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序章ー人生の分岐点
第2話「努力は才能には勝てない」
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家に帰った後、僕も英雄養成学校に入学しようと考えた。
招待状がなくても入学試験を受けて合格をすれば入学が可能だからだ。
けれど、問題もあった。
「やっぱりお金と実力だよな…」
問題その1は入学料と授業料である。
特待生の場合は免除されるからいいものの、一般入学の場合はお金はそれなりにかかるのだ。
ここは田舎の村だ。
当然そんなお金は払える筈がない。
問題その2は実力。
こっちはもっと深刻だ。
なんたって僕は魔力と身体能力もこの田舎の村でも低いほうなのだ。
そんな僕がどうやって試験に合格ができるというのだ。
それに引き換えアイリはとてつもない才能があった。
8歳の時点で中級魔術を習得でき、魔力量もすごい多いと聞く。
身体能力も高く、僕が勝てる要素は1つもなかった。
僕は初級魔術の習得ですら手こずっている。
現在使えるのは初級魔術の魔力障壁だけだ。
皆はそれを知らない。
僕が誰にも教えていないからだ。
初級魔術なんて習得できたと言っても当たり前だと言われて笑われるだけだしな。
魔術には初級、中級、上級、宝級、神宝級と合計5つのランクで分類されている。
習得難易度はランクが上がるにつれて当然難しくなっていくが、難易度にも大きな差がある。
初級魔術は一般国民でも習得できるものであり、中級魔術となると難易度が跳ね上がり、魔力量と才能がそれなりに必要になる。
つまり努力だけではどうにもならない領域ということだ。
上級魔術は中級魔術に必要な要素の何倍もなければいけない。
僕のお母さんは元魔術師で、中級魔術までは習得できていたようだ。
そして僕のお父さんも前までは剣士だったようで、魔術は初級くらいしか使えなかったが、剣術だけで魔物と戦ってきたらしい。
ちなみに剣術は上級クラスだったらしく、その強さは世界でも100人もいないようだ。
そういえば昔は剣士養成学校と魔術士養成学校があったのに今はもう英雄養成学校に統合されたってお母さんが言ってたな、今思い出してみればなんで統合なんてしたんだろう?まあ、そんなことはどうでもいいか、話を戻すけどやっぱり僕のお父さんはすごいと思う。
…僕の親はすごい力を持っているのに、息子である僕はなんでこんなにも才能がないんだろう。
まあ才能がないってわかるからこそ英雄養成学校なんて目指さないんだけどな。
最後に宝級魔術と神宝級魔術だけどお母さんとお父さんいわく、それはただの都市伝説らしい。
まあ…つまり何が言いたいかというとこの世は才能が8割で2割が努力といったところだ。だから中級魔術をもう習得できているアイリは才能の塊なのだ。
ちなみに僕が使える初級魔術のゲイトだけども、
どうやらこのゲイトというのは子供のパンチくらいは凌げても大人のパンチは凌げないほど弱いらしい。
つまり敵にとってはただの紙切れなのだ。
ただの紙切れのせいで誰もこの魔術を使おうとしない。
いわゆる欠陥魔術だ。
この魔術を作った人はなんでこんな魔術を作ったんだろう。
その代わり習得はあまり難しくないけど…。
「僕に才能があればアイリの隣を歩けて、アイリの盾になることもできたのに」
アイリを守るという使命は父さんから言われたものだ。
僕の親とアイリの親は昔からのなじみということもあって僕とアイリは生まれた年も同じで小さいころから一緒にいて遊んでいた。
そして僕が物心ついたときに父さんにこう言われた。
「オーデンス、俺はなこの村の守護者という役割を担っているんだ」
「しゅごしゃってな~に?」
「守護者っていうのはな、この村にやってくる魔物や悪い人からみんなを守る仕事さ」
「ええ?父さんって実は強いの?」
僕は目をキラキラと輝かせた。
「おうよ!だからこの村の守護者なんだ。でも守護者だからって必ず皆を守ることはできない、もちろん命に代えても守ろうとはするが」
「そうなの…?」
そう聞いてとても不安になった。
「もし、アイリが危ない時はオーデンス、お前が守ってやるんだ」
ぼ、ぼくがアイリを守る?そんなこと…
「できるわけないよ…僕なんかが」
「はは、今できなくても仕方ないさ。だけど今している修行はその時が来た時のためだろ?」
いや、僕はただ父さんに付き合わされているだけなんだけどな…。
「オーデンス、約束してくれ。母さんと俺のことは気にするな。俺はもちろん、母さんも実は強い。俺と母さんも当然お前たちを守ろうとするが何が起きるかわからない。その時はいつもアイリのそばにいるオーデンス、お前がアイリを守ってやってくれ」
「で、でも…」
「大丈夫だ!なんたってこの俺の息子だ!いざとなればできると俺は信じているからな」
「わ、わかったよ…そこまで言うなら」
そして僕は言われるがままにアイリを守るための修行をしてきた。
別に僕がやらなくてもいいじゃないかと思いつつも父さんからの期待を裏切ることができなかった。
そもそもアイリは僕なんかに守られるほど弱くない。
なんなら魔術の才能なんて僕よりも遥かにある。
僕が守らなくてもアイリは自分で自分の身を守れるじゃないか。
そう思いつつも修行を続けてきた。
そして今に至る。
考えてみればアイリがこの村からいなくなったらアイリを守るという使命はなくなる。
そうなれば僕は自由じゃないか。
それなのになんで僕はこんなにもやもやしているのだろう。
あのころとは違う。
嫌々使命を守って修行をしていたあのころとは…。
今と昔の僕は何が違うんだろうか、その答えがまったくわからなかった。
