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3章 高校編
38話
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「お前の身体を自由にする権利を俺に与えろ」
「なっ……!?」
ここで俺がこの女に何を求めているのかに気付いたからか2歩ほど後退りして警戒体制に入る。
「わ、私の身体目当てだったんですか?」
「身体目当て?少し違うな、俺はお前の覚悟を試しているんだ。この世界で生き抜いていくために自分の身体を犠牲にするくらいの覚悟があるのかをな」
「覚悟……」
実際のところ俺はこいつの身体なんて微塵も興味が無いため手を出すような卑劣な事はしないが、今の発言については俺が思っていた事だ。
この世界には最早法律やルールなんてものは存在しない。生きるか死ぬか、殺すか殺されるかの世界であり弱肉強食だ。
そんな世界で生き抜いていくためには身を粉にする覚悟が必要となる。時には身体を本当に求めてくるような奴も現れるかもしれない。
そこで身体を許すのか、それとも茨の道を歩むのか。お前はどっちを選ぶんだ?
「生半可な覚悟でお前をここに住ませる訳にはいかないんだ、早く決めてくれ」
「そ、そんな……!身体以外じゃダメなんですか?」
「身体以外?今のお前に何を俺に差し出せる?」
「それは……」
ここで数秒の間ができる。今のこいつには身体一つしかないのに一体何を差し出せるというのだ?
「考えても無駄だ、今のお前にとって自分の身体は武器と言っても良い。今初めてこの世界を知ったお前には生きる知恵も無い、できるのは他者に依存する事だけだ」
「それでも……身体なんてっ……!」
「じゃあ死ぬだけだ。今すぐに家を出ろ」
「い……嫌です……それだけは絶対……」
さすがに自分でも外に出たら確実に死ぬとわかっているみたいだ。そこの判断は良いが中々身体を差し出すことに抵抗があるようだ。
もしやこいつ好きな人に初めてを捧げたいみたいな事を考えてる人間か?どう見ても処女っぽいしな。
「選べないか?なら今ここで俺がお前を襲っても良いんだぞ?」
「!?」
「正しい選択をしろよ」
俺はそう言いながら徐々に目の前の女子高生に近づいていく。
「こ、来ないで……」
「逃げられなくなる前に選べ」
「い、いや……」
俺の動きに合わせて後退って行く。
「あ……!」
「終わりだ」
そして遂には窓ガラスの方まで後退してしまっていた。そのため俺とこの女の距離は大きく縮まり続けていた。
「だ、だめっ!来ないでよぉ!」
ベッドの上にあった枕や、地面に置いてあったディスクを俺の方に投げ飛ばして少しでも抵抗をする。
しかしそんな攻撃などこの世界で俺が経験した恐怖や痛みに比べれば無に等しい為難なくと躱わしてみる。
「これが最後の通告だ。選べ」
「……」
いつの間にか涙を流しながら物を投げるのをやめて俺の目を見ながら睨んでいた。最初見た印象とはもう全く違っていた、今のその目なら俺を殺してでも抵抗をする覚悟がある気がした。
「さぁ、どうする?」
「もぅ……ぃぃや」
「?」
そこで急に背をこちらに向け窓ガラス引いて開ける。俺をその行動を見て何をしようとしているのかが分からずにいた。
「何をしているんだ?」
「どのみち私の心は死んでしまうならいっそ自分の手で……」
「なっ!?」
冗談だと思った。まさかこの女に自殺する勇気があるとは思えなかった。しかしその予想とは裏腹に勢いよくベランダの柵を乗り越えようとしていた。
俺のミスだった。俺がこの女を甘く見ていた。この女にその覚悟あるとは思えなかったから。
ベランダの柵から飛び降りようとしたその瞬間俺は走り出した。ここでこの女の貴重なサンプルを失うわけにはいかなったという理由もあったが、何より自分のミスで人を自殺に追い込んでしまったという結果になってしまったら俺はもう自責の念に追われ続け眠ることができなくなるかも知れないと思った。
「きゃっ!?」
だから俺は走り出して柵から落ちる寸前に俺は手を伸ばしこの女を引き上げた。
間一髪自殺を阻止することに成功した。後少し判断に迷っていれば確実に死んでいた。それくらい奇跡的な早さで体が動いていた。
「はぁ……はぁ、お前……ふざけんなよ」
「どうして……?」
「俺のミスだ、お前の覚悟を試すためだけに嘘をついた。その結果がお前を自殺に追い込んでしまった、申し訳ない」
「嘘……?どこが?」
「お前の身体なんて微塵も興味がないという事だ」
そこでこの女の目にやっと光が戻って来る。生きるのを諦めかけていたあの暗い目ではもう無かった。
「じゃあ私ここに住んで良いんですか?何か対価を差し出さなくても?」
「もう良いよ、お前の覚悟はもう十分過ぎるほどに理解した。俺の負けだよ」
「っ~~~!!」
「なっ!?」
横目にチラッと女の顔を覗いてみると顔を赤らめてみるみると涙が溜まっているのが見える。
そしてポロポロと大粒の涙を流し始める。
「な、なに泣いてんだよ!?」
「す、すいません……安心したせいか突然と涙が止まらなくなってしまって……」
「あぁ……まぁそりゃそうだよな」
我ながら冷たい事をしているという実感はあったしな……まだ子供だから仕方ないか。
……さてまたこの家で女と2人きりか。奏の時以来だけど上手くやっていけるだろうか。
「なっ……!?」
ここで俺がこの女に何を求めているのかに気付いたからか2歩ほど後退りして警戒体制に入る。
「わ、私の身体目当てだったんですか?」
「身体目当て?少し違うな、俺はお前の覚悟を試しているんだ。この世界で生き抜いていくために自分の身体を犠牲にするくらいの覚悟があるのかをな」
「覚悟……」
実際のところ俺はこいつの身体なんて微塵も興味が無いため手を出すような卑劣な事はしないが、今の発言については俺が思っていた事だ。
この世界には最早法律やルールなんてものは存在しない。生きるか死ぬか、殺すか殺されるかの世界であり弱肉強食だ。
そんな世界で生き抜いていくためには身を粉にする覚悟が必要となる。時には身体を本当に求めてくるような奴も現れるかもしれない。
そこで身体を許すのか、それとも茨の道を歩むのか。お前はどっちを選ぶんだ?
「生半可な覚悟でお前をここに住ませる訳にはいかないんだ、早く決めてくれ」
「そ、そんな……!身体以外じゃダメなんですか?」
「身体以外?今のお前に何を俺に差し出せる?」
「それは……」
ここで数秒の間ができる。今のこいつには身体一つしかないのに一体何を差し出せるというのだ?
「考えても無駄だ、今のお前にとって自分の身体は武器と言っても良い。今初めてこの世界を知ったお前には生きる知恵も無い、できるのは他者に依存する事だけだ」
「それでも……身体なんてっ……!」
「じゃあ死ぬだけだ。今すぐに家を出ろ」
「い……嫌です……それだけは絶対……」
さすがに自分でも外に出たら確実に死ぬとわかっているみたいだ。そこの判断は良いが中々身体を差し出すことに抵抗があるようだ。
もしやこいつ好きな人に初めてを捧げたいみたいな事を考えてる人間か?どう見ても処女っぽいしな。
「選べないか?なら今ここで俺がお前を襲っても良いんだぞ?」
「!?」
「正しい選択をしろよ」
俺はそう言いながら徐々に目の前の女子高生に近づいていく。
「こ、来ないで……」
「逃げられなくなる前に選べ」
「い、いや……」
俺の動きに合わせて後退って行く。
「あ……!」
「終わりだ」
そして遂には窓ガラスの方まで後退してしまっていた。そのため俺とこの女の距離は大きく縮まり続けていた。
「だ、だめっ!来ないでよぉ!」
ベッドの上にあった枕や、地面に置いてあったディスクを俺の方に投げ飛ばして少しでも抵抗をする。
しかしそんな攻撃などこの世界で俺が経験した恐怖や痛みに比べれば無に等しい為難なくと躱わしてみる。
「これが最後の通告だ。選べ」
「……」
いつの間にか涙を流しながら物を投げるのをやめて俺の目を見ながら睨んでいた。最初見た印象とはもう全く違っていた、今のその目なら俺を殺してでも抵抗をする覚悟がある気がした。
「さぁ、どうする?」
「もぅ……ぃぃや」
「?」
そこで急に背をこちらに向け窓ガラス引いて開ける。俺をその行動を見て何をしようとしているのかが分からずにいた。
「何をしているんだ?」
「どのみち私の心は死んでしまうならいっそ自分の手で……」
「なっ!?」
冗談だと思った。まさかこの女に自殺する勇気があるとは思えなかった。しかしその予想とは裏腹に勢いよくベランダの柵を乗り越えようとしていた。
俺のミスだった。俺がこの女を甘く見ていた。この女にその覚悟あるとは思えなかったから。
ベランダの柵から飛び降りようとしたその瞬間俺は走り出した。ここでこの女の貴重なサンプルを失うわけにはいかなったという理由もあったが、何より自分のミスで人を自殺に追い込んでしまったという結果になってしまったら俺はもう自責の念に追われ続け眠ることができなくなるかも知れないと思った。
「きゃっ!?」
だから俺は走り出して柵から落ちる寸前に俺は手を伸ばしこの女を引き上げた。
間一髪自殺を阻止することに成功した。後少し判断に迷っていれば確実に死んでいた。それくらい奇跡的な早さで体が動いていた。
「はぁ……はぁ、お前……ふざけんなよ」
「どうして……?」
「俺のミスだ、お前の覚悟を試すためだけに嘘をついた。その結果がお前を自殺に追い込んでしまった、申し訳ない」
「嘘……?どこが?」
「お前の身体なんて微塵も興味がないという事だ」
そこでこの女の目にやっと光が戻って来る。生きるのを諦めかけていたあの暗い目ではもう無かった。
「じゃあ私ここに住んで良いんですか?何か対価を差し出さなくても?」
「もう良いよ、お前の覚悟はもう十分過ぎるほどに理解した。俺の負けだよ」
「っ~~~!!」
「なっ!?」
横目にチラッと女の顔を覗いてみると顔を赤らめてみるみると涙が溜まっているのが見える。
そしてポロポロと大粒の涙を流し始める。
「な、なに泣いてんだよ!?」
「す、すいません……安心したせいか突然と涙が止まらなくなってしまって……」
「あぁ……まぁそりゃそうだよな」
我ながら冷たい事をしているという実感はあったしな……まだ子供だから仕方ないか。
……さてまたこの家で女と2人きりか。奏の時以来だけど上手くやっていけるだろうか。
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