルディアの人達に助けを求める。
「いや……、いやあ……っ」
心ではあらがっているのに、わたしの体はたやすくロアディールを受け入れてしまう。
わたしはロアディールの宣言通り、彼に何度も刻みつけられた。
次に目覚めた時には、既に陽が傾こうとしていた。ロアディールは事が済むと、寝室を後にしたようだ。
わたしはシーツにくるまったまま、備えられていた水差しからグラスに水を注ぐと、貰ってあった避妊薬を飲んだ。それからベルでコリーンさんを呼び出すと、お風呂に入れて貰った。
わたしはお風呂で自分の体を見下ろすと、くまなくロアディールに付けられたキスマークが目に入って憂鬱な気分になった。
「……戦況はどうなってます?」
コリーンさんが素直に答えてくれるとは思わなかったけれど、一応聞いてみる。
「……ただいまガルディア勢が城の結界を壊しにかかっているところです。お支度が済みましたらイルーシャ様を謁見の間にお連れするよう、王からご命令を受けております」
「そうですか、ガルディアが」
──とうとう来た。
わたしは安堵感からほっと息をつく。
この城に巡らされている結界も、稀代の魔術師であるキースなら程なく解除するだろう。
わたしのために起こった戦いだけれど、できるなら両国とも犠牲は少ないといい。
お風呂から上がったわたしはロアディールに付けられたキスマークが隠れるドレスを着せられ、呪い除けに頭から豪奢な布を被せられた。そして、騒然としている城内の中、コリーンさんに謁見の間まで連れていかれた。
「──コリーンさん」
わたしは謁見の間に入る直前に彼女に声をかけると、コリーンさんは相変わらずの無表情でわたしを見返した。
「わたしのせいで、こんなことになってしまってごめんなさい」
わたしが頭を下げて謝ると、無表情と思えた彼女がわずかに戸惑っている様子が窺えた。
「……王がお待ちです」
すぐに彼女は元の無表情に戻ると、傍にいた魔術師に謁見の間のドアを開けるように促した。
「……イルーシャ、こちらへ」
ロアディールがわたしの手を取って、王の隣の席へ座らせる。……ここって王妃の席だよね。
「わたし、ここに座りたくない」
「あなたはこんな時まで拒絶しますか。……仕方ありませんね」
ロアディールは苦笑すると、わたしを椅子から立ち上がらせた。
「そういえば、ウィルローはどこにいるの?」
近くにいてもよさそうだけど、姿が見えない。
「ああ、あいつは越権行為を働いたので罷免しました」
「じゃあ、もうここにはいないってこと?」
「はい」
なんだ、残念。今まで受けた屈辱のお返しに、一度くらい殴ってやりたかったのに。……いや、呪いを受けてるから今は無理か。
それにしても、ウィルローを罷免するってことは勝てる戦いじゃないってことを分かってたってことだよね。
ちらりとロアディールを窺うと、彼がわたしを抱きしめてきた。
「や……っ」
わたしが抗議の声を上げようとしていると、不意に外から剣戟の響きと叫び声が聞こえてきた。
「イルーシャ!」
「イルーシャ様!」
──来てくれた。
それほど時もたっていないのに、よく知った声が無性に懐かしく感じる。
わたしはロアディールの腕の中、涙を浮かべて彼らが現れるのを待っていた。
うっかりわたしを垣間見る人が出ないようにとカーテンの引かれた部屋の中で、特になにもすることのないわたしはコリーンさんにカードを持ってきてもらって過去視の訓練をしていた。
「占いですか、イルーシャ」
あれからしばらく会議に詰めていたロアディールが部屋に入ってきた。
「……まあ、そんなところ」
思ったよりも早いロアディールの訪れにわたしは眉を顰める。ああ嫌だな、なにもされなきゃいいけど。
「わたしの顔を見て、そんなに嫌そうな顔をしないでください」
「……なんでわたしがあなたに気を遣わなきゃいけないのよ」
無理矢理された相手を歓迎しろとでも? 今もなにをされるか分からないのに。
「イルーシャ、ガルディアがこちらへの侵攻を準備しているそうですよ」
「まあ、それは当然じゃないの? わたしがここにいることはすぐにバレるだろうし」
