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あき

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嫌いな先生

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「なぁに睨んでんだ?」

授業中横の席の智はつんつんと僕のほっぺをシャーペンの後ろでつついた。

「別に睨んでないけど?」

睨んでいるつもりは無い。ただ、日詰先生のワイシャツのシワが気になるだけだ。あの顔だったら彼女とかいて、アイロンを毎日当ててくれそうなものなのに。もしかしたらもう結婚してるかもしれない。

「眉間に皺、よってるぞ」

「うーん。」

日詰先生が動く度に背中の大きなシワが動いて気になるのだ。彼女はどうしたんだと。きになる。いつもビシッと決まった日詰先生のワイシャツは今日はヨレヨレな理由も。

「うーん。」

「やっぱ、好きなんじゃん」

ポソッと智がこぼした言葉を何度も何度も反芻させ咀嚼し理解し、

「は!?」

大きな声が出た。意味わからない。好きとかありえない。近づきたくない人種だ。好きよりもそれはどっちかと言うと嫌いよりの。

「なんだ、平方どうした?」

日詰先生は不思議そうな顔でこちらを見ている。

「すみません、なんでもありません」

そういうと日詰先生はそうかとまた授業を始めた。なんだがこれでは気を引くためにやったみたいではないか。くそう。智のクソ野郎。

「まぁ、嫌よ嫌よも好きのうちって言うしな」

「はぁ!?」

クソ野郎の声が聞こえてまた反射的に声が出た。何が嫌よ嫌よも好きのうちだ。

「どうした平方ー?」

また注目をあびた。先生は今度は心配そうな顔で覗き込んでいる。

「すみません、なんでもありません」

体調悪いなら保健室いけよと言ってまた黒板に向き直った日詰先生を見てため息を着く。くそう。智のクソ野郎め。

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