ショートショートのお茶漬け

rara33

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第3話 模倣モノの詩(うた)

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 今日も俺は、必死でしがみついてんだ。

 俺はただの模倣もほうもんだから、

 油断したらすぐに引き離されるって分かってんだ。

 大勢いる他の奴らだって同じようなもんだ。

 でも俺は足を引っ張ったりはしない。

 俺たちはライバルじゃなくて仲間なんだ。

 それにあいつらが消えた所で、

 またすぐに次の奴らがやって来るってだけだ。

 俺たちの代わりはいくらでもいる。

 でも俺たちの存在を、ちゃんと認めてくれる人がいるんだ。

 さすがに本物の出来には叶わないけど、

 しがみついてりゃ、必ず明日はやって来るんだ。

 それに本物だって、力尽きれば散っていくんだ。

 だから風当たりがどんなにきつくたって、

 俺はこの手をゆるめるわけにはいかねえんだ。

 *

「ふう~、今日も疲れたなあ」
 サラリーマン姿の男が、ネクタイをゆるめながら自室に入ってきた。

「今日も風がキツくて参ったよ」
 洗面所に向かうと、男は頭に手を伸ばした。

「汚れてきたから、そろそろクリーニングしないとな」

 男は慣れた手つきで頭からカツラを外すと、
 すっかりさびしくなった頭髪に手をやった。

「もういっそのこと、

 坊主にでもしちゃおうか?」


 洗面台に数本ずつ散った、カツラの毛と地毛を見比べて男はつぶやいた。

(了)

◎該当される方の日頃のストレスや悩み、深くお察しします。
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