23 / 108
第三章:傾国の姫君
第22話 騎士の求婚(1)
しおりを挟む
カディスからようやくわたしの休養期間終了のお許しが出た。
浮かれた私は、さっそく恒例の朝の散歩に出かけた。
「イルーシャ様、いらっしゃ……、な、なにか疲れてませんか?」
披露パーティの時のお礼をどうしても言いたくてヒューのところに立ち寄ったんだけど、彼は私の顔を見るなり驚いたようにそう言った。
「う、うん、ちょっと散歩を張り切りすぎたみたい」
警護担当の近衛の人にも既に止められてたんだけど、どうせここまで来たんだし、と言い訳して無理に連れてきてもらったのは、ちょっと失敗だったみたいだ。
「……散歩って、そんなに憔悴するほど張り切れるものですか?」
う、ヒューからもっともな質問が出た。
「今まで暇を持て余してたから、行動制限がなくなったのが嬉しかったんだよね。それでつい庭園回って、桜並木通ってきたらこうなったの。この体あんまり体力ないのに、うっかりしてた」
だからいつもは庭園コースか桜並木コースかどちらかなんだよね。
本当になにやってんだろ、わたし。伝説の姫君なんだから、もうちょっと考えて行動しなきゃいけないのに、情けない。
「とにかく座ってください。今冷たいものを持ってこさせますから」
ヘロヘロになったわたしをヒューが支えてくれて長椅子に座らせる。
「ご、ごめんね」
う、本当に恥ずかしい。
お礼に訪れたはずなのに、こうしてまたヒューのお世話になるなんて。
「気にしないでください。それはそうと、あまり無理はなさらないでください。また倒れられても困りますから」
「本当にごめんね。あの時は……」
そう言いかけた時に、飲み物が運ばれてきて、わたしはいったん黙った。
「どうぞ」
ヒューに勧められて、わたしは飲み物に手を伸ばした。喉が乾いてたので、ありがたい。
冷たいお茶で喉を潤して、わたしははふ、と息をつく。
「……あの時は本当にありがとう。あなたが来てくれなきゃ、わたし、どうなってたか分からなかった」
ヒューはわたしの恩人だ。わたしはヒューに向き合って、心からお礼を言った。
「俺は騎士として当然のことをしたまでです」
「それでもありがとう。わたし、あの時気持ち悪いって思うだけで全然動けなかったし、伝説の姫君として上手く立ち回れなくて情けなかったもの」
わたしがそう言うと、ヒューは首を振った。
「あなたはよくやられてますよ」
「ヒュー、甘やかさないで」
「……ですが、騎士とはそういうものなのですよ、イルーシャ様」
ヒューは立ち上がるとわたしの前に片膝を付く。
「国を守り、あなたを守ることが俺の使命なのです」
ヒューの真摯な瞳をわたしは正面から受け止める。
「……そう言えば、前にも優しくするのはわたしだからって言ってたよね。……それって、わたしが伝説の姫君だからだよね?」
「……違いますよ」
わたしの手を取りながら、ヒューが苦笑する。
え? 違うんだったら、どういう意味?
「この際ですから、言ってしまいましょうか」
ヒューが俯くと無造作に束ねた蜂蜜色の髪が彼の肩でさらさらと流れた。……本当に綺麗で絵になる人だ。
「イルーシャ様、どうかわたしをあなただけの騎士にしてください」
ヒューが恭しくわたしの手に口づける。
お姫様やるようになってから、さんざん騎士の礼を取られてきたけれど、これはそれとはまた別な気がした。
「え、えっと……」
返答に窮していると、ヒューはわたしの手をそっと離して微笑んだ。
「……イルーシャ様、俺は答えは急いでません。陛下やキース様のこともありますでしょうし」
「カディスやキースのことって……」
「……ああ、異世界出身のイルーシャ様には分かりづらかったですか? これは騎士の求婚の儀式なんですが」
「え……」
思ってもいなかったヒューの言葉に、わたしは目を見開いた。次いで、かーっと顔に血が上ってくるのを感じる。
求婚するってことは、ヒューはわたしのことが好きってことだよね?
「な、なんで? いつから?」
わたしは恥ずかしさから涙目になって、みっともないほど取り乱した。
「初めてお会いした晩餐の席で」
「……それって一目惚れってこと? わたしがこの姿だから?」
きっとそうだよ。そうに違いない。
「一目惚れに近いですが、あなたがその姿だからと言うのはちょっと違いますね」
それって、どういうこと?
わたしは真っ赤な頬を隠しながら、ヒューを見る。
「あなたが幸せそうに食事する姿やちょっとした仕草に目を奪われました。とどめは最後の涙ですね。あれから俺はあなたのことばかり思うようになりました」
「わ、わたし、がさつで口が悪いよ?」
「知ってますよ。それでもあなたは魅力的です。その恥ずかしがるところも、とても可愛らしいです」
うわああっ、やめて、恥ずかしすぎる!
