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第二章:お姫様で庶民な二重生活
第26話 末恐ろしい才能
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「やっ」
千花が首を振ってカイルの唇をよけると、彼の腕が緩んだ。
「な、な、なにするの!?」
千花は慌ててカイルから数歩退くと、真っ赤な顔で叫んだ。
「……口づけだ」
──その返しはないだろう。
千花はカイルの返答に思わず脱力してしまいそうになりながら、叫んだ。
「そんなの分かってるよ! わたしが聞きたいのはなんでこんなことしたかってことでっ」
「ここまでしてなぜ分からない。おまえが好きだからに決まってるだろう!」
カイルに開き直ったように叫ばれて、千花はびっくりした。
カイルがわたしを好き? そんな馬鹿な。
「……そんなことありえない!」
「なっ」
千花が拳を握って力説したので、カイルも驚いたように瞳を見開いた。まさかここで反撃されるとは思わなかったらしい。
「わたしのこと、馬鹿とか、頭がスポンジとか言ってたじゃない! そんなの信じられないよ!」
「そ、それは……」
それはさすがに言い過ぎたと思っていたらしく、カイルは口ごもる。
「それにわたしに対する態度も到底そうは思えなかったし! レイド様みたいにはっきり優しくしてくれるなら分かるけど」
レイナルドの名を出したことで、カイルはむっとしたようだった。
「こんな時に他の男の名を出すな」
「だって、レイド様ははっきり好意表してくれてるし、分かりやすいじゃない。それに比べて、カイルは口は悪いし、意地悪だし、そんなんで突然わたしを好きって言われても、到底信じられないよ!」
「……では、どうしたら信じてもらえる。第三王子のようにしょっちゅう好きだ、可愛いとでも言えばいいのか?」
カイルにそう言われて、千花は背筋がぞわっとしてしまった。
四六時中そう言っているカイルはちょっと不気味な気がする。
「そ、それはちょっと嫌かも」
「ではどうすればいいんだ」
カイルが片手で頭を抱える。
「……やっぱり普段通りでいいかも。でも、口が悪いのはもう少しなんとかしてほしい」
「……分かった」
カイルが不承不承頷いたことで、千花は一瞬ほっとしたが、次にははっと気がつく。
「そういえば、わたしのファーストキス! どうしてくれるの!」
カイルにツカツカと詰め寄って千花は彼に手痛い一発をお見舞いした。
「なっ、おまえは、本当に凶暴な女だな!」
千花の強烈な平手を受けた左頬を押さえて、カイルが叫ぶ。
「……当然の反応だと思うけど? それに凶暴な女だと思うならやめたら?」
千花が冷たく言うと、カイルは押し黙った。
そこでドアがノックされて、二人の王子が部屋に入ってきた。
「ティカが訓練の時間になっても来ないようだから気になってね」
「あ……、すみません」
それでわざわざ心配して来てくれたのか、と千花は小さくなって謝った。二人とも忙しいだろうに本当に申し訳なかった。
それでもちょっと過保護すぎやしないかとは思ったが。
「……それにしても、口づけ云々と外まで聞こえてきたが本当なのかい?」
そんなだだ漏れだったのかと、千花はかーっと赤くなる。
「本当だ。俺はティカに口づけた」
カイルの開き直った宣言に千花はぎょっとした。
普段だったら、なんだかんだと誤魔化したりしそうなものなのに。
「! カイル、貴様!」
レイナルドがカイルの胸ぐらを掴んで睨んだ。
掴まれたカイルもまた、レイナルドを睨みつける。
「レイド様、やめてください! キスは確かにショックでしたけど、わたしは大丈夫ですから!」
千花が慌てて二人の間に入って仲裁すると、レイナルドは渋々とだが、カイルを掴んでいた手を離した。
「だけど、許しがたいよ。君はカイルを嫌っていたはずだろう。それなのに、無理矢理するなんて」
「……そうだな。カイルは憎むとまで言われていたな」
レイナルドとエドアルドに容赦なく言われたカイルの顔が歪む。
「……まあ、大嫌いな相手にキスなんてされてすごく嫌でしたけど」
千花のとどめの言葉にカイルが撃沈する。
「……おまえ、本当に容赦ないな」
呻くようにカイルが言うと、千花は手を腰に当て、顎を上げて言った。
「人のファーストキス奪ったんだから、これくらい言われて当然でしょ。あああ、思い出したらムカついてきた!」
千花は瞳に涙を溜めて真っ赤な顔でそう叫ぶ。
二人の王子がいなかったら、その場で地団太を踏んでいるところだ。