僕が寝転がりながら考え事をしていると一人の少女がここにやってきた。
僕を悩ませている元凶だ。
招待状がなくても入学試験を受けて合格をすれば入学が可能だからだ。
けれど、問題もあった。
「やっぱりお金と実力だよな…」
問題その1は入学料と授業料である。
特待生の場合は免除されるからいいものの、一般入学の場合はお金はそれなりにかかるのだ。
ここは田舎の村だ。
当然そんなお金は払える筈がない。
問題その2は実力。
こっちはもっと深刻だ。
なんたって僕は魔力と身体能力もこの田舎の村でも低いほうなのだ。
そんな僕がどうやって試験に合格ができるというのだ。
それに引き換えアイリはとてつもない才能があった。
8歳の時点で中級魔術を習得でき、魔力量もすごい多いと聞く。
身体能力も高く、僕が勝てる要素は1つもなかった。
僕は初級魔術の習得ですら手こずっている。
現在使えるのは初級魔術の魔力障壁だけだ。
皆はそれを知らない。
僕が誰にも教えていないからだ。
初級魔術なんて習得できたと言っても当たり前だと言われて笑われるだけだしな。
魔術には初級、中級、上級、宝級、神宝級と合計5つのランクで分類されている。
習得難易度はランクが上がるにつれて当然難しくなっていくが、難易度にも大きな差がある。
初級魔術は一般国民でも習得できるものであり、中級魔術となると難易度が跳ね上がり、魔力量と才能がそれなりに必要になる。
つまり努力だけではどうにもならない領域ということだ。
上級魔術は中級魔術に必要な要素の何倍もなければいけない。
僕のお母さんは元魔術師で、中級魔術までは習得できていたようだ。
そして僕のお父さんも前までは剣士だったようで、魔術は初級くらいしか使えなかったが、剣術だけで魔物と戦ってきたらしい。
ちなみに剣術は上級クラスだったらしく、その強さは世界でも100人もいないようだ。
そういえば昔は剣士養成学校と魔術士養成学校があったのに今はもう英雄養成学校に統合されたってお母さんが言ってたな、今思い出してみればなんで統合なんてしたんだろう?まあ、そんなことはどうでもいいか、話を戻すけどやっぱり僕のお父さんはすごいと思う。
…僕の親はすごい力を持っているのに、息子である僕はなんでこんなにも才能がないんだろう。
まあ才能がないってわかるからこそ英雄養成学校なんて目指さないんだけどな。
最後に宝級魔術と神宝級魔術だけどお母さんとお父さんいわく、それはただの都市伝説らしい。
まあ…つまり何が言いたいかというとこの世は才能が8割で2割が努力といったところだ。だから中級魔術をもう習得できているアイリは才能の塊なのだ。
ちなみに僕が使える初級魔術のゲイトだけども、
どうやらこのゲイトというのは子供のパンチくらいは凌げても大人のパンチは凌げないほど弱いらしい。
つまり敵にとってはただの紙切れなのだ。
ただの紙切れのせいで誰もこの魔術を使おうとしない。
いわゆる欠陥魔術だ。
この魔術を作った人はなんでこんな魔術を作ったんだろう。
その代わり習得はあまり難しくないけど…。
「僕に才能があればアイリの隣を歩けて、アイリの盾になることもできたのに」
アイリを守るという使命は父さんから言われたものだ。
僕の親とアイリの親は昔からのなじみということもあって僕とアイリは生まれた年も同じで小さいころから一緒にいて遊んでいた。
そして僕が物心ついたときに父さんにこう言われた。
「オーデンス、俺はなこの村の守護者という役割を担っているんだ」
「しゅごしゃってな~に?」
「守護者っていうのはな、この村にやってくる魔物や悪い人からみんなを守る仕事さ」
「ええ?父さんって実は強いの?」
僕は目をキラキラと輝かせた。
「おうよ!だからこの村の守護者なんだ。でも守護者だからって必ず皆を守ることはできない、もちろん命に代えても守ろうとはするが」
「そうなの…?」
そう聞いてとても不安になった。
「もし、アイリが危ない時はオーデンス、お前が守ってやるんだ」
ぼ、ぼくがアイリを守る?そんなこと…
「できるわけないよ…僕なんかが」
「はは、今できなくても仕方ないさ。だけど今している修行はその時が来た時のためだろ?」
いや、僕はただ父さんに付き合わされているだけなんだけどな…。
「オーデンス、約束してくれ。母さんと俺のことは気にするな。俺はもちろん、母さんも実は強い。俺と母さんも当然お前たちを守ろうとするが何が起きるかわからない。その時はいつもアイリのそばにいるオーデンス、お前がアイリを守ってやってくれ」
「で、でも…」
「大丈夫だ!なんたってこの俺の息子だ!いざとなればできると俺は信じているからな」
「わ、わかったよ…そこまで言うなら」
そして僕は言われるがままにアイリを守るための修行をしてきた。
別に僕がやらなくてもいいじゃないかと思いつつも父さんからの期待を裏切ることができなかった。
そもそもアイリは僕なんかに守られるほど弱くない。
なんなら魔術の才能なんて僕よりも遥かにある。
僕が守らなくてもアイリは自分で自分の身を守れるじゃないか。
そう思いつつも修行を続けてきた。
そして今に至る。
考えてみればアイリがこの村からいなくなったらアイリを守るという使命はなくなる。
そうなれば僕は自由じゃないか。
それなのになんで僕はこんなにもやもやしているのだろう。
あのころとは違う。
嫌々使命を守って修行をしていたあのころとは…。
今と昔の僕は何が違うんだろうか、その答えがまったくわからなかった。
僕が寝転がりながら考え事をしていると一人の少女がここにやってきた。
僕を悩ませている元凶だ。
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