わたしは聞いていられなくて長椅子から立ち上がると、途端に目眩を覚えて体が傾ぐ。
「イルーシャ様!」
わたしはヒューにとっさに抱き止められて倒れるのを免れた。
「イルーシャ様、疲れられているのですから、気をつけてください」
「う、ご、ごめん。でも、聞いていられなくて」
「イルーシャ様は恥ずかしがり屋でおられますから」
ヒューがわたしを抱きしめてくすくすと笑った。
……それは、ヒューもじゃない、と言いたかったけど、あの照れ屋なあなたはいったいどこへ? 告白通り越しての求婚もそうだけど、なんかヒュー、いきなり突き抜けてない?
「これだけ疲れられていると、もう休まれた方がいいですね。近衛の者に伝えて、魔術師を呼び出しますよ」
「あ、それならわたし、キース呼べる、け、ど……」
最後の方は、ヒューの視線が痛かったので自然と声が小さくなる。
「イルーシャ様、求婚の直後に恋敵を呼び出さないでほしいですね」
うわあ、美人が怒るとマジで怖い!
「た、確かに無神経だったかも。ごめんなさい」
「分かっていただければいいです」
ヒューはにっこり笑うと、わたしを抱き上げた。
「どうして君は僕を呼び出さないかな」
あの後、ヒューに抱き上げられて部屋まで送ってもらったわたしは、キースのお説教を受けていた。いつもはあっさりと引き下がる彼だけど、今回は結構しつこい。
「部下に報告を受けて来てみれば……、こんなに疲れるまで散歩するなんて無謀だよ」
うう、ごもっともです。
わたしは長椅子の肘掛けにぐったりともたれながらうなだれた。
「ヒューイに礼を言いたかったっていうのは分かったけど、それが済んだら、どうして僕を呼び出さないわけ?」
「ごめんね、どうしても呼び出せない事情があって……」
「うん、それはさっきも聞いたよ。だからその理由はなに?」
「う、それは、その……」
わたしは赤くなったり、青くなったりを繰り返しながら言いよどんだ。
あああ、ヒューに求婚されて、その直後に恋敵を呼び出すなと言われました! と言えるものなら言ってしまいたい。
「イルーシャ!!」
突然、派手な音を立ててカディスが部屋に入ってきた。……前も言ったけど、ノックくらいしろー!
「カディス、突然なに」
疲れていることもあって、わたしはついつっけんどんな対応になる。
「ヒューイから報告を受けたが、おまえ、やつに求婚されたそうだな」
……報告したのかよ!
ついわたしは姫とも思えない突っ込みを心の中で入れてしまう。
つーか、無駄に行動早すぎでしょうが。わたしはなにも聞いてないぞ!
「……へえ、そうなんだ。そういうわけ。ふうん」
やたらとへえ、そうと繰り返すキースさん、目つきが怖すぎます。
「……なんだ、おまえやけに疲れてないか?」
うん、疲れてますよ、いろいろありすぎて。
「まさかおまえ、ヒューイと事に及んだんじゃないだろうな?」
「……あ?」
カディスのあまりの言葉に、突然柄が悪くなるわたし。案の定カディスが引いた。
「ふーん、疲れてるってだけでカディスはそういう発想になるわけだー。カディス、不潔ーっ」
キースに怒られていたことも手伝って、わたしのこれは完全に八つ当たりだ。
「い、いや、その……ちょっとした誤解だ」
……ちょっとか?