本当に最悪だ。ファーストキスの相手がよりによってカイルだなんて。
それもこんな無理矢理とか、信じられない。
「……ティカの憤りはもっともだが、今日の魔術の訓練はこんなことがあったのならやめるかい?」
エドアルドの労るような視線を受けて千花は戸惑ったが、結局は首を振った。
「……いいえ、訓練はします。そうしないと、いつまでも家に帰れなそうですし」
カイルが千花を家に帰さないつもりなのは、さっきのやりとりで充分分かった。それなら、自力でなんとしてでも帰るしかない。
「……ティカがそう決めたのなら反対はしないけれどね。だが、カイルが君になにかしないか監視は付けさせてもらうよ」
「好きなようにすればいい。だが、俺には無駄なことだぞ」
「カイル、おまえまだティカになにかする気か!」
再びレイナルドがカイルに掴みかかろうとしたが、今度はカイルの拘束魔法に阻まれた。
「今はなにもしない。……俺は嫌われているしな」
そう言うと、カイルはレイナルドの拘束を解いた。
一瞬カイルは自嘲的な笑いをこぼすと、次には呪文を唱えて移動魔法を施行した。
千花達が魔術師団の演習場に移動すると、そこにはなぜかルパートとダグラスがいた。
「やあ、いらしてくれて良かったです。体調でも崩されたのかと心配しましたよ」
ルパートが軽い調子で千花に声をかけてくる。
「遅くなってすみません。……もしかして、わたしの訓練を見に来られたんですか?」
千花が首を傾げながら言うと、ダグラスが頷いた。
「あなたのお姿を少しでも目に留めておきたいと思いまして」
「そ、そうですか……。それはどうも」
察するに千花の訓練を見ようと言い出したのはダグラスで、ルパートはその付き添い及び、暴走を止める役目で来たらしい。
それにしてもいきなりこの世界に来た途端にモテだして、ちょっと怖すぎる。
ひょっとしてここの人達は美意識が少し変わっているのだろうか、と千花は首を捻った。
「余計な観衆はいるが、気を散らすな」
カイルが騎士達を目にして、不快そうに眉を寄せるが、その気を散らす要因に自分も入っていることを理解してほしいと千花は思った。
「前に水魔法から入ったのは間違いだった。おまえには防御壁と魔防壁を教える」
「あ……うん」
まあ、早目に防御壁は覚えていた方が確かにいいだろう。
いきなり抱きしめられたり、キスされたりしてはかなわない。
「では見本を示す。おまえは俺の後について呪文を唱えろ」
「うん」
千花が頷いたのを確認すると、カイルはゆっくりと呪文を唱えだした。
千花もカイルの呪文の区切りのところで、それを繰り返した。
すると、キン、と空気が鳴って薄い灰色の膜が目の前に現れた。
「わあ、この灰色のが防御壁?」
「そうだ、一度解除する。また俺の後について唱えろ」
言われた通りに千花が唱えると、防御壁はふっと消えた。
「ティカ、さっきの呪文は覚えたか?」
「うん、大丈夫そう」
そんなに長い呪文でもなかったし、千花は少々安心しながら、今度は一人でもう一度呪文を唱える。すると、また灰色の膜が現れた。
それから千花が防御壁を消す呪文を唱えるとそれは簡単に消えた。
不意に千花は無詠唱でも出来るかな? と考えて右手を伸ばすと、また灰色の膜が張られた。
それを目にした騎士達が息をのむ。
「まさか初めて習う魔法を無詠唱で実行するとは。カイル様の弟子とはいえ、陛下の客人となられるにふさわしい才能ですね」
ルパートが千花を信じられないものを見る目で見た。
「さすがティカ様、すばらしいです」
騎士達が手放しで褒めるのを照れくさく感じながらも、千花は無詠唱で防御壁を消した。
「……それでは、魔防壁を教えるぞ」
カイルが少々複雑そうな顔をして、また同じように千花に呪文を唱えさせた。すると、今度は緑色の膜が現れる。
カイルが解除魔法を教えると、それも簡単に消えた。
千花は魔防壁も無詠唱で試してみたがこれもうまくいった。
その様子は、まさに水を吸い込む砂のようだった。
「いや、本当に末恐ろしい才能だね」
千花の訓練があまりにもすんなりと進むのでエドアルドは驚愕を感じざるを得なかった。
普通はどんなに才能がある者でも、初めて学ぶ魔法は少しもたつくものなのだが。
「この調子だと、ティカが言った三年よりも早く異世界召喚魔法を覚えてしまう可能性もあるね」
エドアルドの言葉にレイナルドも頷く。
いずれそう遠くない未来、彼女はカイルをもしのぐ魔術師になるだろう。
そして、自分の世界へと帰って二度と戻って来ないかもしれない。
そうならないように、なんとか対策を講じなければならないな、と他の新たな魔法をカイルから教わっている千花を見つめながら王子二人は感じていた。
