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第71話 作戦立案
しおりを挟むこれだけの兵力というか単騎で最強格の者がいたらこの戦争も簡単に勝てるのではないかと思ってしまう。
「じゃあカリグラ、ここに来たのはヴォルフリードを探す為なんだ。どこにいるか知っているか?」
「ああ、ヴォルフリードならこの上の階だよ。オルフィナと一緒に作戦を立てていると思うよ」
「オルフィナ?」
「そうだよ。この国の作戦立案係ってところかな。俺たちがエングリーズを攻撃した時の作戦もその子が作ったんだ。あれは見事に成功したからね」
へえーそんな奴もいるのか。
この皇国にも優秀な者は沢山いるようだ。
それに考え方の違いで昔から帝国とは仲が悪い。
帝国との全面戦争を反対する軍人は誰もいなかった。
それに驚いたのがこの国の兵士は強制ではなく志願制という事だ。
先代の頃から強国への政策は多く実施されてきた。
兵士の待遇改善などだ。
しかし、先代は帝国との全面戦争に対して否定的だった。
それを腰抜けだと陰で兵士たちから言われ、この強国への政策も意味がないものだと言われていた。
帝国との小競り合いで民衆にも被害が出始めていた。
だから俺が皇帝になり形だけではなく実際に宣戦布告したことにより帝国との全面戦争の機運が高まった事を民衆が察した。
だから俺の支持率というかこの戦争を支持する者は軍人、民間人問わず高いらしい。
それがカリグラから聞いた事だ。
カリグラ曰く、腑抜けた政策を実施したり帝国に降るような事をするのであれば乗り込んでやるつもりだったが、俺が戦争する事を選択した為、仕え支える事を決めたそうだ。
サラっと笑顔で凄い事いう奴だ。
でもその実力は俺が身を持って知っているからなぁ。
「さあ着いたよ。ここにみんな揃ってるはずだよ」
そしてカリグラが扉を開ける。
そこにはヴォルフリードと軍服を着た女性が立っている。
あの子がオルフィナかな?
「おお!いらっしゃったか!もう既に計画を立てている所ですぞ!」
「もうか?随分早いな」
「ハッハッハ!実はずっと前から帝国との戦争に向けて計画は立てておりました。しかし先王様がなかなか決断されませんでなぁ。
その計画を持て余しておりました。しかし此度、貴方様が宣戦布告されました。この時をどれほど待ちわびた事か!」
「さっき玉座の間で言っていた事と違ってないか?」
「あんな全員が集まる前でこれからの戦争を開始を手放して喜べませんわい。これでも司令官を任されておる身ですからなぁ。さあさあ!こちらへ。このオルフィナが作戦を説明致します」
「よろしくお願い致します。私はオルフィナと申します。カイアス皇帝陛下、此度の戦争の作戦を説明致します。が、その前に一つお伺いしたい事がございます。」
「なんだ?」
「この戦争の最終目標です。滅ぼすとは言ってもどこまでするのかで変わってきます。お互いが全滅するまで続くのか、
和平を持つのかと言った所です」
「和平?」
「はい。お互いが全滅するまで続く戦争、文字通り全面戦争は被害も計り知れません。しかし和平を前提とした戦争であれば被害を抑えられ勝利した暁には非常に有利な交渉をする事が出来るでしょう」
和平か………。
普通であれば多くの人は和平を望むのだろう。
小競り合いをなくし、こちらの被害を最小限にした上で、相手より有利な条件で戦争を終結させる。
そうすれば小競り合いもなくなり今後の皇国の発展にも繋がるだろう。
だが1つ忘れている事がある。
俺!そもそもこの国を世界一の強国にとか考えてないし、この国の民の為とかも正直どうでもいい。
「おおー。皇帝とは思えない発言だねぇ」
ちょっと静かに!!
………俺はスキルによって人を決めるこの考え方が気に入らない。
この考え方は帝国、皇国、兵士、民間人関係なく蔓延している。
それを変えるのは難しいだろう。
だったらお互いが滅ぶまでの全面戦争。
これしかないだろう。
それに俺には一つ確信もあった。
全面戦争にスキルが弱いと虐げられた者たちは参戦しない、いや出来ないだろうと。
自分で言うのもなんだが、スキルの強さが戦争の勝敗に直結する。
スキルが弱い者は前線には配備されないと思う。
戦争が長期化すれば食料の関係から被害は分からなくなる。
難しいかもしれない。
全面戦争ではあるが、民間人の被害を抑える。
そして、スキル弱者やそれこそドロップアウトの者たちは保護する事を徹底したい。
「オルフィナ。俺の意思は決まっている。帝国とは全面戦争だ。相手の全てを奪うまで続ける!」
反対されるかと思ったが、周囲の反応は異なった。
オルフィナは微笑む。
「流石でございます。そう仰っていただけると思っておりました。それにあの演説から考えるに、スキルが弱いとされる者や民間人には被害を出さない方がよろしくですか?」
そこまで分かっているのか。
「そうだ。難しいだろうが……頼めるか?」
「もちろんです。それを前提として作戦も作り替えました。では、これより説明致します」
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