わたしが疲れて回らない頭を捻っていると、ドアがノックされてリイナさんが入室してきた。
「陛下にお知らせしたいことがございまして。ハーメイ国王様のことですが」
「なんだ」
ハーメイ国王、と名が出た途端にカディスがむっとした顔になる。……カディスもあの王のこと相当嫌ってるんだなあ。
「方々でイルーシャ様の部屋はどこだと聞いて回っているそうです」
うわあ、ちょっと勘弁して。
「なんだと」
リイナさんの報告にカディスとキースが気色ばむ。
確かに諦めないって言ってたけど、そこまでやる? わたし、もう二度とあのセクハラ王には会いたくないよ。
「キース、あの王に強制的に帰ってもらえ」
「……了解」
えーと、それは移動魔法で送り返すってことだよね? 一応国賓のはずだけど大丈夫なの? ……まあ、キースならうまくやるとは思うけど。
「おまえは事が済むまでここで俺と待機していろ。……おい、イルーシャ、どこへ行く」
「疲れた。寝る~」
わたしはふらふらと立ち上がると寝室へ向かった。
「まあ、それではお召し替えを」
リイナさんがついてきて、わたしの着替えを手伝ってくれる。
それからわたしはベッドに潜り込むと、泥のように眠った。
浮かれた私は、さっそく恒例の朝の散歩に出かけた。
「イルーシャ様、いらっしゃ……、な、なにか疲れてませんか?」
披露パーティの時のお礼をどうしても言いたくてヒューのところに立ち寄ったんだけど、彼は私の顔を見るなり驚いたようにそう言った。
「う、うん、ちょっと散歩を張り切りすぎたみたい」
警護担当の近衛の人にも既に止められてたんだけど、どうせここまで来たんだし、と言い訳して無理に連れてきてもらったのは、ちょっと失敗だったみたいだ。
「……散歩って、そんなに憔悴するほど張り切れるものですか?」
う、ヒューからもっともな質問が出た。
「今まで暇を持て余してたから、行動制限がなくなったのが嬉しかったんだよね。それでつい庭園回って、桜並木通ってきたらこうなったの。この体あんまり体力ないのに、うっかりしてた」
だからいつもは庭園コースか桜並木コースかどちらかなんだよね。
本当になにやってんだろ、わたし。伝説の姫君なんだから、もうちょっと考えて行動しなきゃいけないのに、情けない。
「とにかく座ってください。今冷たいものを持ってこさせますから」
ヘロヘロになったわたしをヒューが支えてくれて長椅子に座らせる。
「ご、ごめんね」
う、本当に恥ずかしい。
お礼に訪れたはずなのに、こうしてまたヒューのお世話になるなんて。
「気にしないでください。それはそうと、あまり無理はなさらないでください。また倒れられても困りますから」
「本当にごめんね。あの時は……」
そう言いかけた時に、飲み物が運ばれてきて、わたしはいったん黙った。
「どうぞ」
ヒューに勧められて、わたしは飲み物に手を伸ばした。喉が乾いてたので、ありがたい。
冷たいお茶で喉を潤して、わたしははふ、と息をつく。
「……あの時は本当にありがとう。あなたが来てくれなきゃ、わたし、どうなってたか分からなかった」
ヒューはわたしの恩人だ。わたしはヒューに向き合って、心からお礼を言った。
「俺は騎士として当然のことをしたまでです」
「それでもありがとう。わたし、あの時気持ち悪いって思うだけで全然動けなかったし、伝説の姫君として上手く立ち回れなくて情けなかったもの」
わたしがそう言うと、ヒューは首を振った。
「あなたはよくやられてますよ」
「ヒュー、甘やかさないで」
「……ですが、騎士とはそういうものなのですよ、イルーシャ様」
ヒューは立ち上がるとわたしの前に片膝を付く。
「国を守り、あなたを守ることが俺の使命なのです」
ヒューの真摯な瞳をわたしは正面から受け止める。
「……そう言えば、前にも優しくするのはわたしだからって言ってたよね。……それって、わたしが伝説の姫君だからだよね?」
「……違いますよ」
わたしの手を取りながら、ヒューが苦笑する。
え? 違うんだったら、どういう意味?
「この際ですから、言ってしまいましょうか」
ヒューが俯くと無造作に束ねた蜂蜜色の髪が彼の肩でさらさらと流れた。……本当に綺麗で絵になる人だ。
「イルーシャ様、どうかわたしをあなただけの騎士にしてください」
ヒューが恭しくわたしの手に口づける。
お姫様やるようになってから、さんざん騎士の礼を取られてきたけれど、これはそれとはまた別な気がした。
「え、えっと……」
返答に窮していると、ヒューはわたしの手をそっと離して微笑んだ。
「……イルーシャ様、俺は答えは急いでません。陛下やキース様のこともありますでしょうし」
「カディスやキースのことって……」
「……ああ、異世界出身のイルーシャ様には分かりづらかったですか? これは騎士の求婚の儀式なんですが」
「え……」
思ってもいなかったヒューの言葉に、わたしは目を見開いた。次いで、かーっと顔に血が上ってくるのを感じる。
求婚するってことは、ヒューはわたしのことが好きってことだよね?
「な、なんで? いつから?」
わたしは恥ずかしさから涙目になって、みっともないほど取り乱した。
「初めてお会いした晩餐の席で」
「……それって一目惚れってこと? わたしがこの姿だから?」
きっとそうだよ。そうに違いない。
「一目惚れに近いですが、あなたがその姿だからと言うのはちょっと違いますね」
それって、どういうこと?
わたしは真っ赤な頬を隠しながら、ヒューを見る。
「あなたが幸せそうに食事する姿やちょっとした仕草に目を奪われました。とどめは最後の涙ですね。あれから俺はあなたのことばかり思うようになりました」
「わ、わたし、がさつで口が悪いよ?」
「知ってますよ。それでもあなたは魅力的です。その恥ずかしがるところも、とても可愛らしいです」
うわああっ、やめて、恥ずかしすぎる!