千花が首を振ってカイルの唇をよけると、彼の腕が緩んだ。
「な、な、なにするの!?」
千花は慌ててカイルから数歩退くと、真っ赤な顔で叫んだ。
「……口づけだ」
──その返しはないだろう。
千花はカイルの返答に思わず脱力してしまいそうになりながら、叫んだ。
「そんなの分かってるよ! わたしが聞きたいのはなんでこんなことしたかってことでっ」
「ここまでしてなぜ分からない。おまえが好きだからに決まってるだろう!」
カイルに開き直ったように叫ばれて、千花はびっくりした。
カイルがわたしを好き? そんな馬鹿な。
「……そんなことありえない!」
「なっ」
千花が拳を握って力説したので、カイルも驚いたように瞳を見開いた。まさかここで反撃されるとは思わなかったらしい。
「わたしのこと、馬鹿とか、頭がスポンジとか言ってたじゃない! そんなの信じられないよ!」
「そ、それは……」
それはさすがに言い過ぎたと思っていたらしく、カイルは口ごもる。
「それにわたしに対する態度も到底そうは思えなかったし! レイド様みたいにはっきり優しくしてくれるなら分かるけど」
レイナルドの名を出したことで、カイルはむっとしたようだった。
「こんな時に他の男の名を出すな」
「だって、レイド様ははっきり好意表してくれてるし、分かりやすいじゃない。それに比べて、カイルは口は悪いし、意地悪だし、そんなんで突然わたしを好きって言われても、到底信じられないよ!」
「……では、どうしたら信じてもらえる。第三王子のようにしょっちゅう好きだ、可愛いとでも言えばいいのか?」
カイルにそう言われて、千花は背筋がぞわっとしてしまった。
四六時中そう言っているカイルはちょっと不気味な気がする。
「そ、それはちょっと嫌かも」
「ではどうすればいいんだ」
カイルが片手で頭を抱える。
「……やっぱり普段通りでいいかも。でも、口が悪いのはもう少しなんとかしてほしい」
「……分かった」
カイルが不承不承頷いたことで、千花は一瞬ほっとしたが、次にははっと気がつく。
「そういえば、わたしのファーストキス! どうしてくれるの!」
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「なっ、おまえは、本当に凶暴な女だな!」
千花の強烈な平手を受けた左頬を押さえて、カイルが叫ぶ。
「……当然の反応だと思うけど? それに凶暴な女だと思うならやめたら?」
千花が冷たく言うと、カイルは押し黙った。
そこでドアがノックされて、二人の王子が部屋に入ってきた。
「ティカが訓練の時間になっても来ないようだから気になってね」
「あ……、すみません」
それでわざわざ心配して来てくれたのか、と千花は小さくなって謝った。二人とも忙しいだろうに本当に申し訳なかった。
それでもちょっと過保護すぎやしないかとは思ったが。
「……それにしても、口づけ云々と外まで聞こえてきたが本当なのかい?」
そんなだだ漏れだったのかと、千花はかーっと赤くなる。
「本当だ。俺はティカに口づけた」
カイルの開き直った宣言に千花はぎょっとした。
普段だったら、なんだかんだと誤魔化したりしそうなものなのに。
「! カイル、貴様!」
レイナルドがカイルの胸ぐらを掴んで睨んだ。
掴まれたカイルもまた、レイナルドを睨みつける。
「レイド様、やめてください! キスは確かにショックでしたけど、わたしは大丈夫ですから!」
千花が慌てて二人の間に入って仲裁すると、レイナルドは渋々とだが、カイルを掴んでいた手を離した。
「だけど、許しがたいよ。君はカイルを嫌っていたはずだろう。それなのに、無理矢理するなんて」
「……そうだな。カイルは憎むとまで言われていたな」
レイナルドとエドアルドに容赦なく言われたカイルの顔が歪む。
「……まあ、大嫌いな相手にキスなんてされてすごく嫌でしたけど」
千花のとどめの言葉にカイルが撃沈する。
「……おまえ、本当に容赦ないな」
呻くようにカイルが言うと、千花は手を腰に当て、顎を上げて言った。
「人のファーストキス奪ったんだから、これくらい言われて当然でしょ。あああ、思い出したらムカついてきた!」
千花は瞳に涙を溜めて真っ赤な顔でそう叫ぶ。
二人の王子がいなかったら、その場で地団太を踏んでいるところだ。
本当に最悪だ。ファーストキスの相手がよりによってカイルだなんて。
それもこんな無理矢理とか、信じられない。
「……ティカの憤りはもっともだが、今日の魔術の訓練はこんなことがあったのならやめるかい?」
エドアルドの労るような視線を受けて千花は戸惑ったが、結局は首を振った。
「……いいえ、訓練はします。そうしないと、いつまでも家に帰れなそうですし」
カイルが千花を家に帰さないつもりなのは、さっきのやりとりで充分分かった。それなら、自力でなんとしてでも帰るしかない。
「……ティカがそう決めたのなら反対はしないけれどね。だが、カイルが君になにかしないか監視は付けさせてもらうよ」
「好きなようにすればいい。だが、俺には無駄なことだぞ」
「カイル、おまえまだティカになにかする気か!」
再びレイナルドがカイルに掴みかかろうとしたが、今度はカイルの拘束魔法に阻まれた。
「今はなにもしない。……俺は嫌われているしな」
そう言うと、カイルはレイナルドの拘束を解いた。
一瞬カイルは自嘲的な笑いをこぼすと、次には呪文を唱えて移動魔法を施行した。
千花達が魔術師団の演習場に移動すると、そこにはなぜかルパートとダグラスがいた。
「やあ、いらしてくれて良かったです。体調でも崩されたのかと心配しましたよ」
ルパートが軽い調子で千花に声をかけてくる。
「遅くなってすみません。……もしかして、わたしの訓練を見に来られたんですか?」
千花が首を傾げながら言うと、ダグラスが頷いた。
「あなたのお姿を少しでも目に留めておきたいと思いまして」
「そ、そうですか……。それはどうも」
察するに千花の訓練を見ようと言い出したのはダグラスで、ルパートはその付き添い及び、暴走を止める役目で来たらしい。
それにしてもいきなりこの世界に来た途端にモテだして、ちょっと怖すぎる。
ひょっとしてここの人達は美意識が少し変わっているのだろうか、と千花は首を捻った。
「余計な観衆はいるが、気を散らすな」
カイルが騎士達を目にして、不快そうに眉を寄せるが、その気を散らす要因に自分も入っていることを理解してほしいと千花は思った。
「前に水魔法から入ったのは間違いだった。おまえには防御壁と魔防壁を教える」
「あ……うん」
まあ、早目に防御壁は覚えていた方が確かにいいだろう。
いきなり抱きしめられたり、キスされたりしてはかなわない。
「では見本を示す。おまえは俺の後について呪文を唱えろ」
「うん」
千花が頷いたのを確認すると、カイルはゆっくりと呪文を唱えだした。
千花もカイルの呪文の区切りのところで、それを繰り返した。
すると、キン、と空気が鳴って薄い灰色の膜が目の前に現れた。
「わあ、この灰色のが防御壁?」
「そうだ、一度解除する。また俺の後について唱えろ」
言われた通りに千花が唱えると、防御壁はふっと消えた。
「ティカ、さっきの呪文は覚えたか?」
「うん、大丈夫そう」
そんなに長い呪文でもなかったし、千花は少々安心しながら、今度は一人でもう一度呪文を唱える。すると、また灰色の膜が現れた。
それから千花が防御壁を消す呪文を唱えるとそれは簡単に消えた。
不意に千花は無詠唱でも出来るかな? と考えて右手を伸ばすと、また灰色の膜が張られた。
それを目にした騎士達が息をのむ。
「まさか初めて習う魔法を無詠唱で実行するとは。カイル様の弟子とはいえ、陛下の客人となられるにふさわしい才能ですね」
ルパートが千花を信じられないものを見る目で見た。
「さすがティカ様、すばらしいです」
騎士達が手放しで褒めるのを照れくさく感じながらも、千花は無詠唱で防御壁を消した。
「……それでは、魔防壁を教えるぞ」
カイルが少々複雑そうな顔をして、また同じように千花に呪文を唱えさせた。すると、今度は緑色の膜が現れる。
カイルが解除魔法を教えると、それも簡単に消えた。
千花は魔防壁も無詠唱で試してみたがこれもうまくいった。
その様子は、まさに水を吸い込む砂のようだった。
「いや、本当に末恐ろしい才能だね」
千花の訓練があまりにもすんなりと進むのでエドアルドは驚愕を感じざるを得なかった。
普通はどんなに才能がある者でも、初めて学ぶ魔法は少しもたつくものなのだが。
「この調子だと、ティカが言った三年よりも早く異世界召喚魔法を覚えてしまう可能性もあるね」
エドアルドの言葉にレイナルドも頷く。
いずれそう遠くない未来、彼女はカイルをもしのぐ魔術師になるだろう。
そして、自分の世界へと帰って二度と戻って来ないかもしれない。
そうならないように、なんとか対策を講じなければならないな、と他の新たな魔法をカイルから教わっている千花を見つめながら王子二人は感じていた。
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