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レニドールSide
失恋
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俺はこの時人生で一番やさぐれていた。そう、あれは魔王討伐を言い渡された日の一週間前だった……。
ルーファスはその日夕方までの通常勤務で、上がるところを偶然見かけた。
俺は城を抜け出して、ルーファスを食事にでも誘おうかと思い、追いかけた。
それが良くなかった……。
王都中央広場の噴水で誰かと待ち合わせしていたらしいルーファスは、待ち合わせ相手を見つけると微笑み、二人で歩き出す。
相手の男を見ると騎士団の事務員で、物凄く美人と評判の男だった。ミルクティー色の柔らかそうな艶のある髪の毛に、二重の切れ長の薄い青色の眼の彼は、評判どおりの中性的な美人顔。
なんとなく感じる嫌な雰囲気を無視して二人の後を追いかける。二人が姿を消したのは高級宿だった……。
食事をするだけではないのは明らかで。
付き合っているのか、身体だけの関係なのかはわからない。でも、思い返すと訓練の合間に、二人が親しげに会話しているところを何度も見かけていた。
俺には性的な事を言わないし、匂わせないルーファスは、知らない所でやることはやっていたのだ……。
閨教育も逃げ回っている俺は、色んなことを知らなすぎた。
これからルーファスはあの男を抱く……。
ルーファスはどんな風に触るのか。あの男はどんな風に抱かれるのか……。
ルーファスとはかなり親しい間柄だと自負していたから、何かしら好意を寄せられていたら誘われたかもしれない。しかし色気のある話すらされた事なかった。今更ながら俺はルーファスの範疇外なんだと痛感した。
家族も、友人も、愛する人さえもすべて俺には手に入れられない。心臓が軋む様に痛む。悲しみと絶望で、俺は暫くそこに立ち尽くしていた。
失恋のショックで暫く何もする気がなれない所に、あの神託の話だ。弱り目に祟り目でやさぐれたくもなる。
死にに行くなら最期くらいは愛する人に見送られたいと、その時は思ったんだよ!
でも、冷静になって思い返してみると、ルーファスに好かれるような事を俺はしてきただろうか?泣いては慰められて、稽古も一緒にしてくれて……。うん、手の掛かる弟だな、これ。
そういうわけで帰りの旅で頑張ってアピールして、恋愛対象にしてもらう!
「殿下、この辺りはあまりいい食事処と宿は無さそうですが……」
俺は内心意気込んでいると、ルーファスは思案げに村を見渡す。
「うん? まあ辺境の端の村だからなぁ。宿があって食事がでるならそれだけでありがたいよ。王家の手形貰ってるけど、国民の税だし金はあまり使いたくない」
「……はぁ……殿下は本当に……」
ルーファスは眉間を揉む。あれ、なんか呆れてる?まあ、公爵家次男のルーファスは鄙びた宿なんか嫌だよなあ。
「ルーファスが嫌なら大きい街まで駆けてもいいけど」
「……いえ、野宿の疲れも蓄積されてるので、贅沢は言わずここで一泊しましょう」
「へへっ隣国の食事楽しみなんだよな。鄙びた村でも」
「ふふっでは宿の前に食事に行きましょうか」
俺はさり気なくルーファスの手を繋いで歩き出すと、ルーファスの手が一瞬ピクリと止まった。
驚かせたかな?
鄙びた食事処でも一応隣国料理なので、珍しいし、美味しかった。旅の開放感に任せて普段は絶対にできない皿をシェアしたり、あーんをしたのだった。
教わった恋愛テクニックを今日から駆使していくぜ!
ルーファスはその日夕方までの通常勤務で、上がるところを偶然見かけた。
俺は城を抜け出して、ルーファスを食事にでも誘おうかと思い、追いかけた。
それが良くなかった……。
王都中央広場の噴水で誰かと待ち合わせしていたらしいルーファスは、待ち合わせ相手を見つけると微笑み、二人で歩き出す。
相手の男を見ると騎士団の事務員で、物凄く美人と評判の男だった。ミルクティー色の柔らかそうな艶のある髪の毛に、二重の切れ長の薄い青色の眼の彼は、評判どおりの中性的な美人顔。
なんとなく感じる嫌な雰囲気を無視して二人の後を追いかける。二人が姿を消したのは高級宿だった……。
食事をするだけではないのは明らかで。
付き合っているのか、身体だけの関係なのかはわからない。でも、思い返すと訓練の合間に、二人が親しげに会話しているところを何度も見かけていた。
俺には性的な事を言わないし、匂わせないルーファスは、知らない所でやることはやっていたのだ……。
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これからルーファスはあの男を抱く……。
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ルーファスとはかなり親しい間柄だと自負していたから、何かしら好意を寄せられていたら誘われたかもしれない。しかし色気のある話すらされた事なかった。今更ながら俺はルーファスの範疇外なんだと痛感した。
家族も、友人も、愛する人さえもすべて俺には手に入れられない。心臓が軋む様に痛む。悲しみと絶望で、俺は暫くそこに立ち尽くしていた。
失恋のショックで暫く何もする気がなれない所に、あの神託の話だ。弱り目に祟り目でやさぐれたくもなる。
死にに行くなら最期くらいは愛する人に見送られたいと、その時は思ったんだよ!
でも、冷静になって思い返してみると、ルーファスに好かれるような事を俺はしてきただろうか?泣いては慰められて、稽古も一緒にしてくれて……。うん、手の掛かる弟だな、これ。
そういうわけで帰りの旅で頑張ってアピールして、恋愛対象にしてもらう!
「殿下、この辺りはあまりいい食事処と宿は無さそうですが……」
俺は内心意気込んでいると、ルーファスは思案げに村を見渡す。
「うん? まあ辺境の端の村だからなぁ。宿があって食事がでるならそれだけでありがたいよ。王家の手形貰ってるけど、国民の税だし金はあまり使いたくない」
「……はぁ……殿下は本当に……」
ルーファスは眉間を揉む。あれ、なんか呆れてる?まあ、公爵家次男のルーファスは鄙びた宿なんか嫌だよなあ。
「ルーファスが嫌なら大きい街まで駆けてもいいけど」
「……いえ、野宿の疲れも蓄積されてるので、贅沢は言わずここで一泊しましょう」
「へへっ隣国の食事楽しみなんだよな。鄙びた村でも」
「ふふっでは宿の前に食事に行きましょうか」
俺はさり気なくルーファスの手を繋いで歩き出すと、ルーファスの手が一瞬ピクリと止まった。
驚かせたかな?
鄙びた食事処でも一応隣国料理なので、珍しいし、美味しかった。旅の開放感に任せて普段は絶対にできない皿をシェアしたり、あーんをしたのだった。
教わった恋愛テクニックを今日から駆使していくぜ!
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