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第9話 3回変わっても終わらない話
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【場面1】
ある朝、男は激しい喉の渇きを覚えて目を覚ました。
男の乗っていた船が難破して、命からがら無人島にたどり着いたのだ。
海辺に作った粗末な寝床から起き上がると、男は飲み水を求めて島の奥に広がる山へと入った。
【場面2】
その日の昼。
島の中央まで山の中を歩いて登ると、男は美しい川を見つけた。
太陽の光を反射して、水面がまぶしいばかりに輝いている。
「良かった!これでしばらくは安心だ!」
男は喜びのあまり、川に向かって飛び込んだ。
だが、川の深さは男の予想以上に深く、驚いた男は水の流れに足を取られた。
男は必死にもがいたが、水中の渦に巻き込まれて意識を失った。
男の体は川の上流から下流へと流され、つづく海へと押し出された。
【場面3】
この男の悲劇を、神は上空で見ていた。
生きている人間の前に神が姿を現すことはこの世界に混乱をもたらすため、男を川で救うことはできなかったのだ。
神は海から男の遺体を拾い上げ、無人島の海辺の寝床まで運んだ。
男の体を押して肺に溜まっていた海水を取り出し、神は新たに命を与えた。
男の死に顔が、あっという間に生気を取り戻した。
神は己が助けた証拠を消すため、男の今日に関する記憶を全て消し去った。
「愚かなる人間よ。何度同じことを繰り返すのか。
これは明日も様子を見に来た方が良さそうじゃな」
神は呆れ顔でつぶやくと、茜さす空へと帰って行った。
(了)
◎このあと【場面1】に変わっても(3回目)、お話は終わりません。
かの有名な「だまし絵」を参考にしました。
ある朝、男は激しい喉の渇きを覚えて目を覚ました。
男の乗っていた船が難破して、命からがら無人島にたどり着いたのだ。
海辺に作った粗末な寝床から起き上がると、男は飲み水を求めて島の奥に広がる山へと入った。
【場面2】
その日の昼。
島の中央まで山の中を歩いて登ると、男は美しい川を見つけた。
太陽の光を反射して、水面がまぶしいばかりに輝いている。
「良かった!これでしばらくは安心だ!」
男は喜びのあまり、川に向かって飛び込んだ。
だが、川の深さは男の予想以上に深く、驚いた男は水の流れに足を取られた。
男は必死にもがいたが、水中の渦に巻き込まれて意識を失った。
男の体は川の上流から下流へと流され、つづく海へと押し出された。
【場面3】
この男の悲劇を、神は上空で見ていた。
生きている人間の前に神が姿を現すことはこの世界に混乱をもたらすため、男を川で救うことはできなかったのだ。
神は海から男の遺体を拾い上げ、無人島の海辺の寝床まで運んだ。
男の体を押して肺に溜まっていた海水を取り出し、神は新たに命を与えた。
男の死に顔が、あっという間に生気を取り戻した。
神は己が助けた証拠を消すため、男の今日に関する記憶を全て消し去った。
「愚かなる人間よ。何度同じことを繰り返すのか。
これは明日も様子を見に来た方が良さそうじゃな」
神は呆れ顔でつぶやくと、茜さす空へと帰って行った。
(了)
◎このあと【場面1】に変わっても(3回目)、お話は終わりません。
かの有名な「だまし絵」を参考にしました。
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