ウィルローが音声再生装置をガルディアに送りつけたことは言わないでおいた。わたしが過去視を使えることは念のため秘密にしておこうと考えたからだ。なにより、あれは恥以外の何物でもないし。
「……いつまであなたとこうしていられるのでしょうね」
ロアディールが腕を引いて、わたしを抱きしめる。当然のことながら、呪いを受けているわたしは動けなかった。
「離してっ」
「駄目です」
ロアディールにこうして抱きしめられていると、彼にされたことが思い出されて身が竦みそうになる。呪いの効果による妙な感覚も嫌だし。
「ガルディアは必ずわたしを取り戻しに来るから。今のうちにわたしを解放して」
「それも駄目です。元よりそのつもりなら、そもそもあなたを召喚していない」
「なんでわたしを召喚しようって思ったの? ギリング王のことがあったから?」
「……そうですね。初めは先王が異常なほどの執着を見せる伝説の姫君がどういった人物であるか興味があったのですよ。そして、ウィルローにあなたの映像を見せられてわたしは一目で恋に落ちました」
「……一目惚れってこと?」
「はい。多少最初の印象と違いましたが、その時以上にわたしはあなたに惹かれました。ですからこれが愚かなことだと分かっていても後悔はありませんよ」
ロアディールになんの迷いもなくそう返されて、わたしは溜息をつく。
「愚かなことだと分かってるなら、そこで思いとどまってよ……。国民や兵を犠牲にするかもしれない事態にするだけで王失格でしょ」
「そうですね。……ガルディアの王は良い王ですか?」
いきなりなに? カディスのことなんか聞いてどうするんだろ。
「わたしは政治のことは分からないけど、良い王なんじゃないの。国のことをいろいろ考えてるみたいだし、遅くまで執務こなしてるし」
「……そうですか。あなたはカディス王と親しいのですね」
「親しいっていうか、友達だし。それにいろいろとお世話になってるから」
なんでわたしはこんなことまでロアディールに話してるんだろ。流されすぎだろ、わたし。
「しかし、カディス王はあなたのことを友人とは思っていないでしょう。彼があなたに求婚していると聞きましたよ」
「そ、それはそうなんだけど」
それを言われると弱いんだよね。でも、あくまでわたしにとってカディスは友達だ。
「彼はやろうと思えば、すぐにあなたを手に入れられる。それだけの権限もある。わたしが彼ならすぐにあなたを妃にしましたよ」
「カディスはそんなことしないよ」
カディスは俺様だけど、わたしの意思を無視したりはしない。やたら抱きしめたり、キスしたりはして来るけど。
「彼は今まで相当な我慢を強いられてきたと思いますよ。……それもあなたを想えばこそでしょうが」
そうなんだろうか。わたし、そこまでカディスに想われてる……?
「……なぜわたしがガルディアの王ではないのでしょうね。言っても詮無いことですが」
「うん、だから諦めて」
わたしはここぞとばかりに駄目押しした。
「本当にあなたはつれないですね」
ロアディールが苦笑して、わたしの頤に手をかける。わたしはその途端、びくりと体を震わせた。
「けれど、今後ガルディアの王がどう出ようと今だけはあなたはわたしのものです。その事実だけは動かしようがありません」
「や……」
わたしは逃れたかったけれど、簡単に彼にキスされてしまった。
「愛していますよ、イルーシャ」
「わたしはあなたがきら……っ、ん……っ」
最後まで言えずに、わたしはまた彼にキスされる。
「どんなにあなたがわたしを嫌おうとも、わたしは構いませんよ。今ならばいくらでもあなたを奪える」
「……最低!」
わたしはロアディールに向かって罵倒した。こんな王に好き勝手されるなんて、最悪すぎる。
「そうですね、わたしは最低です」
ロアディールは少し寂しそうな笑いをこぼすと、わたしを抱き上げた。
「やだ、やめてよ! ロアディール、わたし、嫌だよ!」
「いくらあなたの願いでも聞けませんね」
ロアディールは寝室に向かうと、ベッドにわたしを横たえる。
「戦いが始まるっていうのに、なに考えてるのよっ」
「こんな時だからこそですよ。いつ、ガルディア国王にあなたを奪われるか分からないからです」
ロアディールは唇にキスすると、わたしの首筋に唇を這わしてきた。
わたしが思わずびくりとすると、ロアディールが笑った。
「……ですから、あなたがわたしを忘れられないくらいたくさん刻みつけましょう。あなたがわたしを一生憎んでくださったら本望ですね」
「ロアディール、あなたおかしいよ!」
わたしを好きだと言いながら、憎んでほしいなんて矛盾してる。
「そうですね、あなたには理解できないでしょうね。……けれど、分かっていただけなくても結構ですよ」
「んんっ」
ロアディールに唇を貪られつつ甘噛みされると未だに慣れない感覚が襲ってきて、わたしは眦に涙を浮かべる。
嫌だよ、こんなの。早く、早く助けて。
自分でなんとかできたらいいけど、それもできなくて。
自分ではどうしようもない状況に絶望しながら、わたしはガルディアの人達に助けを求める。
「いや……、いやあ……っ」
心ではあらがっているのに、わたしの体はたやすくロアディールを受け入れてしまう。
わたしはロアディールの宣言通り、彼に何度も刻みつけられた。
次に目覚めた時には、既に陽が傾こうとしていた。ロアディールは事が済むと、寝室を後にしたようだ。
わたしはシーツにくるまったまま、備えられていた水差しからグラスに水を注ぐと、貰ってあった避妊薬を飲んだ。それからベルでコリーンさんを呼び出すと、お風呂に入れて貰った。
わたしはお風呂で自分の体を見下ろすと、くまなくロアディールに付けられたキスマークが目に入って憂鬱な気分になった。
「……戦況はどうなってます?」
コリーンさんが素直に答えてくれるとは思わなかったけれど、一応聞いてみる。
「……ただいまガルディア勢が城の結界を壊しにかかっているところです。お支度が済みましたらイルーシャ様を謁見の間にお連れするよう、王からご命令を受けております」
「そうですか、ガルディアが」
──とうとう来た。
わたしは安堵感からほっと息をつく。
この城に巡らされている結界も、稀代の魔術師であるキースなら程なく解除するだろう。
わたしのために起こった戦いだけれど、できるなら両国とも犠牲は少ないといい。
お風呂から上がったわたしはロアディールに付けられたキスマークが隠れるドレスを着せられ、呪い除けに頭から豪奢な布を被せられた。そして、騒然としている城内の中、コリーンさんに謁見の間まで連れていかれた。
「──コリーンさん」
わたしは謁見の間に入る直前に彼女に声をかけると、コリーンさんは相変わらずの無表情でわたしを見返した。
「わたしのせいで、こんなことになってしまってごめんなさい」
わたしが頭を下げて謝ると、無表情と思えた彼女がわずかに戸惑っている様子が窺えた。
「……王がお待ちです」
すぐに彼女は元の無表情に戻ると、傍にいた魔術師に謁見の間のドアを開けるように促した。
「……イルーシャ、こちらへ」
ロアディールがわたしの手を取って、王の隣の席へ座らせる。……ここって王妃の席だよね。
「わたし、ここに座りたくない」
「あなたはこんな時まで拒絶しますか。……仕方ありませんね」
ロアディールは苦笑すると、わたしを椅子から立ち上がらせた。
「そういえば、ウィルローはどこにいるの?」
近くにいてもよさそうだけど、姿が見えない。
「ああ、あいつは越権行為を働いたので罷免しました」
「じゃあ、もうここにはいないってこと?」
「はい」
なんだ、残念。今まで受けた屈辱のお返しに、一度くらい殴ってやりたかったのに。……いや、呪いを受けてるから今は無理か。
それにしても、ウィルローを罷免するってことは勝てる戦いじゃないってことを分かってたってことだよね。
ちらりとロアディールを窺うと、彼がわたしを抱きしめてきた。
「や……っ」
わたしが抗議の声を上げようとしていると、不意に外から剣戟の響きと叫び声が聞こえてきた。
「イルーシャ!」
「イルーシャ様!」
──来てくれた。
それほど時もたっていないのに、よく知った声が無性に懐かしく感じる。
わたしはロアディールの腕の中、涙を浮かべて彼らが現れるのを待っていた。
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