わたしは聞いていられなくて長椅子から立ち上がると、途端に目眩を覚えて体が傾ぐ。
「イルーシャ様!」
わたしはヒューにとっさに抱き止められて倒れるのを免れた。
「イルーシャ様、疲れられているのですから、気をつけてください」
「う、ご、ごめん。でも、聞いていられなくて」
「イルーシャ様は恥ずかしがり屋でおられますから」
ヒューがわたしを抱きしめてくすくすと笑った。
……それは、ヒューもじゃない、と言いたかったけど、あの照れ屋なあなたはいったいどこへ? 告白通り越しての求婚もそうだけど、なんかヒュー、いきなり突き抜けてない?
「これだけ疲れられていると、もう休まれた方がいいですね。近衛の者に伝えて、魔術師を呼び出しますよ」
「あ、それならわたし、キース呼べる、け、ど……」
最後の方は、ヒューの視線が痛かったので自然と声が小さくなる。
「イルーシャ様、求婚の直後に恋敵を呼び出さないでほしいですね」
うわあ、美人が怒るとマジで怖い!
「た、確かに無神経だったかも。ごめんなさい」
「分かっていただければいいです」
ヒューはにっこり笑うと、わたしを抱き上げた。
「どうして君は僕を呼び出さないかな」
あの後、ヒューに抱き上げられて部屋まで送ってもらったわたしは、キースのお説教を受けていた。いつもはあっさりと引き下がる彼だけど、今回は結構しつこい。
「部下に報告を受けて来てみれば……、こんなに疲れるまで散歩するなんて無謀だよ」
うう、ごもっともです。
わたしは長椅子の肘掛けにぐったりともたれながらうなだれた。
「ヒューイに礼を言いたかったっていうのは分かったけど、それが済んだら、どうして僕を呼び出さないわけ?」
「ごめんね、どうしても呼び出せない事情があって……」
「うん、それはさっきも聞いたよ。だからその理由はなに?」
「う、それは、その……」
わたしは赤くなったり、青くなったりを繰り返しながら言いよどんだ。
あああ、ヒューに求婚されて、その直後に恋敵を呼び出すなと言われました! と言えるものなら言ってしまいたい。
「イルーシャ!!」
突然、派手な音を立ててカディスが部屋に入ってきた。……前も言ったけど、ノックくらいしろー!
「カディス、突然なに」
疲れていることもあって、わたしはついつっけんどんな対応になる。
「ヒューイから報告を受けたが、おまえ、やつに求婚されたそうだな」
……報告したのかよ!
ついわたしは姫とも思えない突っ込みを心の中で入れてしまう。
つーか、無駄に行動早すぎでしょうが。わたしはなにも聞いてないぞ!
「……へえ、そうなんだ。そういうわけ。ふうん」
やたらとへえ、そうと繰り返すキースさん、目つきが怖すぎます。
「……なんだ、おまえやけに疲れてないか?」
うん、疲れてますよ、いろいろありすぎて。
「まさかおまえ、ヒューイと事に及んだんじゃないだろうな?」
「……あ?」
カディスのあまりの言葉に、突然柄が悪くなるわたし。案の定カディスが引いた。
「ふーん、疲れてるってだけでカディスはそういう発想になるわけだー。カディス、不潔ーっ」
キースに怒られていたことも手伝って、わたしのこれは完全に八つ当たりだ。
「い、いや、その……ちょっとした誤解だ」
……ちょっとか?
わたしが疲れて回らない頭を捻っていると、ドアがノックされてリイナさんが入室してきた。
「陛下にお知らせしたいことがございまして。ハーメイ国王様のことですが」
「なんだ」
ハーメイ国王、と名が出た途端にカディスがむっとした顔になる。……カディスもあの王のこと相当嫌ってるんだなあ。
「方々でイルーシャ様の部屋はどこだと聞いて回っているそうです」
うわあ、ちょっと勘弁して。
「なんだと」
リイナさんの報告にカディスとキースが気色ばむ。
確かに諦めないって言ってたけど、そこまでやる? わたし、もう二度とあのセクハラ王には会いたくないよ。
「キース、あの王に強制的に帰ってもらえ」
「……了解」
えーと、それは移動魔法で送り返すってことだよね? 一応国賓のはずだけど大丈夫なの? ……まあ、キースならうまくやるとは思うけど。
「おまえは事が済むまでここで俺と待機していろ。……おい、イルーシャ、どこへ行く」
「疲れた。寝る~」
わたしはふらふらと立ち上がると寝室へ向かった。
「まあ、それではお召し替えを」
リイナさんがついてきて、わたしの着替えを手伝ってくれる。
それからわたしはベッドに潜り込むと、泥のように眠った。
10
お気に入りに追加
1,021
あなたにおすすめの小説
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。
梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。
ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。
え?イザックの婚約者って私でした。よね…?
二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。
ええ、バッキバキに。
もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる