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第一章:魔術師の弟子
第5話 そんなに簡単に言うことなのか
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……うわ~、化けた……。
姫君そのものの自分に驚きながら、侍女達の技術に千花は素直に感心していた。
「綺麗にしていただいて、ありがとうございます」
ぺこりと侍女達に千花が頭を下げると、彼女達は驚いたようだ。
「ま、まあ、カイル様のお弟子のティカ様がわたくし達に頭を下げられることなんてありませんわ。それに、エドアルド殿下のご命令ですし」
「それでも、ありがとうございます」
千花がもう一度頭を下げると、戸惑っていた侍女達がやがて破顔した。
「ティカ様、ご丁寧にありがとうございます。またぜひともあなた様のお支度を担当させて頂きたいですわ」
「あ、はい。もし次がありましたら、よろしくお願いします」
今回の支度はエドアルドの思いつきで、まあさすがに次はないだろうが。
侍女達に手を取られて、千花はドレスの裾を踏まないように慎重に歩き出す。
客間から出ると、いきなり知らない男性から声をかけられた。
「へえ、君がカイルの弟子か。どこの姫君かと思った」
歳は千花よりも少し年上くらい。十七、八くらいだろうか。エドアルドと同じ色彩で顔も似通っている。
「まあ、レイナルド殿下。ティカ様をご覧になられにいらしたのですか?」
……殿下ということは、この人も王子様なんだろうか? エドアルド殿下に似ているし。
熱心に見つめてくるレイナルドに戸惑いながら、千花は思う。
「まあね。あのカイルもさすがにとうとう士官せざるを得ないと思ってたけど、これは予想外だったな。……とても綺麗だけど、君はひょっとして、カイルの恋人?」
「と、とんでもない!」
あんな鬼畜魔術師の恋人と誤解されるなんてショックだ。
千花が慌てて首を振って否定する。すると、レイナルドはなぜかほっとしたように息をついた。
「あ、違うんだ。よかった」
……なにがよかったなんだろう?
千花が首を捻っていると、レイナルドが千花の傍に寄ってきた。侍女達は遠慮しているのか声をかけてこない。
「僕はレイナルド、この国の第三王子だ。君の名はなんて言うの?」
千花の予想通り、目の前の青年は王子だったようだ。千花は城に来る前に教えてもらった略式の礼を取るべく、ドレスを両手で摘んで答えた。
「ティカ・サトーです、殿下」
「ティカか、可愛い名前だね」
「あ、ありがとうございます」
身分の高い王子にかなり気さくに話しかけられて、若干千花は腰が引けた状態になる。……それにさっきからなにやら熱っぽい視線を受けているようで、落ち着かない。
「殿下、ティカ様はエドアルド殿下に晩餐のご招待を受けておられるのです」
「そうなんだ。じゃあ、僕も一緒に出ようかな。一人くらい増えても別に構わないだろう?」
「はい。エドアルド殿下にお伝えして、そのように手配させて頂きますわ」
セルマが微笑んで応対する。どうやらレイナルドが晩餐に参加するのは、決定事項のようだった。
「お邪魔するよ、アルド兄さん」
「なんだ、レイド。ティカと一緒に来たのか」
ティカ達を引き連れて、レイナルドが先にエドアルドの部屋に入ると、意外そうにエドアルドが眉を上げた。
「カイルが弟子を取ったっていうから興味があってね。……そしたらとても綺麗な娘じゃないか」
レイナルドに促されてティカがエドアルドの部屋に入ると、彼は驚いたように瞠目した。
「これは……、見違えたな。ティカ、とても綺麗だ」
「……驚いたな。どこの姫君かと思った」
シモンも千花の変わりように驚いたようで、まじまじと観察してくる。
二人に賞賛されたことで、千花はさっきシモンに憤っていたのも忘れ、少々舞い上がってしまう。
「そ、そんなこと……」
恥ずかしそうに千花は頬を両手で包むと、赤い顔を俯かせた。
「……童顔も化粧一つでこれだけ変わるのか」
カイルが舞い上がる千花の気分を一気につき落とすようなことを言った。
「童顔で悪かったわねっ」
思わず千花はカイルをキッと睨む。
二人のように褒めろとは言わないが、少し黙っていてほしかった。
「童顔? ティカはとても美人だけど?」
不思議そうにレイナルドがカイルに目をやる。
「第三王子は化粧に誤魔化されているのかもしれんが、ティカの見た目は十二歳くらいだぞ」
「……そうなんだ?」
いくぶんがっかりしたようにレイナルドがティカを見る。彼はこれがティカの普段の顔だと思いこんでいたらしい。仕方なく彼女は頷いた。
「わたしの本当の年齢は十六ですけれど。わたしの国の人は他の国の人から見て、総じて若く見られるみたいですね」
「それでも、ティカ様のお肌やお体は素晴らしかったですわ。十二歳ではこうは参りません。ティカ様のお顔も、いずれ今のように大人っぽく花開く時が参りますわ」
「へえ、そうなんだ」
セルマのセクハラまがいの言葉に、男達が大げさなくらい反応する。じろじろと皆に体を観察され、千花は思わず羞恥から叫び出しそうになった。
「確かに体つきはいいね」
エドアルドが世の中の乙女の王子様像を壊すようなことを言う。
「うん、これなら多少童顔でもいいか」
レイナルドが頷きながらなにごとか納得している。
「ああ、そういえば、手足は細いのに胸はあったな」
最初にあった時の千花の格好を思い出しているらしいシモンが言った。どこのセクハラ親父だと思いながら、千花はシモンを睨みつける。
「……ティカの体をじろじろ見るな」
カイルがかなり不機嫌そうに言ったが、千花はここに来る前に、彼も千花の体をしっかり観察していたことをもちろん忘れてはいなかった。
「カイルだって、屋敷でじろじろ見てたじゃない」
「俺はいいんだ」
「よくないでしょ、そういうのってセクハラって言うんだからね」
千花がむっとカイルを見上げながら言うと、彼は眉間に皺を寄せた。……どうやら不満らしい。
「カイル、いくらティカが魅力的でも、弟子に手を出さないでね」
レイナルドが釘を差すと、エドアルドもなぜか楽しそうに言った。
「そう考えると、訓練の時とか危険だね。ティカには師団舎まで来てもらって訓練した方がよさそうだな」
「それはよいお考えですね、殿下」
未だ千花の入団を諦めていないらしいシモンが嬉しそうにそれを受けて言った。
「おい……」
話が妙な方向に向かって、カイルの機嫌もどんどん悪くなっていく。
「じゃあ、ティカには訓練の際には城まで来てもらおうか。……それでいいね、カイル」
「……仕方ない。俺ももちろん同行する」
有無を言わさず決定するエドアルドの言葉に、本当に嫌そうにカイルが頷いた。
「ついでに他の者にも指導してくれると嬉しいな。無理にとは言わないけれど」
「……無理もなにも、始めからそのつもりでいるんだろうが」
カイルが苦虫を噛みつぶしたような顔で呻くように言う。
俺様な彼がやりこめられるのは千花にはちょっと小気味よかった。……エドアルドは人当たりが良さそうに見えるが、ひょっとしたら結構な狸なのかも知れない。
「皆様、お食事の準備が整いましたわ。レイナルド様もお越しくださいませ」
話が一端落ち着いたところで、セルマが別室の客間に皆を案内する。
「ティカ、座って」
レイナルドが率先して千花のために椅子を引いた。
「あ、はい。ありがとうございます」
王子に椅子を引いてもらって大丈夫なんだろうかと一瞬千花は不安になったが、彼に甘えて、結局早々に着席した。
「レイドは随分とティカがお気に入りだね」
エドアルドが千花の隣に着席したレイナルドに楽しそうに言う。
「うん、まあ。カイルが弟子を取ったっていうから興味本位で見に行ったけど、ティカ綺麗だし、仕草とか可愛いし」
そこまで褒められると、千花はさすがに真っ赤にならざるを得ない。
「そ、そんなこと……」
「あ、赤くなった。可愛いなあ」
にこにこと嬉しそうにレイナルドが笑う。少し離れた席にいるカイルはそれに反比例してものすごく不機嫌そうだ。
「ティカ、僕、君に一目惚れしたみたいなんだ。魔術師を目指すのもいいけど、もし君さえよかったら僕の妃にならない?」
レイナルドがもの凄く大事なことをちょっとそこまで買い物に行ってくる的に気軽に言ってくる。
「……はい?」
思わず千花の目が点になったが、それは誰にも責められないだろう。
姫君そのものの自分に驚きながら、侍女達の技術に千花は素直に感心していた。
「綺麗にしていただいて、ありがとうございます」
ぺこりと侍女達に千花が頭を下げると、彼女達は驚いたようだ。
「ま、まあ、カイル様のお弟子のティカ様がわたくし達に頭を下げられることなんてありませんわ。それに、エドアルド殿下のご命令ですし」
「それでも、ありがとうございます」
千花がもう一度頭を下げると、戸惑っていた侍女達がやがて破顔した。
「ティカ様、ご丁寧にありがとうございます。またぜひともあなた様のお支度を担当させて頂きたいですわ」
「あ、はい。もし次がありましたら、よろしくお願いします」
今回の支度はエドアルドの思いつきで、まあさすがに次はないだろうが。
侍女達に手を取られて、千花はドレスの裾を踏まないように慎重に歩き出す。
客間から出ると、いきなり知らない男性から声をかけられた。
「へえ、君がカイルの弟子か。どこの姫君かと思った」
歳は千花よりも少し年上くらい。十七、八くらいだろうか。エドアルドと同じ色彩で顔も似通っている。
「まあ、レイナルド殿下。ティカ様をご覧になられにいらしたのですか?」
……殿下ということは、この人も王子様なんだろうか? エドアルド殿下に似ているし。
熱心に見つめてくるレイナルドに戸惑いながら、千花は思う。
「まあね。あのカイルもさすがにとうとう士官せざるを得ないと思ってたけど、これは予想外だったな。……とても綺麗だけど、君はひょっとして、カイルの恋人?」
「と、とんでもない!」
あんな鬼畜魔術師の恋人と誤解されるなんてショックだ。
千花が慌てて首を振って否定する。すると、レイナルドはなぜかほっとしたように息をついた。
「あ、違うんだ。よかった」
……なにがよかったなんだろう?
千花が首を捻っていると、レイナルドが千花の傍に寄ってきた。侍女達は遠慮しているのか声をかけてこない。
「僕はレイナルド、この国の第三王子だ。君の名はなんて言うの?」
千花の予想通り、目の前の青年は王子だったようだ。千花は城に来る前に教えてもらった略式の礼を取るべく、ドレスを両手で摘んで答えた。
「ティカ・サトーです、殿下」
「ティカか、可愛い名前だね」
「あ、ありがとうございます」
身分の高い王子にかなり気さくに話しかけられて、若干千花は腰が引けた状態になる。……それにさっきからなにやら熱っぽい視線を受けているようで、落ち着かない。
「殿下、ティカ様はエドアルド殿下に晩餐のご招待を受けておられるのです」
「そうなんだ。じゃあ、僕も一緒に出ようかな。一人くらい増えても別に構わないだろう?」
「はい。エドアルド殿下にお伝えして、そのように手配させて頂きますわ」
セルマが微笑んで応対する。どうやらレイナルドが晩餐に参加するのは、決定事項のようだった。
「お邪魔するよ、アルド兄さん」
「なんだ、レイド。ティカと一緒に来たのか」
ティカ達を引き連れて、レイナルドが先にエドアルドの部屋に入ると、意外そうにエドアルドが眉を上げた。
「カイルが弟子を取ったっていうから興味があってね。……そしたらとても綺麗な娘じゃないか」
レイナルドに促されてティカがエドアルドの部屋に入ると、彼は驚いたように瞠目した。
「これは……、見違えたな。ティカ、とても綺麗だ」
「……驚いたな。どこの姫君かと思った」
シモンも千花の変わりように驚いたようで、まじまじと観察してくる。
二人に賞賛されたことで、千花はさっきシモンに憤っていたのも忘れ、少々舞い上がってしまう。
「そ、そんなこと……」
恥ずかしそうに千花は頬を両手で包むと、赤い顔を俯かせた。
「……童顔も化粧一つでこれだけ変わるのか」
カイルが舞い上がる千花の気分を一気につき落とすようなことを言った。
「童顔で悪かったわねっ」
思わず千花はカイルをキッと睨む。
二人のように褒めろとは言わないが、少し黙っていてほしかった。
「童顔? ティカはとても美人だけど?」
不思議そうにレイナルドがカイルに目をやる。
「第三王子は化粧に誤魔化されているのかもしれんが、ティカの見た目は十二歳くらいだぞ」
「……そうなんだ?」
いくぶんがっかりしたようにレイナルドがティカを見る。彼はこれがティカの普段の顔だと思いこんでいたらしい。仕方なく彼女は頷いた。
「わたしの本当の年齢は十六ですけれど。わたしの国の人は他の国の人から見て、総じて若く見られるみたいですね」
「それでも、ティカ様のお肌やお体は素晴らしかったですわ。十二歳ではこうは参りません。ティカ様のお顔も、いずれ今のように大人っぽく花開く時が参りますわ」
「へえ、そうなんだ」
セルマのセクハラまがいの言葉に、男達が大げさなくらい反応する。じろじろと皆に体を観察され、千花は思わず羞恥から叫び出しそうになった。
「確かに体つきはいいね」
エドアルドが世の中の乙女の王子様像を壊すようなことを言う。
「うん、これなら多少童顔でもいいか」
レイナルドが頷きながらなにごとか納得している。
「ああ、そういえば、手足は細いのに胸はあったな」
最初にあった時の千花の格好を思い出しているらしいシモンが言った。どこのセクハラ親父だと思いながら、千花はシモンを睨みつける。
「……ティカの体をじろじろ見るな」
カイルがかなり不機嫌そうに言ったが、千花はここに来る前に、彼も千花の体をしっかり観察していたことをもちろん忘れてはいなかった。
「カイルだって、屋敷でじろじろ見てたじゃない」
「俺はいいんだ」
「よくないでしょ、そういうのってセクハラって言うんだからね」
千花がむっとカイルを見上げながら言うと、彼は眉間に皺を寄せた。……どうやら不満らしい。
「カイル、いくらティカが魅力的でも、弟子に手を出さないでね」
レイナルドが釘を差すと、エドアルドもなぜか楽しそうに言った。
「そう考えると、訓練の時とか危険だね。ティカには師団舎まで来てもらって訓練した方がよさそうだな」
「それはよいお考えですね、殿下」
未だ千花の入団を諦めていないらしいシモンが嬉しそうにそれを受けて言った。
「おい……」
話が妙な方向に向かって、カイルの機嫌もどんどん悪くなっていく。
「じゃあ、ティカには訓練の際には城まで来てもらおうか。……それでいいね、カイル」
「……仕方ない。俺ももちろん同行する」
有無を言わさず決定するエドアルドの言葉に、本当に嫌そうにカイルが頷いた。
「ついでに他の者にも指導してくれると嬉しいな。無理にとは言わないけれど」
「……無理もなにも、始めからそのつもりでいるんだろうが」
カイルが苦虫を噛みつぶしたような顔で呻くように言う。
俺様な彼がやりこめられるのは千花にはちょっと小気味よかった。……エドアルドは人当たりが良さそうに見えるが、ひょっとしたら結構な狸なのかも知れない。
「皆様、お食事の準備が整いましたわ。レイナルド様もお越しくださいませ」
話が一端落ち着いたところで、セルマが別室の客間に皆を案内する。
「ティカ、座って」
レイナルドが率先して千花のために椅子を引いた。
「あ、はい。ありがとうございます」
王子に椅子を引いてもらって大丈夫なんだろうかと一瞬千花は不安になったが、彼に甘えて、結局早々に着席した。
「レイドは随分とティカがお気に入りだね」
エドアルドが千花の隣に着席したレイナルドに楽しそうに言う。
「うん、まあ。カイルが弟子を取ったっていうから興味本位で見に行ったけど、ティカ綺麗だし、仕草とか可愛いし」
そこまで褒められると、千花はさすがに真っ赤にならざるを得ない。
「そ、そんなこと……」
「あ、赤くなった。可愛いなあ」
にこにこと嬉しそうにレイナルドが笑う。少し離れた席にいるカイルはそれに反比例してものすごく不機嫌そうだ。
「ティカ、僕、君に一目惚れしたみたいなんだ。魔術師を目指すのもいいけど、もし君さえよかったら僕の妃にならない?」
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「……はい?」
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